「吉野屋牛陽! あなたに一対一の決闘を申し込みます!」
牛陽をキッと睨みつけ、そう宣言する火麟。
「け、決闘!? それってどういう……!」
「問答無用ですっ! たぁあああっ!!」
戸惑う牛陽の問いを無視し、火麟が勢いよく飛び掛かった。
「ちょっと待っ……!きゃああ!?」
ガシィィッ!!
髪を両手で掴まれた牛陽。そのまま強引に押し倒されそうになる。
「痛っ!? 痛い!! や、やめてください火麟さんッ! あぁんッ!?」
「黙りなさい吉野屋牛陽!この!このぉ!」
乱暴に髪を引っ張られ、ドタドタと壁際に押し込まれる。
「痛ぁ!! や、やめてってばぁ!」
「うるさいです! このっ!」
ドンッ!!
牛陽の背中が木製のカウンターに激突した。
「ひぎんっ!?」
強烈な痛み。大きな瞳に涙があふれる。
「か、火麟さん……!どう……して……っ!」
なおも髪を引っ張る両手を放そうとしない火麟。
「"どうして"? なに馬鹿なことを! ライバル店の看板娘同士……! 決闘するのは当然のことでしょう!」
「そ、そんなぁ……っ!?」
せっかく同じ看板娘の少女と仲良くなれると思った矢先、理由もわからず一方的に襲われるショックと恐怖に、牛陽の頭は混乱していた。
「く……うぅぅ~!!」
なんとか押し返そうと、震える腕を火麟の胸元に当てがい、懸命に抵抗する牛陽。
「なっ……! お、大人しくやられて下さいぃぃ!!」
牛陽を追い詰めようと、力尽くで押し込みにかかる火麟。
両者の体が近づいてゆく。
その時ーー
ムニィィィ……
「「んんぁあ……!!」」
仕事着に包まれた両者の胸が密着し、相手の体を押し返し合った。
「「あんっ!?」」
ユサ……!
すぐに元の形を取り戻す、4つの乳袋。
お互い、否が応にもそちらへ意識がいく。
「くぅ……ッ! このおっぱいは……うちの牛丼のボリュームを象徴する、私だけの特権だったのに……!」
牛陽の巨乳を恨めしそうに睨みつける火麟。ライバル意識に火が着いたようだ。
「あなたの二番煎じおっぱいなんかには負けません! そのおっぱいも、このお店もこの私が潰して、紅牛こそシティ1番の牛丼屋だと街の皆さんにわかってもらいます!」
「な……!?」
火麟の言葉に、牛陽は耳を疑った。
お店を潰す?
まさかこのまま負ければ、自分だけでなく吉野亭にも危害が加えられてしまうのだろうか? 牛陽の中に、激情が湧き上がってくる。
「そ、そんなの……っ!!」
ガシッ!!
牛陽は火麟の茶髪を両手で掴み返し、渾身の力で引っ張った。
「そんなの私が! 私が許しませんんっ!」
グイイイイッ!!
「痛っ! 痛いぃぃ!?」
牛陽の反撃に、火麟の瞳からも涙があふれるが……
「こ、このおおお!? 負けないんですからぁぁ!」
火麟も負けじと髪を引っ張る。
「あぁっ!? 私だって負けませんんっ!!」
お互いに相手の髪を引っ張り回し、グルグルと激しくもつれる大喧嘩が始まった。
「「ああぁああぁんっ!?」」
どちらも可愛らしい顔を涙で濡らしながら、無我夢中で掴み合う。
「は、放してくださいよぉ! 痛ぁっ!? このぉぉっ!!」
「痛っ! 痛いぃぃ!? そっちこそっ!ばかぁ!!」
お互い喧嘩慣れしていないのは明らかだった。駆け引きなど存在しない。転びそうな足取りでドタドタともつれ合い、相手の髪を強引に引っ張り合った。
「あぁん!!」
「んンぁ!?」
ムニュウウウ……
相手を押し倒そうと距離を詰めれば、その度に特盛の胸と胸がせめぎ合い……
「はぁ!はぁ! ン……ッ!?」
「ひぃ!ひァ!! んあぁ……!?」
ぎゅっ!ぎゅっ!
お互いの脚が引っ掛かってもつれる度に、健康的なプルプルの太ももが密着し、存在を主張し合う……。
「か、看板娘として優れてるのは私、火麟です!!」
「そ、そんなことありませんっ! 私の方が! お客さんを笑顔にできるんですぅ!!」
言い返す牛陽。もともと争うつもりは無かったが、売り言葉に買い言葉で火麟に張り合わずにはいられなかった。
「あぐっ!! きょ、今日だって……大将が褒めてくれたんですっ! その大将のお店を!潰させたりしない! 私がぜったい守るんです!! だから……出ていって下さいぃぃ!!」
体を振り乱して攻める牛陽。だが火麟も退き下がらない。
「んぁ!? 私だって!私だってぇぇ! 師匠の大切なお店を、潰されるわけにはいかないんですぅぅ!! 私は絶対、絶対負けられないの!!」
下着がチラチラと見えるほどに、激しく立ち回る二人の看板娘。
両者の体力は目に見えて削られていた。
ギュム!
「「んンぁああっ!!」」
不意に両者の口から悲鳴が上がった。
同時に相手を引き寄せた際、お互いの太ももが互い違いに挟み込み合ってしまったのだ。その拍子に、両者の股間に宿敵の太ももが食い込む状態となってしまった。
ぎゅううう……
「んっ!んン……っ!?」
「はぁっ!ひ……ぃン!?」
顔が真っ赤になり、一瞬お互いの動きが停止する。
「は……はぁぁ……!♡」
甘い息を漏らしてしまった牛陽。
だがその直後、火麟の太ももがスッと離れた。
「す……隙あり! 吉野屋牛陽ぃ!!」
「っ!?」
我に返った牛陽。その股間に、勢いよく振り上げられた火麟の膝が襲い掛かった。
グチィィイ!!!!
「!! いやあああああああぁっ!?」
火麟の膝蹴りが、牛陽の急所に直撃したのだった――
《第3話に続く》
ミニラ
2023-04-07 18:48:33 +0000 UTCけんけん
2023-03-29 23:54:39 +0000 UTC