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【小説】教室の身体選別会再び

【こちらはskebリクエスト作品です。ご依頼ありがとうございました】


skeb:https://skeb.jp/@shiraTSFadult


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「ギャハハっ! バカだろお前そんなわけねーじゃん!」

「いやだからさー、バイト先の先輩がそう言っててー」

「やっべ、英語の予習してねえ! 誰か訳見せて」


朝っぱらから教室で騒いでいる奴らを横目に、僕は鬱屈とした気持ちでため息をついた。

どいつもこいつも高校生にもなってはしゃいでばかりで反吐が出る。

僕が静かに過ごしたいと思っていても、この教室の奴らは騒ぐのをやめない。

どうしてこんなガキみたいな奴らと同じ空間で過ごさなければいけないのだろう。


「ん? なんか上尾がこっち見てるよ」

「なんだよ、なにか用か?」

「え……? い、いや……な、なんでも、ないよ……エヒっ……」


急にこちらに注目が集まり、僕は慌てて返事をした。

思わず吃ってしまい、顔が赤くなっていくのを感じる。

くそっ……いきなり話しかけてくるなよ……。

今日は朝から散々だ。

早く授業が始まればいいのに。


「ちょっとみんな、流石に騒ぎすぎだよ」


すると、騒いでいたバカどもに一人の女の子が優しい声で告げた。

刈谷さんだ。

うちのクラスで最も優しく、最も真面目で、最も可愛い女子、刈谷夏美。


「もう授業の時間始まってるし、また怒られちゃうよ?」

「あー、この時間隣のクラス数学の山田じゃん。怒鳴り込んでくるかも」

「確かに刈谷さんの言う通りだわ」


刈谷さんの言葉で他の連中の声が小さくなっていく。

刈谷さんは周りからの人望も厚い、優等生の鑑だ。

すると、刈谷さんはこっそり僕にも話しかけてきた。


「……上尾くん、大丈夫?」

「え!? だ、だだ、大丈夫……」

「そう? ならいいけど。上尾くん、大人しいからあんな風に急に話しかけられたら困っちゃうよね」


刈谷さんはそう言って優しく微笑むと自分の席の方へと戻っていった。

……なんていい人なんだ、刈谷さんは。

刈谷さんは僕にだって優しいし、彼女だけはこのクラスでもまともな人間に思える。

あんな子が僕の彼女だったらいいのに。


「つーか、なんで担任来ないの?」

「今日ホームルームやんないのかな?」


落ち着き始めた教室の中で今度はそんな声が周りから上がり始めた。

確かに、もうとっくに授業が始まっても良い時間なのに未だに教師がやって来ない。

僕としてはさっさと始めて欲しいのだが。

職員会議でも長引いているのだろうか。


「お、いい感じのガキどもじゃねえか。選び甲斐があるな」


すると突然、可愛らしい声音に似つかわしくない荒々しい言葉遣いの女子が教室に入ってきた。

Tシャツに短パンというかなりラフな格好で、少なくともうちのクラスの人間ではない。

誰だ……?


「なにあの子?」

「誰かの知り合いか?」

「ていうかうちの学校の生徒じゃなくね?」


周りの奴らからも困惑の声が上がっている。

誰もあの女子のことは知らないらしい。

格好を見るに転校生というわけでもなさそうだが。


「お前ら黙れ。とりあえず、全員立って男女別に並べ。女子は黒板の前、男子は反対側だ」


Tシャツの女子はいきなり僕たちに向かって勝手な命令をしてきた。

なんなんだあいつは。

そんなことを突然言われてもこの教室の奴らが言うことを聞くわけ……。


「はい」

「はーい」


すると、クラスの全員が一斉に立ち上がり、ゾロゾロと移動を始めた。

なんだ?

なにが起きている?

何故だかわからないが僕も倣わないと行けない気がしてきたので、仕方なく男子の列の端っこに立つことにした。


「よし、それじゃあ全員服脱いで全裸になれ」


次の言葉に僕は耳を疑った。

なにを言ってるんだあいつは。

流石にそんなことまで聞けるわけが……。

そう思ったのも束の間。

次の瞬間には、周りの奴らが一様に服を脱ぎ始めていた。

僕の隣に並ぶ男子たちだけでなく、向かいに並んでいる女子たちも全員だ。

明らかに異常な空間が出来上がっている。

あまりの混乱に僕まで服を脱がないといけないような気がしてきたが、意識を強く持ってその場で耐えた。


「やっぱ壮観だな、この光景は。学校の教室でどいつもこいつもみんな全裸に……ん? おい、お前。なんで服脱いでねえんだ?」


すると、Tシャツの女子が僕の目の前までやってきた。

まるで蛇に睨まれたカエルのような気分だ。


「え、えっと……い、いきなり服なんて、ぬ、脱げないっていうか……」


僕が目を逸らしながら答えると、Tシャツ女子は面白いものを見るような目でこちらを見ていた。


「ほぉ、どうやらお前は効き目が悪い奴みてえだな」

「き、効き目……? な、なんの……?」

「そりゃあもちろん、俺の超能力のだよ」


Tシャツ女子はドヤ顔で誇らしげに胸を張っている。

僕はわけがわからず苦笑いしかできない。


「俺はな、ある日突然超能力に目覚めたんだ。今使っているのは『催眠』の能力。俺の催眠にかかった人間は俺が言うことに何の疑問も抱かずに従うようになる。どんな理不尽な命令だろうと自由自在ってわけだ」


