112.エリィの過去(前編)【異世界に勇者として転移したが、強過ぎるサキュバスとか魔女とかに屈服してイカされ続けた】
Added 2023-01-31 15:00:00 +0000 UTCご支援して下さっている皆様へ 新作を投稿いたします!! 【異世界に勇者として転移したが、強過ぎるサキュバスとか魔女とかに屈服してイカされ続けた】の追加エピソードで、サキュバスの魔王であるエリィの話です。 この話を含めて2月中に3話分投稿して完結を予定しておりますので、よろしくお願いします! 本編を読んでいない読者様は是非こちらもどうぞ↓(pixivです) https://www.pixiv.net/novel/series/8811778 --- 春先の谷にてケンジがマリエーヌに決意表明をした日、魔王エリィは自分の城にいた。 7階にある、かつてケンジとエリィが初めて出会った部屋の中である。 彼女の城は石造りで、その壁は石灰で塗装されているため白色だ。 大きくて縦長の部屋で、赤い絨毯が敷かれている。 現在、昼下がり。 今日もエリィの魅力は顕在だ。 薄暗い部屋の中、玉座に座りながら絨毯の上に2人の魔人を並べている。 その2人とは、トロルイ兄と弟である。 かつて彼らはエリィを暗殺しようとして返り討ちにあった魔人であり、今は彼女の奴隷として生活している。 エリィは全裸の彼らを正座させて、食事を楽しむつもりだ。 サキュバスにとって食事とは、もちろん雄の精液を搾り出して体内に取り入れることである。 トロルイ兄弟は全裸なので、その鍛え上げられた筋骨隆々の肉体があらわになっている。 そんな実力者でさえもエリィの美貌には敵わず、その視線は彼女の姿に釘付けだ。 その一方で、エリィは腕を組んだ状態で立ちながら奴隷達を見下ろしている。 長いストレートの艶やかな黒髪に、綺麗な白い肌。 細い体にもかかわらず、大きな胸。 丈の長い黒いドレスにキラキラと光るヒールを合わせている。 胸元が見えるドレスなので、その膨よかなおっぱいの上半分が見えていて興奮を誘う。 もし彼女が仰向けに寝ていたとしても、その膨らみは充分過ぎるほど大きなものだ。 彼女の端麗な立ち姿を見ただけで、奴隷の魔人達は勃起してしまっている。 「さて……今日もお前らの精液をいただくぞ」 大きな瞳をさらに見開き、エリィが宣言する。 兄のほうは先の戦いでミルフィーヌに魅了されていたが、搾精され続けて再びエリィにも魅了されてしまっている状態だ。 エリィが冷徹な視線を2人に向け、舌を出して自身の厚みのある唇を舐める。 尻尾の先端がハート型から女性の性器のように変形し、兄の肉棒に食らいついた。 彼の全身が震える。 「あはぁっ!? ああぁっ!! あひぃぃぃぃ!?」 尻尾は肉棒の根元まで吸い付いて離さない。 日常的に搾り取られているものの慣れることはなく、快感に酔いしれる魔人。 (きょ、今日もなんという快感……!! 暖かい! 締まりは昨日よりも強い!! き、気持ち良い……) 彼は正座の状態のままヨダレを垂らし、白目を剥きながら叫んでいる。 「さぁ、いくぞ? 私を満足させてみろっ!」 エリィが強めに言葉を放つ。 冷徹な視線のまま、兄を見下ろしながら。 (エリィ様に見下ろされる快感!! 下から見るエリィ様の美しさ!!」 下から見ると、黒いドレスに包まれた胸の膨らみが目立ち、興奮を誘う。 エリィは腕を組んでいるが、それでも胸のシルエットは充分に確認できる。 「毎日毎日、エリィ様の美しい姿を見られるなんて!! こ、この状況……す、すぐに出てしまう! すぐに出てしまうぅっ……!!) 肉棒の根元に位置していた尻尾の先端が、亀頭まで上がっていく。 一瞬動きを止めた後で再び根元に戻り、その往復動作を繰り返す。 襲いかかる肉体的な快感と、冷酷な表情のエリィに見下ろされるという精神的な快楽に兄の射精感が強まる。 「ああああぁっ!! で、出るぅ……! 出ますうぅっ……!! あ、ああああぁっー!!」 ペニスの根元から先までを3往復したところで、彼は射精した。 「出したか。どれ、今日の味はどうだ?」 エリィの尻尾が肉棒をバキュームし、精液が彼女の体内に吸い込まれる。 「う、うわあぅっ……!! あ! あはぁ……あああぁぁっ……! はぁっ……はあぁっ……」 魔人は喜びの表情を浮かべながら息を切らしている。 正座のまま体を痙攣させ、下からエリィを見つめていた。 「まあまあだな。……さぁ、次だ」 エリィはバキュームするのを終了し、すぐさま弟の魔人の股間に尻尾を向かわせる。 「う、嬉しいです!! ありがとうございます! ありがとうございます……!!」 隣で兄が搾精されているのを見て、弟はオナニーしたい衝動を必死で抑えていた。 ついに自分の番が来た……と、歓喜の声を上げる。 彼のペニスがエリィの尻尾でゆっくりと覆われていく。 (や、やっぱりすごいぜ……! これまで何度も何度も搾精されているのに、初めてかのような快感だ!! き、気持ち良い……。