私の名前は如月 麗華。この国で一番入学難易度が高いと言われる東奥大学の3回生よ。 自分で言うのも何だけれど、容姿もとても優れていて、ついにこの前はミスコンのクイーンに輝いたの。美しすぎる東奥生として雑誌やテレビの取材も何度か受けたわ。 黒のさらさらツヤツヤなロングに、少しきつめだけど整いすぎた顔立ち。 スタイルだって出るところは出ていて、引っ込むところは引っ込んでいる、美しい凹凸をそなえた完璧なボディ。誰もが憧れる美貌だと自負しているの。 この美貌のせいか、男性からも女性からもたびたび告白を受けるけれど、私は今はそういう事は考えられない。だって私には叶えたい夢があるから。 「如月くんじゃないか!この前のテスト、相変わらず満点。素晴らしい成績だ!是非この大学に残ってくれると嬉しいのだが……。」 私のゼミの教授がニコニコと話しかけてきた。教授は私のことを気に入ってくださっていてよく話しかけてくださる。 「ふふっ、教授ったらお上手ですこと。私よりも頭のいい研究熱心な生徒さんは他にもたくさんおりますので……。」 教授の熱烈なラブコールをうまく躱せたし、申し訳ないけれど早くこの場から立ち去らないと。 ……普通大学の教授は良い意味で生徒に対してドライで、自分の研究にばかり熱心なもの。それでも優秀すぎる私は、就活が始まったこともあって、教授に会う度に研究職への熱いお誘いを受けてしまう……。 頭が良すぎるのも考えものね……。 でも私のなりたい職業はすでに決まっている。私の夢は”女子アナウンサー”になること、ミスコンも東奥もそのための踏み台に過ぎないわ。この知性を活かして、報道に携わるものになるのが幼い頃からの夢なのだから。絶対にこの夢だけは叶えてみせるわ! そんな事を考えていると、後ろから誰かが私の背中に飛びついてきた。 「あっ、麗華じゃん。今日も綺麗!その服バッチリ決まってるわ、清楚なお姉さんって感じ。」 突然後ろからマシンガンのように話しかけられたと思ったら、その声の主は親友の沙織。 この子も美人で成績優秀、それに品行も方正だわ。友人選びだって真剣にしないと、アナウンサーになるためにはどんな小さなことでも足元をすくわれる訳にはいかないから。 そういえば沙織が褒めてくれた私の服は今日のおろしたて、グレーのタトルネックに紫がかった赤のフレアスカート、仕上げにはベージュのテーラードジャケットを軽く羽織っている。そして足元はいつもより少し高めのヒールが、私をより美しく上品に飾り立ててくれる。 「沙織も、今日もとっても素敵ね。」 私がそう言うと「えへへ……」と照れながら、沙織は私に質問をしてきた。 「麗華も昼からはもうフリーだっけ?この後カラオケかショッピング行こうよ!」 そう言って明るい笑顔を魅せる沙織、でも…… 「ごめんね、今日はもう授業はないのだけれど、明日はテレビ局の面接だから……」 そう明日は私にとっては勝負の一日、今日は英気を養わないと。 「あっ、そういえばそうだったね。大丈夫っ!麗華なら採用間違いなしだよぉ。明日は頑張ってねっ!」 そう言ってハグをしてくる沙織。そうして私を離すと、元気に他の友達を探して去っていった。 ……うん、元気を貰えたわ。明日は最高の私を魅せつけなきゃ! 沙織とわかれた直後、大学の門前に着くと私のスマホがブーブー!と震える。画面を見るとメールが着ていた。そのメールを開いてみるとこんな事が書いてあったの。 『お前の服装は清楚過ぎる、もっと下品な格好をしろ。』 ……なによこれ。もしかしてストーカー?怖くなった私はキョロキョロと辺りを見渡したけれど、怪しい人物はいない。イタズラかしら……。 そういえば門前にはたまに暴走族らしき人だかりができていて、あの中には下品な格好をした頭の悪そうなギャルや怖いヤクザのような男の人もいる。 私はいつもその子達を軽蔑した眼で、見下しながら門の前を通っていた。それで恨みでもかったかなと、ちょっと門の辺りを覗いてみたけど、今日はその不良達もいなかった。 結局、私のことをストーキングしているような怪しい人物は、本当に誰も見当たらない。 ……それにしてもセンスが無いメールだわ、私の上品な顔立ちと雰囲気にはこういう清楚でシンプルなファッションが一番似合うのよ。