Tシャツ女子は両手を広げて周りの全裸になった奴らを見渡している。

そして、そのうちの一人に目をつけた。

先ほどまで教室の真ん中で騒いでいた女子、雨宮だ。

髪を茶髪に染めていて、うちのクラスでは一番目立つ見た目をしている。


「おい、お前。オナニーしながら自己紹介しろ」

「はーい。あたしの名前は雨宮環奈。バスケ部に所属してまーす。よくチャラいって言われるけど、別にそんなことは全然ないからみんな仲良くしてほしいなーっていつも思ってまーす」


雨宮は自然な口調で自己紹介を始めた。

Tシャツ女子の指示通り、自分の股間を右手で弄りながら。

あまりのことに僕は目を疑った。


「あー、そういうのいいから、スリーサイズと今までの経験人数、セックスの回数、オナニー頻度だけ教えろ」

「スリーサイズは上から82-66-87。経験人数は二人で、セックスの回数は……うーん、覚えてないけど、多分合計で二、三十回ぐらいはしてるんじゃない? オナニーは週に一回するかしないかぐらいかなー」


股間から淫らな水音を鳴らしながら、雨宮は素面では絶対に言わないようなことを当然のように語っていく。


「とまあ、こんな感じにどんな相手でもオモチャみてえに好き放題できるってわけだ。どうだ、面白えだろ?」

「……え、エヒっ……そ、そうっすね……」


僕は引きつった顔でTシャツ女子に答えた。

どう見てもやばい状況だが、あのいけ好かない雨宮の痴態には気分が晴れるし興奮する。

それはそれとして、このTシャツ女子の目的はなんなのだろうか。

いきなり現れてこんなことをして一体なにがしたいのだろう。


「ん? なんだ? なにか聞きたいことがあるって顔してんな。言ってみろ」

「え、えっと……どうして、こんなことをするのかって、思って……」

「どうしてって、女が全裸でオナニーしながら自分の秘密暴露なんてしてたら興奮するだろ。お前はしねえのか?」

「……す、する……けど……ぼ、僕は、男だし……えっと、あなたは、その、女の子で……」

「あ? ああ、なるほど。俺のこと女だと思ってんのか。まあ確かにこの身体だけ見たらそう思うわな」


Tシャツ女子は勝手に一人で納得したように頷いていた。

なんだかまるで自分が女ではないかのような物言いだ。


「そもそも俺の本当にしたいことは別にあってな。実は俺には催眠の他にもう一つ超能力があるんだ」


そう言うとTシャツ女子は近くにいた男子に目を向けた。

あいつはサッカー部の本田だ。

あいつもクラス内で調子に乗っていていけ好かない。

Tシャツ女子は本田とまっすぐ向かい合い、口を開いた。


「入れ替われ」


その瞬間、Tシャツ女子と本田の口から何かが飛び出した。

Tシャツ女子の口からは赤黒い光が、本田の口から青緑の光が飛び出し、二つの光が宙で交差してそれぞれ向かい合った相手の口の中へと入っていく。

二人は光を飲み込むと、ビクッと体を震わせた。

なんだ?

なにが起きたんだ?


「…………ふぅ……男の身体は久々だな」


すると、それまで黙っていた本田が急に喋り始めた。

だが、その雰囲気はなんだかいつもとは違うような気がする。


「おっと、こいつの名前を聞くのを忘れてたぜ。おいお前。こいつはなんて言うんだ?」


本田がいきなり僕に問いかけてきた。

自分のことを指さしているが、自分の名前が聞きたいってことだろうか。

意味のわからない質問だがとりあえず答える。


「え……ほ、本田くん……だよね……?」

「そうか、こいつは本田っていうのか……おいおい、なんだよその目は。言っておくが俺はその本田って奴じゃねえぞ。そこの女だった奴だ」

「……え、それって……」

「俺とこいつはな、入れ替わったのさ。俺の超能力、『入れ替わり』でな」


本田がニヤリと笑う。

にわかには信じ難いが、喋り方や表情がさっきまでのTシャツ女子と似ているところ見ると、本当のように思える。

というか、あまりに異常なことが起き過ぎていて今更なにを言われても信じてしまいそうだ。


「ちなみに言っておくとその女だって本来の俺の身体じゃねえ。俺は元は男だ。そいつは俺の理想の身体に近かったんで貰ったのさ。結構長いことその身体を使ってたんだが、いい加減飽きてきてな。ここで新しい身体を探そうと思って来たってわけだ」

