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大人しくしていられるわけがない

「大人しくしててね」 ドア越しにそう聞こえた。 衣服の殆どを剥ぎ取り両腕を拘束した者たちの立ち去る足音が確実に聞こえなくなってから、少女は薄暗い部屋を見渡し目を凝らした。 ドアノブのついてない扉をどう開けるのかはとりあえず置いておいて、まず両腕の指先から肘の上までをすっぽり覆ってる革製の拘束器具、これを取り去らなければ少女が助かる方法は万に一つもないだろう。 少女は必死に狭い部屋を探し回るが、そこらに散らばる使用済みコンドームやベッドの鮮血、その視界には恐怖を煽るものばかりが映り込んで来る。 「あぁ……」 ひとしきり部屋を探した少女から嗚咽の様な噛み殺した悲鳴が漏れコンクリートに反射した、脱出の糸口、希望はどんどん見出せなくなっていく。 しかし大人しくしていることなどできはずがない、何としてもここから逃げたい少女の意思はこれ以上ない負の感情でどんどん高まっていく。 「うぅっ……くぅ……」 今度は呻き声が静寂を切り裂いた、少女が自力で拘束具を外そうと両腕に力を込めたのだ。 「んんぅ……」 呻き声と共にクゥッ…ギュゥウッと革と皮膚が擦れる音が響いた。 少女は革袋の中で必死に両腕を暴れさせるが当然の拘束具には何の変化もない、 肘を革袋から出す事ができれば腕を引き抜く事ができそうだが、肘まで覆う革袋は肩から脇の下にかけて襷状にかかる二本のベルトによってしっかり固定されており、袋は上下に動かせない、さらに厄介なことに肘にもベルトがつけられていて片腕づつ独立して動かすことは不可能になっていた。 「んっ……はぁ……はぁ……くぅぅっあぁっ……」 少女は必要に肩を動かしてもがき始めた肩のベルトを外さなければ肘を抜くことはできないと気づいたからだ、それに肩をぐりぐりと動かせば僅かにベルトがズレるのを肌に感じた。 「(このままもがき続ければそのうち)」 「ふっ…っ…………く……むっ……」 肩をすくませたり片方だけをぐりぐり回したり、懸命に動く肩の動きに合わせて少女の身体もくねり出す。 「むぅ……くぅぅ…………くそ……」 大粒の汗が彼女の真っ白な肌を伝っていく、瞳からも雫が押し出さた。 「んん……くぅ……あぁ……」 ……………………………………………………… …………………………………………… ………………………………… ……………………… ………… 少女は血の滲むベットに腰掛け荒れた呼吸を整えていた、未だ彼女を捉えた者たちは 帰ってこない。涙と汗でぐちゃぐちゃになっている少女の表情には一切の希望は感じとれなかった。 しかし大人しくしていられるわけがない、少女を捕らえた者に真の絶望を味合わされるその時まで、薄暗い部屋のなか少女はもがき続ける。

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