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高級M性感 時雨(&夕立) 前編《5,000文字強》

「わ、本当にわんちゃんみたーい♡おにいさん、痛くない?」 「いいみたいだ。良かったね、首輪つけてもらえて」  締まりすぎたり、緩んだりを往復し、やがて男の頸部から華奢な手のひらが離れた。支えを失ったことにより、嵌められたものの重量が存在を主張する。なめされた動物の革、銀の鎖は長時間の使用を想定して誂えられた一級品。イメージプレイやお遊びのSMには過ぎた代物。それもそのはず、この首輪で繋がる関係は、冗談などでは断じてない。 一糸纏わぬ姿で跪くオスとベッドにかけるふたりの少女の関係。紙を水に浸すように、頭で理解していたものが実感を伴って男の臓物に染みわたり、思い出した。だって、今の今まであまりにも普通の女の子だったから。 普段彼を躾けている艦娘ドミナの時雨は都内の高等学校に通う女学生でもある。今日は初めてお店の外での待ち合わせだった。現れたのは制服に身を包んだ彼女と、彼女のご学友。男は当惑する。否、待ち人に初対面の女子が加わっていたことではない。身の振り方に困ってしまったのは、ふたりの翳りのなさにだ。まるで懐いている親戚の男とこれからカラオケにでもしゃれ込もうかという気安さで、手を取られた。他愛もない話に花を咲かせ、ショーウインドウを眺め歩き、ふたりに倣って流行りのドリンクに舌鼓を打った。ふたりと楽しい時間を共有し、歳相応の表情を見た直後だからこそ、頭を強打されたような衝撃に襲われる。ただの女の子がドミナに移ろうシームレスな過程を垣間見たことで、良識の残滓などあっけなく吹き散らされてしまう。本能と心とで理解する。時雨様だけでなく、ご友人の夕立様も。ドミナではないが、彼女にもまたひれ伏さなければならない、と。 『どんな女の子に対しても、屈服するのが当たり前だよね』 かくおっしゃる時雨様のお考えが全く正しいのだ。躾けていただく女の子様をマゾが選り好むとは、甚だ身の程知らずで言語道断だ。それをようやく心から理解することができたマゾは、陶酔に劣等感が綯い交ぜになって背筋をふるわせた。もはやなんの迷いもなく、額を足元につけられた。やがてすんなりと口から出る、ご挨拶の言葉。『身の程も弁えられない不出来で憐れなマゾに、ご調教よろしくお願いいたします。』いい大人が艦娘とはいえ女子高生に尊厳も何もかもを差し出して屈服した瞬間である。 「うわ、わわ」 「うん、お行儀よく降参のご挨拶できたね。…確認だけど、今日は初めて僕以外の女の子がご主人様になってくれるから。くれぐれも粗相のないように」 「わぁ…さっきまで普通にお話してたおにいさんが土下座してるの、なんだか不思議な感じっぽい。夕立、おにいさんのご主人様っぽい?」 「夕立、忘れてる忘れてる。もうおにいさんじゃないよ。これは僕たちが躾けてあげるオスのマゾ。立場は君の方が上なんだから気後れしないで」 「うん、で、でもどうしたらいいのか、わかんないっぽい…」  頭上で交わされる会話に自然、耳を聳ててしまう。これからSMのイロハも知らない少女に秘匿しておきたかった恥部を嬲られる。夢想するほどに胸の奥がちりちりと痛んで、鉛のような鈍重さがペニスへと流れ込んでいくようだった。 「好きなようにしていいんだよ。マゾは尊厳を辱めて弄ぶための、女の子の玩具なんだから。…って言っても初めは難しいかな。そうだね、じゃあまずはご挨拶できたことを褒めてあげようか。…こうやって、後頭部を靴の裏で撫でてあげるんだ。 いい子いい子」  JKブランドのドミナにかかれば、マゾの後頭部などたちまち足置きと化す。垂れたこうべを踏みしめられて身分の差を思い知る。これが、憐れなオスを支配する女の子さまの重み。未成年の体重とはいえ、さしもの成人男性も首の筋肉だけでは抗うこともできない。前後する靴底の絶妙な乱雑加減によって、男の不要な自尊心がすり潰されていく音がした。他方、おそるおそるといった調子で押し付けられるもう一足の感触。 「う、うん。…えいっ、このくらい…?」 「もうちょっと強くしても大丈夫だよ、意外と頑丈だから」 「え~、結構容赦なくてもいいっぽい?」  時雨のアドバイスを受け、次第にその踏みしめが玄人じみていく。オスを虐げることに怯んでいるのではない。