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139.追う強者たち

 ケンジ達が消え去り、残された隊長達とジャスミーナ。 彼らが消えたときの光景を思い出して、ジャスミーナは不思議に思う。 (今のは……テレポスだったのかしら? ディストーマじゃなくて、ミルフィーヌが魔法を発動したように見えたけど。ディストーマはさっきの魔法を消す技でかなり魔力を消費していたみたいだし……)  時空魔法は使えないはずのミルフィーヌ。 彼女のお礼は聞こえたが、唱えた魔法名までは聞こえなかった。 ミルフィーヌが唱えた魔法はテンイスルー。 テンイスルーを習得したことを秘密にしているため、とても小さな声で魔法を唱えたのだ。 (てっきり人間がイドウスルーで逃げると思っていたのに……。どういうことかしら? あの人間はテレポスも使えたのかも。いや、けど……ミルフィーヌが魔法を使ったように見えたのよね)  怪訝な表情を浮かべるジャスミーナ。 明らかに違和感を覚えていた。 「おいおいおいっ!! やってくれたな、ジャスミーナ! 痛いじゃねえかよ!!」  声を荒げたのは、ダメージを負ったオルダンテだ。 ジャスミーナの魔法で上空に吹っ飛ばされていた。 地面に着地して早々、ジャスミーナに文句を言い始めた。 「オルダンテ……ただ突っ込んで斬りかかって来るだけだったら、今みたいに簡単にやられてしまうわよ。あなたはもっとフェイントを使いなさい」 「なっ!? ぐっ……!」  同期の2人。 オルダンテはジャスミーナのアドバイスにイラついたが、図星なので言い返せない。 そんな微妙な雰囲気の中、メディアンが近づいて来た。 やはり彼女もジャスミーナの攻撃によって負傷している。 「ジャスミーナ……私の魔法を簡単にコピーしたな!! 真似した魔法で私を攻撃するなんて、性格が悪過ぎる! 腕は本当に衰えていないようだね……!!」  水で形成された龍型の混合魔法。 先ほどの1対1の戦いでメディアンが使用したのを見ていたジャスミーナは、その混合魔法を容易に再現してしまった。 「まぁ、もともとウォーターストリームを使えるからね、私は。あとは形態変化で龍の形にするだけよ」 「くっ! 簡単に言ってくれる……」  眉間にシワを寄せるメディアン。 「あと、性格については……あなたにだけは言われたくないわ」  ジャスミーナが言い返していると、今度はナイリッシュが姿を現す。 彼女は建物や瓦礫の影に隠れてマリエーヌとジャスミーナの攻撃魔法を凌いでいた。 「……で、ジャスミーナ先生。彼女達はどこに行ったんですかねー?」 「そうだそうだ! おい、ジャスミーナ! あいつら、一瞬で消えたよな!? 時空魔法で間違いないよな!?」 「……知らないわ。何で私に聞くのよ! 私はマリエーヌ達とつるんでいるわけじゃないわ。まぁ……普通に考えればテレポスじゃないの? ディストーマは使えるでしょ」 「ディストーマは魔力切れに見えましたけどねー」  ナイリッシュが反論する。 すかさず見解を述べるジャスミーナ。 「そう見せていただけかもしれないわよ? まぁ、魔力が切れて使えないのであれば、あの人間の仕業かも……」  ジャスミーナは、魔法を放っていたのはミルフィーヌだと思っている。 だが、これ以上ミルフィーヌに悪いイメージを抱かせないように嘘をついた。 「あああああ! くそうっ!! 詳細は分からないが、またマリエーヌを逃がしちまった! てめえ、ジャスミーナ! マリエーヌを守りやがったな!」  再びジャスミーナに怒りをぶつけるオルダンテ。 「は? 私が守ったのはミルフィーヌよ。可愛い教え子だったのに、あんなに無茶する子になっていたなんて。……マリエーヌの影響かしら?」  ため息をつくジャスミーナ。 「くっ! 肝心なのはマリエーヌだ! サンビュルーリカにはバリアが張られているから、里のどこかにいるわけだよな!?」  オルダンテがナイリッシュに視線を送る。 「そうですねー。テレポスじゃ里からは出られませんからね。