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縄抜けって言われても……【文章のみ】

何で言ってしまったのか、その瞬間は今すぐ死にたいくらいだったが、私のイカれた願いを彼女は受け入れてくれたのだ。 紬(つむぎ)とは中学からの付き合いだ、部活が同じで帰りの電車も同じだった為自然と仲良くなった。高校は別々になり会う頻度はめっきり減ったが、それでも連絡を取り合い時々一緒に遊んでいる。今日は私の誕生日とうい事もあり久しぶりに彼女を家に招きささやかなお祝いとお互い積もる話に花を咲かせていた。 「紬を縛らせてもらえないかな」 誕生日のお祝いに何かして欲しいことはないかとかそんな話をしてたと思う、自分で言っておきながら何が起こったのか一瞬分からなかった。 中学2年くらいからか、縛られた女の子を見るとどうしようもなく心が騒めくようになっていた、ドラマやアニメなどで女の子が誘拐されたりして縛られるシーンが流れる時は動揺を悟られない様にするのにいつも必死だった。 紬に相談しようと考えた事もあったが、これは誰にも言ってはいけない事の様に思えて、密かに胸にしまったまま中学を卒業した。 高校生になる頃にはその騒めきが性的な興奮だということに気づき、自分の趣味が人と違う事を自覚した、だからこの秘密は墓場まで持って行くと決めたはずだった。 それが何を思ったのか親友の紬を縛らせて欲しいなどと今私は最重要機密を口走ってしまっている。 「縛る?どういうこと?」 ここで紬が「なんて?」と聞き返してくれれば即座に話を逸らす事もできただろうが、その返答は明らかに私の言葉の意味を聞き取ってのものだった。 「(私、何を言ってるの)」 身体中に熱が込み上げてくる、私は咄嗟に顔を伏せ黙り込んだ。今からでも冗談だと訂正するべきだろうか、しかし私は自分の本心に気づいてもいた。 私が縛られた女の子に興奮を覚える様になるきっかけを作ったのは多分紬なのだ。部室で他の子達と喋っている時ちょっとした罰ゲームとして紬がハチマキで縛られたことがあった。 今思えばドラマやアニメなどの拘束シーンを見るたびにあの時の紬の事を思い出していたと思う、それは紬が可愛い女の子だからだと思っていたが「縛らせてほしい」などと口走った今はっきりと自覚した。 私にとって紬こそ原点にして理想の女の子なのだ。 何かして欲しいことはないか、なんて聞かれたから欲望が溢れてしまったのだ。 ならばいっそ曝け出してお願いしてみようか、こんな事を言えるチャンスなんてもう二度と巡ってこないかもしれないのだから。 「あぁ、えっと、その……き…緊縛って言うやつ?……ちょっと興味あって……」 いっそ振り切ってハキハキ喋るつもりだったが、体は言うことを聞いてくれず、目を泳がせ言葉を詰まらせながら私は何とか自分の思いを伝えた。 紬は黙って私を見つめていた、静寂が私達を包み込み、私の騒がしい頭の中も冷やされて行く。 「(やっぱり言わない方が良かったかな……)」 押し寄せる後悔の念に押し潰されそうだ。 私が沈黙に耐えられずいっそ部屋を飛び出してしまおうかと思った刹那、 「ふーん、あかりがそんな変態さんだったとわねー」 紬は照れて真っ赤になっているであろう私の顔を揶揄う様に覗き込んできた。 どうやら嫌われてしまうという最悪の事態にはならなそうだ、私は恥ずかしさに視線を逸らしつつも内心ホッと胸を撫で下ろした。 「いいよ……」 予想外の言葉に私は固まってしまった。 「ほ…本当に?」 「うん、今日だけ特別だよ」 私は紬の体を見渡した、その身体に縄が食い込んでいく姿が脳裏を駆け巡り心臓は強く脈打ち始める。 「それで、何すればいいの?」 「あ、ちょっと待ってて」 私は洋服タンスの中から密かに購入していた縄束を取り出した。 「うわぁ、これで縛るの?何か艶々してるね」 紬は初めて見る本格的な麻縄に興味津々と言った様子で縄束を手に取って眺めた。 「それじゃあ後ろに手を組んでもらって良いかな」 「分かった、はいどーぞ」 紬は縄束を私に返すとくるりと背を向け腰の辺りで手首を重ねた。 半袖のセーラー服から伸びる透き通った細腕、私がそっと握ると身を任せる様に力を抜いてくれた、今からこの弱々しい身体に縄を食い込ませるのだと思うと背徳感が凄い。 私は縄束を解すと重ねられた紬の両腕を肘が90度になるくらい高く押し上げた。 「結構窮屈だね」 「大丈夫、痛かったら言ってね」 紬に緊張した様子はなく背中越しに聞こえる声はむしろ楽しげに聞こえた。 手首を縛り終えたら緊縛の花とも言える胸縄を施して行く、胸の上下に四本ずつ縄を巻きつけ閂と呼ばれる止めを体と腕の間に通して適度に引き絞っていく。 標準的なサイズと言える紬の胸は縄によって強調され、数段その存在の主張を強めていた。 縛り方の動画を見たことがあるだけだったが、結構しっかりと両腕を拘束できたと思う。 「本格的だね」 「う、うん……次足縛ってもいいかな」 「ちょっとドキドキするね」 「そうだね……」 私はずっとドキドキしっぱなしな訳だが、身体を拘束されることへの興奮が紬にも多少はあるのだろうか。その気持ちを持ってくれる事は私の望むことなのだろうか、私は分からずただ目の前の女の子の自由を奪うことに集中した。 