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局部医務室 8話(完) 【破壊描写有り】

「今日もよろしくお願いします、シズハ先生!」  第一試合が始まる一時間前。  出勤した私は白衣を正して先生に頭を下げた。 「うん、今日もよろしくね、ナズちゃん」  用意は既に万全。  いつ患者がきても対応できる。  とはいえ、最終試合がメインイベントなら、  この第一試合は前座のようなもの。  正直言って客の人気がいまひとつの選手や  新人選手が出場することが多い。  それゆえ、本来ならば客席もまばらなのだが… 「けっこうお客さん入ってますね」 「えぇ、第一試合でこの客入りは珍しいわね」  医務室に壁掛けられたモニターには多くの観客が映っている。 「お目当てはやっぱりBコートの試合かしら」 「でしょうね」  Bコート第一試合 「マラオ選手」対「ロナ選手」  ロナ選手はライラ選手とは〝正反対〟と言ってもいい女性選手。  美人で胸が大きいというとこまでは一緒だが、  ライラ選手を〝柔〟とするならばロナ選手は〝剛〟  男性客に対するサービスなどは一切せず、  鍛え抜いた肉体と技術で愚直に戦う姿から〝女戦士〟と呼ばれることも。  素材で言えばライラ選手に劣らぬ魅力を秘めていると思うけど、  本人は色恋などに興味が無いといった態度を取り続けており、  そのせいで客からの人気は低いのだ。  ただし、そんな女戦士が辱めを受ける姿を望む男達も確かにいる。  そこに現れたのが悪名高い〝マラオ選手〟だった。  彼は悪名高いと言っても卑怯な訳ではなく、実力もあり、  その〝戦い方〟から男のファンも多く抱えている。  ならば何故人気のある彼が第一試合に出てくるのか。  理由は〝罰則〟による一時的な格下げ。  マラオ選手は前の試合で〝重大な反則行為〟を犯してしまったのだ。     文字通りに… 「この格闘場の中でも〝性欲ナンバー1〟と言われているマラオ選手だけど、  まさか相手の女性選手に〝挿入〟しちゃうなんて… バカよねぇ」 「そのせいで勝ててた試合が反則負けですもんね、  そんなに我慢が出来ない者なんでしょうか」 「男の性衝動って正常な判断を狂わせるっていうけど、  マラオ選手のはどうみても異常ね」  先週の試合。  相手の女性選手からダウンを奪い、勝利が目前になったその直後、  なんとマラオ選手が相手のユニフォームをひん剥き、  挿入行為に及んでしまったのだ。    性欲が人一倍強く、相手が女性の時はほぼ勃起している彼だが、  まさか〝本番行為〟をするとは誰も思っておらず、客も唖然としていた。  …いや、男性客は身を乗り出しながら凝視していて、  淫らに喘ぐ女性選手の姿に股間を膨らませていたっけ。 「〝生真面目なロナ選手〟対〝性狂者マラオ選手〟  これは客たちが押し寄せるのも納得の対戦カードね」   「はい、女としてはロナ選手に勝って欲しいところですけど」  そう、私と同じ女性の視点ではあの変態に負けて欲しいが、  客席の半数以上を占める男性客達は明らかに期待している様子だった。  あの凛々しく、美しく、強気な女戦士が恥辱に喘ぐ姿を…     ※    第一試合、Bコート試合場。  試合は既に始まり、両者は互いの声が届く距離まで接近していた。 「運が良い、貴様の噂を聞くたびに吐き気がしていたからな、  不快な種をこの手で消し去ることが出来る」  ロナが構えたまま嫌悪を視線を向ける。 「運が良いのはお互い様だ、  こうやって、あの女戦士サマとヤれる機会に恵まれたんだからなぁ」  対するマラオは好色の視線でロナを舐め回していた。  足の先から太もも、秘所、腰回り、胸、そして顔、  二の腕から鎖骨に至るまでをぐるりと目で愉しみ、  一周し終えた頃には既に股間が膨らみつつあった。 「チッ 噂以上のゲスだな」  並の女性ならこの男と対峙しただけで足が竦(すく)むだろう。    