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ごちそうさまでした。
夜の繁華街、ネオンサインがきらめくビルの一角。
そこは業界関係者だけが出入りを許されたラウンジのVIPルームだった。
レイラはその場に、いつもとは違う緊張感を纏って立っていた。
煌びやかな場所には場違いなカジュアルな格好で来てしまったこともあり、心の中はどこかざわついていた。
——どうして、わたしここに来ちゃったんだろう。
思い返すのは数日前、かつて何かと火花を散らしていた同業のタレント・新城カレンから届いた一通のメッセージだった。
「わたし、ほんとはずっとあなたに謝りたかった。だから……ちょっとだけ、時間をくれない? 来週、沖縄出身のくくりで二人でテレビ番組に出演することだし。仲直りしたいから。」
以前のカレンなら、そんな殊勝な態度をとるはずがなかった。
だからこそ、レイラは少し戸惑ったのだ。
もしかしたら、あの騒動のことを反省しているのかもしれない。変わったのかもしれない。
……一度くらい、信じてみてもいいんじゃないか。そう思ってしまった自分がいた。
もうひとつの理由は、理人のせいだった。
「そんなパーティーには行かない方がいい。新城カレンには怪しげな連中との付き合いの噂がある。」
そう言って、過保護すぎるほど心配する理人。
優しさと知っていても、彼の厳しい言葉に息苦しさを感じたのも確かだった。
だから、レイラはあえて彼に内緒でこの招待を受けた。
ちょっとした反抗心と、自立心の証明のつもりで。
招かれたその部屋は、どこか奇妙な熱気と緊張に満ちていた。
「レイラちゃん、ほんっと綺麗になったねぇ!」
「さすがレラぴ、オーラ違うわ〜」
笑顔と称賛に紛れて、身体のラインをなぞるような視線が突き刺さる。
軽薄な雰囲気に、思わず肩をすくめそうになりながらも、レイラは無理に笑みを作った。
隣の席には、新城カレン。
その横に黒いスーツに浅黒い肌の男。
カレンが紹介する。
「宗像さんよ。映画プロデューサーで、大物なの。レイラにもいい役があるかも」
「……それは光栄です」
微笑みながらも、レイラは体をわずかに引いた。
宗像の目が、値踏みするように彼女を舐めていたからだ。
対面には若手俳優の桜庭陸や、人気グループGENE-Xのリーダー・結城怜央。
他にも名の知れた芸能人たちがグラスを片手に笑い合っている。
テレビでは明るく映る彼らの裏の顔は、どうにも不穏だった。
レイラの表情は笑っていたが、心はざわついていた。
(どうして、わたしここに来ちゃったんだろう…)
「ほら、レイラちゃん。喉渇いたでしょ? これ、美味しいカクテル」
怜央がグラスを差し出してくる。
赤紫色にきらめく液体。甘い香り。
一瞬、口をつけようとしてハッとする。
(……ダメだ。飲んじゃいけない)
あの日の理人の言葉が脳裏に蘇る。
「出された飲み物に口をつけてはいけないよ。」
「え~っ、なんで!?」
「どんなに優しそうに見えても、相手の素性はわからないし、“その一杯”が人生を狂わせることだってある。 ただのお酒ならまだいいけど、ドラッグを入れられてる可能性がある。気を失ったり朦朧としたところを暴行されたり、さらにそれを撮影されてそのビデオをネタに脅迫されるらしい。」
「うそ〜っ、リヒぴょんってば考えすぎ〜!」
「人を信じられるレイラは素敵だよ。でも、オレたちの想像を超えるような悪巧みをする連中がいることも、忘れちゃいけない。」
レイラは笑顔を作って、グラスに口をつけずにテーブルに置いた。
「ごめん、ちょっと……お手洗いに」
そう言って、逃げるように席を立った。
煌びやかなVIPルームを抜けた奥、金色の装飾が施された婦人用化粧室。
高鳴る鼓動を押さえながら中に滑り込む。
(帰ろう。このままじゃ、変な流れになっちゃう)
バッグからスマホを取り出そうとしたそのとき——
「……逃げないでよ」
鏡越しに見えたのは、新城カレンの顔。
普段の気怠い笑顔とは違い、どこか必死で、どこか陰があった。
思わず振り返って質問する。
「どういうこと……?」
