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民放キー局のひとつ、帝都テレビのVIPしか入れない専用の特別楽屋前。
理人は、静かにドアをノックした。
応じる声は澄んでいて、艶があった。
「──理人様、来てくれたんですね。」
現れたのは、帝都テレビの若手人気アナウンサー・輝月小夜子。
ネイビーのスーツに身を包み、艶やかなミディアムボブの髪型の彼女は、画面の中以上に、近くで見ると眩しかった。
知的で完璧な笑顔。その内側に隠しきれない柔らかくも爆発的なボリューム。
タイトなスーツの前合わせが、胸の膨らみに引っ張られ、ボタンの隙間からブラウスの白が覗いていた。まるで、生地ごと溢れ出しそうな圧倒的な質量だ。
「挨拶だけでもしておこうかと思って。」
幸田理人は、広告代理店AAA(エンジェル・アド・エージェンシー)の社員として、かつて帝都テレビの局担当業務に従事していた。
現在はそのプロジェクトを後輩に引き継いでいるものの、かの人気アナウンサー・小夜子との親密な関係は、今もなお密やかに続いている。
「残念ですわ。今夜、理人様と過ごせないなんて……」
「オレも残念だ。でも仕方ない。人気No. 1女子アナと言っても、あくまで会社員だからね。」
理人はやわらかく返したが、心のどこかにわだかまりが残る。
今回の会合は、例の“お月見”ではなかった。
“お月見の会”──それは、月の半ばに催されることが多く、輝月小夜子を囲む名目で、有力スポンサーたちが集まる恒例の接待の場である。
だが、今回はその時期を外れている。趣向が異なるのか、それとも何か別の目的があるのか。
「……あまり、いい噂を聞かない方ですけれど、局の上からの指示で……」
小夜子はそう言って、そっと目を伏せた。
その名前は、かねてより業界で裏のスキャンダルが囁かれていた男性大物タレント。
女性タレントに対しての強引な接待や、不穏な噂は一つや二つではない。
「心配しなくても全てうまくいくから、大丈夫だよ。」
安心させるように笑顔で応える理人。
「そうですわね…。それよりも少しだけ中で……お話、いいですか?」
ふたりきり。
密室。
美しい女と、静寂。
その空間だけ、時が止まったようだった。
彼女の指先が、そっと理人の袖を引く。
──ほんの一瞬、唇が触れた。
それは偶然でも礼儀でもなく、求める意志だった。
触れた瞬間、時が緩やかに崩れ落ちていく。彼女の瞳が静かに理人を見つめ、理人もまた、逃れようとせずにその視線を受け止める。唇が再び重なると、今度は確かな意志をもって。
唇と唇が熱を帯び、ゆっくりと形をなぞるように動き出す。
浅く、そして深く。まるで互いの心に触れようとするかのように、優しく、けれど決して曖昧ではない。
微かな吐息が交じり、互いの温度が、鼓動の速さが、すべて唇を通して伝わってくる。彼女の手が理人の胸元をぎゅっと掴む。抑えていた想いが、解けていく。
長く続いたその口づけは、終わりが近づいてもなお、唇は名残惜しげに離れがたく、互いを探し合い、引き寄せ合う。
それは欲望ではなく、信頼と確信に満ちた交歓。言葉よりも深く心を伝える、静かで情熱的な契りだった。
「理人様……もう、ずっと疼いているの。最初にキスした瞬間から……」
これまでの小夜子は、どこか男性に対して心を閉ざしていた。
誰かに深く満たされた経験がないまま、男性に対する不信や嫌悪に近い感情を抱いていたのかもしれない。
けれど、芯の強いフェミニストである一方で、彼女の奥底には──誰よりも強い男に全てを委ね、支配されたいという密かな欲望が潜んでいた。
理人との出会いは、その秘めた願望を静かに、しかし確かに目覚めさせた。
彼によって初めて、心も身体も深く満たされた小夜子は、次第に理人への深い敬意と憧れを抱くようになり──気づけば自然と、その呼び名も「理人様」へと変わっていた。
理人は、小夜子の耳元で、柔らかく囁いた。
「オレもハッピーも興奮してきた。今すぐ小夜子の…を使わせて。」
美貌、知性、爆乳、そして彼女が「チャーム」と名付けたフェロモンは甘い蜜に群がる蜂のように次々と男たちを引き寄せてしまう。
しかし、強力過ぎる異能がゆえに、誰とも結ばれなかった小夜子が、頬を紅潮させて、うなずいた。
「……はい。わたしの…は理人様だけのものです。」
高嶺の華が、ひとりの男にすべてを預ける。
それは、理人だけが許された神秘だった。
