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完全犯罪の記録【文章のみ】

完全犯罪の記録 ついにこの日が来た、人気のない路地裏、ゴミ箱の裏、私はスーツ姿で息を潜め彼女が来るのを待っていた。 この日の為に彼女のことを調べ上げ入念な計画を立てた。 私は今日、彼女を誘拐する 小野寺レイナ17歳、今日は平日だが彼女の通う高校は創立記念日で休み、両親もしばらく出張。 条件が揃った、初めて彼女に出会ってから一年ようやく計画を実行する時が来た、緊張は無い理性はとっくに飛んでしまっていた、瞬時に人を気絶させることのできる改造スタンガンを構えて静かにその時を待つ。 「(来た!)」 足音が響いた、手鏡で素早く彼女のシルエットを確認する、間違いないレイナだ、私は呼吸を止めて完全に気配を消しレイナが私に気づく寸前に襲いかかった。 首筋に素早く照準を合わせスイッチを押す、バチッと一瞬光が走ったかと思うと糸を切られた操り人形の様にレイナは崩れ落ちた、怪我をしないようにすかさず抱き止める、柔らかな彼女の身体が私に押し付けられ、熱がじんわりと伝わってきた。 「(これで君は私のもの……)」 いや、その為の計画はまだ途中だ、早る心を抑え私は近くに止めておいた車にレイナを引きずっていった、目隠しと後ろ手に手錠をしてフラットシートになっている後ろのスペースに寝かせておく、そのまま私の家までドライブだ。 ……………………………………………………………… 私は自宅にて安らかな寝息を立てるレイナの身体に麻縄を巻き付けていた、この日の為に借りたアパートは玄関入ってすぐ左に一部屋、トイレを挟んでその奥に二部屋の縦長の構造だ、レイナは真ん中の部屋に監禁している、隙間なく何層にも白い吸音材を貼ってある壁はどれだけ叫んでも周りに声が漏れることはない。さながら突然デスゲームが始まる物語の会場のようだ。 完璧だ、今のところ全てが計画通りに進んでいる、私はここで彼女を緊縛し本気でもがく姿を見るんだ。 これが私の夢、歪んだ夢だ 何故だか分からないが、縛られた女の子が自力で縄抜けしようともがく姿に私の心はどうしようもなく奪われていた、いつそんな欲望に目覚めたのか、何かきっかけがあったのかはよく覚えてはいない。 ネットで好みのアダルトコンテンツを探し求める内にDIDという言葉がヒットした、どうやら私の性癖はこのDIDというジャンルに近いようだ、作品では良く縛られて監禁された女性が逃げようともがくシーンが描かれていた、しかしその光景は私の理想のはずなのだが私の心は満たされなかった。 作品になっている以上どんなシュチュエーションもどんな動きも全て演技、それは仕方のない事だと分かっていても私は萎えてしまう、どんなに激しくもがいていたとしてもそれは本物の抵抗じゃない。 ならば縄抜けチャレンジのようなストーリー性の無いものであれば、それは本物の抵抗と言えるのではないかと思ったこともあるが、そのような企画では縄抜けそのものが目的になってしまっていてその先にはなにもない、それは何かが本質的に違う気がした。 しかし、これらの条件を満たす作品を本当に実現しようと思ったら現代のルールに引っかかる事が多すぎる。そんな事ができるわけもなく、私は諦めて暮らしていた、レイナに会うまでは。 犯罪を犯し捕まってもいいと思った、あまりに理想的な女の子を前にしたあの日、私の理性は飛んでしまった。 そして、事ここに至る。 レイナの緊縛が完了した、肘は90度に折り畳まれ手首と肘の中間、胸の上下にそれぞれ四本ずつ縄を這わせ閂と言われる縄抜け防止の止めを胸下の縄に施した、縛りの世界では高手小手縛りと言うもっともポピュラーで基本的な縛りだ。 