「はぁ…ただでさえ公務で忙しいというのに、あのネズミたちから情報を聞き出すために尋問することになるなんて…」
1日の仕事を終え、地下牢へ向かいながら縄原は嘆息混じりに呟いた。
「な……」
地下牢の扉を開けた縄原は言葉を失った。捕まえたはずの和奏と沙希が縄抜けに成功していたのだ。
「あわわ…見つかっちゃいました……?」
牢の中で苦笑いを浮かべる和奏。
縄原はすぐに落ち着きを取り戻し、沙希たちと対峙した。
「これだから縄の拘束は嫌なのよ。まぁ良いわ、面倒だけどまた縛れば良いだけの話よ」
「縛るのが面倒だなんて…縄原はそんな人じゃないよ!」
沙希は強く言い返す。
「おかしなことを言うのね。私の何を知っているの?」
「全部だよ…“全少女緊縛計画”も、あなたの縄捌きも……」
「なにそのふざけた名前の計画は?」
「やはり…縄原さんもおかしくなってしまったのですね……」
「おかしいのは貴女たちの方よ。勝手に市長室に侵入したことや、黒忍たちを知っていたことを洗いざらい吐いてもらうわよ」
縄原は牢の鍵を開け、沙希たちと向かい合った。
「大人しく捕まる私たちではありません。覚悟してください!」
和奏はクナイを構えて縄原と対峙する。
「はぁ…結果は分かりきっているでしょう?」
「それはやって見ないと分かりませんよ…」
そうして和奏は縄原に向かって駆けていった。
___遅いわ…
「なっ…」
一瞬の交錯。
その刹那、和奏はクナイを奪われ、組み伏せられた。
「言ったでしょ?」
縄原は奪ったクナイを和奏の首筋に当てながら沙希の方を見て続ける。
「そっちの子は?私と戦う?」
「こ、降参します…」
沙希は両手をあげて縄原に告げた。
「そう。賢明ね。」
縄原は再び和奏を拘束するべく、組み伏せたまま、縄抜けした縄を探すためにあたりを見回した。
「縄原…これでしょ……」
沙希は両手をあげながら自身の足元に視線を向けた。
「あら、綺麗にまとめてくれていたの?」
「えっと…あはは…」
少しはにかんだように苦笑いし、沙希は深呼吸して思いって縄原に言葉を投げた。
「わ、私が和奏ちゃんを縛ります。」
「はぁ?なにを言っているの?」
珍しく縄原が困惑していた。
「縄原が和奏ちゃんを縛っている間、私に反撃されちゃうかもしれないよ」
「そんな隙を私が作ると思う?」
「人間、火事場の馬鹿力があるんだよ。もしかしたら縄原もびっくりの超スーパーパワーが出ちゃうかも」
「まぁ良いわ。そこまで言うなら縛ってみなさいな。」
縄原は麻縄の束を沙希に渡し、和奏を立たせた。
「両手は組んだまま動かないで。少しでも動いたら背後からお友達をクナイで刺しちゃうわよ」
「本物の縄原さんならそんなことは言いません。」
和奏は屹然とした態度で縄原に返した。
「ふふ、そんなみっともない姿で強い言葉を吐いても怖くないわよ」
「………みっともないですか」
「ええ、両手を後ろに組んで縛りを待っている。あまりにも滑稽よ」
「これでもまだ思い出しませんか…」
和奏は寂しげに呟いた。
「和奏ちゃん、大丈夫?」
「はいです。ここまでは計画通り…。でもこのままいくと沙希さんが縄原に…。」
「大丈夫!私を誰だと思っていの?縛られマスターの沙希ちゃんだよ。絶対にうまくいくから。」
「頼もしいです…」
和奏は三たび両手を後ろ手に組んで続けた。
「私を縛ってください。」
「あはは、滑稽ね。自分から縛りを乞うなんて、それでもくノ一なのかしら?」
「おや、随分と嬉しそうですね」
「っ…嬉しくなんかないわ。あまりにも滑稽で笑ってしまっただけよ」
「そうですか。では、沙希さんお願いします」
「よしきたっ!」
沙希は親指を立てて和奏に返した。
そして麻縄を整え、和奏に縄をかけていった。
沙希は巧みな手捌きで和奏の手首を縛り上げ、胴体に縄をかけていく。
「ん…」
胸の上側に縄を通した際、和奏は小さく声を漏らした。
「大丈夫?痛かった?」
「いえ、大丈夫です。沙希さんの縄が痛いなんてあり得ないですよ。いつも優しく縛ってくれるのでとても安心します。」
「えへへ、ありがとう〜」
そんな沙希と和奏のやりとりを見ていた縄原は小馬鹿にしたように嘲笑していた。
「優しく縛る?身体を拘束されているのに安心する?意味がわからないわ。もしかしてマゾヒストなのかしら?」
「今の自己中心的な縛りをする縄原さんには理解できないでしょうね。“緊縛”の良さを…!」
「理解できなくて良いわよ。変態の心理なんてね」
「そうですか。沙希さん、続けてください。ギチギチにお願いします」
「まかせて〜」
沙希は意気揚々と和奏の身体を縄で飾りつけていく。
「胸縄もするよ」
胸の上下に縄をかけ、閂を施した後に肩から胸にかけてV字になるように縄を這わせる。これにより和奏の胸が縄によって絞り出された。
「縦に縄を割ることで縄抜けできないようにしているわけね。変態さんにしては考えているのね」
「うぅ…この縛りは少し恥ずかしいのです……」
「和奏ちゃんは大きくて、胸縄が映えて羨ましいよ」
「複雑な気持ちなのです…」
夢の中とはいえ意中の人に見られながら縛られるのは流石に羞恥心が刺激される。まして胸を強調する縛りは下着姿を見られるよりも恥ずかしかった。
上半身を縛り終えた沙希は和奏の腰にも縄を巻いていく。
「腰縄?連行用ってこと?」
困惑する縄原に沙希は得意げな表情を浮かべながら応えた。
「こうするんだよ!」
沙希は和奏の腰縄から出た縄尻を股間に通して思い切り引き絞った。
「あひぃ!?」
麻縄が秘部に食い込み、和奏はだらしない喘ぎ声を漏らした。
「そんなところを縛ったって身体を拘束できないじゃない…何の意味があるのよ……」
「股縄の良さが分からないなんて勿体無い人生だよ」
沙希は得意げに語り、両手を後ろに組んで縄原に背中を見せた。
「さぁ、私も縛って欲しいな。和奏ちゃんみたいにギチギチにして良いからね」
「なんなのよ…この子達……」
縄原は困惑すると同時に、感じたことのない感情が心の底で湧き立っていた。