R18ではないです。 来週の火曜日にpixivで公開するリクエスト作品の先行公開です。 素敵なアイディア、たくさん頂いて感謝しております。 ───ドンッ! 事務所の廊下を歩いていた私の半身に、急に小柄な何かが追突してきた。その邪悪な力強さに突き飛ばされ、私はその場で尻もちをついてしまった。ぶつかってきた相手も倒れ込んだようだが、怪我がないのはわかっている。なぜなら彼女は何度もわざと私に体当たりをしてきているから……。 「あ~ん……。イタタっ……。ごめんなさ~い、愛羅ぁ、おっぱいが大きいからぁ、よく他人とぶつかっちゃうんですぅ♡」 わざとぶりっ子を強調した声で謝罪にもならない謝罪……、いや、この場合は挑発かしら。とにかく私には理解しがたい言語を発する眼の前の少女。そんな、一見か弱い彼女に彼女のマネージャーが駆け寄る。 「大丈夫っ!?愛羅ちゃん、怪我はないっ!?」 そういってマネージャーが手を貸して愛羅は立ち上がる。クソっ、私のことはガン無視かよ……。苛立つ私に、あの憎き愛羅が手を差し伸べてきた。 「ゴメンネ~純那さん、怪我はないですかっ、立てますぅ~?♡」 わざとらしく媚びへつらうような、それでいて中身のない謝罪に腹を立てながらも、彼女のマネージャーに見られている手前差し伸べられた手を振り払うことはできなかった。そうして腕を引かれて立ち上がる私の横顔に愛羅は口を近づけると、マネージャーに聞こえないような小さな声でコッソリと囁いた。 「あら~、まだいたんですか?売れ残りのオワコンせんぱい♡ そんな貧相な身体でグラビアだなんて恥も外聞もないんですねぇ、貧乳の、おっ♡ばっ♡さんっ♡」 いつもこうだ。彼女は私に絡んで来る挙げ句、このような罵倒を繰り返している。その癖、私の前以外では猫を被っているから手に負えない。この事務所はみんな、若くて可愛くて美しくてスタイルも抜群で、その上性格も良い“桜小路 愛羅”の甘い幻想の虜になっていた。今の場面だって、たとえ他の人がいたとしても、私が彼女よりも優先して心配されることなんてありえない。誰がこの場にいたとしても最初の一言は「愛羅ちゃん、大丈夫っ!?」に違いなかった。 「じゃあ、愛羅 “は” お仕事たーくさん入ってて忙しいのでぇ、お先に失礼しまーすっ♡ 潤奈センパイまたね~♡」 最後まで嫌味たっぷりに、『は』の部分だけを強調して去っていく彼女の後ろ姿を見つめながら、私は湧き上がる感情をどこにもぶつけられず、しかし彼女が暗に言った通り、ここにいても仕事もないのでモヤモヤしたまま帰宅することにした。 ◆ 「クソクソクソクソクソクソクソっ!!!!!」 私はベッドに身体を投げだして、怒りに任せてスマホを弄り回していた。「桜小路 愛羅 ブサイク」や「桜小路 愛羅 嫌い」などで検索しているというのに、マトモに機能しているアンチサイトなどは見つからず寧ろこんな条件で検索をかけているのに「愛羅ちゃんは天使、性格も良くてかわいい!」などと、頭がお花畑の内容がヒットするものだから、思わずスマホを枕に叩きつけた。 桜小路 愛羅は私の24歳年下のグラビアアイドルで、一昨年現役JKグラドルとしてデビューしたばかりだというのにもうすでに私の20年間での稼ぎの2倍以上の利益を事務所にもたらしている、悔しいが現役トップグラドルと言って間違いない存在だ。 対する私は“売れ残りグラドル”、自嘲しているわけではない、ネットで私、篠山 潤奈の名前でエゴサをすれば必ず“オワコン”だとか“売れ残り”だとか“BBA”だとか出てくるのだ。嫌でも愛羅との差を痛感させられる。 私は美しいと褒め称えられて生きてきた。実際若い頃の私の身体は愛羅にも負けていなかったはずだ。ちょっとした若手グラドルとして人気を博し、けれども歳をとるに連れて容姿は衰え段々とファンは減っていき、アンチの数のほうが目立ち始めた。