これでいい、やはり緊縛は高手小手に限る、シンプルな縛りだが絶対に縄抜けは不可能、しかし力は入りやすい為激しくもがいてもらう為には絶好の縛りだ。 足も縛ってないし猿轡も着けてない、部屋には彼女を寝かせているベッド意外何もない、無駄な努力は全て縄に向かってしてもらおう。 私は緊縛されたレイナを残して、隣の部屋へ移った、ここで一つ言い忘れていた部屋のアイテムがある、この大きな窓だ、人一人丸ごと写せるこの窓からははっきりとベッドに横たわるレイナの姿が見えていた、マジックミラーと言うやつだ、レイナからはただの鏡にしか見えないが私からは彼女を覗き見る窓になっているのだ。 さあ、まずはここでゆっくり見させてもらおう、本当に誘拐された女子高生の反応を ……………………………………………………………… 30分ほど経ってレイナは目覚めた、もぞもぞと起きあがろうとして、まず自分が縛られている事に気づいたようだ、不自由に身体を起こすと確認するように何度も殺風景な部屋と縛られた自分を見ている。 普通ならここでパニックになってしまいそうなものだが、レイナは冷静に部屋を観察している、流石は私の見込んだ女の子だ、剣道部に所属し次期部長としての呼び声の高い彼女は心身ともに強い女の子なのだ。 彼女は部屋の中で唯一のアイテムであり一際存在感を放っている私の覗き穴マジックミラーに近づいてきた、訝しげな表情で鏡を見つめている、自分の緊縛姿を観察しているのか身体を捻って背中を写そうとしていた、ギチチッと乾いた音で縄が軋み背中を見ようと反り返ることでレイナのボディラインは魅惑のラインを描く。 私の心臓は倒れそうなほど激しく脈打っていた、だがお楽しみはこれからだ、まだレイナは縄への抵抗を試みていない、さあ、そろそろ部屋の観察も終わった頃だ、この部屋では縄に抵抗する以外にすることはない。早く見せて、その身を捩らせる様を。 その時は案外急に訪れた、ベッドに腰掛け一瞬両腕に力が入ったかと思うと、そのままレイナは強引に腕を引き抜こうとする様にぐいぐいと力を込め始めた。 ギチッ……ギギギィ…… 無言で力を込めるレイナを煽るように、激しく縄が軋んだ。しかし 「はぁ……」 ミラー越しではハッキリ聞こえないが、ため息のような声が聞こえて、そしてレイナはすぐに抵抗をやめてしまった。縄は簡単に解けそうにないし、解けたからと言って助かるとは限らない、むしろ相手を逆上させてしまうかもしれない、そんな事を考え出したら当然縄を解こうともがき続ける事はできないだろう。 「(大丈夫、ちゃんと縄抜けに意味を持たせてあげる)」 私は顔がバレないように覆面を被り、初めて意識のあるレイナとの対面を果たす。 ガチャリ 突然開いた扉に驚きレイナは体をたじろがせつつも敵意ある視線を私に真っ直ぐ合わせてきた。 「おはようレイナ、調子はどう?」 レイナは状況が飲み込めないようで、私を見たまま少し間を開けて答えた。 「良いわけ、ないでしょ」 「でしょうね、でも大丈夫」 私は冷静に答えると、レイナの隣に腰掛けた、美少女の香りがふわりと鼻をくすぐる。 「つっ……」 レイナはあからさまに嫌悪感をあらわにし素早く私と距離を取った、そんな事をしてもほとんど意味はないと言うのに健気なものだ、私の加虐心がくすぐられてしょうがない。再びレイナの隣へ距離を詰め今度は逃げられないように肩を掴んだ。 「何が目的?」 突然拉致してくるような異常者に詰め寄られていると言うのに、レイナは未だ恐れ慄く事はなくワンチャンスでも狙っているかのように鋭く睨みつけてくる。 