「そ、そうなんですか……」

「そう怯えるなよ。お前みたいに俺の催眠の効き目が悪い奴は珍しいんだ。俺としてもお前みたいな奴は面白えし、邪魔しねえなら悪いようにはしねえよ」


本田はニヤニヤ笑いながら言ってくる。

まあ、僕に危害を加える気がないなら別に構わないが。

それに、いけ好かないガキみたいなクラスの連中がこいつに好き勝手されるのを見るのも悪くない。


「さて、それじゃあそろそろ俺もやることやらねえとな。おっと、その前に里奈の身体を最後に堪能しておくか。おい、服脱いで黒板に向かって手をつけ」

「うっす」


本田に里奈と呼ばれたTシャツ女子は、着ていた服を脱いでこちらに背を向ける形で黒板に手をついた。

あの里奈って女子、この本田になっている奴の理想だということらしいが、改めて観察すると確かにかなり可愛い。


「よし、挿れるぞ……おぉ、すげぇ……こうやって挿れる側になるのは久しぶりだが……相変わらずの名器っぷりだ」


本田と里奈は、なんと目の前でいきなりセックスを始めた。

いや、全裸の男と女でやることなんてそれしかないのかもしれないが、まさかよりにもよって学校の教室の中でおっ始めるなんて。


「おら、お前も腰動かせ」

「んっ……うっす……」


里奈の方も感じているのか、少しずつ息を乱し始めている。

顔も赤くなってきていて、まるでAVのワンシーンでも見ているかのようなエロさだ。

しかし、冷静になって考えるとあのエロい女子の中身は入れ替わったサッカー部の本田なのだ。

それを意識してしまうとなんだか興奮していいものかどうか葛藤してしまう。


「おっ、おっ……やべぇ、すぐに出ちまいそうだ……さてはこいつ早漏だな……ぐっ……」

「あっ……んっ……んんっ……!」


二人の腰の動きが激しくなってきた。

里奈の口からは喘ぎ声が漏れ出ていて、一層色を帯びていく。

元は男だったっていうのに、なんであいつはあんなに気持ち良さそうにしてるんだろうか。

女にされて犯されて恥ずかしくないのか。

それとも、そんな状態でも感じてしまうほどに、女の身体がいいのか。


「んぐっ……出るっ……うッ!」

「んっ、あっ……ぁっ……」


本田は身体を震わせながら自分の腰を里奈に押し付けた。

どうやら射精したらしい。

里奈の方も、されるがままだったにも関わらずどこか満足げなように見える。


「……ふぅ……早漏だったが、久しぶりの射精だ。それなりに楽しめたぜ、ありがとよ。その元自分の精子はちゃんと膣内に溜めとけよ」

「……んっ……うっす」


里奈は股間から精子を垂らしながら答えた。

その様子に僕は普通のセックスに対するものとは違う、非常に倒錯したエロさを感じて痛みを感じるほどに勃起していた。




────────




「とりあえず女子は全員オナニーしてマンコ濡らしとけ」


本田が黒板の前に並んでいる女子たちに命令すると、全員一斉に自分の股間を弄り始めた。

片手を乳首に当てもう反対の手で股間を触っている者もいれば、両手を使って股間を触っている者もいる。

とにかく多種多様なオナニーが目の前で繰り広げられていて、あまりにも刺激的で強烈な光景だった。


「よし、まずはお前だ。名前は確か雨宮環奈とか言ったか?」


本田が茶髪の女、雨宮の前まで移動した。

雨宮はさっきの自己紹介のときからずっとオナニーを続けており、全身汗やら愛液やらに塗れていた。

本田は雨宮と真正面から向き合うと口を開いた。


「入れ替われ」


すると、本田の口からは赤黒い光が、雨宮の口からはピンク色の光が飛び出し、お互いに相手の口の中へと入っていく。

二人の身体がビクッと震えたと思うと、雨宮はゆらりと身体を揺らしながら髪を大きくかき上げた。


「……んっ、ふぅ……いい感じに準備できてんじゃねえか……」


雨宮はいつものチャラチャラした雰囲気とは一変してガサツな男のような雰囲気へと変わった。

里奈や本田になっていた男が今度は雨宮になったのだ。


「お前は列に戻れ」

「はーい」


雨宮に言われた本田は女子のような軽いノリで返事をしながら男子の列へと戻っていく。

ついさっきまで女だった奴が全裸の男たちが並ぶ列に同じ男として並ぶというのはこれまた倒錯的に思える。


「代わりにお前、こっち来い」


雨宮は本田の隣に立っている男子、野球部の堀に命令した。

堀は背の高い坊主頭の男子で、いつも汗臭い熱血野球バカといった印象があり僕はいけ好かないと思っている。


「お前、セックスの経験はあるか?」

「いえ、俺は野球一筋っす!」

「なんだよ、お前も童貞早漏か? まあいい、肉バイブぐらいにはなれるだろ。そこに仰向けに寝転がれ」

「はいっ!」


雨宮に命令され、堀は全裸のまま教室の床に寝転んだ。

向かいで全裸の女子たちがオナニーをしているせいか、股間だけは天井に向けてピンっと勃起している。


「よし、動くなよ……挿れるぞ……」


雨宮はゆっくりと堀の股間の上へと腰を下ろしていく。

雨宮の股間に、勃起した堀の逸物がずぶりと突き挿さる。


「おっ、入って、きた……ん……んー……? あー、なるほど、こういう感じか……」


顔を赤くして興奮しているように見えた雨宮は一転して萎えたような表情に変わった。


「こいつ、感度良くねえな……つーか、ガバマンじゃねえか……入れてんのに、なんか物足りねえ……」


雨宮は不満げな顔のまま腰を上下に動かしている。

いきなり激しく抜き差しを繰り返してパチュンパチュン、と音が鳴るほど動いているが、あまり気持ちよさそうには見えなかった。


「……チッ……はぁ、もういい。Dランクだこいつは。とんだ期待外れだぜ、まったく……」


雨宮は自分の身体を蔑みながら唾を吐いた。

雨宮本人ではないとはわかっているが、自分の身体にDランクなどというレッテルを貼っている雨宮は滑稽に見えた。


「おい、お前の身体期待外れだって言ってんだよ。謝れや」

「ごめんなさーい」


男子の列に並んでいる本田が雨宮に謝る。

事情がわかっていなければ意味不明な光景だ。


「時間の無駄だったな。とりあえずお前、こっち見ろ」


相手に跨ったまま、雨宮は堀を見下ろして言う。

お互いに見つめ合った状態で雨宮は口を開いた。


「入れ替われ」


雨宮は股間に堀の逸物を挿れながら告げた。

すると、今までと同じように雨宮の口から赤黒い光、堀の口から焦茶色の光が飛び出して交差していく。

光を口に入れた二人の身体がビクッと震えたと思うと、堀がゆっくりと口を開いた。


「……んー、この身体が童貞だから感じはするが、里奈の膣内とは比べものになんねえな。挿れるのも挿れられるのも微妙とかますます最悪の身体じゃねえか。こりゃEランクに格下げだ」


