「二人の明暗を分けたものは、一体何だったのか」
そんな疑問を差しはさむ者は傍観者にすぎない。
己の勝利や敗北という思考の過ることもなく、ただ血と汗と汚物の匂いが充満する空間と同じ淀み切った泥沼の脳裏。
痛い 辛い 苦しい
そんな単純な単語が紡がれる事もなく、荒く吐き出し合う吐息のごとく解けていく。
結実する思いは遠く、細く、朧げに。
動けない 殴れない 立ち上がれない 掠れる息が聞こえる 私の? あの子の?
どこにいるの そこにいる? でも 何も できない/してこない
あぁ、そうか
おわったんだ
力の入らない顎と痙攣し閉じることもままならない瞼に変わり、薄暗い照明のわずかな明滅にならう小さな思考だけが確かに噛みしめる。
拮抗し続けた2つの体と思いは、やはり最後まで同期していた。
そのマッチメイクで出会った2人の少女の間に薄氷の明暗が噛み、キャットファイターがボクサーを倒したのだった。
心身共に薄暗がりのリング上で溶け合い、鮮烈に散り交じり合った少女達をよそに傍観者達は一喜一憂に踊っていた。リングや画面以上の隔たりを感じることもなく。
※以下 下段にいくほどダメージ表現等が厳しくなりますので、ご注意ください。