それでも私がこの業界に無様にもしがみついているのは、“ちやほやされること”こそが私の生きがいだからだ。私はその美しさを不特定多数の人間に崇められなければ生きていけない自信がある。 それなのに、あの愛羅が来てからというもの散々だ。元々年齢とともに減りつつあった仕事は、愛羅が現場で流した私の悪評でさらにその数を減らし、今では雀の涙というほどまで少なくなってしまった。厄介なことに愛羅が悪評を流すのは現場だけではない。事務所内でも散々噂を流され、事務所に私の居場所はもうないと言っても過言でもない。 アイツのズル賢いところは、悪評と言っても事実をベースにそれを悪辣に脚色することだ。事実がベースなので私も否定できないし、周りに庇ってくれるものもいない。その上、アイツは私以外の人間の前ではボロを出さない。清純JKグラドルの愛羅が言うことは、私の言い訳の何百倍も信頼されていた。 許せない、私の人生を無茶苦茶しやがって!私は枕に叩きつけたスマホを手に取り、もう一度投げつけようとした。 「チクショウっ!…………あれ?」 投げつけようとしたスマホの画面には怪しげな紫の光の通販サイトらしきものが開かれていた。ウイルスでも入ってきたら大変だと、急いで画面を確認するとそのサイトには“激安・呪いの書”という文字が記されていた。なにか琴線に触れてしまい説明文を読んでみると『気に入らないあの人に復讐を、送料無料』とだけ書かれている。値段は500円。 私はこんなもので復讐ができるはずがない、そう思いながらもなぜだかこの商品ページに惹きつけられ、ページを閉じる動作ができないまま、ずっと魅入ってしまっていた。そして私は、震える指で購入ボタンを押してしまったのだ。 すると住所も入力していないのに『購入が完了しました♪』という文字が出てきた。やっぱり詐欺かウイルスだったのだ。そう思いながらベッドに身体を投げ出すと『ピンポーン♪』とドアホンの音が鳴り響く。こんな夜更けに誰だよ、そう思いながら扉を開けると─── 「お荷物お届けに参りました♪コチラ、ご注文頂いた“呪いの書”でございます♪」 黒いスーツに身を包んだセールスレディ風の女がそう言って四角い包を押し付けてきた。 「あっ返品交換はできませんので、ノークレームノーリターンでお願いしますね♪」 そう言うと黒いスーツの女はあっという間にドアの前から霞のように消え去り、文字通り姿を消した。 ……なんだったんだ今のは?と思いながら手渡された包を開けると、そこにはなんだか禍々しい気配をはなつ“呪いの書”と書かれた本があった。コレが呪いの書ならあのセールスレディは悪魔だろうか。と、玄関先で考えごとをしていると、そこへ隣に住む女子高生が通りがかった。扉を開けて怪しげな本を見ている私を奇っ怪に思ったのか、ふてぶてしくコチラを睨みつけてくる。 ……全く、愛羅といいこの娘といい、どうして女子高校生と言う生き物はこんなにも生意気なのだろうか。決めた、この呪いの書の最初の試し打ちの相手はコイツにしよう。愛羅に使う前にこの本が本物か確かめるための実験台が必要だ。 そう思いページを捲っていくと、あの生意気娘にピッタリの呪いが目についた。私は半信半疑ではあったけれど、これから起こるかもしれないことにドキドキとしながら、そこに書かれていた呪文を唱えた。 「oɹᴉs uɐʞnoʞ oʍ ᴉɹᴉso ou oʞouɐ oʇ ᴉɥsɐʇɐʍ!!!」 どこの言葉だかわからない文字だがなぜだかはっきりと読み上げられる。自分でもどう発音したのかがさっぱりだ。 私はすぐに呪いの効果を確かめるために、洗面所に行き履いていたスカートを脱ぎ捨てて下半身を鏡の前にさらけ出した。 ……成功だ!私のだらしなく垂れてぶよぶよだった巨尻は、若々しいハリのある大きくてツンと上向きの爆尻になっていた。そう、私があの娘にかけたのはお尻を交換する呪い。