「お願い。帰らないで。……わたし、あの人たちに逆らえないの。あなたを連れてこいって言われたの。じゃないと、私の……過去を暴露するって」
その言葉に、レイラの背筋が凍った。
「それって、脅されてるってことじゃない……? 警察に——」
「ムリよ。通じない。裏で繋がってるんだから……!」
言葉を失ったレイラ。理人の言った通りだった。でもそれならカレンは被害者でもある。
「……本当に脅されてるの?」
「うん……。でも、わたしだけが苦しむのって、不公平じゃない? レイラ、あんたって、こういう時に便利だよね。見た目も派手だし、男受けもするし……」
「……は?」
「ごめん。でもね、あんたを差し出せば、わたしは自由になれるの。それだけなのよ。ね、我慢してよ。ちょっとくらい……」
レイラが何か言いかけた、その時。
「おーい、いつまでも隠れてないで出てこいよ~」
ギイッ、とぶしつけにドアが開いた。
姿を現したのは怜央だった。ステージ上の無邪気な笑顔とは違う、どこか粘ついた視線。
「ちょっと、ここ婦人用よ」
レイラが眉を寄せて言う。
「いいじゃん。硬いこと言うなって。てかさ、さっきからずっと気になってたんだよね……レラぴ、マジでヤバいくらいキレイ。ちょっとだけでいいからさ……」
そう言って、怜央はレイラの手首を掴んだ。
その目に浮かぶのは、欲望と支配欲。 カレンが怯えたように一歩引く。
だが、次の瞬間——。
「手ぇ離して。こう見えて、琉球空手の黒帯なんだからね。」
レイラの声は低く、鋭かった。
「え? なにそれ、脅し? 可愛い顔してさ……」
怜央がにやけたその一瞬後。
バシッ!!
電光石火の突きが、彼の頬を打ち抜いた。
華奢な見た目に反して、重心の乗った拳が怜央の顔面を容赦なく撃ち抜いた。
「……ッのやろっ!」
怜央は顔を押さえたまま、怒りに満ちた目でレイラをにらみつけた。鼻筋から滲む血を指先で拭いながら、歪んだ笑みを浮かべる。
「……テメェ、やってくれたな……」
次の瞬間、振り返りざまに声を張り上げる。
「おい、おまえら! ちょっと来い! 手伝え!」
その声に反応するように、廊下の向こうから数人の男たちが、ざわざわと物陰から現れた。派手な髪色、アクセサリー、場違いなほどゴツい体格。まるで最初から仕込まれていたかのように、迷いなく怜央の元へ集まってくる。
「はなしてっ!」レイラが叫び、腕を振りほどこうとするが、男たちの力に引きずられるように、トイレから廊下へと連れ出されてしまう。
強い力で腕をつかまれ身動きが出来ない。
「おとなしくしてろって、ね? ちょっと痛い目見れば、反省もするだろ」
怜央が、ゆっくりと、ねっとりとした声でそう囁きながら、レイラにじりじりとにじり寄る。
その目には欲望の色が濃く宿り、レイラは身をこわばらせ、息を呑んだ。
——そのときだった。
「ガウッ!!」
咆哮とともに、レイラの愛犬・マーロンが勢いよく廊下へ飛び込んできた。
鋭い牙を剥き出しにし、怜央めがけて跳びかかる。そして次の瞬間——
「ぎゃああっ!!」
マーロンは怜央の股間に狙いを定め、容赦なく咬みついた。
怜央が絶叫をあげ、床を転げ回る。レイラは驚愕し、思わず叫んだ。
「マーロン!? どうしてここに……!」
「う、うぐっ……! いてぇぇ! おい、どうにかしろッ!!」
苦悶に顔を歪めながら、怜央が声を張り上げる。
その騒ぎに動揺した男たちは、レイラの腕をつかんでいた手を思わず放した。
レイラは一瞬の隙を突いて身を引き、マーロンの元へ駆け寄る。
「よく来てくれたね、マーロン……!」
その瞳には、忠実な相棒への感謝と、ほんの少しの涙がにじんでいた。
その刹那、どこか遠くで、ブレーカーが落ちたような音が微かに響き、――ビルの照明が落ち、音楽も消え、すべてが止まった。
「なっ……!?」
闇に包まれ、男たちがざわめく。全員の視界が閉ざされ、ほんの一瞬、誰もが身を固くした。
非常灯の赤い光だけがかすかに空間を照らした。
「静かに——」
レイラの耳元に届いた低く優しい声。唇にふわりと指が触れ、誰かが彼女の体をそっと抱き寄せた。
その人に触れられた瞬間、レイラの心が叫んだ。
リヒぴょん——!