「へっ まぁ二試合連続で反則なんてしたら資格剥奪もんだろうし、  そういう意味でもお前は運が良いぜ――」  口を動かしながらもマラオの〝テント〟はじわじわと膨れ上がり、  ロナとの距離も徐々に詰めてきている。 「――今日は裸にひん剥くだけで済ませて貰えるんだからなぁッ!」 「ッ!」 (この男―― 速いッ)  通常、勃起した男は機動力が落ちる。  しかしマラオは速かった。    女性が相手の時はほとんど勃起しているからか――  勃起するほど興奮して身体機能が上がっているのか――  テント内でペニスが擦れるたびに変な脳内麻薬が出ているのか――  とにかくマラオの動きは並の選手を凌駕していたのだ。 「おいおい、逃げてんじゃねーよ女戦士サマ」  トランクス一丁の勃起男が高速で迫ってくる。  それ自体に恐怖を覚えた訳ではないが、   動きが想定以上だったため、ロナは気持ちを整え直す必要があった。 「汚いモノをおっ勃てながら… 私に近寄るなッ!」  一息ついたロナが攻勢に転じた。  狙いは醜悪に膨れ上がった股間。 「へし折れろッ!」 「へっ♪ 女ってのは考えることが一緒だな」  だが、ペニスを狙った鋭い蹴りは容易に躱されてしまう。 「なっ?」  マラオは勃起したまま動き回る事も、  その肥大化した急所を狙われる事にも慣れていた。  変態的な戦い方の中で育まれた経験値は並ではない。  男性がもっとも守るべき箇所に対する防御力が飛び抜けていた。  女性選手にとってこれほど恐ろしい相手もいないだろう。 「へへへ… そぉらッ!」  スピードに乗ったマラオがロナを通り過ぎた――!  観客の目からはそう見えたが、すぐに〝変化〟に気付く。 「き、貴様…」     ロナの道着がはだけている――  今の一瞬でマラオが腰帯をかすめ取ったのだ。 「おぉっ そんな〝いいもの〟持ってんのに隠すなんてもったいねぇ」  客たちが、主に男性たちが沸いた。  いつもは厚手の道着で肌を隠しているだけに、  紺色のインナーに包まれた胸元が見えただけで新鮮に見えたのだ。 「プロなんだから客の期待には応えねーとなぁ…  次は〝下の方〟を頂くぜッ!」  腰帯を場外へと投げ捨て、マラオがゆらりと歩を進める。 「ふんッ この程度で怯(ひる)むと思っているのか?     見たければ見せてやるよ」  弱みを見せたら付け込まれる。  ロナはあくまで強気な姿勢を崩さず、  帯を失った道着の上を投げ捨てた。 「ほほぉ、流石は女戦士サマ、威勢がいいねぇ♪」  肌に吸い付くインナーが胸から腰のラインをくっきりと描き、  滅多に見ることの出来ない〝女戦士〟の艶姿に  男たちの目が吸い寄せられていく。    「たまんねぇなぁ…」  マラオのテントもぴくぴくと悦ぶ。  外見は変わらないが興奮の度合いはさらに昂っていき、  過剰に血液を注がれた男根は鉄のように硬くなったいた。 (こりゃ予定変更だな)  〝服を脱がせるだけで済ませる〟と宣言したマラオだったが、  ロナの引き締まった女体に抑制が外れ始め、  〝最後は顔にぶっかけてやる〟と密かに決意する。  女の武器を巧みに扱うライラが良く相手を射精させるように、  男性選手が試合中に射精してしまっても失格にはならない。  つまり、仮に男性選手が自ら生殖器をシゴき、  相手の女性選手に精子を飛ばしても反則にならないのだ。  実際は飛ばす暇もなく〝折られる〟か〝潰される〟だろうが、  マラオほどの変態となると2秒もあれば射精は可能。 (しっかし、予想以上にいい女だなコイツ…  見ているだけで金玉がパンパンになっていくぜ、  これなら…1秒もあればすぐに出せそうだ)  信じられない事にマラオのスピードがさらに上がっていく。  勃起するほど速度が上がるという非常識な変態を前に、  ロナも下手に動くことが出来なかった。 「くっ」 (まずい、目が追い付かなくなってきた…しかし、  奴は〝下を狙う〟と言っていた、そこさえ注意しておけば…)  ついに冷や汗がロナの頬をつたい始めた、その時。 「うっ!!」  マラオが背後から組み付いてきたのだ。 