あの女子高校生、尻だけは私よりも美しくて大きくて、妬ましいったらありゃしなかったのよね……! そろそろあの娘も気づく頃かしら。そんなことを考えていたその時、壁を貫通するほどに大きな甲高い声が隣から鳴り響いた。 『キャーーーーーッッッ!!???……わっ、私のっ、私のお尻がっっ……!?』 隣の家から壁を貫通して、少女の悲痛な叫び声が響き渡る。彼女の混乱する金切り声を私はニヤニヤと聴きながら、「うるさいぞ!」と言わんばかりに壁を思いっきりぶん殴って威嚇してやった。 はーーっ、清々したわぁ!この呪いの書っての、本物みたいじゃないの!でもこんなものじゃ私の気は収まらない。私はこれから迎える本番、あの憎き“桜小路 愛羅”にいったいどんな呪いをかけてやろうかと、ほくそ笑みながらページを捲り、様々な呪いからどれが一番愛羅への復讐にふさわしいかを考え始めた。 ◆ 「やっほー、おばさん♡ 愛羅に話ってなあに?」 あの本を買った翌日、私は事務所の会議室の一つを借りて、一対一で愛羅と話せる密室を作り出した。カチャリと後ろ手で鍵を締める、もうここには誰も入ってこれない。 私は愛羅にとびっきりの呪いをお見舞いするためにスルスルと服を脱ぎ始めた。それを見た愛羅は嘲るように笑い始めた。 「あっははっ!なに、おばさん!売れないからってもしかしてストリップショーにでも転職するつもりなの、ウケるんだけど!」 腹を抱えて私のことをバカにする愛羅。コイツ本当に性格が悪いわね……。無視して服を脱ぎ捨て、私はビキニ姿になった。これから放つ呪いには面積の多い服は邪魔なのだ。 「あ~あ、年甲斐もなくビキニなんて着ちゃってぇ、自分の歳わかってるんですかぁ?42ですよ42!だれもアンタのダルンダルンな身体なんか求めてないの!わかってる?いい加減みっともなくこの業界に縋り付いてないで現実見て転職でもしなさいよ!あっできないのかぁ、だってオバサンはお馬鹿さんだもんね。グラドル以外の仕事なんてできないもんねぇ!」 愛羅は今日は一段と機嫌が悪いか、寧ろ逆に良いのかもしれない。私と2人っきりの密室でたがが外れたのかずいぶんと饒舌に喋っていた。 「私はねぇ、グラドルでがっぽり稼いだら女優に転職するの!おバカさんなおばさんにはできない選択でしょ?だって台本覚えられないもんねッ!私はアンタみたいな末路は迎えないわ!必ず芸能界のトップに上り詰めてやるんだから!」 いい加減聞き飽きた愛羅の私への罵声も、聞くのが今日で終わりかと思うと少し名残惜しいかもしれない。まあなんでもいい、このクソ生意気な女に復讐するために、私は呪いの書に書かれていた呪文を唱え始めた。 「ᴉu ouoɯ ou ᴉɥsɐʇɐʍ oʍ ɐpɐɹɐʞ ou oʞouoʞ……ᴉu ouoɯ ou ᴉɥsɐʇɐʍ oʍ ɐpɐɹɐʞ ou oʞouoʞ!」 私は呪いの書のあるページの呪文を思い浮かべそれを唱えた。愛羅はそんな私を見てキョトンとした表情をしていた。 「……おばさん売れなさすぎて頭おかしくなっちゃった?てか今のキモイ発音、どうやってしてたの?頭大丈夫?」 真顔で気味悪がっている愛羅。馬鹿にしているのか心配しているのかわからない言葉を述べながら、一歩半ほど後退り、彼女は私との距離を取った。そうしていると私の身体に変調が訪れてきた。この呪文も本物だったようね。 「……もしも~し?オバサン……?なんか身体溶けていってない?いやキモいんだけど、どこからそんなに水分が出てきたの?」 どんどん後退っていく愛羅だがその方向には壁しかなく、この場から逃げるには私の方にある扉へ走って鍵を開けて外に出るしかない。つまり彼女は自ら袋小路へと突き進んでいる。……もうそろそろ私の身体も限界ね。 「ひぃっ、おばさんがドロドロのスライムになっちゃった!たっ、たすけてッ!」 