カレンも男たちも、突然レイラの姿を視認できなくなっていた。
ハッピーが発生させた遮蔽空間の効果だった。
レイラを抱いた男は、彼女だけに姿を見せていた。
「ここから出よう」
理人のささやきに導かれるまま、レイラは従う。
しばらくして電源が復旧し、音楽の喧騒と共に煌びやかな電飾の輝きがVIPルームとそれに続く廊下に戻ってきた。
しかしそこには、もうレイラの姿はなかった。
「な、なんだよ……」
怜央の声が空しく響く。
薄暗いビルの裏手に、ひっそりと佇む黒塗りのリムジン。
後部ドアが開き、理人の手に導かれて、レイラと続いてマーロンも乗り込んだ。
「おかえりなさいませ。ボス、レイラ様」
運転席から落ち着いた声が響く。
理人はルームミラー越しに短く命じた。
「すぐに出してくれ」
「かしこまりました」
エンジン音を最小限に抑えながら、リムジンは闇の中を滑るように走り出す。
(このリムジンサービスは、ハッピーが密かに買収した企業のひとつ。
名義上のオーナーは理人であり、あらゆる状況に対応できる“移動する安全地帯”だ。)
「リヒぴょん……どうして?」
「あのクラブのオーナーは前から半グレとの繋がりがあるって聞いてたんだ。マネージャーの影山さんから相談されて、何かあったらすぐ駆けつけるように準備してた」
「覚醒剤やドラッグ密売の疑いもあるから警察がこの近くに張り込んで監視してる。ガサが入るのも時間の問題だ。」
「でも……あの連中、裏で警察と通じてるってカレンが言ってたよ。」
「大丈夫。正義派の上層部もいる。オレが信頼できる筋にだけ連絡を回しておいた。今夜がタイミングだったんだ。」
「そんなことまで……準備してたの?」
「オレに先読みの才能があることは知ってるだろ。レイラを守るためなら、どんな手間も惜しまないよ。」
「……リヒぴょん、やっぱりカッコいい」
車内の空調が静かに回り、心地よい風がレイラの乱れた前髪をやさしく撫でる。
理人の隣でようやく肩の力を抜いた彼女は、胸元を押さえるようにして小さく息をついた。
「助けてくれて……ありがとう、リヒぴょん……」
「……ごめんなさい。カレンの誘いなんて、ちゃんと断ればよかった」
「いや、誰かの言葉を信じて受け入れたってことは、それだけレイラが優しい証拠だよ。オレは、そんなレイラが好きなんだ。」
その声はささやきのようで、けれど確かに、胸の奥に染み込んでくる。
その一言に、レイラの瞳が潤み、そっと理人の手を握った。
潤んだ瞳で見上げてくるレイラの目が、どこまでも真っ直ぐで愛おしい。
リムジンの車内には、ほのかに甘い空気が流れ始める。
その様子を前方のシートで察したマーロンが、ふいっと顔をそむけた。
鼻先をくいっと反対側に向け、まるで「はいはい、おふたりの世界ですね」とでも言いたげに、前足で顔を覆ってみせる。
「……あれ、マーロンがすねてる?」
「空気読んでくれてるんじゃない?」と理人が冗談めかして笑うと、レイラもふっと微笑んだ。
マーロンのしっぽがわずかに揺れているのを見て、レイラはそっと頭をなでた。
その瞬間、車窓の外には、夜の街の明かりが静かに流れていった——。
レイラが何か言おうとしたその時——
「……グゥ〜〜ッ」
理人のお腹が、静かな密室に思いのほか元気な音を響かせた。
「……あ」
「ふふっ……リヒぴょんのお腹、めっちゃ鳴ってる〜」
吹き出しながらも、レイラは愛おしそうに彼の腕に頬を寄せた。
まるで、肩の力が抜けたのは彼女だけじゃないと、確かめるように。
「ロマンチックな雰囲気、台無しでゴメン……。今日ずっとバタバタしてて、ご飯食べる時間なかったんだ。レイラのこと助け出して、ホッとしたら……お腹が正直でさ」