下品な格好をしろだなんて、あまりにも的外れよ。 そんな事を考えていたら、新しい服を買うのも悪くないかなと思い始めた。 そんなに時間はかからないし、リフレッシュにもなる。それにアナウンサーになったら人付き合いのために美しい私服は何着あったっていいものね。 そう思い私は行きつけのブティックへ向かった。 ♦ もうすぐいつものブティックにつく……そう思っていたら突然身体が言うことをきかなくなり、隣の店へと吸い寄せられるように入店してしまった……なんなのこれは??? 隣の店は、高校生のギャルが利用するような幼いファッションのセレクトショップで、この店の雰囲気にに似合わない私の来店に、奥の店員さんも面食らってフリーズしてるわ。 私だってわけがわからないわよっ!と叫びたくなるが店員さんに悪気はないのだから我慢。 でも本当に私の身体はどうしてしまったのかしら……? どうがんばっても指先1つ自由に動かせない。怖いっ、怖いわっ……! そんな事を考えていると身体が誘導されるように、ヘソ丈程しかないダメージシャツを手に取る。 短すぎる布は、私が着たらヘソどころか、ブラジャーの下部分まで見えてしまいそうなほどに短い。 それどころか胸の横にも大きな切れ込みが入っていて、これじゃあ腋からもブラジャーが丸見えになっちゃうじゃない!それに肩だって異常に出ているし、この布の量じゃあ隠せる部分のほうが少ないわね……。 極めつけは胸のあたりに意味の通らない中学英語のような英文が書かれている、ナニコレ。 サイッテー、下品にも程があるわ……。自分の腕が勝手に持ち上げた服を、見下しながら眺めていると、また身体が勝手に動き出し、近くからカゴを持ってきてその下品なダメージシャツをカゴの中に放り込んだ。 ……まさかこれを買うっていうの?着ないわよこんな服っ、早く戻しなさいよ私の身体っ! そう思っていると、今度はそのダメージシャツによく合う、超ミニのセクシーホットパンツを手に取り出した。 そのホットパンツは太ももの横のラインに大きな切れ込みが入っていて、こんなものを着たら「私のパンツを見てくださーい」と言っているようなものね。ようするに痴女よ、痴女。貞操観念の欠片も感じられないわね……。 そうしていると腕が再び動き出す。まさかと思っているとその通り、身体はカゴの中にそのホットパンツも放り込んだ。 あり得ない、そう思いながら、カゴの中の服たちのあまりの品の無さに、目眩のするような感覚に陥った私は、自由の効かない身体が自動で動くままに任せていた。 本当に怖いけれどどうせ動けないし、とりあえずは諦めるしかない。 まあ最悪この服を買ったとしても、着なければいいだけの話だしね。そう考えていると、身体は次々と下品な服を見つけては、見境なしにカゴに入れていく。 そうして一週間分ほどローテーションが組める量の服を、豪快にカゴの中に入れると、私の身体は勝手にレジへと向かっていった。 「割引とかも含めてぇ、全部であわせて5万8千円になりま~す。」 そう言いながらギャルのような店員さんが、引きつった顔で袋に服を詰め込んでいく。あまりに場違いな女性がこんなに買い込むのだもの、怖いわよね……。 私の方だって同じくらい引きつった顔をしているに違いない。そんな事を考えていたら私の口が勝手に動き出した。 「これとこれ、今から着て帰ります。値札とか取っといてください。」 そういって私の身体は勝手に、最初に選んだダメージシャツとホットパンツを指さした。それを聴いた店員さんは更に笑顔をこわばらせる。 ……さいあくっ……。こんな下品な格好をして帰るなんてあり得ないっ!万が一同じ大学の人間とすれ違ったらなんて言い訳すればいいの? それにこの前テレビや雑誌の取材を受けちゃったし、知り合いじゃなくたって私のことを見たことある人もいるんじゃ……。 そうして私が途方に暮れている間に、身体は勝手に試着室の中で着替えを済ませ、想像通りショーツもブラも丸見えな痴女めいた格好になっていた。 形の良い横乳だってはみ出ちゃってるし、お尻もふとももも全然隠せてない……一体この布切れになんの意味があるのかしら? この格好はスタイルのいい身体が強調され、似合わないということはないが、あまりにも品がなさすぎる。