完全に身体が溶けてしまいスライム状になった私の姿に怯え、愛羅がついに減らず口を叩くのをやめて扉へ向かって走り出した。でも、もう遅い。 私のスライム状の身体は宙に浮き、一直線で愛羅の口へとめがけて飛んでいく。 「たすっ、たすけてっ!おぼぼっおぼっおぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ!!!」 ◆ 「んっんぅ……、あれ私眠ってた……?オバサンがドロドロのスライムになって、私の口の中に入ってきて…………夢?」 (夢じゃないわよ。桜小路 愛羅。) 「おっおばさん!?どこっ、どこから喋ってるの!?」 (今さっきアンタが自分で言ってたじゃない……今私はアンタの身体のナカにいるのよ……!) 「かっからだのなかッ!?そんな、今さっきのって夢じゃなかったの!?……いっ、いたっ、頭が痛いっ……!なにこれ~……」 (無駄話は終わり、アンタとの会話にももう飽き飽きよ。……そろそろその身体、私に明け渡してもらおうじゃないの!) 「いったぁい!なにこれ、私がっ!私が頭の中からおしだされていくッ!?たったすけて!いやぁ、いやぁ……!」 (あら?案外抵抗できるもんなのね、無駄にプライドがお高いからかしら?でも、無駄よ。アンタが出ていくまで私は一生この身体に居座ってやるんだから。……ほら、さっさと出ていきなさい!) 「わたしがっ、きえちゃうっ、いやっ………………あっ、あっ、あっ、あっあっあっああああああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 (さようなら、生意気なクソガキ。桜小路 愛羅ちゃん。) ◆ 「……ふふっ、あははっ、あはははっははははははぁッ!!!わかる、わかるわ!あの生意気な女の意識、ぜーんぶ消え去っちゃたじゃないの!こんなに愉快なことはないわねぇ!」 私が憎き女をこの世から消し去り、若く美しい身体を手に入れていい気分に浸っているとドアを叩く大きな音が聞こえた。 ──ドンドン! 『愛羅ちゃん!大丈夫!?叫び声が聞こえたんだけど!鍵を開けてッ!?』 ちっ、マネージャーのやつか……耳ざといやつ、まあ仕方がない。愛羅の記憶を読み込んで、いつも通りマネージャーにこび売ってやりましょうか。 「はいは~い♡ 今開けますね、マネージャーさんっ♡」 そういって扉の鍵を開けるとものすごい剣幕でマネージャーが会議室に飛び込んでくる。こんなに必死になったてもう愛羅のやつは手遅れだっていうのに……笑えるわね。 「愛羅ちゃん!?怪我はないかいッ!?潤奈さんに暴力でも振るわれた……の……?あれ、潤奈さんと一緒に会議室に入ってたって聴いてたけど……?」 困惑しているマネージャをよそに私は憤慨した。私は愛羅に暴力なんて一度も振るったことはないわよ!……あの女が流した悪評のせいで篠山 潤奈のイメージは完全にそんな小悪党なのね。まあいいわ、どうせもう私には関係のないことよ。 「え~、愛羅は今日は潤奈さん見てないですよぉ?それよりぃ、今ちょっと急にお腹が痛くなって……思わず声が出ちゃいましたっ♡ 心配かけてゴメンネ、マネージャーさん……♡」 媚び媚びの甘い声を出してやるとマネージャーは必死な表情を崩してもうデロンデロンの締まりのない顔になる。チョロいやつだな……。 「そっ、そうか、それなら今日はもう仕事もないしゆっくり休もうか?大丈夫?マンションまで送っていこうか?」 そう言って車のキーを出してアピールをするが、あいにく私はこんなやつの相手をしているほど暇じゃない。この若いボディを堪能しなければ……。 「大丈夫でーす!愛羅ちゃーんと1人で帰れますから!……じゃあ、また明日ね~マネージャーさん!」 ふふっ、愛羅の住所部屋番号、鍵の暗証番号、その他の記憶も全部わかるわ……愛羅になりきるのも全然苦じゃないわね! 