堀は大きくため息をつくと、自分の上に跨る雨宮を突き飛ばして立ち上がった。


「お前列に戻れ。それと、感度上げる努力を忘れんな。毎日絶対オナニーしろ。一生だからな」

「はいっ! わかりましたっ!」


雨宮は熱血野球バカのように大きく返事をすると、女子の列に戻ってオナニーを再開した。

中身が野球部の堀だからかたどたどしい手つきだが、一生続ける催眠をかけられたならそのうち上手くなるかもしれない。


「気を取り直して次に行くか。おいお前、自己紹介しろ」

「……はい。わたしは鷹宮聖菜。スリーサイズは74-57-80です。経験人数は一人。今付き合っている彼氏です。セックスは今までに五回してます。オナニーは前まで全然してませんでしたが、最近は毎日してます」


堀に声をかけられた鷹宮が返事をする。

鷹宮は内気で暗いので全然話したことがない。

いつも誰かの後ろにいるような奴だと思っていたが、まさか彼氏がいるとは思わなかった。

女は暗くてもちょっと可愛ければチヤホヤされて彼氏ができるのでなんとも不公平だ。


「なるほどな、彼氏ができて性に目覚めたって感じか。面白えじゃねえか」


堀はニヤリと笑いながら鷹宮と向かい合う。


「入れ替われ」


その瞬間、堀の口から飛び出した赤黒い光と鷹宮の口から飛び出した青白い光が交差し、相手の口の中へと入っていく。

二人の身体がビクッと震えると、鷹宮はそれまでの無愛想な表情から一転してニヤリと笑った。


「……んっ……へぇ、中々の感度だ。スタイルはいまいちだが、悪くねえ。顔もいいし、これは期待できるな」


普段内気でおとなしい鷹宮がガサツな男のような喋り方をしているのは違和感が強い。

一方、いつも無駄に元気な堀が無愛想な澄ました表情をしているのもなんか笑ってしまいそうになる。


「普段お前はどんなふうにセックスしてるんだ?」

「……ベッドの上にわたしが寝て、彼がその上から覆い被さるようにして挿入してきます。抱き合ってキスするのが好きなので」

「なるほど、とりあえずそれでやってみるか」


鷹宮は言われた体位を再現するように床に寝転がった。

そして、堀がその上に覆い被さる。


「よし、それじゃあ挿れろ……」

「……はい」


堀は命令された通りに、元の自分の身体でもある鷹宮に自分の逸物を挿しこんだ。


「……んんッ!? こ、これ……!? すげ、挿れられただけで、あっ、身体が、震えて……んっくぅ……!?」


鷹宮は予想外の快感だったのか声を上擦らせて喘いでいる。

鷹宮がこんな風に艶っぽい声を上げているところを見るのなんて初めてなのでなんだか無性に興奮してしまう。


「んっ、ふぅ……へへっ、お前、相当いい感度してんじゃねえか……彼氏とのセックスでもかなり感じてたんじゃねえか?」

「……はい。初めてのセックスは気持ち良すぎて、彼と繋がったまま気を失ってしまいました。それ以来あの感覚が忘れられなくて毎日オナニーするようになってしまいました」

「おいおいマジかよ。こりゃもしかしたらアタリかもな……んんっ!」


鷹宮は堀のことを抱きしめぐいぐいと腰を押し付けている。

堀もそれに答えるようにパンパンっとピストンを繰り返す。

なんだか、かなり気持ちよさそうだ。

特に鷹宮。

顔を紅潮させて息も荒げて、涎を垂らしながら嬉しそうに腰を振っている。

やっぱり、女の身体って気持ちいいのか?

よく考えたらあの鷹宮の中にいる奴だって元は男だったと言っていたのに女の身体ばかり楽しんでいるということは、本当に女の身体の方がいいのかもしれない。


「やべぇ、もう、イキ……あッ、ああぁあぁッ!!!」


鷹宮が一際大きく喘ぐと、身体を大きく反らせてビクンッと震えた。

快感に蕩けて緩んだ顔は普段の鷹宮の澄まし顔からは考えられないほどだらしない表情だった。


「……あ、ぁ……この身体……す、すげぇ……んっ……」


よっぽど気持ちよかったのか、しばらく鷹宮はビクビクと震え続けていた。

……なんか、羨ましく思えてきた。

僕も、あんな風に女の身体で気持ちよくなれたら……。


「……ふぅ……こりゃあ、文句なしのAランクだな……里奈の身体で女の快楽に慣れてる俺ですらここまで感じるとは……んっ……感度だけで言ったら里奈よりも上なんじゃねえか……?」


