まずは率直に言わせてほしい。とにかく長い。
観ていて退屈なシーンもあったし、もっとタイトにできるだろ!
人類とAIとの戦い以前に、まず上映時間と膀胱との戦いである。
映画2本分くらいのボリュームはあった。
予算もそれくらいかかってそう。
潜水艦の中の魚雷は物理的に存在感があって、セットにしてもすごいなぁと感心した。
もちろんトム・クルーズは頑張っていた。
スタントすべて本人、62歳にして筋肉もキープ、走る・泳ぐ・飛ぶを全力でやってのける姿には脱帽である。だが、さすがに年齢は隠せない。
スクリーン越しに感じる“老い”の気配に、こちらもなんとなく胸が締めつけられる思いだ。
監督はおなじみクリストファー・マッカリー。ローグ・ネイションから続いてのコンビ(正確には「アウトロー」以降)だが、全体的に散漫でどうにも制御しきれていない感が漂っていた。ガバガバ脚本でアクションとアクションのつなぎにストーリーラインの説明が入る作り。
トムのやりたいアクションありきで全体をまとめなければいけないのはわかる。
だが、それを全部盛り込もうとした結果、またしてもトムの“俺強えぇ”映画になってしまった。たぶん監督も精一杯やったのだろう。でも、なんというか……それでもまとめきれなかった感が残る。
過去作の要素(『1』『3』の引用など)も見られたが、個人的にはそこまで引用しなくても……という気持ちが強かった。後付け設定感が強く、懐かしさより強引さ冗長さが勝ってしまっていた。
さらに以前から問題だと感じていたが、シリーズ中での“キャラ殺し”がやたら軽いこと。前々作のハンリー長官(アレック・ボールドウィン)、前作のイルサ(レベッカ・ファーガソン)、そして今回のルーサーまで、「本当に殺す必要あった?」という死が多すぎる。ジェレミー・レナー演じるブラントの“脚本で殺されそうになったけど本人が拒否”というエピソードは、今となっては正解だったと言える。
前作からの新ヒロインヘイリー・アトウェル。魅力的ではあるが、トムとのケミストリーは感じないし、イルサほどのインパクトはなかったし、あまり“運命の女”感が出ていなかった。
個人的には「俺強えぇ全開」な『2』もトムのビジュアルが絶好調で、ジョン・ウー監督の外連味ある演出と相まって実は好きなのだが、作品的には『ゴースト・プロトコル』や『ローグ・ネイション』のチーム感が一番好みだった。スパイ集団としての機能美があった。
そもそもトム自身がTVシリーズのスパイ大作戦が好きだったから権利を買い取ったIPだったにも関わらず、作品の本質や精神性をないがしろにしている。
トムはなにがなんでも自分が目立ちたいっていう自己顕示欲を抑えて、他の出演者にも花を持たせることができれば、作品としての質は向上しそうなのにな、とは思うが、肥大化しすぎた自我はもはや誰にも(トム本人にも)コントロールできないのかもしれない。
それでもやっぱり『ミッション:インポッシブル』というIPに、ここまでしがみついて、全身全霊をかけて突っ走ってくれたトムには感謝したい。
waldo
2025-05-19 03:55:38 +0000 UTC