「愛羅ちゃん、あんなにお尻大きかったかなぁ……」 会議室を出るときに後ろからマネージャーのそんなつぶやきが聞こえた。 ◆ 公衆トイレの姿見で確認してみると、たしかに私のお尻は以前の愛羅のものよりかなり大きく、あの女子高生から奪った桃尻そのものだった。思わぬ副産物ね、一度奪ったものは身体を乗っ取っても引き継げるのかしら……。 前の愛羅のお尻もムチムチのグラビアボディだったが、今の愛羅のお尻とふとももはド迫力のアメリカンサイズだった。愛羅の清楚で可憐な上っ面にこのドスケベな下半身は反則的ね……。 そのままトイレを出て街を歩いていると、街行く人みんなが私に見惚れているのがわかる。これよこれ、この視線を感じるために私は生きてるのよ! 「見ろよアレ、桜小路 愛羅ちゃんじゃないか?」「うわっ、本物か!?実物は写真で見るよりももっとかわいいしエロい身体してんだなぁ!」「愛羅ちゃん、サインくれないかな……」 そんなヒソヒソとした周囲の声が聞こえ、男も女も私の顔と身体に夢中になっているのがわかる。さすが現役JKトップグラドル、元の私の身体じゃぁこうはいかなかったわね。ご親切に身体を提供してくれたあのクソ女にも感謝しないとねぇ。 私は街の視線を独り占めにしながらあることを思いついて立ち止まる。 あいらの記憶を辿ってポケットからハンカチを取り出すと、ブラウスのボタンを上から2つほど外し胸元をパックリと御開帳した。その胸元から谷間に向かってハンカチを手ごと突っ込み汗を、大胆な動きで拭き始めてやった。 「はぁ……あつ~い……愛羅、溶けちゃいそう……♡ はぁんっ♡」 そんな甘い声を出しながらあえぐような声を上げるおまけ付き。すると周りの男達は血走った目で私の胸元を凝視し、何人かがゴクリとつばを飲み込み喉を鳴らした音さえ聴こえてくる。ふふっ、トップグラドルたるもの、ファンサービスもしっかりしてあげないとね。 でもまだまだこんなものじゃないわ。私は谷間からハンカチを取り出すと、今度はロングスカートをめくって脚についた汗を丁寧に丁寧に拭いていく。するとロングスカートが上がったり下がったり、愛羅の腕の動きに合わせて際どい動きをする。その隙間から見えるふとももや、あるいはパンチラでも求めているのか、今度はそのムッチリとした下半身に注目する男たち。中には我慢ができずにスマホのカメラをコチラに向けて連射している者もいる。 ああったまらないわ、もっと、もっと私を崇めなさい! 私はここ数年、いや産まれて以来1番の快感を感じながら、その後も過剰にお尻を振って歩くモデルウォークをしたり、手荷物を持ち変えるフリをして両腕で谷間を挟み込んで強調したり、性欲にギラつく街の視線をほしいままにしていた。 ◆ そうして無駄に寄り道をしたり、身体を強調したりしながら、ついに私は愛羅のマンションへと帰宅していた。愛羅の顔そのものなのですんなりと生体認証も通過して、あっという間に愛羅の部屋へとたどり着く。 私は初めて見るはずなのに見慣れた感覚もある愛羅の部屋に帰宅して、愛羅の記憶を更に深く読み込み始めた。愛羅の人生のすべてが私の魂に流れ込んでくる。小学校5年生までおねしょをしていたこと、中学校では合計40人の男子に告白されたこと、高校に入って街を歩いていたら今の事務所にスカウトされたこと。まあ殆どは興味のないどうでもいい過去だが、一点だけ私の予想していなかった気になる情報が流れ込んできた。 愛羅のライバル、と言うよりは勝手に敵視しているだけのようだが、トップグラドルの愛羅にとっても厄介な存在がいたようだ。その名前は岸本 瑠菜。私も見たことがある、バカみたいにデカい爆乳のグラドルだ。愛羅と客層はそこまで被っていないものの、自分よりも優れたプロポーションを持つ瑠菜を、愛羅は同業として危険視していたようだ。 「……くふふっ、それなら私にいい考えがあるわよ、愛羅ちゃん。」 