鷹宮はなんとか息を整えて立ち上がった。

未だ足はプルプルと震えており、絶頂時の快感を引きずっていることが見て取れる。


「お前の身体かなりいいぜ。褒めてやるよ」

「……はい、ありがとうございます」


鷹宮に言われた堀は相変わらず無愛想だったが、元自分に挿したチンコを未だに勃起させたままだった。




────────




次々と入れ替わりが行われてはセックスが繰り返されていた。

その度に入れ替わられた女子は自分の身体に勝手な評価を下していく。


「まあBランクってとこか。顔もスタイルも悪くねえが感度が全然足りねえ。里奈の身体には遠く及ばないぜこれじゃあ」


今そう言ったのは水泳部の寺沢だ。

勝ち気でいつも男子に対して強気な女子だが、今はその身体は男にオモチャのように扱われている。


「ん? なんだよ、もうあと一人しか残ってねえじゃねえか。ここまでAランク一人だけしかいねえってのに、お前らレベル低いぞ」


いつの間にかクラスの人間は僕ともう一人以外全員が入れ替えられていた。

女子になった男子は股間から精子を垂らしたりオナニーを続けたりしているし、男子になった女子はそんな自分の元の身体を見てチンコを勃起させている。

倒錯的で異常な空間だ。

だが、今の僕の意識はそんなことよりもまだ入れ替えられていないもう一人に向いていた。


「よし、お前が最後だ。自己紹介しろ」

「はい。私の名前は刈谷夏美です」


刈谷さん……。

このクラスで唯一僕が認めている人間だ。

彼女だけは、オモチャのように好き勝手されてほしくない。

想像しただけで胸が苦しくなってくる。


「スリーサイズは81-59-85です。経験人数は0人で、セックスの経験はありません。オナニーもあまりしないですね。精々月に一回するかしないかぐらいです」


そうか、刈谷さんは処女なのか。

少し安心した。


「なんだよ、クソ真面目なつまんねえ奴だな。顔もスタイルもは悪くねえのに、これじゃあ盛り下がるぜ。……まあいい。さっさと感度チェックだけするか……」


寺沢が刈谷さんの正面に立つ。

また入れ替わる気だ。

今度は刈谷さんの身体と。

僕は汗が止まらなくなっているの感じた。

心臓が、バクバクと高鳴っている。


「入れ替わ……」

「ま、ま、ま、待ってくださいっ!」


思わず声を張り上げてしまった。

寺沢は僕に止められたのが予想外だったのか、目を丸くしてこちらを振り返ってきた。


「うぉ、びっくりさせんなよまったく。なんだよいきなり」

「え、いや、その……刈谷さんと、入れ替わるのは……や、やめた方が、いいかもしれないなぁ、なんて……思ったり、しなかったり……」


つい勢いで止めてしまったけど、そこから先のことを考えていなかった。

僕はしどろもどろになりながらなんとか誤魔化そうとした。


「お前、俺の邪魔しようってのか?」

「っ!?」


寺沢がドスの効いた声で脅しかけてくる。

まずい。

こんなやばい力を持った奴の機嫌を損ねてしまったら、僕はどんな目に遭うのかわからない。

あんなこと言わなきゃよかった。

刈谷さんがこいつに好き放題されてもどうせ僕には何もできないんだから黙って見てればよかったんだ。

ああ、もう終わりだ。

だれか助けて……。


「……クックッ……なんてな。冗談だよ」


すると、寺沢はいきなりニヤニヤと笑い始めた。

さっきまでの声音とは全然違うトーンで、どうやら僕を安心させようとしているらしい。

実際、女子の声で優しく言われると男に言われてるより安心する気がする。


「お前の言いたいことはだいたいわかったよ。お前、こいつの身体になりたいんだろ?」

「……え?」


僕の心臓が大きく跳ねた。

なんか、思っていたのと違う流れになってきた。


「別に構わねえよ。こんな感度も良くなさそうな処女の身体になんか今更興味もねえ。実はもう次の身体にする奴は俺の中では決まってんだ」


そう言うと、寺沢は僕に背を向けてある女子の前まで移動した。

あれは、鷹宮だ。

内気で暗くて、唯一Aランクと評された女子。

寺沢は鷹宮と向かい合うと口を開いた。


「入れ替われ」


その瞬間、寺沢の口からは赤黒い光が飛び出す。

鷹宮の口からは黄土色の光が飛び出してきた。

あれは確か、鷹宮の後に入れ替えられていた寸胴体型の男子の安藤の光だ。

水泳部の女子更衣室に忍び込んだ疑惑が上がったことがある危ない奴で僕はあいつのことを見下している。

二つの光は交差して相手の口の中へと入っていった。

やがて二人の身体がビクッと震えると、鷹宮は心底嬉しそうな表情をしながら口を開いた。


「やっぱこの身体だ。この身体が一番いい……」


ニヤニヤと笑いながら自分の身体を抱きしめる鷹宮。

ひとしきり身体を撫で回した鷹宮は僕の前まで戻ってきた。


「つーわけでだ。俺の新しい身体はこの『鷹宮聖菜』に決まった。あの女の身体はもういらねえからお前にくれてやるよ」


鷹宮が刈谷さんを指差している。

いきなりそんなことを言われても、反応に困る。

僕は目を泳がせながら答えた。


「あの、い、いや、ぼ、僕は別に……か、刈谷さんになりたいわけじゃ……」


咄嗟にそう言ったけれど、本当のところはどうなのか自分でもよくわからなかった。

この今鷹宮になっている奴がずっと女の身体で楽しそうにしているのを見て羨ましいと感じていたし、刈谷さんのことはずっと可愛いと思っていて彼女にしたいくらい気になっていた。

でも、だからって僕が刈谷さんの身体になるなんて……。


「おい、正直に言え。お前はこいつになりてえんだろ?」

「は、はい、刈谷さんになりたいです……」


口が勝手に動いた。

僕は慌てて口を閉じようとしたけれど、すでにはっきりと意思を表明した後だった。

そうか……僕、刈谷さんになりたいんだ。

そう思うと自分の中のモヤモヤが晴れるような気がしてきた。

女の身体は気持ちよさそうだし、その上なれるのが刈谷さんの身体なんて、そんなのよく考えたら最高なんじゃないか?