「できたよ」 「おー、これが緊縛かー」 今回紬に施した縛りは高手小手縛りという基本的な縛り方だ、手首を高い位置で組ませて縛り、その縄が抜けない様に胸の上下にも縄を巻いて二の腕の動きも固定する、さらに足首と膝下にも縄を巻きつけた。 紬は少し頬を赤らめつつも、初めての緊縛を楽しむ様に、少し身を捩ったり揺すったりして縄の拘束感を楽しんでいる様だった。 「それで、これからどうするの?」 「えっ?」 「縛って終わりなの?」 正直そこまで考えてなかった、縛られた紬の姿はそれだけで十分魅力的でいつまでも眺めていられる光景だったし、すぐに解くつもりだった。 「何か、してもいいの?」 「んー、おっぱい揉むくらいなら良いよ」 意外だった、紬の願ってもない申し出を受けても私は昂らなかったのだ、どうやら私の欲望は私の思っている以上にアブノーマルなものなのかもしれない。 「それじゃあ……」 紬にして欲しいこと、それは胸を触る様な直接的な事ではなく、縛られているからこそできる様な事がいい。 「縄抜け……」 「へっ?」 「縄抜けに挑戦して欲しい……」 「せっかく縛ったのに?」 「うん……」 「縄抜けって言っても、これ抜けられる気がしないんだけど」 紬は自身の拘束具合を確認する様に身を捩らせた。 その姿を見て私の心臓は急激に跳ね上がっていた、これが私の求めていたものだったのだ、私は縛られた女の子がもがく姿を眺めたいのだ。 「それでも、やってほしい」 「分かった、抜けられないかもしれないけど、やるからには本気でやってみるよ」 「ありがとう……」 さっとした沈黙が流れ、紬は視線を私から縛られた身体に落とすと何か突破口を探す様にモゾモゾと身をくねらせ始めた。 「やっぱり全然抜けられる気がしないよ」 手首付近で束ねられた前腕を抜き去ろうとぐいぐい力を込めているが胸縄に遮られ全く抜ける気配がない。 紬はやっぱり無理だと言わんばかりに私に視線を送ってきたが、私は無視してじーっと紬を眺め続けた。紬に縄抜けして欲しいわけではない、現在進行形で私の願いは叶っているのだ。 ろくに動けない紬は私に解いてもらわない限りどうすることもできない。一向に縄を解こうとしない私を見て紬は自力で縄を解くため本格的に動き始めた。 今度は姿勢を変えたり、身体を捩らせたやしながらもう一度手首を抜き去ろうともがく。しかしいくら姿勢を変えてもがいても、胸縄はぴったりと紬の身体に張り付いたまま手首の縄抜けを阻害していた。 緩まぬ縄目に紬はより強く両腕に力を込めてぐいぐいと縄を引っ張る様にもがき始める。 縄がキシキシと乾いた音を立てて軋んだ。 「んっ……」 力んで縄を軋ませた際か細い呻き声が響いた。 「あはは、解けないね」 紬はさっきよりも頬を紅潮させつつも笑顔を覗かせていた、動けないことやもがくことの恥ずかしさはありつつも心底嫌になったわけではない様だ。 それなら私はもっと紬がもがいている姿を見たい。 「まずは胸縄を外さなきゃ行けないんじゃない」 「胸縄ってこれのこと?」 紬は肩をすくませて、胸縄を動かしてみせた。 「んー……」 肩を上下に左右にぐりぐりと動かしてみるが、胸縄は紬の動きに合わせて僅かに形を変えるだけで、はらりと解けたり、擦れ上がっていく様な感じはなかった。 「ダメ、外せないよ」 弱音を吐きつつも紬は胸縄を外そうともがき続けた。 「この……くっ……」 段々とその表情は真剣なものに変わっていき、私の事など目に入ってないかの様に必死に身を捩らせ始める。 「んっ……むぅ……」 ギチッ…………ギチッ…… 大きく身を捩る度に背中で複雑に絡み合った縄目が擦れ軋んだ。 「ふっ…………くっ……」 縄を緩めようとする様に力任せにぐいぐいともがくが、縄は全く緩む気配も胸縄などが外れる気配もなかった、それでも紬は意地になったように、懸命に身を捩る。 呻き声や縄の軋む音、肩をすくめたり胸を逸らしたりする度に見え方を変える身体のラインはやたらと艶かしく映った。 「んっ……んんっ……」 「くぅ……つっ……」 「はぁ…はぁ…はぁ………」 必死に身をくねらせて縄に抗い続けていた紬だったが、とうとう息を切らし首を項垂れた、額には汗の玉が浮かんでいる。 「…………」 ギリっと歯軋りが聞こえたかと思うと、紬は最後の力を振り絞らんばかりに思い切りもがき始めた。 「んぐっ…………ふっぅ……くぅう……」 最後にぐぐっと力一杯縄を軋ませると、紬は久しぶりに私の方を見た。 「無理、ギブアップ」 「あ、うんごめん」 私は慌てて紬の縄を解きにかかった。 ……………………………………………………………… ………………………………………………………… …………………………………………………… ……………………………………………… ………………………………………… …………………………………… 「今日はありがとう、もうこんな事しないから」 「いいって、私もちょっと楽しかったから……じゃあまたね」 「まさか、あかりも緊縛が好きだったなんて…………また縛ってもらおうかな……なんて……」


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