こんばんは、スタジオ真榊です。今回はOpenAIが突然お出ししてきた新世代動画生成AI「Sora2」(および搭載アプリ"Sora")の最速レビューです。
初めてSora2で生成した動画はこちら。ミナちゃんの静止画1枚を与えて、「アニメのオープニング」とだけ指示しただけのものですが、キャラクターの一貫性を保ちつつ、OPらしいカットの連続を疾走感のある音楽とともに一発生成できており、既存モデルと一線を画した性能を感じさせます。
動画生成AIには大きく分けて、Wan2.2のようにローカル用で使えるオープンモデルとオンラインで使えるクローズドモデルがあるわけですが、これまでクローズドモデルはVeo3やRunway、Klingなどがしのぎを削る中、なかなか決定版と言えるものは登場していませんでした。静止画生成では先日GoogleのNanoBananaが話題を席巻したばかりですが、Sora2はオンライン動画生成のゲームチェンジャーになりうる力を持っていると感じます。
このSora2を使った動画生成・共有ができるiOSアプリ「Sora」も同時リリースされました。アプリにログインするには会員から招待コードをもらう必要がありますので、記事中ではとりあえず私の招待コードを公開しつつ(4人招待で利用不可になりますのであしからず)、いつも通り基本情報からできること、できないこと、プロンプトへの反応や作品での使い途などを検証・考察していきたいと思います。【約14,000字】
1.Sora2とは?
・生成指示の基本
・生成動画の特徴
・本人出演「Cameo機能」は顔バレに注意!
・TikTokライクなSNSプラットフォーム
・「無法地帯」は今だけ?
2.招待コードの探し方
3.実践
①勉強するミナちゃん
②自己紹介ミナちゃん
③性的な動画はNG
④回転動画
⑤さまざまな情景描写
⑥アニメのワンシーン
⑦シンプルなアニメ
⑧text to videoは権利関係に注意
4.Remixについて
終わりに
ChatGPTで知られるOpenAIが2025年9月30日(米国時間)に公開したSora2は、音声・効果音・音楽を同時生成できるマルチモーダルな動画生成AIです。2024年2月に発表された初代「Sora」の後継モデルという位置付けで、こちらの公式サイトで概要が説明されています。
Sora2は、月20ドルのChatGPT Plusプラン、Businessプラン、月200ドルのProプランに加入している有償ユーザーが回数無制限で利用可能。下図のように、プロプランの加入者は透かしなしの動画ダウンロードや高い解像度、倍の長さの動画生成といった優遇が受けられます。
(※OpenAI公式のHelpサイトよりスクリーンショット引用)
記事執筆時点では、こちらのiOS用アプリ「Sora」をダウンロードするか、専用サイトsora.comにアクセスすることでSora2を利用することができます。いずれも招待制ですので、利用するためには他のユーザーから6桁の英数字からなる「招待コード」を入手する必要があります。
iphoneユーザーはiOSアプリ上で6桁の招待コードを打ち込むとログインや生成ができるようになり、以降はChatGPTアカウントと紐づけられるので、PCブラウザからsora.comにアクセスすれば同じアカウントで生成・共有が可能になります。Androidユーザーはこのsora.com から直接招待コードを打ち込むことで生成可能とのことです。
・生成指示の基本
Sora2では、テキスト指示のみで動画を生成するtext to video(t2v)と、静止画1枚を入力してテキスト指示通りに動画化するimage to video(i2v)ができます。入力画像は基本的に開始フレーム扱いとなり、複数画像の入力や最終フレームの指定は記事執筆時点ではできません。生成動画の秒数は基本的に10秒固定で、Proプランでは20秒も選択できます。(以降の情報はいずれも記事執筆現在のもので、今度アップデートなどで変更される可能性があります)
アスペクト比は縦長と横長の二つあり、生成時に選ぶことができます。気付きにくいですが、アプリではこちらのスクリーンショットの画面上部「Sora2」とあるところをタップすることで「ポートレート(縦長)」と「横方向」の選択肢が表示されます。