どの程度の塩梅なら踏みしめても壊れないか。耐久性を調べるための打音検査に相違ない。視界のほとんどが床を移すためご尊顔は拝見できないが、小気味の良い掛け声、生き生きした語調、小慣れていく足遣いがマゾの本能に訴えかける。少女の中の萌芽は。 ビクビクっ…♡♡ 「えへへ、いいこいいこっぽーい…♡ ぐりぐりぐり~…♡ あははっ…♡足の下で跳ねてる…♡ きもちわる~い♡」 「よかったね。嗤ってもらえて。たくさん負ける練習したもんね。初対面の女の子の前で裸になって足元に跪いて、ちょっと高いところから見下ろされたら、心が負けちゃったんだ?首輪は服従のしるしだもの。尊厳なんか必要ないから、何もかも明け渡して、所有物にしてくださいって」 「でも、それが嬉しいの?命令されて恥ずかしいことさせられるの好きっぽい?」  予想外の問いかけに男の返答が上ずる。ドミナの自覚を持つ女性ではない、普通の女の子からのまっすぐな質問。応えてしまえば、これまで女の子に対して無意識に引いていた境界線が瓦解してしまう。自分を躾けてくれるドミナ様と、ごくごく一般的な女性とを隔てて区別するものがなくなってしまう。体裁など無意味。相手が女性であるだけでマゾの負け。JSの言いなりペットであり、JCのお財布であり、JKの暇つぶし遊び道具。女の子は何もしてないのに、勝手に負け散らかす最底辺の無条件降参マゾ。破滅的な生末が待っているというのに、ドミナ時雨様に躾けられた負け癖は引き返すことを許さない。  はいっ、うれしいですっ、すきですっ…ゆ、ゆうだちさまっ…♡ 「あーぁ…♡年下の女の子に『様』付けとか…♡…ね、じゃあ夕立、男の人のオナニーがみたいな~♡」 「だって? …いいよ。良く見えるようにね」  許可が下り、足置きから見世物へ。退けられた気配に従って、男は恭しく顔をあげた。開けた視界にはふたりのJKご主人様。勃起ペニスに突き刺さるは、夕立の視線だ。くすくす…♡と嘲笑を見舞いされ、逸物がなおのこと反り返って腹をぺちぺち叩いてしまう。さながら、羞恥心に呼応する自家用マゾ打楽器だ。とはいえ、興奮ばかりもしていられない。 隣の時雨から漂ってくる、剣呑な気配。微笑を携えてはいても、無感情な視線の刃で体中を撫でられているような錯覚に陥り、マゾの背筋がたまらず粟立つ。粗相に対する折檻懲罰を思索する際の、品定めする瞳だ。今日は言わば品評会。彼がきちんと時雨のお眼鏡にかなう一人前のマゾに育ったかを、確認する日なのだ。だから、粗相は許されない。あくまで所作は恭しく、年下JK女の子様への敬意をもって。失礼がないように。 それでは、見世物オナニーさせていただきますっ…。 オスとして、人として、最低の宣言だ。自尊心を吸い殻のように踏みにじる。男は膝をできるだけ外側に開いて、ペニスを無防備にする。でっぷりと肥え太った睾丸は、射精権を時雨に献上して久しい旨を物語っている。片手で竿を握って、鈴口の奥まで見ていただく角度でゆっくりと上下させ始めた。 「うわうわぁ…♡ 自分でおちんちんゴシゴシしはじめちゃった…♡なんか…ふふっ、間抜けだねー…♡ セックスしない時の射精って何の意味もないっぽい…♡これ、時雨が躾け?したんだよね。どれくらいかかるのー?」 「18時間くらいかな。自覚のあるマゾははじめに立場をわからせてあげて、あとは失礼のないように作法と芸を仕込むばかりだから。ひとまず絶対服従の従順さを刷り込むだけだったら、数時間もかからないかな」 「うぅ~。時雨は慣れてるから簡単にいえるっぽい! こんな見るからのマゾ、そのあたりに落ちてないよ~!」 「そんなことないよ。気質は先天的なものばかりじゃないからね。なければ植え付けてあげればいいんだ。例えば、マゾの進行度を僕はカウパー液…我慢汁の分泌量を判断材料にしてるよ。ほら、見て」  反り返った立派な肉竿の先から、またひとつ。粘液のしずくが玉の形をとどめられないで決壊した。半球状を保ちながら、竿を伝い、尻の割れ目までカウパーの跡は続く。だらしなく、恥ずかしげもなく、ひたすらに射精懇願の落涙を垂れ流す、律儀で健気なオスマゾ。女の子様を愉しませるために自らの射精を贄にした無様生き恥を披露するなどなんとできた奴隷だろうか。年下ご主人様である時雨の手によって下半身の蛇口を完全に破壊され、射精の代わりに、呼吸浅くひたすら我慢汁ひり出すお間抜けオナニーするオブジェ。