「分かるでしょ」 私はより身体を密着させ、胸の膨らみに手を伸ばしたが、レイナはその手が膨らみを捉えるか否かというタイミングで勢いよく身体を捻り私の手を振り解くと立ち上がり距離を取った、近づいたら蹴りを食らわせてやると言わんばかりに、腰を少し下げて構えている、私が女だと言う事を加味しても何て強気な子なんだろうか。 しかしこの状況も想定内、胸ポケットからスタンガンを取り出すと、レイナに分かるように2回スイッチを押して見せた、バチッと鋭い音が部屋を貫きレイナの顔が曇る。 「これ、レイナをここに連れてくる時にも使ったんだけど、足とかに当たっても凄い痛いんだよねー」 「………………」 「さあ、こっちに来て」 さっきまでレイナが座っていたスペースを軽く叩いて催促する。 レイナは心底軽蔑するように睨みつけてきたが流石に痛いのは嫌なようで、大人しく隣に戻ってきた、私は改めて胸の膨らみに手を伸ばす。 包み込むように手を当て軽く揉みしだいた後、ブラ越しに乳首を撫で回したり、突っついたりしてみる、レイナはスタンガンの脅しがよほど効いているのか、じっと耐えているようだった。さっきまでの威勢の良さを知っているだけに背徳感が凄い。 「んっ……」 「あら、意外と弱いのね、これは楽しみ」 「…………」 必死に我慢しているようだが、レイナの身体は刺激に弱いようで、ピクリと身体が痙攣したり呻き声が出てしまったりと、彼女の意に反する反応が出てしまっていた。 「さて、挨拶はこのくらいにしておいて」 刺激を我慢するレイナの姿もそれはそれで魅力的ではあるが、私が求めているものとは違う、そろそろ本来の計画を進めようじゃないか。 「これから貴方は犯され撮影される、その映像は一般人は一生知ることもない特別な市場に売られるのよ」 はっきりと語られた最悪な目的に、レイナは飛び起きて後ずさる。 「そんなに緊張しなくても大丈夫、始まっちゃえばあっという間だから」 ここまで追い詰められたら流石にパニックになり泣きながら懇願してきそうなものだが、レイナは何も言わずに私を睨みつけていた。 「まだ準備があるから、しばらくゆっくりしててね」 一応不意打ちで蹴られる可能性を考慮して、レイナと目を合わせたまま私は部屋を退出した。 すぐさまマジックミラーの前にスタンバイする、ここからだ、レイナには準備中だと伝えたこの時間が、本当は私の待ち望んだ時間。 レイナを犯すビデオを撮影して売り捌くなんて話はもちろん嘘だ、不安を煽れれば何でもよかった、これでレイナは一刻も早くここから逃げたくなったことだろう、そしてもう一つ私は重要な仕掛けをしてきた。 レイナを脅す際に使ったスタンガンをベッドの上に置いて来たのだ、レイナの胸を弄んだのも、異常者である事をアピールしたかったのもあるが、私の意識がスタンガンから移り、自然な流れで忘れていったと思わせたかったからだ。 そのスタンガンの威力は身を持って知っている筈、私が戻ってくるまでに縄を解きスタンガンを手にできたら形成逆転のチャンスだ、そうなったら無理だと分かっていても縄抜けを諦め切れないだろう。 お膳立てはした、見せてちょうだい、運動部で鍛えたその身体で精一杯の抵抗を。 ……………………………………………………………… レイナがスタンガンに気づくのに時間は掛からなかった、当然だ白い吸音材に包まれたこの部屋に黒いスタンガンは良く目立つ。 縄を解くのに使えそうなものがないか部屋の中をキョロキョロと見渡している様だが、部屋の中にはベッドどスタンガン、天井に空調、それだけだ、わざわざ探すまでもなく使えそうなものはない、視線はすぐに部屋を探すのを諦め自由を奪う縄に落とされた。 「ふっ……んっ…くっ……」 程なくしてレイナはもがき始めた ギチギチと縄が軋む音がガラス越しに聞こえ、身体を力ませる度に呻き声が漏れる。 