「悪いな、〝下を狙う〟ってのは嘘だ、  本命は〝こっち〟だぜ」     むにゅぅ♡  後ろから伸びた手がロナの双乳にめり込んでいく。 「はうっ」 (しまった…! こんな単純な嘘に) 「おっほぉ♪ こりゃすげぇ、半端じゃねぇ張りだ」   むにっ♡   にゅむんっ♡ 「こ、この… うっ」  ロナの赤面しながら嫌がる表情がモニターに映ると、  割れんばかりの野太い歓声が上がった。  おそらく、声の主たちの股間は平常時よりも膨らんでいる事だろう。 「へへっ この胸でパイズリしたらさぞ気持ちいいんだろうなぁ」   むに…♡  もみ…♡ 「き、貴様…」 「どうだい、この試合わざと負けてやるから、  〝パイズリで俺に止めを刺す〟って取引しねーか?」   もみ♡  むにゅ♡ 「ん… 面白い提案だが…  それが最後の射精になっても知らんぞ」 「だろーな、アンタならチンポ噛み千切るくらいやってきそうだ、  仕方ねぇ…このままオッパイを丸出しに―― ん!」  と、ここでマラオの手が止まった。  この男が女の胸を揉む手を止めるなど、普通ならあり得ない。  しかし、オッパイを揉むより更に気持ちのいい事あれば、  そちらに意識が向いてしまうのも男の本能。 (こ、こいつ)  マラオが意識を引っ張られたのはペニス。  後ろからロナに密着し、彼女のお尻に押し付けられているペニスだ。  (〝胸〟じゃねぇ…こいつの真価は〝尻〟だ!)    数多の女を襲ってきた変態がそう評価するロナの臀部。  道着の上からだというのに触れているペニスが気持ち良すぎる。  オッパイとは違い、お尻は筋肉とのバランスが重要であり、  鍛錬を重ねた女戦士の尻は図らずとも絶品に仕上がっていたのだ。 「またまた予定変更だな」 「何… お、おい貴様、私の尻に変なモノを押し付けるなッ!」 「へ、へへ…こんな尻にチンポ挟んで射精しない方が失礼だろ」    すり…♡  すりり…♡ 「こ、このッ」 「いいねぇ♪ そんな目で睨まれると余計に…くぅ」  女戦士の見せた嫌悪しながら睨みつける表情。  普段は見せない女の部分が前面に押し出されており、  客席の男たちもマラオに劣らぬほどテントを勃たせていた。 「う、おぉぉ… もう…イクぞ」 「なッ ま、待て」  ロナが何を言おうと、もう止まらない、止まれない。  マラオは股間のテントを更にロナのお尻へとうずめ、  待ちに待った瞬間に身を震わせた。 「お、おおぉぉ……♡」   びゅぷるるるるるるる……!! 「うぅ、く……」  生温かな感触が広がり、ロナも恥ずかしがるように眉をひそめる。  傍(はた)からみれば完全にバック挿入の姿勢であり、  その光景を見た男性客の数割が同時に精を漏らした。 「おぉ… まだまだイクぜ…」   どぴゅるるる… どぷっ 「くっ」  二度目の射精がテントを突き破り、ロナの道着を湿らせる。 「この… 調子に、乗るなぁ!」     激怒したロナが思いっきり踵(かかと)を後ろへ振り上げる。  射精は男にとって最も隙が出来る瞬間。  この反撃を避けることは出来ないはず。  踵は陰嚢に直撃し、一発で変態は崩れ落ちる。  ――そうロナは予測していたが。 「危ねぇなぁ♪」  マラオは身軽にバク宙で回避した。 「な、何だと!」  この男、やはり強い――  そんな弱気がロナの中に沸き上がった。  それでも、連続で射精しておいて疲労の無い男はいない。 「う」  バク宙の着地と同時にたたらを踏んだ。  性欲を優先した代償はやはり大きかったのだ。 「!」  今しかない――!  ロナが体勢不十分の変態へ仕掛ける。 「――へっ この程度、いつもの事ッ!」  マラオが退かずに迎え討った。 「一撃でイかせてやるぜッ!」  沈みかけた体勢を利用し、飛び膝蹴りを放ったのだ。    ただでさえ二人の体重差は大きい。  カウンターで喰らえば、ロナはもう立つことが出来ないだろう。  ロナの身を案じる女性客、股間を膨らませている男性客、  共に息を呑んで二人の衝突に目を向けていた。 「な――」  瞬間、マラオだけがロナの変化に気付く。 「なにぃッ!」  衝突する直前に急ブレーキをかけたのだ。 