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ケイドロ

私の学校ではちょっと特殊なケイドロが流行っていた、基本的には普通のケイドロだが捕まった人は縄で縛られてしまうのだ、そして縛られた人は縄抜けするか誰かに解いてもらわないと解放されない。 私は足が遅いので、せめて捕まえた子が逃げられない様にネットで人の縛り方を学び実践した、結果私の縛りから抜け出せる人はいなくなった。 しかしそうなると私が警察をやるのをみんな嫌がる様になり、私は泥棒ばかりやらされる様になっていった。 そんなある日…… 基本的に子供しか居ない公園に女子高生のお姉さんが居た、その日は友達の集まりが悪かったが、お姉さんが参加すしてくれるという事で今日もケイドロをする事になった。 私はその日ばかりは警察役を強く志望した、自分が身につけた縛りがお姉さんにも通用するのかどうしても試して見たかったのだ。 みんな私が警察役をやる事にすぐ反対してきたが、女子高生のお姉さんは簡単な縛りではすぐに縄抜けしてしまいそうだからと食い下がり、お姉さんが捕まった時だけ私が縛るという事でみんな納得してくれた。 程なくしてケイドロが始まった、私は迷わずお姉さんを追いかけた、お姉さんは手加減してくれているのかある程度追いかけているとわざと捕まってくれた。 「捕まっちゃったー」と長い黒髪を靡かせ、えへへという感じで笑うお姉さんは同性の私から見ても可愛いかった。 私は公園の隅にひっそりとある鉄棒のすぐそばのベンチにお姉さんを座らせると両手を後ろに組むよう促した。お姉さんは少し?が浮かぶ様な表情をみせるも素直に両手を差し出した、私は素早くその手を掴むと一気に縄を巻きつける。 お姉さんはびっくりした様子だったが、子供相手ではやりずらいのか、あまり抵抗してこなかった。それでも胸の上下に縄を通し圧迫し始めると「まだ縛るの?」「もういいんじゃない?」と話しかけてくる様になった。私は中途半端な縛りでお姉さんに逃げられたくなかったので、後少しだからと言って取り合わなかった。 そしてお姉さんへの縛りは完了した、ネットで覚えた高手小手縛りという縛り方だ。 お姉さんは妙に落ち着かない様子で、キョロキョロと周りを見渡していた。 私はお姉さんがその場から動けぬよに、背中から伸びる縄尻を鉄棒に跨がせてから背中に結びつけると、縄抜けしたら逃げられる事を伝えてその場を離れ、お姉さんが縄抜けできるかを確認する為こっそりとベンチに戻ってきた。 お姉さんは早速縄抜けを始めていた。 「んっ…っ……ン…………くっ……」 グイッと胸を逸らした。 「くぅ……っ……ん……」 さすが高校生小学生とは力が違うお姉さんがぐいぐい力を込める度に絡まり合った縄は今までにないほどギシギシと軋んだ音を立てた。 「んっ……むっ……」 同時に細い呻き声も漏れる、お姉さんは私にわざと捕まってくれた時とはまるで違い、本気で縄抜けしようと身を捩らせている様だった。何度も何度も力を込める二の腕から波が伝わる様に身体が歪み、縄が食い込む。しかし縄は全く緩む事はなかった。 「はぁ…はぁ……はぁ…………んっ…くぅ……」 解けぬ縄目に視線を落とし一息つくと再びギュッと身を捩らせ力を込める。 「むぅ………はぁ…はぁ……んぅ……」 右に捩った身体を今度は左に捩らせる。 「くぅ……ぃっ…んっ……」 肩を上下に動かしたり回したりして身をくねらせる、時には体重をかけて鉄棒に跨る縄を引っ張ったり、指先で縄目を引っ掻いたりと、お姉さんは必死にもがいていた。 「ふっ…………ン……っ……くっ……」 ワイシャツは寄れ汗の玉が首筋を伝っていく、縄は軋み肩の動きに合わせて僅かに形を変えた、手持ち無沙汰な両足が時々地面を蹴っている。 「んぅ…………っ……むっ……くっ……」 大人の力に任せて縄にぐいぐい圧力をかけ、とにかく身を捩らせる。しかし縄は一向に解けない、緩む気配もない。 「はぁ…はぁ………んっ……」 「はっ!」 どれくらいこうしていたのか、気がついたら私はお姉さんに見入ってしまっていた、走ってないはずなのに心臓がやたらと早く脈打つ。いつもやっている事のはずなにお姉さんのもがく姿を見る事は何かとても罪深い事のように思えた。 それでも私は目が離せなかった、たまらずお姉さんの正面に移動した、もっとしっかりとお姉さんを観察したいと思ったのだ。 「えっ…あ……い、居たんだ……」 私に気づいたお姉さんは何故か顔を真っ赤にしながら、同時にかなり焦っている様子だった。 「見てた……?」 その質問の意味を私は恐らく理解しているが「何を?」っととぼけて見せた。お姉さんも「あははっ……」と笑っただけで、はっきりと言おうとはしなかった。 「みんな帰っちゃったみたいだし、この縄解いて」 どうやら私がお姉さんに夢中になっている間にケイドロは流れ解散になっていた様で、公園は私とお姉さんだけになっていた。 私は縄を解こうとお姉さんの背中に回り縄目に指をかけるが、何故かそこで手が止まった。今日は縄を解くのがとても名残惜しく感じられたのだ。 女子高生のお姉さんを縛るなんて状況はきっと生涯訪れないに違いない、だから私はもう一度縄抜けに挑戦してほしいとお願いした、 「それは……」とお姉さんは口籠る、もしかしたらお姉さんも私と同じ罪深い気持ちなのかもしれない。 「これは縄抜けできないよ、だからお願い」 お姉さんの主張は全くもってその通りだと思った、高手小手縛りからは高校生でも抜け出せない事は後ろから見ていてよく分かった、これ以上もがても無駄な努力だろう、でも私は縄を解かず黙ってお姉さんを見つめた。 お姉さんは心底困った様子で私に焦燥感の募る視線を送っていたが、一向に縄を解こうとしない私を見て観念したのか「分かった後10分だけだよ」と時計の方を向いた、時刻は4時50分、5時のチャイムが響いたらタイムリミットだ。 そしてお姉さんは再び身を捩らせ始めた。 「くぅうっ……」 既に縄抜けの為の手は尽くされている、お姉さんは、とにかく身を捩らせもがいて縄を緩めようとしている様だった。 「んっ……むっ…………くぅっ……」 ギチッ……ギッ……ギチチッ………… 世界に2人だけになった様な夕暮れ前の静けさを縄の軋む乾いた音だけが包み込んでいく。 「ぃっ……このっ……」 お姉さんの顔は真っ赤に染まっていた、それはきっと暴れた事で体温が上がっているだけではないだろう、だって私もそうだから。 「んんっ……っ……ふっ……」 自由にならない両腕に力が入り、それに釣られる様に身体が左右にゆらゆら揺れる、時には自ら身体をくねらせもした。 それでも縄は全く解けない、そしてお姉さんが一生懸命力を込める最中、5時のチャイムが2人の世界を貫いた。 お姉さんは心底ほっとした様に、私に視線を送ってきた、私は何も言わずにお姉さんの縄を解いた、怒られるかと思ったがお姉さんは手首をさすると「じゃあね」と言ってあっさり背を向け歩き出した。 私はまだ言葉が出ず黙ってその背中を見送った。

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