「よし、いいぜ。ちょっと待て。まずはお前とだ」


鷹宮が刈谷さんと向かい合う。


「入れ替われ」


鷹宮の口からはもう何度も見た赤黒い光、そして刈谷さんの口からは綺麗な白い光が飛び出し、相手の口の中へと収まっていく。

二人の身体が一瞬ビクッと震えると、やがて刈谷さんはゆらりと身体を揺らしながらこちらへ向かってきた。


「ヘッヘッヘ……待たせたな」


刈谷さんがニヤリと笑いながら僕の前で佇む。

その姿は普段の彼女のイメージとかけ離れていて違和感しかないが、そんなことよりも僕はこれからの自分の運命を想像して心臓が爆発しそうになっていて。

僕が、刈谷さんになる。

この今目の前にいる、刈谷さんの身体になるんだ。


「入れ替われ」




────────




急に目の前が真っ暗になったが、少しずつぼやけた視界がはっきりしてきた。

僕の目の前には、『僕』が佇んでいた。


「どうだ? 女の身体になった気分は」


やけに自信ありげな口調の『僕』に言われ、僕は自分の身体を見下ろした。

きめ細やかで滑らかな肌。

細く華奢な手足。

そして何よりたわわに膨らんだ胸。

それは、先ほどまで見ていた刈谷さんの裸。

それをこうやって見下ろせるということはつまり。


「ぼ、僕……か、刈谷さんに、なってる……?」


吃りながら発した言葉は、明らかに僕本来の声ではなかった。

高く澄んだその声は、いつも僕に優しく語りかけてくれる刈谷さんの声。

なにからなにまで、今の僕は刈谷さんになっている。

それだけで僕の心臓は破裂しそうなほどに強く鼓動していた。


「ふ、エヒっ……!」


勝手に笑いが込み上げてくる。

やったぞ、僕が刈谷さんの全てを手に入れたんだ。

もう彼女にしたいとかそんなことすら考える必要がない。

だって僕自身が刈谷さんになっているのだから。

僕は刈谷さんの手で、刈谷さんの身体を撫で回した。

こうやって触れるのも全て僕の自由だ。

刈谷さんの身体は、全て僕の思うがままになったんだ。


「気に入ったみたいで何よりだ」


そう声をかけてきたのは、鷹宮だった。

どうやら僕が刈谷さんの身体に見惚れている間に鷹宮の身体と入れ替わったらしい。

ということは、今僕の元の身体になっているのは刈谷さんということになる。

そうか、今僕と刈谷さんは入れ替わってるんだ。

僕は刈谷さんになっていて、代わりに刈谷さんは僕になっている。

それって、なんだかすごく倒錯的だ。


「おいおい、愛液垂れてんぞ。そんなに興奮してんのか?」

「え……?」


ふと足を見ると、股間から液体が滴っていた。

なんかさっきから股間の辺りがムズムズすると思っていたが、この身体も僕の気持ちに反応して興奮しているのか。

刈谷さんが僕の考えた通りに興奮している。

その事実になおさら興奮してしまう。


「ちょうどいいじゃねえか。お前ら入れ替わったもん同士でセックスしてみろよ」

「えっ!?」


鷹宮がとんでもない提案をしてきて僕は流石に動揺した。

確かにセックスがどんなものなのか気になるが、いきなりというのは少し気が引ける。


「そ、それは、ちょっとまだ早いというか、なんというか……」

「うるせえ。いいからヤれ」


すると、僕の身体が勝手に動き始めた。

やばい、鷹宮の命令に逆らえない。

『僕』になっている刈谷さんの方も服を脱いで準備を始めている。

僕がその場に横になると、ガリガリに骨張った裸の姿を晒した『僕』が向かいから迫ってきた。


「か、刈谷さん……ちょっと、待って、流石に……」

「ダメだよ上尾くん。セックスしろって命令されてるんだからちゃんとヤらないと」


『僕』がいつもの刈谷さんのような優しい口調で喋りながら、勃起した逸物を僕に向けてくる。

ほ、本当にやるのか?


「それじゃあ挿れるよ」

「か、刈谷さん、待っ……んんッ!?」


僕の抵抗も虚しく、『僕』の逸物が刈谷さんの股間を掻き分けて中に入ってきた。

その瞬間、強い痛みと圧迫感と共になにか僕の心の奥の何かが満たされるような、そうな不思議な気持ちが湧いてきた。


「あ、あ、あぁっ!? ぼ、僕……刈谷さんの身体で、挿れられて……」


女性器に男性器を挿れられるなんていう女の身体でしか体験できないことを、刈谷さんの身体で味わっている。

しかも、刈谷さんは処女で、本来なら刈谷さんが別の誰かとのセックスで喪失するはずだったものを僕が代わりに体験しているのだ。

さらに言えばその相手は刈谷さんが中に入った『僕』で。

あまりにも倒錯的すぎるそのシチュエーションに僕の頭は沸騰しそうなほどに熱くなっていた。


「あ、ぁっ、んっ、ああぁっ!」

「クックッ……たまにはこうして入れ替わった奴ら同士を観察するのも悪くねえな。そうだ、せっかくだから他の奴らも巻き込んでやるか」


僕が刈谷さんに突かれている間に、鷹宮が周りを見渡しながら言った。


「お前ら男女でペアになってセックスしろ。せっかくの機会なんだ。目一杯楽しめよ」

「はい」

「はーい」

「はいっ!」


すると、ずっと立ち尽くしていた他の奴らが一斉に動き出し、自分の向かいに立っていた者同士で絡まり始めた。

サッカー部の本田の身体になっている雨宮は中に野球部の堀が入っている雨宮の身体を犯し始めているし、他の連中も入れ替わった自分の身体とヤっている奴らが多かった。

元自分の身体を犯す乱行パーティなんて、倒錯的すぎる。


「おい、お前はこっち来て俺のマンコ舐めろ」

「うっす」


一人余っていた里奈が鷹宮に呼ばれ、鷹宮の股間をチロチロと舐め始めた。

鷹宮は顔を赤くしながらも楽しそうに周りを観察している。


「よしよし、そうだ……クックッ……女子だった奴らがチンコ勃起させて元自分のマンコを犯して、それを男だった奴らが喘ぎながら受け入れてるなんて、すげえ光景だな……んっ……」