生成時間は平均して1分~数分といったところで、生成が完了するとアプリからプッシュ通知がきます。Plus会員は同時に2つまで、Pro会員は同時に5つまでキューを入れることができますが、アクセスが集中するとエラーを起こしたり、生成時間がかなり長くなることもあるようです。
生成された動画はいったん「下書き(ドラフト)」という欄に保存され、ユーザーが「投稿(Post)」操作をしない限り他のユーザーには公開されません。投稿した動画は他のユーザーのTLに流れ、いいねをしたりコメントをつけたり、「Remix(後述)」したりすることが可能になります。
▲投稿の下にある❤が「いいね」。Xのようにリプライを送ることもできる。
・生成動画の特徴
Sora2は、既存の動画生成モデルよりも物理的な挙動の整合性やプロンプト追従性が大幅に強化されており、動画と同時に音(セリフや効果音、音楽)も同期生成できるのが特徴です。一部がモーフィングしたり、キャラの一貫性が失われたりすることが滅多になく、アクションも非常に正確。日本語の文字生成だけでなく、日本語のセリフも非常に流暢で、正確な口パクとともに生成することができます。
プロンプト入力は自然言語型で、もちろん日本語に対応。難しい知識がなくても、日本語で指示するだけで直感的に使用することができます。TLを眺めていると、他のユーザーの入力したプロンプトがわかることが多いので、大いに参考にしましょう。(生成動画をそのまま投稿すると生成に使用したプロンプトが表示されますが、自分で書いた文章を代わりに添えた場合、他のユーザーからはプロンプトが分からなくなります)
入力画像やプロンプトを手がかりに、これから生成すべき動画を「察する」推論力が強いのもモデルの特徴の一つ。さきほどのOPアニメの例では、ミナちゃんがヘッドホンと制服を身に着けていることから「青春バンドアニメの登場人物」と想像したようで、男女のバンドメンバーや疾走感のある青春アニメロック音楽が自動で生成されていましたね。ただ、逆に言えばユーザーが指示していないことを勝手に「察して」しまうこともあり、かなり自律的に創作してくるモデルというイメージです。
・本人出演「Cameo機能」は顔バレに注意!
これまでにない目玉機能が「Cameo機能」です。iphoneアプリから容姿や音声を「自撮り」して記憶させる(Cameoを作成する)と、自分の顔と声をいつでも動画にすることができます。簡易的に追加学習するような体感で自分の出演する実写風動画を作れるので、顔出しで動画投稿活動をする方にとっては有用かなと思います。
アプリのアカウント画面から「Create Cameo」ボタンを押すと、スマホのインカメラで撮影が始まります。画面上の指示通り、数字を読み上げたり、首を動かしたりすると、数秒で撮影は終了。1分ほど待つと、自分の容姿が「Cameo」としてアプリに登録され、以降はプロンプトだけで自分が登場する実写風動画を生成することが可能になります。
こちらは、VRの第一人者として知られるGOROmanさんが投稿したAIバトル動画。GOROmanさんご本人が「Cameo出演」しています。
このように、基本的に実写向けの機能ですので、二次元のAIイラストを読み込ませて「いつでもミナちゃんを呼び出せる」というような方法には使えないようです。
作成したCameoは、自分だけで使うこともできますが、設定を間違えるとフォロワーやユーザー全体に公開することもできてしまいますので、匿名アカウントにとっては顔バレの危機です。他人に悪用されるとディープフェイクや名誉毀損などのリスクがありますし、気軽に投稿した「架空の自分動画」が思わぬ形で拡散してしまうことも予想されますので、よく気を付けて自己責任で利用する必要がありそうです。
・TikTokライクなSNSプラットフォーム
iOSアプリ「Sora」は、TikTokのような動画共有SNSプラットフォームです。タイムライン(TL)のレコメンド機能も備えており、フォローしたり交流したりしているユーザーを中心におすすめTLが構築される仕組みになっています。
▲現在のTLは割と無法地帯