ぽちゃ、ぽちゃ、と床に水溜まりを作りながら、射精欲を自ら必死で殺し、先走りで汁塗れになった飴細工のようなてかてかペニスで嘲笑を誘っている。 「ふふっ…♡射精するためにおちんちんを刺激してるのに、肝心の射精ができないなんてばかみたいっぽい…♡」 「なら、せめて夕立がもし本当のご主人様になったら、マゾの奴隷にしてあげたいことについて話をしようか。射精の許可は出さないけど、おかずにしていいよ」  もはや極刑にも等しい勧告にマゾの肝が冷えあがる。睾丸は事情も分からずただひたすらに精液を生産し続ける。被虐心をなおも嬲られて、マゾ性癖は射精を訴えているのに、理性がそれを許さない。我慢しなければ時雨様による厳しい折檻が待っている。今日は夕立様もいらっしゃるのだ。いつかのようなローションガーゼ亀頭磨きなど課せられたならば、と思うと、肺がつぶれる心地だ。本当にわずかに残った恥も外聞も体裁も何もかも捨てなければならなくなってしまう。本気で泣き叫んで命乞いをするところを、どこにでもいるような普通の女の子に見られて、その表情が、声色が、侮蔑や嘲笑が脳の深くにこびりついた日にはきっと。——マゾ快楽のジャンキーとなって、人間性が破綻する。 「思いっきり泣かせてあげるのはどうかな。女の子に力で負けるって、簡単に心がへし折れちゃう。…そうだったよね?」 「へぇ~♡ じゃあこの子も時雨にボコボコにされて大人しくなっちゃったっぽい?w」 「ほら、これがその時の写真♡」 「ぷっ…♡いい大人がつぶれたカエルみたいに伸びてて…♡なにこれ、精液の水溜まり?…ふふっ♡え、これはこれは~? 動画?……く、ふふ、ふっ、なにこれ…♡お尻ぺんぺんで射精ってありえないっぽーい♡ あっ、この時の時雨怒ってる~♡ 夕立、マゾに生まれなくてよかった~♡こんなの全部恥ずかしくて死んじゃうっぽ~い♡」  調教記録のタブレットを共有しながら、夕立の素直な反応がオスマゾに突き刺さる。件の動画や画像は決して他者に見られたくはない、汚点であり醜部。それを当事者である自分になんの断りもなくあけっぴろげに公開され、笑いものにされているだなんて。劣等感が膿んでじくじくと、睾丸がぎゅちぎゅちと悲鳴を上げる。ゆるくではあるが、しっかり握って強く扱き続けているため、射精は時間の問題だった。 「最後に射精したのは3週間前だね。限界? そっか、限界なんだ。そんなに頷いて。だめだよ、謝っても。だめ。夕立に聞いてみたら? 寸止め何回かで許してもらえるかもしれないよ」 「ううんどうしよっかな~♡このマゾ、さっきから夕立の胸とか足とかじろじろ見てたっぽい♡だから…30回♡」 「30回だって。射精直前まで扱き続けて寸止め手離し。できるよね?」  首を振る。できない、できるわけがない。理性が霞む。視界が白ばんでいる。すぐそこまで迫っているのに。射精管の半ばまで押し寄せたマグマが我先にこみ上げようとしてるのに。 「我慢できないときは、どうするんだっけ」 うぅ…♡あっ、あぅぅ…♡し、時雨さまっ…♡ 「どうするんだっけ」  っ♡♡ お手伝いをお願いしてもよろしいでしょうか、時雨様っ…♡ 「は? 僕だけ?」  も、申し訳ございませんっ、時雨様っ、夕立様っ…。不出来な睾丸に、どうかお情けをいただけませんかっ…。 「…夕立、金玉蹴り飛ばしてほしいんだって」 「仲間外れにされちゃって悲しいっぽい~。…だから、二度と忘れられないように鋭くいくね」 「優しいご主人様でよかったね。…ほら、足開け。僕は右狙うね」 「はーい、左はお任せっぽい♡加減は必要?」 「いる?手加減」  ひ、必要、ご、ございませっ…♡甘んじて、ご主人様の金蹴りをお、お受けしまっ、お受けしますのでっ 「せーのっ♡」  バッッッツン♡♡♡♡♡  瞼の裏側にぐるんと黒目が隠れ、視界が一瞬のうちに数度明滅した。反射的に噴き出る脂汗。失神したかった。した方がはるかにマシだったろうに。脳神経が束ごと焼き切れたかと錯覚した。全身が脱力したのは死んだからだと思った。死んだほうがましだと思いたかった。悶絶が持続した状態に名前はあるのだろうか。崩れ落ちる瞬間、見えたのは対照的な顔。 お仕置き確定。ふたりの唇が、そう結んだ気がした。 《終》  


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