指を使って縄目を解こうとするかと思ったが、レイナは肩や手首を捻らせ捩らせながら力尽くでもがいていた。 「むっ……ぅっ…………くぅ……」 ギチギチ……ギチチィ…… 「ふっ…………くっ……んんっ……」 ギッ…………ギギッ…… レイナからすればいつ私が戻ってくるか分からないと言う状況、悠長に縄目を解いている余裕はない、一刻も早く縄から逃れスタンガンを手にしなければならない、これを逃せばもうチャンスはないのだ。 「むっ……んぅ…………くっ……」 レイナは焦燥感の募る表情で何とか縄を緩めようと必死にもがき身を捩らせるが、縄目は一切緩まない。 「んぅ……ふっ…………ん゙……」 ギチチィ……ギギッ…… 完璧にきまった高手小手縛りから自力で縄抜けする事は不可能だ、どれだけもがこうと完全に無駄な努力、それは既にレイナも自覚し始めているかもしれない。 それでも彼女は抵抗をやめようとはしなかった、歯を食いしばり力の限り二の腕に力を込め続ける。 何て愛おしい姿なのか、今私は間違いなく人生最高の地点にいた。 頭の中は真っ白になり、ただただ目の前で繰り広げられる理想の光景に集中していく。 「んっ…………ぐぅ……」 ギチチ……ギチッ…… 「はぁ……はぁ……」 レイナの動きが止まった、激しい抵抗で上がった息を整えている。 少し立って呼吸が落ち着いたレイナは私の目の前に移動して来ると背を向け振り返るような姿勢をとった、自分の状態を鏡で確認しているのだろう。 そのまま手首を捻らせ自由な指先を縄目に伸ばすが、正面から左右逆に手が見えるほど深く腕を組まされた状態ではせいぜい縄目に中指の先端が触れる程度、縄目を掴んだり引っ掻いたりしてダメージを与える事はできない。 レイナはすぐに逆手で縄を解くのを諦め鏡の前に立ち尽くした、ここまでの移動と激しい抵抗で髪はボサボサになり首筋を汗が伝っている。 それでも何もしない訳にはいかない、呼吸が落ち着くとレイナは再び身を捩らせ始めた。 鏡の前で、私の目の前で。 「んっ……くっ……」 ギチチ…… 指を使うことは諦めたようで、力任せに身を捩らせ時々鏡で縄の緩みを確認する。 「はぁ…はぁ……ふっ……んんっ!……」 力を込める度に身体に食い込む縄がしっかり観察できた、当然何度確認しようと私の高手小手縛りに変化はない。 レイナは再び鏡越しに背中の縄目を観察し始めた、窮屈な姿勢で背中の縄目を捉えながら、腕に力を込めたり手首を捻ったりして、可能な動きを確認している。 「ふぅ…………」 しばらくして縄目の観察を終えると、レイナは一息ついて私が戻ってくる気配がないかドアノブの無い扉に視線を送った。心配せずともレイナがもがいている間は私は戻らない。 私が覗く為の鏡だとは夢にも思っていないレイナは鏡に向き直り絶対成功させなければならない縄抜けチャレンジを再開する。 「んっ……むっ…………」 ギチッ……ギギッ…… もがき方が変わった、どうやらレイナは手首の縄は緩いが胸縄によって抜けないようになっている高手小手縛りの構造に気づいたようだ。 これまでの力任せに縄を緩めようとする動きとは違い、肩を回したり窄めたりとどうにか胸縄を外そうと試みているように見えた。 「くっ……んっ……」 ギチッ…………ギチッ…… 「つっ……ふっ………っ……」 ギッ……ギギッ…… まるで手を使わずに服を脱ごうとしているかの様に、必死に身体をくねらせて胸縄をずらそうと試みるが、二の腕の自由を奪うその縄はレイナがいかに身体を捻ろうと、肩を上下に動かそうとピタリと身体に張り付いたまま離れようとしない。 