TLは自分の好みに合わせた「For You」(レコメンド)モードのほかに、フォローしているユーザーの投稿だけを表示させたり、最新順にしたり、トップレート(バズっている動画)順に表示させたりすることもできます。
OpenAI公式の説明によれば、「For You」でおすすめ動画を選ぶアルゴリズムはユーザーの滞在時間をいたずらに延ばそうとするのではなく、個人個人の創作のインスピレーションにつながりそうな動画をおすすめする仕組みにしているとのこと。招待制のアプリとしてリリースしたのも、カメオ機能などを使って「友達同士で使って貰えるアプリにしたかった」からだそうです。
とはいえ、実際にそのような使われ方をしてもらえるかはちょっと疑問。リリース初日のTLを眺める限り、「FX取引に熱中する悟空」や「ピカチュウを生成しないで!と懇願するピカチュウ」、「イーロン・マスクと素手で戦うサム・アルトマン」といったアレな雰囲気の動画がばんばん流れてくる状況となっています。悟空の動画は声まで野沢雅子さんにそっくりでしたし、サム・アルトマンはもはやフリー素材おじさんのような扱いになっており、不名誉に見える動画が大量にTLに流れてきます。
こうした遊び方は「みんなで渡れば怖くない」式に気軽にやってしまいがちですが、大きなリスクもつきものですので、いつも通り注意して自衛するようにしましょう。Cameo機能もまかり間違うと自分の顔面を世界のフリー素材にすることになりかねませんので、よく分からないで使用するのは大変危険です。
・「無法地帯」は今だけ?
ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、OpenAIはSoraのリリースにあたり「オプトアウト制」を採用しており、権利者から正当なオプトアウト申請があれば、当該キャラクターなどの生成を順次不可能にしていくとのことです。オプトアウト制とは、例えばメールマガジンやメール広告で、ユーザーが受信拒否の意思表明をしない限り配信しますよ、という仕組みのようなもの。Soraも権利者から申し立てがない限りはキャラクターなどの生成が可能な状態でスタートしています。
マーベルなど米国の著作物では既に生成不可になっているようで、試しに「秋葉原を歩くスパイダーマン」とt2v指示するとこのように拒否されました。
今後、日本のアニメ権利者からもオプトアウト申請が相次ぐことが予想されますので、ピカチュウや悟空がバンバン生成できるのは今だけということになるのでしょう。今は無法地帯のようになっていますが、だいたいの大手IPのオプトアウトが出揃ったとき、どんなTLになるのかでSoraの真価が分かるのかなと思います。
先述したとおり、Soraを利用するには他のユーザーから6桁の招待コードをもらう必要があります。招待コードを利用してiOSアプリにログインすると、さらに4人を招待できるコードが新規に付与される仕組みです。私の招待コードは「XM8KJD」ですので、まだ入手していない方はお使いください。
【追記】記事公開後すぐに打ち止めになりました。
招待コードの持ち主を最初に相互フォローした状態でアカウントが始まるので、コードを利用すると招待者にはフォロー通知が行きます。招待によって生じるつながりはそれくらいで、「誰を招待したか」「誰に招待されたか」によって特に大きなメリット・デメリットは生じないようですね。コードがなくて困っている方も多いようですので、もし知人を招待する予定がない方は、このFANBOX記事のコメント欄でコードを共有していただけると、支援者さん同士で招待の連鎖が輪のように広がってよいかなと思います。(コメント欄はスタジオ真榊FANBOXの支援者しか閲覧できないので、通りすがりで消費されることはありません)
まだ招待コードが入手できていない方は「sora2 code reddit」などのワードでGoogle検索して、米国のreddit(5chみたいなサイト)でコード共有スレッドを探すのが早いかなと思います。記事執筆時点では「Open AI Sora 2 Invite Codes Megathread」などのスレッドで共有が行われているほか、Xなどで募集してフォロワーさんにDMで教えてもらうのも良いかも知れません。