……とりあえず早急に探しますか。この里の全ての出入り口に隊員達を集めておかないとねー。あとは……手配書が効果的ですかね?」  手配書という言葉にジャスミーナが反応する。 「ちょっと!! そこまでするの!? ……ねぇ、ミルフィーヌを手配書に載せるのはやめてよね! まったく、魔女隊は容赦がないわ……」  声を荒げるジャスミーナ。 「誰が新しい魔女王になるのか……その命運が掛かっているんだから当たり前だろ。とりあえず魔女隊と魔女学校は敵対関係になるよな?」 「まぁ、今後の動き次第ですかねー。ウォルグリア学長の意見も聞かないといけませんしー」  ナイリッシュが腕を組みながらジャスミーナを見る。 「え、ちょっとちょっと! ジャスミーナのことをさ、このまま放っておくの? これだけ魔女隊の邪魔をしたのに?」  メディアンが話に割って入った。 それを聞いたジャスミーナが不快感を示す。 「はぁっ? 私に何かしたら、魔女学校の教員全員が黙っていないわよ? 教員の数では少なくとも隊長達に圧倒しているし、都合が悪いんじゃないかしら? もちろん……こっちにはウォルグリア学長もいるしね」 「くっ! 魔女隊の隊員達の中にだって、まだまだ強い奴はいるぜ! 教員に通用する奴だっている!」  そう強く主張するオルダンテ。 「……まぁ、それもそうね」  ジャスミーナは、王宮を出てからここに来る間にも戦闘を行なっていた。 相手はレブリナートの指示で動いた魔女隊の隊員たちである。 数十名の隊員に襲われたが、ジャスミーナは造作もなく制圧して商店街まで来た。 (隊員たちのレベルは思っていたより低かったわ。……正直、たいしたことはない)  あえて口には出さないジャスミーナ。 (……煽り過ぎには注意しないとね。もしこの場で1対3の戦闘になったら、圧倒的に不利だわ。やはり隊長達は強い。メディアンは殺傷力のある新しい魔法をまだ隠しもっているかもしれないわ。オルダンテのスピードも侮れないわね。ナイリッシュは不気味。今回、まったく手の内を見せなかった。あまり戦闘データがないのよね……)  ジャスミーナが考えていると、ナイリッシュが口を開いた。 「答えてくれないと思いますが……学校側は、我々に隠れてマリエーヌと接触するつもりはありますかー?」 「……どういうことよ? もしかして、魔女学校がマリエーヌと結託して新しい魔女法をつくって、あなた達の前で発表して、魔女学校が実質的にサンビュルーリカを牛耳るってこと? そんな学校側と魔女隊で全面戦争になるようなこと、学長はしないと思うけど」 「なるほど……答えてくれてありがとうございます。参考になりました。あなたや学長の身に何かあれば学校側は戦うけれど、我々と戦ってまで次期魔女王になるつもりはないってことですか。まぁ、ひとまず学校側とは一時休戦ですねー。仕切り直しです。……さーて、さっさとマリエーヌを追い詰めますかー。それが急務でしょう」  魔女学校側の動きに探りを入れたナイリッシュ。 話を切り上げ、ナイリッシュ達は瓦礫の中を歩き出して王宮に戻って行った。 マリエーヌを探し出すため、魔女隊が本格的に動き出す。 --- 〜ご支援してくださっている皆様へ〜 ここまで読んでくださり、ありがとうございました! 申し訳ないのですが、この話でいったん魔女王編の更新をストップします。 ここまでで3〜4割ぐらい書けましたが、長編になってくると負担が大きく疲弊してきたので、休息しながら時間を掛けて書いていこうと思います。 しばらくはエッチな短編を書いていく予定です。 今月の後半は、以前に支援者様からコメントをいただいた、エリィの城の「専属奴隷」と「フリーの奴隷」に関する話を投稿します!! 20000字近い話になりそうなので、前後編に分けます。 前編は全体公開で、後編は先読みプラン限定にさせていただきますね(それぞれ9/20と9/27の17時に投稿予定)。 それでは、よろしくお願いします……! Subtle


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