「ふふ……かわいい、リヒぴょんって。」
「実は今日、モスに行こうと思ってたんだ。ちょっと寄ってもいい? あ、でも……レイラはセレブだから個室のあるとこじゃないと…テイクアウトじゃ味が落ちるし…」
理人は別の選択肢を考え始めるが、レイラは真剣なまなざしで、けれど微笑みながら答えた。
「ううん。もういいの、そういうの。
誰に見られても、噂になっても……わたし、かまわない。
リヒぴょんと一緒なら、それでいい」
ふわりと車内の照明が彼女の横顔を照らし、まるで映画のワンシーンのように、二人の世界がそこにだけ浮かび上がった。
繁華街から少し離れた、深夜でも明かりの点るモスバーガー店内。
制服姿の女子高生グループがちらちらとこちらを見ていた。
「ねえ、あれ……レラぴじゃない?」
「わっ本物じゃん!となりの人、マネージャー?」
レイラは笑顔で手を振った。
「イエーィ! いつも応援ありがとう!」
女子高生たちがわっと盛り上がる。
「この人はね、マネージャーじゃないの。レイラのダーリン、スパダリなの♪」
「えーっ! マジで!? めっちゃお似合い!」
「じゃ、二人きりでごゆっくり〜!」と帰っていく女子高生たち。
席に着いた二人はモバイルオーダーを始める。
「わたしはベジバーガーのセット。ソイパティが美肌にいいって、管理栄養士さんが言ってた」
「オレは……これ。新作の海老カツバーガーを食べてみたかったんだ。」
しばらくして注文の品が席に運ばれてくる。
理人は、熱々の海老カツバーガーにかぶりついた。衣のサクッとした食感と、内側からあふれる海老のプリプリとした弾力に、思わず目を細める。
「うん、うまい……」
これは、まるで——
理人の頭に、レイラとの夜の記憶がふと蘇る。
ベッドの中で見せる、誰にも見せないほど無防備で甘い表情。
レイラの若くハリのある滑らかな肌に、指先で触れた瞬間の感触。
ビクンビクンッと痙攣しながら何度も絶頂を迎える敏感体質のレイラ。
その肌が高ぶるたびに震え、声を抑えながらも感じてしまう彼女の様子。
「リヒぴょん……もうダメっ、おかしくなっちゃうっ……!!」と耳元でささやいた、震える声。
理人は思わず、口元を拭いながら、レイラの唇をちらりと見る。
「ねえ、そんなに見つめて……どうしたの?」
レイラが不思議そうに首をかしげる。ベジバーガーを両手で持ちながら、あどけなく微笑んでいる。
「いや、なんでもない。ただ……ちょっと、思い出してた」
「なにを?」
「……レイラと愛し合ってる時のこと」
レイラの頬が、ほんのり赤らむ。
「ふふっ……リヒぴょん、そういうの……ズルいよ」
「レイラが可愛いから、仕方ない」
紙ナプキンを手に、理人がそっとレイラの口元についたソースを拭ってやる。
指が唇に触れた瞬間、レイラがピクリと小さく震える。
「……ドキッとした」
「なんで?」
「今すぐ、抱きしめられるかと思った」
「……それは、帰ってからのお楽しみ」
ふたりの間に、熱を含んだ沈黙が流れる。周囲の喧騒が遠くに感じるほど、互いの視線が絡み合っていた。
「リヒぴょんがそばにいてくれるなら、もう何もこわくない。
……ねぇ、ずっと一緒にいて。なにがあっても、わたし……絶対に離れないから」
レイラはそのまま理人の胸に顔をうずめ、囁くように言葉をつづけた。
「……わたしね、リヒぴょんに束縛されたいの。心も体も、全部――リヒぴょんのものになりたい」
理人は静かに、けれど深く頷いた。
「……じゃあ、束縛するよ。優しく、逃がさない。
どこにも行かせない……何年経っても、ずっとそばにいる」
その言葉に、レイラの瞳がふわりとほどける。
唇には安堵と幸福が入り混じった微笑みが浮かんでいた。