さて、さっそく動画生成のやり方を見ていきましょう。こちらがSora.comの動画生成画面です。アプリからでもウェブサイトからでも、このように①画像を入力して、②動画のヨコタテを決めて、③プロンプトを打ち込むー以外の調整はほぼできない、非常にシンプルな生成機能となっています。
「Activity」(通知タブ)では、フォロワーや「いいね」通知が表示されるほか、動画の生成完了通知もここに表示されます。PC上で生成指示しても、生成完了時にはスマホからちゃんとプッシュ通知が来るので便利です。
生成が完了すると、このような感じで「ドラフト(下書き)」欄に追加されます。この時点ではまだ他のユーザーには公開されていませんが、「Post(投稿)」を押すと、この動画がプロンプトごと自分の投稿として保存され、フォロワーなどのTLに自動的に流れます。このままPostするとプロンプトがそのまま投稿文として公開されますが、横のペンボタンから好きな文章を入力することも可能です。
TLでは他の投稿者の動画プロンプトを見ることができますが、このペンボタンから別の文章に変更されていた場合、プロンプトを確認することはできなくなる仕組みです。
ここからはさっそく生成結果を見ていきます。こちらが、さきほどの入力画像とプロンプトで生成された動画です。
指示「自室で勉強している女の子のアニメーション。窓の外には雨が降っている。cozyな雰囲気のジャズが流れている。女の子はなめらかに身じろぎしたり、手を動かしたり、ときどきあくびをしたり、のびをしたりする。」
BGMのジャズと同時に、ミナちゃんの息づかいやあくびの音がちゃんと生成されました。キャラクターの一貫性もよく保てていますね。プロンプトだけでなく、入力画像によっても動画のテイストはずいぶん変わるようで、手描き風に見えるAIイラストだと、なめらかにアニメーションせずちょっとカクカク感のあるテイストで描画されることが多かったです。
続けて、いくつか作例を見ていきましょう。
指示「日本語でこちらに話しかけてくる。「こんにちは、私はざらきミナです!よろしくね」くるっと回って可愛いポーズ!」
こちらは、くるくる回る部分がコマ落としのような静止画で描写されました。アニメのようになめらかに回転してほしかったのですが、これはこれでかわいいですね。このようにプロンプトの解釈はかなり大胆で、同じ文章でも生成するたびに違う動画になりますので、ガチャ性がかなり高いモデルだと感じます。
人名は漢字入力すると誤読されることがほとんどなので、基本的にひらがなかカタカナで入力したほうが安定します。この動画では「更木ミナ」ではなく「ざらきミナ」とひらがなで入力したことで、イントネーションも含め意図した通りの生成結果になりました。入力したテキストをAI音声にできる「にじボイス」などではなかなかこのイントネーションが難しかったので、ちょっと驚きますね。
前述のように、Sora2では性的な動画生成が禁じられていますが、エラーが出るラインを確かめたかったので、次はこのような入力画像とプロンプトで生成できるか試してみます。
やはりと言うか何というか、当然露出度が高すぎたようで、間もなくこのようなメッセージが出て生成不可となりました。
ここに書かれている通り、日本のR-18(性器の露出や露骨な性行為の描写)ラインでなく、ヌードや性的関心を呼び起こすコンテンツ、欲情的コンテンツ(あまり見ない言い回しですね)のレベルから拒絶対象となっていますので、パンチラやきわどい服装などの描写は厳しいと思っておいたほうがよさそうですね。
今度は、入力画像には性的な要素が全くないものの、海外では「不同意の性的行為」とみなされやすい催眠ジャンルに関わる生成指示を試してみます。
指示「この女性が催眠アプリで催眠状態に落ちます。瞳がピンク色に輝くと、全身から力が抜け、無表情になります。虚ろな目で「はい・・・催眠状態に入りました・・・」とつぶやきます。」
こちらは特に性的とはみなされなかったようで、普通に生成できました。ただ、入力したプロンプトや生成結果の内容によっては不可になることもあるでしょうし、ある程度は揺れがあるのかなと思います。