鷹宮はこの異常な空間を心底楽しんでいるようだった。

僕の方も、この中にいるだけでどんどん興奮してしまう。


「上尾くん、よそ見しすぎだよ」

「んあぁッ!?」


急に股間の奥を強く突かれ、思わず大きな声を出してしまった。

前を見ると、『僕』が真面目な顔で腰を振り続けている。

『僕』の中にいる刈谷さんは大真面目に命令をこなそうとしていた。

あの真面目な刈谷さんすらも、この異常な状況の一員になっている。

それがまた余計に僕を興奮させた。


「あはっ、おまんこ突くの気持ちいい!」

「なあ、もっとちゃんと犯してくれ! このマンコガバガバなんだ!」

「ん……この身体、すぐ射精しちゃう……」

「ぶひょっ! 水泳部マンコきもちいいでしゅぅっ!」


教室のあちこちでセックスに興じる男女の声が上がっている。

声の主とその言動が自分の記憶の中にあるものと全く一致していないのがより一層この状況の異常さを際立たせている。


「ああ、くそっ……ムラムラが収まらねえ。こんなクンニなんかじゃ満足できねえじゃねえか。おいお前、どけ! ちょっとそのチンコ貸せ!」


鷹宮は自分の股間を舐めていた里奈を振り払うと、近くにいた雨宮を突き飛ばして本田のチンコを自分の股間に突き挿した。


「んっ、あぁッ! これだっ、これぇっ!」


鷹宮はそのまま真っ赤な顔で涎を垂らしながら全力で腰を振り始めた。

相手の本田も男の身体の快楽に夢中なのか激しいピストンを繰り返している。


「おっ、おおッ!? やべぇ、こんな、セックス、初めてだ……おお゛ッ、あたま、おかしくなるぅ……」


鷹宮が鷹宮らしからぬ下品な声を上げて喘ぎ始めた。

あんな風に声を上げたら気持ちよさそうだ。

そう思った僕は、下手に我慢せずに声を上げてみた。


「んっ、ああッ! あっ、あっ、んっ、ふうっ、んんっ、んあ゛ッ!」


気持ちいい。

開放的で気分も晴れやかになってくる。

ふと前を見ると『僕』が腰を振り続けていた。

ガリガリの男がカクカクと情けなく腰を振っている。

だが、そんなセックスですら、刈谷さんの身体だというだけで頭がおかしくなるくらいの快感があった。


「イクっ、ぼ、ぼく、かりやさんのからだで、イくぅッ!」


絶頂はすぐそこまで迫っていた。

股間に擦り付けられる『僕』の逸物。

淫らな水音。

異常な周りの光景。

下品に叫ぶ鷹宮の声。

自分の口から響く刈谷さんの喘ぎ声。

全てが僕を興奮させ、快感へと導いていた。

もう、限界だ。


「イクッ、あっ、あッ、イクイクッ、イクゥウゥッ!!?」

「おお゛ッ、あがッ、あ゛ッ、ああ゛あぁあァッ!!?」


僕と鷹宮の喘ぎ声が同時に響き渡ったその瞬間、僕の頭の中で星が飛び散った。

視界の端で白目を剥いてピクピクしている鷹宮が見えたのを最後に、僕の視界は暗転した。

気持ち、良すぎて、もう、なにもわからない……。




────────




「……おい、お前ら、起きろ……!」


微睡みの中にいた僕は、近くで叫ぶ誰かの声で目を覚ました。

瞬きをしながらゆっくりと顔を上げると、全裸の鷹宮が周りに語りかけていた。


「いつまで寝てんだよ、まったく。もういい加減帰りてえんだよ俺は」


ハッとなって起き上がった僕は自分の身体を見た。

きめ細やかな肌、柔らかい胸や尻、細長い指。

どれをとっても刈谷さんのものだった。

よかった、夢じゃない。

周りを見ると、僕と同じように倒れて気を失っていた女子が数人いるようだった。

一方、男子達はスッキリした顔で一列に並んでいる。

恐らく賢者タイムになっているのだろう。

中身は全員女子だが。


「ようやく起きたか。それじゃあ俺は帰るがその前に一つだけ命令させてもらう」


鷹宮は落ちていた服を拾い、身につけながら言葉を続けた。


「俺が教室を出たらお前らは何事もなかったように元の生活に戻れ。ただし、その身体に適した生活にだ。身体に合った性格になって身体に合った行動をしろ。面倒なことが起きないように、人前では絶対に徹底しろよ。もちろん今日のことは口外禁止だ。あ、言っておくがこの命令はお前にも聞いてもらうからな」