自分のボディに対してそんな事を独りごちならがら、私は呪いの書を取り出した。潤奈のカバンから帰る前に抜き取っておいたものだ。私は目的の呪いの書かれたページを開いた。 「おっと、記憶によると愛羅はコイツの写真集を持ってるのね。ライバル視してるくせに変なやつね……。」 私は爆乳グラドル瑠菜の写真集を本棚から取り出して表紙を見てみる。『規格外の爆乳グラドル!至極の写真集!』と書いてある。その中で一番映りの良いページを開くと、私は呪いの書の呪文を唱えた。 「ouoɯ ou ᴉɥsɐʇɐʍ ɐɥ ǝunɯ ou oʞouoʞ……ouoɯ ou ᴉɥsɐʇɐʍ ɐɥ ǝunɯ ou oʞouoʞ……!」 呪いの呪文を唱えると、写真集に映っていた瑠菜の胸がペリペリペリと剥がれていき、それは私の目の前まで浮き上がって、私の前でりんごぐらいの大きさの肌色の塊になった。 私がその肌色の塊を口から飲み込むと、グググっと私の胸元に違和感が走りだす。むくむくと大きくなっていく胸元を眺めていると、ブラウスの第3ボタンがパーンッと弾け飛んだ。そうして1分ほど立つと私の胸は成長を終え、その胸は巨乳の愛羅よりも、爆乳の瑠菜よりも大きい超乳といってもいいほどの大きさになっていた。 私が唱えた呪文は『対象のバストを奪いとる呪い』。つまり私の今のバストは、巨乳の愛羅と爆乳の瑠菜の4つのおっぱいが合わさった大きさになっているのだ。この呪いの面白いところはそれだけではない。お尻のように“交換”したわけではなく、“奪った”というのがポイントだ。 私が瑠菜の写真集をパラパラとめくると、全くの無乳の瑠菜がセクシーなポーズをとっている写真ばかりが映っていた。表紙を見てみると『規格外の無乳グラドル!絶壁の写真集!』という文字が書かれている。この本によると岸本 瑠菜はAAAカップの無乳グラドルとしてマニアックな人気を博しているようだ。 呪いの書によると、呪いの影響は世界全体を『元々そうだった』という風に変えてしまうらしい。……ただし、呪いをかけた本人と“かけられた”本人を除いて。岸本 瑠菜は今まさに自分の胸が突然無乳になって混乱しているに違いない。同時に彼女のファンは改竄され『爆乳の瑠菜が好きだった変態』から『無乳の瑠菜に興奮する変態』に巻き込まれて改造されてしまったの。ご愁傷さま。 そう考えると最初に改造したJKの末路も面白いわね。つまり私がお尻を交換したJKは元々『オバサンみたいなだらしない垂れ尻の女子高生』として周りに受け入れられている。それに彼女のお尻が好きだったクラスメイトは『汚い垂れ尻が好きな変態』に性癖を歪められてしまったのだ。くくっ、想像するだけで笑えてくるわね。 私は愛羅の記憶をたどり洗面台に向かった。 今の私の身体は愛羅の清純で可憐な顔に、規格外の100cm超え超乳、グラビアアイドルらしいキュッとしたクビレに、外人のようなムチムチとした下半身。……たまらないわ!これで誰もがずっと私を褒め称える!最高の人生よ! 愛羅は『女優になりたーい』とかほざいてたけど、私はそんな面倒なことはしないわ。だってこの愛羅のボディが劣化してきたら他の人気な女の身体を奪えばいいだけですもの。ずっと私は美しいグラビアアイドルとして生きていける。 これからの私の甘く蕩けるような人生のことを考えると、高笑いが止まらない。 「うふふっ!あっはっはははははは!!!」 ◆ 「あーあ、元気に高笑いなんてしちゃって。対価があるとも知らずに……。」 黒い服のセールスレディは遥か遠い場所でその姿を見守っていた。すると彼女の黒目だけが突然、グリンっと角度を変え画面の前のアナタを見つめる。 「この後、彼女がどうなったか……あなた達の想像におまかせしますね♪」
N.R 西山
2023-02-03 07:50:02 +0000 UTC