「ふっ…………んぅぅ……っ……」 ギチッ……ギチチチチ………… 今度は胸縄とも繋がっている手首の縄を思い切り下に引っ張り、外そうとするもより激しく軋む縄の音が虚しく響くのみだった。 確かに高手小手縛りは胸縄を外す事ができれば容易に縄抜けできる、しかし胸の上の縄は胸の凹凸に遮られ、胸の下の縄は閂と呼ばれる縄目によってズレないようになっている、レイナがどれだけ動きを工夫しようと絶対にずらすことはできないのだ。 そうとは知らず必死にもがき続けるレイナの様子を私は眺め続けた。 「くっ…………くぅ……」 ギチッ……ギチチ…… 「ふぅ……っ…………」 ギチッ………ギチッ…… ……………………………………………………………… レイナはベッドに腰掛けたまま動かなくなってしまった。 もちろん縄は少しも緩んでいない、変わったことといえば、制服に汗シミができたことくらいだ。 レイナのもがく姿はまさに私の理想だった、もう十分に満足いくものを見せてもらったと思っているが、せっかくリスクを負って連れて来たのだから、もう少しもがいてくれなければ割りに合わない。 もう一煽りして、彼女の恐怖心、もしくは怒りの感情を呼び起こしに行こう。 「調子はどう?」 部屋に入ってきた私に取り乱すこともなくレイナは冷静な視線を向けてきた、私の問いかけには答えず黙ってこちらの様子を伺っている。 「随分暴れたみたいだけど心の準備はできたのかしら」 私が彼女の横に腰を下ろそうとした瞬間 バチチチ 乾いた音が部屋を貫き私はベッドに崩れ落ちた、横向きの視界に半開きの扉を足でこじ開け、逃げていくレイナの後ろ姿が映った。 彼女は縄を解けずとも、後ろ手でスタンガンを握りしめて私が油断するのを待っていた、そして私が腰を下ろそうと、中途半端な姿勢になった瞬間体当たりすると後ろ手に持ったスタンガンを私の腹部に向けて打ったのだ。 私の油断を誘った作戦は見事に成功した。 とレイナは思っている事だろう、しかし残念ながらこの状況も私の計画通り。 このスタンガンは音は派手だが電流は流れない様に細工してある、私は音がした瞬間わざと崩れ落ちたのだ、この状況を作り出す為に。 急いで身体を起こすと、音を殺してドアのすぐ横に移動し壁の防音材を剥がす、下から新たな30センチ四方くらいの窓が顔を出した、このガラスは向こうからはこちらが見えない様になっている、ようはさっきのマジックミラーの様な覗き窓だ。 ここからは玄関の様子が確認できるようになっている、そこにはすでにレイナが到着していた、必死に後ろ手でドアを開けようとしている、私が起きる前にここから逃げるつもりなのだろう、けど残念ながらそれは叶わない。 この扉は二重ロックになっており、防犯用の二つ目のカギはレイナの頭よりも高い位置に取り付けられている、後ろ手に縛られた状態ではどうやってもカギに手は届かない、口を使って開ける事も不可能だ。 つまり逃げる方法はやはり、縄抜けを成功させるしかないのだ、これが私のシナリオの最終段階だ。 「ぁっ……」 ドアノブのすぐ上にある一つ目の鍵だけを開けて必死に扉を押していたレイナだったが、程なくして二つ目のカギの存在に気づいた様だった。 ならばとすぐに回れ右してレイナはこちらへ向かってきた、おそらく奥の部屋に道具を探しに行くつもりなのだろう、しかし奥の部屋へと続く扉も玄関の右の部屋の扉も高い位置に鍵が取り付けられ、手が使えなければ何もできない様になっている。一瞬視界から消えるもすぐにレイナは玄関に戻ってきた。 一刻を争う事態、あと一歩というときまたしても縄が道を阻む、まだ私が起きていないか束の間安否を確認するため振り返った瞳には涙が浮かんでいた。 「んぐぅぅっ…………」 レイナはめちゃくちゃに身体を捩らせ、もがき始めた。 