ふたりはゆっくりと立ち上がり、並んで車のドアへ向かう。
この先に続く夜が、ふたりだけのものになると知っているから――。
高層タワーマンションの最上階、夜景がきらめく窓辺。
レイラはバルコニー越しに見える星空を眺めながら、肩にかけられたジャケットの温もりを感じていた。
「冷えるだろ。風、強いから……」
背後からそっと声をかけた理人が、レイラの肩に自分の手を添えた。
その手は大きくて、温かくて、震える心まで包んでくれるようだった。
レイラが振り返ると、理人の瞳が、真っすぐに彼女を見つめていた。
「もう大丈夫。怖いことも、不安も、全部オレが受け止めるから」
その声に、レイラの胸が熱くなる。
言葉よりも、目の奥に込められた情熱が、心を震わせた。
ふたりの唇が、ゆっくりと重なる。
最初は静かに、確かめるように——けれど、次第に深く、熱を帯びていく。
理人の腕に抱き寄せられると、レイラはためらうことなく身を委ねた。
唇を離した彼が、そっと囁く。
「レイラ……もうガマンできない」
リビングのソファへと導かれ、レイラは理人の胸元に指を添える。
ジャケットが滑り落ち、彼女の白い肩が露わになると、理人の視線がそこに吸い寄せられた。
「……見ないで、恥ずかしい」
「綺麗すぎて、目を離せない」
囁きとともに触れられる指先は、まるで花びらをなぞるように優しく、時に焦れるような熱を宿していた。
──夜は、長い。
カーテンが閉じられ、街の光が遠ざかっても、ふたりの時間だけが、静かに、確かに、重なっていく。
重ねた指と指、触れ合う肌と肌。
唇を交わしながら、彼女の背にそっと手を回す。
理人の腕の中で、レイラは何度も彼の名を呼んだ。
唇から漏れる吐息は甘く、肌を伝う熱は夜の帳に溶けていく。
「もっと……レイラにちょうだい、……リヒぴょんの、わたしの奥に」
願いは、ただ一つ。
彼の愛の証を中にも外にもマーキングしてほしい。
この身も、心も、すべてを染め上げてほしいと。
まるで花が朝露を吸い上げるように、
レイラは理人の愛を、その奥深くまで受け止めていく。
ふたりを包む空間は、時の流れを忘れさせる夢の揺り籠のようで、どれほどの時間、重なり合ったのか、もはや分からない。
「……リヒぴょんの赤ちゃん、ほしい。」
その囁きに、理人の動きが止まる。
ふたりの視線が交わったその瞬間、言葉のない約束が交わされた。
若く、しなやかな身体が本能に従って命を迎え入れようとする──
それは神聖で、どこまでも甘く、そして美しい儀式のようだった。
夜が明けても、ふたりの時間は終わらない。
繰り返される抱擁のなかで、
レイラは何度も、彼の愛に包まれながら、未来を夢見ていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ストーリーというかシチュエーションは連載時から思いついていたものだが、Hシーンにたどり着くまでの前フリが長いし、Hシーン自体にも特徴がないのでボツにした。
ただこれがあれば本編のセリフにだけ出てきた新城カレンとの決着がつけられそうだな、とは思っていた。
最後強引にモスバーガーのエピソードを付け加えたが、なくても成立する。
今となってはなぜハンバーガーの感想に短編小説を書いているのかわけがわからない。
ドリンクのストローにキーホルダーを通す、というのが推し活の定番写真なのでこれをやってみたかった。
ZekeZombie
2025-05-22 17:52:41 +0000 UTCwaldo
2025-05-22 10:35:20 +0000 UTCAEmi
2025-05-22 05:32:56 +0000 UTC