公開から1週間が経ち、評判も上々。劇場はほぼ満席。
そこそこハードルが上がった状態での鑑賞になったが、坂本裕二脚本ということで期待度は高かった。坂本作品はすべて観ているわけではないが、『カルテット』『大豆田とわ子』『花束みたいな恋をした』は面白く観たし、今回もあの独特な会話劇を楽しみにしていた。
監督は塚原あゆ子。このところ立て続けに作品が公開され、どれも好評だ。職人的な手堅さを感じるが、まだ「これぞ塚原演出!」みたいな作家性まではつかみきれていない。ただ、坂本×塚原の組み合わせはなかなか強力。どう転がるのか楽しみではあった。
で、実際どうだったかというと――。
SNSで語られ尽くしているような感想は省略するが、結論から言えば、タイムリープものではあるが、驚きの展開や劇的な感動を狙うタイプではなく、静かに心に沁みるような作品だった。大きなカタルシスよりも、じんわりとした余韻が残るタイプというか。
伝えたいメッセージは伝わったし、ああいうエンディングにした意図も理解できる。
…のだが!
個人的には、ベタでもいいからハッピーエンドで大団円、みたいな展開が好きなので、「過去を改変して未来も幸せになりました!」的な王道ルートを見たかった。『恋はデ・ジャブ』みたいなやつ。そうすると安っぽくなるのはわかるけど、そういう快感も捨てがたい。
話を戻すと、『ファーストキス』は派手さこそないが、しっかりと感情を揺さぶる作品だった。坂本裕二らしい言葉の巧みさ、そして役者の繊細な演技が光る映画。タイムリープもの特有の「大仕掛け」を期待すると肩透かしを食らうかもしれないが、しっとりとした余韻を味わいたい人には刺さる一本だと思う。
ここからは、ちょっと頭の悪い妄想を。
成年マンガ的な視点で考えるなら、美熟女になった妻がタイムスリップしてきて、若かりし夫を誘惑するパターンは(この映画の前半もまさにそうだったわけだが)女性が35歳くらいの設定なら「プライベート・レッスン」みたいに、童貞の主人公にいろいろ教えつつ、未来の自分たちを幸せな初体験に導く――なんて展開だったら夢がある。
逆に、未来から過去に飛ばされるのが男のパターンの場合、主人公が結婚前の「将来の妻」に出会い、もう一度彼女に恋をする、というのもドラマチックでいい。
現代のギスギスした夫婦関係に疲れた男が、昔の彼女のキラキラした姿を見て、「ああ、俺はこんなにも彼女を愛していたんだ」と再確認して、未来の妻の処女をいただく、みたいな。
成年マンガには、すでに関係ができているパートナーと「初めて」の気持ちで関係を持つ、というシチュエーションがある。タイムスリップを絡めることで、妻との出会いを「運命」として再確認し、現在の冷え切った関係を修復する……そんな展開は、すごくエモいかもしれない。
waldo
2025-02-16 06:06:14 +0000 UTC