「貴様が只の変態ではない事は十分思い知った――」    ワンテンポずれた飛び膝蹴りが空を切る。 「――だから、この反撃も想定内だ」  宙に浮いていては自慢のスピードも意味を成さない。 (し、しまったぁッ)  マラオが焦る、  次の一撃は確実に喰らってしまう。  歯を食いしばり、体中の筋肉をこわばらせた。が、 「――ん?」  攻撃が来ない。  飛んだ体は落下し始め、もうすぐ床に足がつく。  このまま着地できればどうにかる、と、マラオが視線を降ろした先、  その先にあったのはロナの硬く尖った膝(ひざ)だった。 「!」 「押し潰してやる」  ロナは最大級の攻撃のため、更にワンテンポ遅らせたのだ。     飛び膝蹴りを空振ったマラオが落下するのを待ち、  相手の体重を利用して〝それ〟を確実に破壊するために。    ―――――――パチュッ!  〝ロナの飛び膝蹴り〟が落ちてきたマラオの股間にめり込んだ瞬間。  鳴ってはいけない音がした。  水風船が破裂してような… 「○×◎▽●△×ッッッ……」  幸いなことは、その音が微小であったため、  女性のロナを除けばマラオしか聞いていた男はいないこと。  最悪なことは…… マラオがもう〝男〟ではなくなっていたことだ。 「貴様に辱められた女たちの怨み、肉欲の元凶をもって償えッ」 「アァ……ァァ……ッ」  みるみる顔面を蒼白にしてゆくマラオ。  ロナが膝を引き抜くと、糸の切れた人形の如く崩れ落ち、  すぐに決着の合図が下された。 「〝不快な種をこの手で消し去る〟と言ったが、  どうやら貴様の〝子種〟を消し去ったのは足の方だな、クク♪」  仰向けに倒れるマラオが微動だにしない。  客たちはそんな敗者の股間に視線を向けていた。 「お、おい、ぴくりともしないが…まさか潰れてるんじゃ…」 「カウンターで膝金蹴りを喰らったんだぞ、間違いなく潰れてるだろ」 「ん? ちょっと待って、何かが股間から垂れてない?」 「失禁かしら…? いえ、もしかして……血?」  衆目の集まるマラオのトランクスから流れ出ているのは〝赤い液体〟  あれだけ股間を強打したのだから血尿が出てもおかしくはないが、  真実はさらに残酷だった。 「早く医務室に運んでやった方がいいぞ、  おそらく、いや、間違いなく陰嚢(いんのう)が破れているからな」  ロナが掛かりの者へとそう言い残し、悠然と去っていく。  後に残ったのは人一倍強い〝性欲そのもの〟を破壊されたマラオ。  白目をむき、雄々しく勃ち上がっていたテントは見る影もなく萎(しお)れ、  更には股間から大量出血という凄惨な姿に、  同じくテントを張っていた男性客もひとり残らず萎縮(いしゅく)していた。      「あら! アンタさっきまでビンビンだったのに随分としぼんだのね♪」 「し、仕方ないだろ、あんな恐怖映像を見せられたんだから」 「フフ…ま、他の男たちも全員〝血の気〟が引いてるみたいだけど♪」 「マラオ選手が〝潰れてる〟と思うと、こっちまで玉が縮み上がるんだよ」 「潰れてるっていうより… 破けてるんじゃないかしら?」 「う…! こ、怖いこと言うなよ」  客のざわつきがおさまらない中、マラオは慎重に担架で運ばれていく。  ※  ロナ選手の膝がマラオ選手の股間を撃ち抜いた直後。  私とシズハ先生は同時に「うわっ」と声を上げた。  マラオ選手と同じく睾丸を下げている男性ならば、  「うわっ」と同情の意味で声を出すだろうが、  私と先生の場合は〝面倒な事になった〟の意味である。  マラオ選手の赤く染まる股間がモニターに映った時、  先生はすぐに陰嚢が破けていることに気付き、  私たちは速やかに患者を受け入れる態勢を整えた。  睾丸の損傷と同じく、陰嚢の裂傷した選手は病院送りにするしかない。  幸い、マラオ選手は意識が途切れたままだったので、  応急処置に手間取る事はなかった。    けど、トランクスを切り取って〝患部〟を見た時は、  また「うわっ」と言ってしまった。  袋が破けていても〝中身〟が無事ならば回復の見込みはあるだろうが、  アレはもう…… 使い物にならないだろう。 