身体はともかく、首から上の清楚な私のイメージとは全く逆で、周りからは無理をした無様なファッションに見えることは間違いない。 店のガラス扉に反射して映った今の私は、”ティーンエージャー向けの服を無理して着た頭の悪い女”としか言いようがなかった。 こんな格好、恥ずかしいから店を出たくない……。そんな私の気持ちとは逆に、私の身体は自宅方向へ向かって歩き出したのだった。 周りの奇異の視線が突き刺さる、私だってこんな格好をした痴女がいたら思わず見てしまっていただろう。……まさか自分がそんなふうになるとは思ってもみなかったが。 いつもより高めのハイヒールが、おしりをフリフリと振るように私の歩き方を制限する。私のおしりが揺れる度に、下品な男たちの視線が身体に向けられる。 ……早く家に帰らないとっ。私はできるだけ急いで駅のホームに向かい、自宅に帰るための電車に乗った。 ♦ 幸い電車は混雑しておらずほとんど人は乗っていなかった。私の家の最寄り駅はここからたった3駅なので、座席には座らず電車の入口付近に立っていた。 するとすぐ後ろに大きな気配を感じる。そしてその直後、私のお尻と胸が後ろの人物に揉まれ始めた。気持ちの悪い感覚に私は顔を歪める。 振り向いてキッと睨みつけると、性欲の強そうな小太りのおじさんが私を包み込むように痴漢をしていた。 あまりの気持ち悪さに「この人痴漢ですっ!」と声をあげようとすると、ブーブー!とまた私のスマホが震えた。 その画面には『痴漢をしてもらったらお礼を言いながらしっかり揉んでもらわないと』と書かれていた。 ……もしかしてこの男がメールを送ってくるストーカーっ!?私は恐怖し、先程言おうとした痴漢を告発するお決まりのセリフを口に出した。 「おじさまぁ~♡ 麗華を痴漢していただきありがとうございますっ!♡ 麗華のエッチなカラダぁ、たっぷりと揉んでいってくださいね♡」 ……口に出したつもりだった、が私の言葉は甘く溶けたような知性の低い誘い文句に変えられてしまった。信じられないけど、もしかしてこのメールの言う通りにしか身体が動かないってことっ!? 「君とっても淫乱な子なんだねぇ、おじさん長くこれやってるけど、こんな娘は初めてだよ……そんな似合わない格好までして、触ってほしくて仕方がなかったんだねぇ……。」 ……違う、コイツはメールの送り主じゃない、ただの痴漢だわ。さっきの口ぶりから私はそう確信した。 しかしそれがわかったところで私にはどうすることもできない。 私は怖くなって震えていたけれど、もしかしたらこの痴漢には快感で震えてるように見えたかもしれないわね……。結局最寄り駅に着くまでされるがままに、身体の至る所を触り尽くされた。 ♦ 借りているマンションにつき部屋にはいると、ホットパンツの後ろに、多分先程の痴漢の連絡先の紙がねじ込まれていて、誰が連絡なんかするかとゴミ箱に叩き込んだ。 どっと疲れた……。私はベッドに身体を放り出し、昼のショッキングな出来事にかき乱された心を落ち着けていた。すると、そんな暇は与えない、とばかりに私にとって悪夢のような音が鳴り響く。 そうだ、着信拒否してしまえばいい。そう思ってとりあえずメールを開くと、 『そのお下品なファンションには、もっと似合うお下品な身体があるよね。』 と書かれていた。それを見た私は、気持ち悪いっ、と素早く着信拒否を設定して、ボスンっとベッドにスマホを放り出した。 ……何が『もっと似合う下品な身体があるよね』……よ。この私の美しい体に文句でもあるのかしらっ!そう憤慨していると急に胸のあたりが苦しくなってきた。何かと思い寝返りをうとうとするが、同時に下半身も重くなり、上手く寝返りがうてずにとどまる。 なんとか身体をねじって起こすと同時に、バチンッ!と激しい音がなった。 何事かと音のでどころをさがすと、壊れたブラジャーがダメージシャツの裾から落ちてくる。 ……まさかと思い胸元に注目を移すと、明らかに以前より大きい……いやそれどころか、まだ成長してるッ!? 慌てて身体を後ろに捩り、下半身も見てみると、太ももとお尻がぶくぶくと脂肪で膨らんでいく。