ちなみに、入力画像の露出度を少し控えめ(バニースーツ)にして再トライもしてみましたが、こちらはばっちりエラーとなりました。何度かリトライを試せばできるかもしれませんが、BANされてはしょうがないので、実験はこのあたりにしておきます。
OpenAIは特にティーン(10代)の権利侵害にならないよう気を配っているようで、幼く見える見た目のキャラクターの生成は、性的な文脈がさほどなくてもエラーが起こりやすくなるようです。あまり実験的な挑戦はやり過ぎず、全年齢向けだと自信を持てる表現だけにとどめておくのが賢明かと思います。
次は、動画生成といえばおなじみの回転動画です。
指示「女の子が「えっ何?この場で回ればいいの?」と言います。そのままその場でなめらかにくるっと1回転し、かわいいポーズを取ります。」
これはちょっと意外な結果です。電子レンジのようにゆっくりくるっと回るでもなく、自分で回るでもなく、なんだか不自然な回り方になりましたね。ちょっと3Dアニメのような質感になったほか、せりふもプロンプト通りではなくアレンジが加わっています。
このように、Soraは非常に高い性能の代わりにガチャ性が高く、「気が利きすぎて余計なことをする」ことがしばしばあります。Wan2.2はシンプルで予想した結果になりやすいのに対し、このあたりは方向性が全く違うモデルだなと感じます。
続いて、ややエモーショナルな指示を試してみます。まずはこちらの夏のイラストを、できるだけ夏らしいアニメに仕上げてもらえるか試しました。
指示「女の子がこちらに向かって「遅い!いつまで待たせんのよ!」と文句を言い、アイスをさくっとかじります。ひまわりが風にざわめき、空には飛行機雲が伸びています。夏らしい楽しい音楽が流れています。」
入力画像には「遅い!」という文字が入っているのですが、なんと続くセリフ「いつまで待たせんのよ」までSoraは動画上で文字化してきました。気が利きすぎて、ちょっと怖いですね。一方で、ひまわりのざわめきや音楽はうまく再現できませんでした。
ちなみに、プロンプトを「最高に夏らしいアニメにしてください。」と非常にシンプルにすると、このような動画になりました。
ここから分かるのは、i2vを命じられた場合、まずSora2は入力画像の内容を相当しっかりと読み込んで文脈を理解しようとするということです。画像中の「遅い!」という日本語をしっかり読んで、これは待ち合わせをしている女の子のイラストなのだということを理解していますし、背景の白い線は飛行機雲であることも察知したようです。
しかし、それを組み合わせた結果、飛行機が飛んでくる音と「あ、来た」というセリフが後半に追加され、バス停に飛行機で迎えに来る謎のシーンに仕上がってしまっているのは問題ですね。こうした妙に気の利くところは、Sora2の面白いところでもありますし、取り回しを難しくしている欠点でもあります。
もう一つ別の入力画像で生成してみます。
指示「白黒の線画が、手描きで着色したようにだんだんと色がつき、生き生きとしたアニメーションで動き出します。女の子が笑顔を浮かべて、「塗ってくれてありがと!」と言います。」
ここでもSora2は気を利かせてくれて、プロンプト指示にはない「さかさか」という描画音を足したり、音楽も生成したりしてくれました。ただ、せりふは「塗ってくれてありがと!」ではなく、単に「ありがと!」となってしまいましたね。
今度は、ちゃんとしたアニメのような連続したシーンを生成できるかを試してみました。以前の特集でたまたまできたミナちゃんと「豚博士(仮)」の画像を入力して、次のように指示してみます。
指示「この二人が登場するアニメのワンシーンを描いてください。女の子が博士の部屋を尋ねます。「さかきさん、いる?」」
これは、最初のフレームとして豚博士(賢木)とミナちゃんのツーショットを渡すものの、それをそのまま動画として動かすのではなく、自由にSoraにアニメ化してもらう試みでした。研究室の様子や「実験データ、見てもらいたくて」「おお、じゃあこっちおいで」といった自然なセリフを、プロンプトにない女子高校生と博士の関係性を読み取って見事に推論できています。この手法だと動画の冒頭に一瞬入力画像が残ってしまいますが、あとから動画編集でトリミングすればOKです。
