生活費を切り詰めて研究費用を捻出していた初期とは違い、有難い事に支援者が増えてきている。最近では住民三人と二匹(02の飼い猫)でそれなりの生活が送れている。研究の拡大が視野に入っている中、当施設(というか僕)は一つの大きな問題を抱えていた。 やる事が多すぎる。 研究に加えて住民達のケア、経理等の事務仕事。これら全てを1人で補っていては、近いうちに確実に過労でおかしくなるだろう。早急に人員の確保が迫られる中で、今回採用したのがこの住民番号04だ。 彼女はこれまでの住民と違い、「くすぐられる事」が仕事ではない。住民のケアや家事、事務を担当してもらう。これで僕は研究に没頭できるというわけだ。 04は189cmという巨体を活かし、施設のあらゆるところを掃除してくれる。よく頭をぶつけているが。趣味がコスプレらしく、見るたびに衣装が変わっているのも面白い。 僕にとって嬉しい誤算だったのは彼女の特技が「くすぐり」であったという点だ。 元保育士という経歴から子どもと関わる機会が多く、その中で「くすぐり」は有力なコミュニケーションの一つであったという。本人もくすぐる事は好きらしく、研究くすぐる側として参加してもらうのも良いかもしれない。 施設において違反行為を働いた者には、「こちょこちょ警察」である彼女のお仕置きくすぐりが待っている、というのが施設の“おきまり”になった。まぁ主に違反行為を働くのは03くらいのものだが。 住民になるにあたり、感度チェックを一応行ったのだが、これがまぁすこぶる弱い。グラフを突き抜ける程の感度を持つ部位が二つもあるというのには驚いた。チェックを受けて本人は「自分があんなにこちょこちょに弱いとは思わなかったわ〜…すっごく恥ずかしいし…」とのことだ。くすぐる側の人間が実は誰よりもくすぐりに弱いとは、なんというか…いいなぁと思った。 記録を公開しても良かったのだが、本人の強い(物理的にも)静止を受けて、今回は感度グラフの公開だけにした。そもそも彼女はくすぐり被験者としての採用ではないし、感度データも役立つ事などないはずだ。 ともかく彼女を採用したことにより、我々の生活が豊かになったのは間違いない。この報告書を作成している間にも、コーヒーのおかわりが絶え間なく供給される。今後の研究にも力が入るというものだ。