乱れる呼吸のなか、言葉では足りない思いが、指先や唇や、肌と肌のあわいに滲んでいく。ひとつに溶け合ったその心と身体は、ただ静かに、けれど確かに、永遠の瞬間を刻んでいた。
乱れた髪、火照った肌、伏せた睫毛の奥から潤んだ瞳が彼を見つめている。
「まだ……終わりじゃないよ。」
理人の囁きに、小夜子は恥じらいを纏いながらも、静かに頷いた。
そして時は静かに、しかし濃密に流れる。
幾度となく交わされた体温と眼差し。
重ねられたぬくもりは、ふたりだけの世界を築いていった。
───
すべてが終わったあと、理人はテレビ局をあとにし、帝都テレビ近くにある、クア・アイナのカウンターに腰を落ち着けた。
店内は落ち着いた木の質感に包まれていて、チェーン店とは思えぬ高級感が漂う。
小夜子はこれから、帝都テレビのプライムタイム枠を飾る生放送「ニュース・エクリプス」の本番を迎える。
つい先ほどまで、理人の腕の中で熱を帯びていたはずの彼女は、今ごろ鏡の前で静かに乱れた髪とメイクを整え、あの知的で凛とした表情を取り戻していることだろう。
けれど、どれほど涼やかな顔でカメラの前に立とうとも、彼女の子宮の奥深くには、今も理人のぬくもりが静かに残っている。
――誰もが手の届かぬ存在だと憧れる高嶺の花を、彼は誰よりも近くで知っている。
彼女が理人だけに見せる姿があるという事実が、理人に言葉にできないほどの充足感と、胸の奥を満たす優越感をもたらしていた。
目の前に置かれたのは、「トリュフアイオリエッグバーガー」。
半熟のフライドエッグに、とろけるチーズ、そして芳醇なトリュフアイオリソースがこってりと絡んでいる。
──高級でクラフト感のある香り。
マッシュルームとサマートリュフのコク。
しっかりと焼かれたパティから滴る肉汁。
かぶりついた瞬間、口いっぱいに濃厚な香りが広がった。
──まるで、小夜子そのものだった。
ひと口ごとに、思い出す。
彼女の肌のなめらかさ、香り、言葉のひとつひとつ。
理性を溶かすほどの濃密な官能の余韻。
あの時間が、トリュフのように何層にも重なり、じわじわと残る。
そのとき、スマホが震えた。
画面に、小夜子からのメッセージが浮かぶ。
「会食、急にキャンセルになりました。……今夜、まだ理人様に会えますか?」
理人の唇に、自然と笑みが浮かぶ。
脳内に、霊体・ハッピーの思念が響く。
《うまくいったようだな。》
『ああ、ハッピーのおかげで事前に大物タレントが地方のロケ先で起こした"口止め案件"の情報を掴んでいてよかった。』
こちらも心の中で応える。
取得した証拠の一部は、今日テレビ局を出る直前に、週刊誌の信頼できる記者に匿名で提供済みだ。すでにその話題はネットを駆け巡っている。
──局の上層部が慌てて"会食"の中止を決定するのは、時間の問題だった。
『さっきの楽屋での行為はあわただしかったから、今夜はたっぷり時間をかけて可愛がってやりたいところだが…小夜子の「チャーム」を中和するためにはハッピーの助けが必要だ。』
《フフッ。望むところだ。サヨコが発する悦楽の波動は極上だからな。》
理人はもう一度トリュフの香りを深く吸い込んだ。
再び熱が灯る身体を感じながら、夜の扉が、音もなく開いていくのを想像していた。
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これは本編でもありえたかもしれないエピソード。
しかし、食べるシーンに女性キャラがいないと、食べ物との関連性が薄まるので、そのシーンはなくても成立してしまう。
無理やりなタイアップのようであまりよくない。もちろんそんなタイアップはないが。
ちなみにもうすぐ終売になる松屋のチーズバーガー丼でなにか妄想できるか考えてみているが、あまりセクシャルなムードに結びつかない。
「野原ひろし 昼メシの流儀」みたいな感じならいいのだろうが。
食欲と性欲はどこか似ているような感じもあるが、並列させて描写するのは違うなーと思っている。
たまにAVで食事中にもセックスするシーンがあるが、まさに食い合わせが悪いように感じるからだ。
普通の和朝食ではやっぱり感じが出ない。洋食もダメ。
ハンバーガーはギリ…なしか?
キスすることを考えるとちゃんと歯磨きしたいし、相手にもしてほしい。
でも、前戯としての食事であれば、シャンパンとイチゴはあり。
あるいは生クリームたっぷりのスイーツのお口アーンからのH展開なら許せなくもない。
AEmi
2025-05-02 06:45:10 +0000 UTCwaldo
2025-05-02 06:31:37 +0000 UTC