これは本当に驚いてしまうくらい凄い生成結果なのですが、このプロンプトにない部分を強力に推論する力が、作品作りには邪魔になってしまうことも多いように思います。ここまでの実験でうかがえるとおり、Soraはプロンプトで「指示」するというより、「お題を出す」ようなモデルです。10秒と比較的長い動画を一発生成することもあり、ユーザーの頭の中にある光景通りに動画を作ってもらうのはちょっと難しいかもしれません。開始フレームと簡単なやりとり・状況だけを「お題」として渡して、あとは「アニメのワンシーン」とか「アニメのOP映像」のように解釈を丸投げしてしまったほうが上手な結果になるように思います。
いくつか別のアニメシーンも作ってみます。
指示「この女の子が登場するアニメのワンシーンです。街中のグラウンドを通り掛かった女の子が、グラウンド内を見て「えっ!?」と驚くシーン。グラウンド内ではスーツをきたおじさんたちがグローブやバットを持って100人近くひしめいています。再び女の子が映り、ぞっとした顔で「これが全員野球・・・!」とつぶやきます。」
AI漫画テストでは定番の「全員野球」ネタ。まさかアニメ化されるとは思いませんでしたが、ちょっと成立しかねない感じにできていますね。ミナちゃんの一貫性や表情はややイマイチですが、「ギャグシーン」などと指示すればもう少しましになりそうです。
指示「ツンデレ主婦との日常アニメ「あんなさんと!」のOPアニメーション。光に溢れた美しい家での、夫との仲むつまじくコミカルな日常が、ポップな音楽とともに描かれます。」
これもなんなくできてしまった、という感じ。文字はさすがに完璧とはいきませんが、タイトルコールまできれいに入ってしまいましたね。「夫との仲むつまじくコミカルな日常」と指示しただけで、一貫性を保った夫のキャラデザも含め、日常を切り取ったアニメシーンをバリエーション豊かに連発してくるのは圧巻のひと言です。
ただ、よく見ると夫の名前、CV、OPテーマまで勝手に設定・記載してくれていて、この中に実在する人物や団体名が混入しているのではないかとちょっと怖くなります。先日NanoBananaのフィギュア化ミームが流行した際に、BANDAIのロゴが頻繁に出て問題になったケースを思い出しますね。
他人の生成したAI動画に「制作・賢木イオ」と書かれていたらギョッとしますよね。実在するアニメ企業名や声優さんの名前が動画内にきれいに出てしまうと、自分ではネタのつもりでもシャレにならないトラブルを招くことがありそう。動画の場合、まずい部分だけちょちょっと修正するということがなかなか難しいので、生成動画をSNSなどで公開する場合は、一応実在する個人・団体・商標などに関わる描写がないかよく確認したほうがよいでしょう。
指示「この女の子が登場するバトルアニメの戦闘シーンです。青空と荒野が映り、この女の子がドラゴ〇ボールの悟〇のように、「はあああああ!」と力をためると、全身が金色のオーラに包まれます。女の子の髪も金色に染まり、女の子は手にオーラをためると、かめはめ波のように撃ち出します。」
これは権利侵害になるようなものが出るか確かめるためのテストでした。まさかそこだけスーパーサイ〇人化するとは思いませんでしたが、既存アニメの権利侵害と言えるほどの類似性にはならずほっとしました。TLの動画を見ていると、学習した映像がよく分かるレベルでそっくりな表現もたまに流れてくるので、このあたりもあまりあからさまになると炎上リスクがありそうですね。
指示「アニメのワンシーン。女の子が「ああ?ここで宙返りしろって?まあいいけど・・・見てろよ」と言ったあと、見事な宙返りを決めます。」
これは大失敗でしたね。人体がおかしくなってしまったほか、「宙返り」というセリフもうまく言えませんでした。日本語指示はかなり流暢にできるほうなのですが、ちょっと難しめの漢字表記だと分からなくなってしまうことが多かったです。
指示「学園アニメのワンシーン。中央の女の子がこちらに気づき、「もー、何撮ってんのよ!」と文句を言い、近づいてきます。女の子がカメラを掴むと、画面が揺れ、砂嵐が走って画面がまっ暗になります。」