鷹宮が僕のことを見据えながら告げた。

なにか強制力のようなものを感じる。

きっとこの命令には僕も逆らえない。

制服を着終えて扉に手をかけた鷹宮は、最後に付け加えるように振り返った。


「ただまあ一人きりのときはその身体をどうしようとお前らの勝手だ。好きにしろ。俺からは以上だ。あばよ」


そう言い残すと、鷹宮は教室から出て行った。




────────




あの里奈という女の子が教室にやってきてから数日が経った。

あの子は失踪者扱いで捜索願が出されていたらしく、警察に保護されて家族の元へと帰ったらしい。

あの子の中身はサッカー部の本田くんだったはずだけど、向こうでも元気にやっているだろうか。


「ギャハハっ! バカだろお前もっと常識で考えろよ!」

「いやだからさー、SNSでそういう噂になっててー」

「やっべ、古文予習してきてねえ! 誰か訳見せて」


私たちの日常はあれからほとんど変わっていない。

あの子が来る前と同じようにみんな教室では朝から元気に喋っている。

変わったことといえば、鷹宮さんが行方不明になったこと、そして、私たちの中身が全員入れ替わってしまったこと。

それぐらいだ。

教室の真ん中で笑っている茶髪ギャルの雨宮さんの中身は熱血野球部の堀くんだし、朝練を終えて汗まみれで教室に入ってきたその堀くんの中身は内気で大人しかった鷹宮さんだし、誰も彼も、元の身体とはかけ離れた身体で生活していた。

でもそれを決して表に出さず、みんな身体に合わせて毎日を過ごしている。

もちろん誰にもそのことを教えたりしない。

なぜなら、それが命令だから。


「ねー、また上尾がこっち見てるよ」

「またかよ、なにか用か?」

「え……? い、いや……な、なんでも、ないよ……エヒっ……」


すると、雨宮さんがある一人の男子の方に目を向けていた。

私はそれを見てすかさず駆け寄った。


「ねえみんな、もうすぐ授業始まるよ。先生来る前に静かにしとかないとまた怒られちゃうんじゃない?」

「あー、一時間目古文の田端じゃん。あいつうるさいんだよねー」

「確かに刈谷さんの言う通りだわ」


私が声をかけると、雨宮さん達は声を小さくしながら自分たちの席へと戻っていく。

それを横目に、私はある一人の男子、上尾くんに小さい声で囁いた。


「……上尾くん、大丈夫?」

「え!? だ、だだ、大丈夫……」

「そう? ならいいけど。上尾くん、困ったことがあったらいつでも私を頼っていいからね」


私はそう伝えると自分の席へと戻った。

明らかに挙動不審だったけど、そんな彼のことを私は愛おしいと思う。

なぜなら彼こそが本当の私『刈谷夏美』で、私の正体は『上尾くん』なのだから。




────────




「ただいまー」


家に帰ると、どうやらお母さんは出かけているようで誰もいなかった。

つまり、今この家の中には私しかいない。

私たちは普段人前では命令によって身体に合った行動を徹底されているけれど、こうして一人になったとき、本当の意味で自由に行動できるようになる。


「そっか。それじゃあ……」


私は自分の部屋に入り、鏡の前に立った。

もう見慣れた、刈谷夏美の身体。

でも何度見ても、私はこの身体に興奮してしまう。


「私……やっぱり『刈谷さん』なんだ……」


私が自分の頬を両手で覆うと、鏡の中の私も恍惚とした表情で自分の頬を触っている。

ああ、本当に堪らない。

私は自分のスカートの中に手を伸ばし、下着の中にそっと指を滑り込ませた。


「んっ……あっ……」


股間の秘部に触れると、それだけで声が漏れてしまう。

あの日の前までこの身体は全然こんなことしていなかったようだけど、今の私になってから毎日のようにしてしまっている。

だって、こんなに魅力的な身体になれたのに、我慢なんてできるわけがない。


「あっ、ここ……気持ちいい……ふふっ、私、すっごくエッチな子に、なっちゃった……」


股間を弄りながら自嘲気味に私は呟いた。

命令によって私は『刈谷夏美』としての性格になっているはずだけど、元の『上尾くん』だった自覚が残っているせいで元の私とは別物になってしまっている。

私が、『刈谷夏美』という存在を歪めてしまったんだ。


「でも、これが、今の私なの……んっ……私が、刈谷、夏美、なの……」


自分の名前を呼ぶだけで幸福感が溢れてくる。

でも、これはきっと私だけじゃない。

こうやって他人の身体になったのはクラスのみんなも同じだ。

きっと、みんなも私と同じように過ごしているはず。

本田くんも、雨宮さんも、堀くんも、寺沢さんも、安藤くんも、そして上尾くんもだ。

学校では普通に過ごして、家で一人なったときはきっと自分の身体を堪能しているに違いない。

上尾くんは今頃どうしているだろうか。

私のことを……元の自分、刈谷夏美の身体を思い出しながらおちんちんをシコシコしてるのかな。

そう考えると益々興奮してしまう。


「あっ、イッちゃいそう……んんッ……!」


身体ビクッと震える。

それと同時に心地よい刺激と幸福感が身体中に広がっていく。

またイッてしまった。

鏡を見ると、顔赤くしてとろんとした表情の私が、股間に手を突っ込みながら足をガクガクと震わせていた。

これが、今の私。

私は嬉しくなって鏡に向かって微笑んだ。


「ただいまー! 夏美ー? 帰ってるのー?」


すると、玄関から声が聞こえてきた。

お母さんが帰ってきたみたいだ。

一人の時間はおしまい。

私はいつも通りの『刈谷夏美』として、部屋を出た。

きっとこれからも、私は同じように生きていくのだろう。

死ぬまでずっと、この身体で。


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