「うぅ……ぁあ…………くっ……」 力を込める度に漏れる吐息、呻き声の中に焦燥感を感じさせるような震えた声も混ざる。 「むぅっ…ぐっ……はぁ…はぁ………くそっ……」 これでもかと身を捩らせ、拳を握りぐいぐいと縄を軋ませもがくが一向に縄は緩まない、もう幾度となく確認してきた事だ。 「ん゙っ……ん゙ん゙っ……」 それでも、レイナは抵抗をやめない、身体が震えるほど思い切り力を込め、身を捩らせた。 「ふっ……つっ……はぁ…はぁ………むぅぅ……」 ギチチチ……ギチッ…… しかし縄は解けない、それならとレイナは助けを求めて声を張り上げた 「助けてええぇええ………誰かあああぁ……」 何度も声を張り上げるが、掠れた声はすぐに吸音材に吸い取られ、静まり返った玄関に僅かに軋む縄鳴りだけが響いた。 どれだけ叫んでも、この部屋から音はほとんど漏れないし、この時間帯周りの部屋は全部仕事で留守、レイナの声が誰かに届くことはない。 レイナの抵抗手段は私の入念な準備によって全部潰してある、彼女が今できる事はどれだけ諦めずに思考を巡らせようと、一つしかない。 彼女もそれを悟ってか、沈黙を切り裂くのは叫び声ではなく、鋭い縄の軋む音と絞り出す様な呻き声だった。 「くっ……んっ…………むっ……」 ギチッ……ギチチ…… 胸縄を外そうと肩を必死に動かす、既に何度も試した動きだったがレイナは絶対に諦めまいと汗だくの身体を捩らせ続けた。 「んっ……くっ……はぁ…はぁ……このっ……」 ギチチ……ギチチチ…… 「んっ…………んぐっ…ん゙っ………」 ギチッ……ギギッ…… レイナが縄と格闘し始めてからもうだいぶ経つ、体力のあるレイナでもそろそろ限界が近いようで、少しもがいただけで息が上がってしまっていた。 女子高生を誘拐して、追い詰めて、縄抜けさせる、この計画にレイナほど適した人物はいない、彼女は私のシナリオを見事にこなしてくれた、私は満たされた。 そろそろ、最後の計画を実行しなければならない、ある意味ここが一番重要だ。 レイナをもう一度気絶させて元いた場所に送り届け証拠を消す、完全犯罪を達成する為の最後の締めだ。 レイナが完全にもがき疲れたら最後の計画を実行する、それまであと少し夢の時間を楽しませてもらおう。 「んっ……くっ……」 ギチッ……ギギッ…… 陸に打ち上げられた魚が最後の力でのたまう様に、レイナは弱々しく身体を捻りなけなしの力を込めていた。 「はぁ……はぁ……」 俯いて呼吸を整え、大きく深呼吸すると最後の力を振り絞る様に思い切り力を込めて縄を引っ張った。 「んっ……ぅぅうぅ……くぅぅ……」 ギチチチチ………チ…………チ……ィ…… 縄がレイナの最後の力を吸収して鳴り響く、やがて言葉にならない声を上げると、レイナはしゃがみこんだまま動かなくなってしまった。 私はスタンガンの細工を解除しレイナの元へ向かった。 「やっ……やめてっ……」 レイナはすっかり弱気になり、後退り、壁に張り付き涙を流している、その姿を最後に少し堪能した後私は素早く首筋に電流を流した。 瞬間レイナは力なく首をうなだれる、倒れ込むところを私は抱き止めた。 後は彼女を元いた町まで運ぶだけだ。 ……………………………………………………………… 平日の夕方、私は人気のない通路にレイナを寝かせていた。 「(じゃあねレイナ、機会があったらまた会いましょう)」

Comments

ありがとうございます! 楽しんで頂ければ光栄です

楽しみな記録ですね、必死に縄抜けを試みの過程は最高だぜ。

FeiYue


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