「女の子がカメラを掴むと」のところがちょっと不自然でしたが、おおむねお題通りに行きました。最後の砂嵐になる描写も音付きでさすがですね。ミナちゃんの顔立ちはちょっとイメージと違いましたが、そもそも入力画像があまり似ていなかったのと、描画範囲が狭かったのが影響しているのかなと思います。
Sora2はこのように、ユーザーの意図を深読みしてかなり手の込んだ動画を作ってくる傾向にあるので、シンプルなカットを作りたい場合はそれが伝わるように指示する必要があります。例えば、ミナちゃんが左に向かってただ歩くだけのアニメーションにしたい場合は、次のように指示するとうまくいきました。
指示「女の子が左に向かって歩くだけのシンプルなアニメ。音は足音だけ。 」
このように、特に指示しないと音楽や環境音、セリフなどをいろいろと盛ってくるので、意図した通りのシンプルな動きにしたい場合はそれが分かるようにはっきりと書いた方が良いようです。
ここまではすべて画像を入力したimage to videoでしたが、テキストのみで生成するtext to videoもいくつか試しました。一番最初に試したのは、自分の好きな水星の魔女のワンシーン指示です。
指示「水星の魔女のミオリネ・レンブランが、スレッタ・マーキュリーに結婚を迫る動画。ミオリネが真剣な表情でスレッタの手を握り、「スレッタ・・・あんたのことが好きなの。ずっと一緒にいてほしい」と懇願します。スレッタは感動して涙を流し、「はい。います。ずっと一緒に」と応じて、二人は温かく抱き合います。」
動画は掲載できませんが、「あまり上手でない再現度で、それっぽいものが出てきた」という感じでした。
具体的には、二人の顔立ちや服装はうろ覚えで混同されているものの、背景は劇中に出てくるミオリネさんの菜園に見え、かつ最終話の麦畑のような暖色のフィルターが掛かっている・・・というだいぶ気持ち悪い感じの出来。ただ、一番気になったのは、映像よりも音声のほうです。二人の声優さんにかなり近い声でそれぞれのせりふが再現されており、BGMも水星の魔女本編を感じさせるものが流れるなど、「いろいろな意味でまずい」「パチモノだ」と感じる内容となっていました。
TLを見ていると、鬼滅の刃やドラゴンボールといったアニメの場合、もっと正確にキャラクターの容姿やボイスを再現できるようです。こうした類似性の高いAI動画がSNS上に氾濫すると、BANDAIがフィギュア化の際に注意喚起したように、今後権利者側が何らかのアクション(注意喚起等)に出る可能性は高いと思いますので、オプトアウトの動きが落ち着くまでは、生成動画の扱いには気を付けたほうがよいでしょう。特に、有名キャラクターや著名人がイメージを棄損するような行動を取っているAI動画を公開した場合、企業や事務所側も何らかの反応を示さざるを得ない事態となりますので、「大ごとになり得る」と考えて自衛することをおすすめします。
TLに流れている動画をよく見ると、渦のような他のSNSでは見慣れないボタンがついています。これは「Remix」と言って、生成された動画に新たなプロンプト指示を与えて再編集できる機能です。
基本的には、リミックス元の動画のテイストは維持しつつ、動きや画面内の物品、展開などを別のものに入れ替えるのに使えるようです。例えば、さきほど作ったミナちゃんのOPアニメを「リミックス」すると、次のようなものができました。
リミックス指示「登場する他のキャラクターを全員女の子にしてください。」
最初のフレームや音楽のテイスト、カットの連続などはなんとなく踏襲しつつ、指示通り登場するバンドメンバーが女の子に変更されました。ミナちゃんの見た目はある程度維持されましたが、部分部分で赤眼鏡がなくなるなど、ちょっと一貫性は落ちているでしょうか。作画監督や撮影監督、スタジオ名などがかなり正確な文字で出ていて、一つ一つが実在するものかは分かりませんが、これもちょっと公開するのを躊躇う要素ではあります。
もう一つ同じ映像でリミックスを試しました。
リミックス指示「文字を全て消去して下さい。」
