煌々と灯る暖炉の明かりは、ヒトの想像をはるかに上回る熱気を帯びているようだ。腕の中で身を捩るその小動物の体内も、命を燃やすかのような強烈なほてりと快楽をたたえている。
「うぐ…っぐ…く…」
ちょうど濡れてきたばかりの割れ目に男根を押し込むと、容易に「胎の底」にたどり着く。亀頭に押された内臓の圧迫が肺部にまで到達し、小さな口から漏れる嗚咽はその可憐な外見にそぐわない。
ゆっくりと引き抜くと、愛液がまとわりついてくる。己の肉棒が”何分目まで„膣に侵入したかがわかるように、その舳先に淫靡な目印をつけている。そうだな。だとすれば、次は…もっと奥深くまで……
侯爵はアイスという女の、とりわけ頑丈なところを好んでいた。
性交渉で女を壊したことは無い、というのが、デリンジャー侯爵の密かな自慢であった。豪奢な天蓋の下で、その恵まれた体躯に任せて女に金切り声を上げさせ、逃げ回る四肢をひねって捻挫させて、髪を引っ張ったり噛み付いたり…そのうえ骨の1、2本はご愛嬌、仕舞いには大なり小なり膣が裂けて流れ出る精液に赤みが差したとしても、それが原因で女が壊れたということは無いのだと、心の底から誇らしく思っていた。
しかし、だからこそ侯爵は、それ以外の理由で女が壊れていくことに不服だった。
己が孕ませた女の一部は、精神を病み、断崖にある城の城壁から身を投げた。己が孕ませた女の一部は、初めての出産で体調を崩し、産褥熱で冷たくなった。己が孕ませた女の一部は、何度も孕ませるうちにすり減り、乾燥した落ち葉のように朽ちていった。己が孕ませた女の一部は、女の一部は………
ただその為に全国を旅してまわり、国境をまたぎ、大陸を横断したのだ。雇い主と交渉し本人をスカウトすることもあれば、買ったり奪ったり攫ったり…必死にかき集めた貴重で美しい調度品の数々。そんな一点ものの品々が、真っ逆さまに落ちて岩に当たって砕けたり、入念な「使い込み」によって壊れたり…あるいは「こいつは大丈夫だ」と思っていた矢先に、いつの間にか目の前で崩れ塵となってしまう。城の裏手に年々増えていく女たちの墓標は、生前の面影を思い出すにはあまりにも無機質すぎる。
壊れない女が欲しい。己が覆いかぶさっても潰れない女。何度孕んでも死なない女。己の愛はそれでしか表現できない。
きつく抱きしめることでしか、その深くを抉ることでしか…。
いつの間にか暖炉の火は消えていた。下半身を突き動かすこの灼熱は、未だ消えそうに無いが。
―更新履歴―
2022.08.17 初稿アップロード
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2022-08-18 12:30:48 +0000 UTC