「ふ~… なんか第一試合から疲れたわね~」 「はい…私、とうぜん玉とか袋とかありませんけど…  アレは直視できないくらい痛々しかったですね…  〝陰嚢の裂傷〟だけなら見た事ありますが、  さっきのは中の玉まで破壊されてましたし」 「えぇ、私は何度か見たパターンだけど、  アレを見るとしばらく枝豆が食べられなくなるのよねぇ…  今晩のおつまみどうしよ…」 「はは」  潰れた睾丸を見て〝腐った枝豆のようだ〟と言う人もいるらしく、  私もそう思ったのでしばらくは食べれそうにない。 「――ん? ナズちゃんが来てから  〝睾丸の裂傷〟だけってあったっけ?」 「あ」  しまった。  それは前の仕事のことだった。 「もしかしてナズちゃんが前に働いていた病院での事かしら?」  するどい。  いや、普通に考えれば裂傷した陰嚢を見るのは病院くらいしかないか。  まぁ…出来れば隠しておきたかったけど、この人になら話してもいいかな。 「はい、その…私、実は〝剃毛〟中にドジしちゃって…  袋の方を…切っちゃったんです」    「えぇ!」 「で、でもあれは患者さんの方も悪いんですよ、  ほら、剃毛中って…勃っちゃう人とかいるじゃないですか」 「あ、あぁ、いるみたいね、  入院中で溜まってるとか、看護婦さんが好みだったとか、  ナズちゃんくらい可愛かったら勃起率も相当でしょうね」 「そう、ですね… ほとんどの人が大きくしてました、  いえ、いいんですよ、生理現象ですし大きくするだけなら…でも」 「その患者はエッチなコトを強要してきたってわけね」 「……その通りです、私は何度もダメって手を横に振ったんですけど、  偶然、その手が〝伸びていた陰茎〟に当たってしまって」 「もしかして、それだけで射精したの?」 「……はい」 「うわぁ、ワンタッチで暴発とか…よっぽど溜まってたのねぇ」 「しかも、〝飛んだモノ〟が私の顔に直撃したので、  〝いい加減にして下さい〟って剃刀を持った手を振り下ろしたら…」 「タマタマを切り裂いちゃった、っと」 「はい… そのせいでクビになり… ここへと来たわけです」  うぅ、言っているうちに恥ずかしくなってきた。  やっぱり言わなきゃよかったかも。 「フフ♪ 大丈夫よ、それくらいの過去はみんな持っているから」 「へ?」 「ナズちゃんってまだ〝他の医務室〟の人達と会ってないでしょ?」 「え、えぇ、まだお会いしてませんね」 「この〝局部医務室〟以外にも〝頭部〟〝足部〟〝胴体〟とかあるけど、  働いているのは全員女性なのよ」 「え! そうなんですか」    表で問題を起こした人達ってのは聞いていたが、  全員が女性とまでは知らなかった。 「えーと、私の知っているだけで…   セクハラ院長の陰嚢に注射器を刺した人、  毎晩、日替わりで少年患者をつまみ食いしていた人、  男子トイレにカメラを仕掛けてオナニーを盗撮していた人、  ナズちゃんとは逆に剃毛中にわざと患者を勃起させていた人、  医者って男社会だからみんなストレス溜まってたのかもね」 「うわ」  三度目の「うわ」が出た。  選手以上に女医たちも〝何でも有り〟なのかここは。 「ねっ♡ だからナズちゃんくらい、ここじゃ普通よ普通♪」  気遣ってくれるのは嬉しいが、素直に喜んでいいか分からない。  分からない、が。 「そうですね」  少々引いたが気は軽くなった。  そして、この医務室で働き始めてからは、  あまりストレスを感じていない事も実感している。  毎日のように男たちの悲痛な姿を見ているから、かもしれないが。 「あ、そろそろ第二試合が始まるわよ、ナズちゃん」 「はい」  おわり ーーーーー 「あとがき」 潰れた睾丸が〝腐った枝豆〟という表現は実話です。 その昔、格闘技をしている私の友人が試合中の事故で 片方の玉を摘出したのですが、 手術後に見せられた睾丸をそう思ったらしいです。   


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