頭やお腹にも違和感がある、私の身体が誰かに塗り替えられている……! とまれっ、とまれっ、とまってよぉっ! そんな事を考えても身体の変化が止まるはずもなく、結局私の胸は大きく空気を入れたように膨らみ、胸とお尻は、片方だけでスイカのような規格外のサイズになってようやく止まった。 よたよたと重くなった身体をなんとか動かし、部屋にある姿見の前に立って身体を映した。 ……そこには、シリコンを注入して整形したような、作り物のような質感と大きさの胸、そしておなじく重力に負けて垂れることのない大きなお尻。まるで海外のAV女優のようだ。 買ったばかりのシャツとホットパンツはパンパンに膨らんでいる。 身体の変化についていけず途中でショーツもあまりの肉圧に耐えきれずに破れてしまった。もう家にある下着は一枚も使いものにならないだろう。 それに大きなオッパイのせいで見えていなかったが、お腹にはタトゥーが入っていて、子宮のような、そしてハートのような形。 しかもどうやっているのかわからないがピンク色に淡く光っている。 それだけじゃない、私の黒くてサラサラつやつやだった髪の毛は、何度も染めたように傷んだ下品な金髪になっていた。 それどころか真っ白だった肌さえも、全て日焼けしたように少し色が黒くなり、顔にはケバケバしいメイクまで添えられている。 あわてて目元や唇の紫色を落とそうとこするが、全くその色は落ちることがなく、肌に直接固定されたように崩れることがない。 両耳の耳たぶにはいつの間にかハート型のピアスがぶらさがっていて、耳輪にはリングが何個も付いている。っ!?舌にも違和感があると思ったら、中心にピアスが取り付けられていた。 私が変わり果てた自分の身体に絶望していると、またスマホのバイブ音が部屋に鳴り響いた。 まさか……。着信拒否にしたのに……。そんな事を考えながらスマホの画面を見ると、 『着信拒否をしたね、ペナルティとしてお前は今日からパパ活女子だ。』 という文章が表示されていた。 私がパパ活女子!?と頭に血がのぼるが、それ以上に恐怖が湧き上がってくる。このメールは一体何なの、どこから送られてきているの……? 私は本当に恐ろしくなって、救急車か警察に助けてもらわないとっ、と思いスマホを操作した……つもりだった。 その手は私の思うようには動かず、何度も繰り返したかのような手慣れた動作で、私のSNSアカウントに投稿をし始めた。 「今日会ってくれる方、1名募集中です!詳しくはDMでお願いします!!! #P活 #P活東奥 #パパ活 #東奥 #杉原区 #東奥女子」 やめて、やめてよ……。このアカウントは友達だってテレビ局の人だってフォローしてるんだから。私が絶望して、必死にこの投稿を削除しようとしても身体は思い通りに動くことがない。 むしろスグに送られてきたDMにこれもまた手慣れた操作で、合う場所、時間、金額をテキパキと決めていく。そのまま私の足は勝手に動き出し、おそらく待ち合わせの場所に向かって歩き出した。 待って、ブラもショーツもつけてない。いや、家に今の身体が収まるサイズの下着なんてないんだけど、嫌っ、止まってぇ、せめてインナーだけでもっ。 そんな私の意思を置き去りにしたまま、私の身体は外へと飛び出した―― ♦ 駅に着くと人の良さそうな顔をしたおじさんと目が会い、それを目にした私の身体がなにか合図のようなものを送ると、合図が伝わったのかニッコリと笑ったおじさんは、私の手を取り恋人つなぎで歩き出した。おそらくパパ活が始まったのだろう。 この私が?パパ活?風俗嬢よりも低俗な? 屈辱で頭に血が上りクラクラとするが、身体の方は冷静に、冷徹に、淡々とパパ活の儀式を進めていく。ちょっとしたところでお食事をして……ほら、もうホテルにたどり着いた。 そうしているとベッドの上で服を脱いだおじさんが尋ねてくる。 「しかし君、このアカウント名の”如月 麗華”って本名なんじゃないのぉ?危ないよ~本名のアカウントでこんな事しちゃぁっ。」 ネッチョリとした声で叱りつけてくるおじさんに私が反論しようとすると、あの聞き慣れた音が鳴り響いた。 