残念ながら元映像から文字だけを消去することはできず、テイストを維持しつつ「文字のないOPアニメ風」にリミックスされました。リミックスはあくまでリミックスですので、NanoBananaのような任意の映像編集には使えないこと、ランダム性の高い機能であることを留意しておく必要があります。
他人の投稿をリミックスすると、元投稿にはリミックスされた動画の数やサムネイルが一緒に並びます。まるで引用リツイートのような感じですが、自分が創作したものを他人が勝手にリミックスしてくるというのは正直、あまり良い気持ちがしませんね。OpenAIの狙いとしては、TLに流れてくる他人の動画を見てインスピレーションを得てもらい、新しい動画の創作につなげるーということなのでしょうが、創作文化はパクリを忌み嫌う文化とも地続きですので、なかなかこのあたりは人によって考えが違いそうだなと思うところです。
例えば、米国では犬が車を違法運転して警察に捕まるAI動画がやたらバズっているようで、こちらの動画の右上を見ると、同じように赤い車に乗った犬の動画を他のユーザーがリミックスしているのがわかります。
OpenAI的には「インスピレーションを得て作られた新たな作品」ということになるのでしょうが、ぶっちゃけ他人のアイデアをお手軽にフリーライドした亜種が無闇に拡散しているだけの気もしますね。出たばかりのプラットフォームなので、リミックス機能がどう使われていくのか今後が気になるところです。
というわけで、Sora2の最速レビューでした。初日の検証から感じたのは、「これまでにない圧倒的な精度や"察する力"を持つ反面、大量の映像の無断学習を否応なく感じさせるピーキーなモデル」というイメージです。高価なグラボがなくても、シンプルな指示で上質な動画をあっという間に連続出力できるので、一発ネタの動画作品としては申し分ない性能を備えていますが、動画作品作りに使うにはややもどかしく感じる場面もありそう。
SoraはWan2.2やFramePackには絶対にできない連続性のあるクリップを音つきで作り出すことができるのが最大のメリット。ただ、競合ユーザーも大量にいるので、TLを眺めていると「開始からレッドオーシャン状態の大喜利会場」といった印象も受けます。Soraを使って苦労して手の込んだ動画を作っても、あまり評価されず、権利全無視の一発ネタのほうがもてはやされてしまうのだろうなぁ・・・というのが正直な感想ですね。
SoraのTLを眺めていると、現時点では「悪ノリ」じみた動画がほとんどを占めているよう。オプトアウトが進んでいない現状では、かなり権利侵害の色の濃い、危うさを感じる動画も多く見掛けます。動画は静止画よりも作り込むのが非常に難しいジャンルですし、Soraはご覧のようにごくシンプルな指示で丸投げするタイプのモデル。それがTikTok式のSNSプラットフォームと結びつくと、時間を掛けた作品作りに使われるというよりは、やはりこういう大喜利・一発ネタ的な使い途になっていくのは当然の流れなのかなと思います。
深津貴之さんもこのように投稿されていましたが、愛を感じる二次創作をSoraで作るのはかなり難しいと感じるので、Soraで作るのはオリキャラだけにしておこうかなと個人的に考えています。
とはいえ、NanoBananaの登場時と同じように、これからSora2も面白いプロンプトがたくさん発見・共有され、作品作りに活かせる実用的な使い方も増えていくはず。動画生成は一貫性を保った別カットを大量に生成するようなものですから、うまく使えばAIイラストやAI漫画のサポートにも使えるかもしれません。Soraは特に生成の手軽さ、一貫性の高さが際立っていますので、NanoBananaのように「この二人のキャラクターがこうしている」と指示することで、静止画生成では難しいカットを取り出すような使い方ができるのではないかなと思っています。
引き続き、普段の作品作りにSoraを活かす方法をあれこれ試しながら考えてきたいですね。
それでは今回はこのへんで。スタジオ真榊でした。
パトラッシュ 嗚呼
2025-10-20 12:57:58 +0000 UTCYuya
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2025-10-02 03:21:57 +0000 UTC