思わずその画面を覗くと、 『お前の名前は今日から[[rb:綺羅綺羅 > きらきら]] [[rb:心姫 > はあと]]だ』 と書かれていた。そうして私の口は勝手に動き始める。 「はい私の名前は”綺羅綺羅 心姫”です。そのアカウント名は本名ですよ。」 ふとスマホの画面を見ると私のアカウント名が”綺羅綺羅 心姫”に変更されていた。 ……違う、私の名前は、私の名前は……???思い出せない、私、わたしはっ……!? 「心姫ちゃん、やっぱり本名か。だめだよ~!」なんて説教をするおじさんを傍目に、私は絶望していた。 私だけじゃなく、世界までまるごと改変されて、私の名前は強制的に”綺羅綺羅 心姫”にされてしまったのだ。 自分の名前すら失い、それからの私はまさに呆然自失といった状態で初めてのパパ活を始める。 ……いやっ、こんな冴えない男とエッチなんて出来ないっ!逃げないとっ!そう考えているとまたスマホの画面が光る。 『お前の身体はセックス専用。エッチなことに夢中なんだ。』 急にお股がヌメヌメしだしたのが分かる。もはや変化にもなれてきてしまった、私の身体はこのメールでエッチ専用に塗り替えられちゃったんだ。 クリトリスがビンビンに勃起している、乳首だって勃起しているのがシャツの上からまるわかりだろう。改造された私の身体は、乳首もクリも親指のように太く長くなっていて、今の私の身体の下品さを更に際立てていた。 その乳首とクリをおじさんに服の上からフェザータッチでいじられただけなのに、私はあっという間に絶頂させられてしまった。わたしっ、こんな淫乱じゃぁっ……。 おそろしいほどの快楽から逃げようとする私を捕まえたおじさんが、ゆっくりと服を脱がす。すかさず「ノーブラノーパン?エッチな娘だねぇ……。」とネッチョリとした言葉責め。 嫌なのに、パパ活なんてしたくないのに、私の身体は準備万端におじさんのモノを受け入れて……。ヌプヌプとナカに入ってくる気持ちいい感触に、私は思わず腰をよじらせる。 こんどは唇にキスをされる……。ザラザラゴワゴワとした唇が触れて、ネッチョリと気持ちの悪い舌が私の口の中に侵入してくる。 ……それなのになんでっ、なんでこんなに気持ちいいのっ!? 夜、ホテルにて、私は乱れに乱れた。産まれて初めて味わう快楽の大波を前にウブな私はどうすることも出来なかった。もちろんあのメールで操られてる以上、どのみちどうすることもできないけれど……。 そのあまりのショックに、途中からのホテルでの記憶はもう思い出すことが出来ない。 ただ、この手に握らされた3万円だけが、今晩の事を仔細に語りかけてくようだ。 「こんな自分を安売りする行為ありえないっ!私は3万よりも価値がある女よっ!」 そうこのまま人混みの中で叫んでしまいたいほどの半狂乱になりながら、それでも私の身体は言うことをきかない。電車に乗るとまた痴漢をされ、それに媚びるような声を出しお礼を言い、疲れ果てた身体でマンションまでたどり着いた。 ♦ 私はどっと疲れて部屋に帰宅し、再びベッドに身体を投げ出した。 お昼までとは違い、ブルンッと大きなお尻が震え重く身体にのしかかり、大きすぎる胸が潰れるせいで呼吸が苦しくなってくるのが、私をより惨めな気持ちにさせる。 今日一日で変わってしまった、何もかも……。もう私を見て、”ミス東奥の綺羅綺羅 心姫だ” などと気づいてくれる人はいるのだろうか……親友の沙織だってこんな身体じゃあ……。って違うッ!私は”綺羅綺羅 心姫”なんて名前じゃあないッ! 私の瞳から涙がこぼれ落ち始める。しかしそれを遮るように空気を読まないメールが届く。 『今日一日で随分ギャルっぽくなったね、ついでに言葉遣いも変えておいてあげるよ。』 そのメールに激昂した私は、思わず壁に向かってスマホを投げつけてしまった。 バキッ!と大きな音を立てて、スマホの画面がバキバキに割れる。もう動かないかも。 「ウチを馬鹿にしやがって。見てんだろっ!このメール送ってるやつ出てこいよ!……ッ!?心姫、こんな喋り方っ、バカみたいな喋り方してなかったし……。ううっ、まじぴえん……。色々ありすぎてクソネミ……。」 優雅で上品だった自分の全てを奪われてしまった私は、今日一日のショックで泣きながら倒れ込むように寝てしまった……。 ♦ 「……ウチ寝ちゃってたぁ。とりま大学行って、午後からはテレビの面接~。ぜったいウチはアナウンサーになってみせるし。」 朝起きて、思わず出てきた独り言すらギャル語に変換されてしまう。こんな状態で面接に受かるはずがないと少し心に思いながらも、自分を奮い立たせて朝の準備をする。 肉付きの良くなりすぎた私の下品な身体は、今まで着ていたお上品な服には収まりきりそうもなく、仕方がなく昨日と同じパンパンのダメージシャツとホットパンツで外に出た。もちろん下着はつけられなかった。 重い身体をヨタヨタ動かし、なんとか大学まで来たけれど、周囲の奇異の視線が突き刺さる。こんなのマジきゃぱいんだけど……。っダメ!気を抜くと思考までギャル語に侵食され始めてる……! 確かにウチの格好は昨日と同じエチエチなダメージシャツとホットパンツで浮いちゃってる……。 しかも家にある下着は全部入んなかったから、ブラもショーツもなしで直で着ちゃった……。 おっぱいデカすぎてシャツがパンパンだし、おしりがデカすぎてホットパンツもミチミチって破けそうだし、デカ乳首ガン勃ちで下着つけてないのがまるわかりだし。 今のウチの格好、ドチャシコだからしかたないよね……。 違う、そんな話をしてる場合じゃない!最初にメールが来たのは大学、メールを送ってくる犯人も大学の近くの方が見つかりやすいはず。 早く私をこんな風に変えたやつを探さないと! んっ?壊れたはずのスマホがブーブーなってる……。 『今の君の格好にふさわしいぐらい、今までの知識を全部消して、知能指数も下げてあげるよ。』 ……なんで壊れたスマホたんの画面が映ってんだろ? しかもなんか書いてあるけど、漢字がおおすぎてよめな~い。 てかあれぇ、私、なにしに大学まできたんだっけ?ん~っ? 全然頭が回んな~い、ふわふわしてる~。なんとかしなきゃ。 そう考え始めて10分はたったかもっ!そしたらおもいついたんだ~。ズッ友の沙織たんに助けてもらおっ。 はやく大変だ~って事を伝えて、このえぐい状況をなんとかしないとっ! あっ沙織たんがこっちに歩いてきてるっ!そう思ってウチは大きく手を振って、沙織たんの名前を呼ぼうとした。 『お前の友達はそんな上品な人じゃなくて、大学の門前にいる人達だよ。』 手に持っていたスマホにが突然光って、映った文字を読んだウチは、門の周りを見渡した。 そしたら暴走族仲間のみんな、タケシにカツヤにリュウ、それに好きぴでリーダーのカイくんがいた。 いや、おかしい!私に彼氏なんていないし暴走族でもないっ、助けてっ沙織たんっ! 「お~い、心姫じゃねぇか!いつもみたいに走ろうぜっ!」 そう言うとカイくんはウチを軽々と持ち上げて、バイクの後ろに乗せてくれた。キュンです。 なんか清楚なお姉さんが軽蔑した眼でウチらの事をガン見してる。あれは、さお、沙織たん……? 沙織たんって誰だっけ……??? 「お~い心姫、聞いてる?……ウチのチームでも心姫は特に頭が悪いから、いっつもボーっとしうてんなぁ。」 苦笑いするカイくん。それはとってもキュンなんだけど、でもでもっ、ウチは行かないと。 「カイくん、あのね、今日ウチっ、テレビの面接で……バイクには乗れないかも……。」 「テレビ局の面接ぅ?ないない、夢でも見てたんだろ。心姫がそんなお上品な仕事できるわけないじゃん。」 ううっ……。たしかにそうかも……。カイくんの言う通り、心姫はバカだし、下品だし。 ……でもっ、でも! 「……でもウチ、アナウンサーになるのがっ、ちっちゃい頃の夢で!お上品で綺麗なおねーさんになりたくてっ!」 はいはいって感じで、そのウチの必死な叫びを流したカイくんは、ウチを後ろに乗せたバイクのアクセルを勢いよく踏んで走り出した。 そうして私の身体は走り出したバイクに連れられて、大学からもテレビ局からも離れていき、それどころか夢だったアナウンサー、そして華やかだった元の人生からも遠ざかっていった。 (どうして、どうして私がどうしてこんな目に合わなきゃいけないの……?) あまりにも情けなくて目からは涙が出てくる。 そうして打ちひしがれる私のポケットの中のスマホは、またブーブーと震えていた───