し、幸せだぁ……) エリィは相変わらず腕を組みながら立ち、尻尾だけを動かしている状態だ。 そんな最小限の動きで搾取されながらも幸せを感じる弟の魔人。 ゆっくりと動いていた尻尾の動きが止まり、根元まで咥え終えたことに気づいた。 男根が全て覆われたことに嬉しくなり、弟は満面の笑みを浮かべた。 エリィは彼の笑顔に目もくれず、冷めた表情で口を開く。 「いつもより尻尾の中を細かく速く動かしてやろう」 エリィの尻尾の中には無数のヒダが存在している。 ヒダの1つ1つを思い通りに動かすことができるため、その動きのバリエーションが無数にある。 これが何度搾精されようとも快楽に浸れる理由の一つだ。 「ああぁっ!? あひぃっ! き、きもちいいぃぃっ……!! で、で、でちゃううぅ……」 尻尾の中は暖かく、高級なローションでも塗られているかのような滑りの良さである。 さらに無数のヒダを細かく速く思い通りに動かされては、射精まで時間は掛からない。 情けない大声が部屋中に響く。 「あああぁっ!! イキます! イキますぅっ!! こんなに早くうううぅっ……!!」 弟の全身が痙攣する。 そして、正座の状態を続けられなくなって前に倒れる。 エリィの妙技が瞬時に絶頂をもたらした。 「もう出したか。兄は3往復耐えたが、弟のほうは一瞬だったな」 「あ……あはぁんっ! あはあんっ……!! エ、エ、エリィさまぁ……!!」 倒れた弟は、体を痙攣させながらエリィの名前を呼んでいる。 「尻尾の内部を動かしてしまうと一瞬で射精してしまうな。精液の味も劣ってきたか……?」 彼女はバキュームしながら精液の味を確かめたが、少し不満そうだ。 すぐに気持ちを切り替え、尻尾をペニスから外す。 「……そう言えば、今日は魔界から客が来る。それまではひたすら頂くぞ」 エリィは腕を組んで兄弟を見下ろしながら、その後も兄、弟、兄……と、交互にひたすら精液を搾り取っていく。 ときに腕を組み替え、脚の位置を変える。 そして、射精が近くと少し口元を緩ませながら舌で自分の唇を舐める。 そんな細やかな動きをする度にエリィの胸が揺れ、その揺れに合わせて艶のある高級な黒いドレスもわずかに動く。 ただそれを見ているだけでも、彼らの心は奪われていく。 「エ、エリィさま! エリィさまぁっ~!!」 「ありがとうございます! ありがとうございますぅ……!!」 兄弟ともにお礼を繰り返す。 そんな感謝の言葉など聞きもせずに、エリィは沈黙して何かを考えている。 (ふぅ……こいつらの味は悪くはないが、満たされない。やはりチキュウ人の精液が欲しい。……早く戻って来い。私は我慢しているぞ……!) エリィは日常の食事に満足していない。 最も美味である精液をもつケンジのことを思い出している。 毎日味わえないことを強く認識し、弱気な表情になっていた。 「エ、エリィ……さま?」 「大丈夫でしょうか……?」 彼女の表情を見て、魔人達が心配している。 (くっ……! 奴隷達の前で弱さを見せてしまったか! 最近、私はおかしい。あのチキュウ人には弱いところばかり見せている気がする。この城の王である私としたことが、なぜか弱気な発言をしてしまうのだ!! この生活を守るために、もっとしっかりしなくては……) 最高級の精液を思い通りに味わえないこと、そしてケンジが用いた濃縮液の影響により、エリィは精神的に不安定な状態にあった。 弱気な表情を隠すことに努めていると、誰かが7階に上がってくる気配がした。 (む……誰だ? まだ客は来ないはずだが……) エリィが入り口のほうに目をやると、懐かしいサキュバスの姿が見えた。 「……食事中に失礼するわ。久しぶりね、エリィ」 部屋に姿を現したのは、エリィに勝るとも劣らない美女。 赤毛のボブカットで赤い瞳、真紅のロングドレスを身に纏っている。 エリィほどではないが、美形・美白で細い体、そして豊満な胸の持ち主だ。 目尻が上がっており、強気な目つきである。 もちろん他のサキュバスと同様に黒い翼と尻尾が生えている。 玉座に向かって足早に歩き出すと、徐々にその姿がハッキリと見えてきた。 薄暗い部屋の中、その目から放たれる鋭い視線がエリィの大きな瞳をとらえる。 「……む? お前か、【シャーロット】。予定の時刻より早かったな」 会う約束をしていたのは、このシャーロットと呼ばれたサキュバスだ。 赤い絨毯の上を優雅に歩いている彼女に対して、エリィは身構えている。 シャーロットは正座する奴隷達の前に立ち止まって口角を上げ、再び口を開く。 「あら? 私……ずいぶんと警戒されているのかしら? あなたとは親友だと思っていたけど」 自分に対して身構えたエリィを見て、疑問を口にした。 「親友……だと? 笑わせるな。そんな綺麗な関係ではないだろう」 「そうかしら? 私たち、命を助け合った仲よね? 腕っぷしはあなたより弱いけど、私のほうが戦略とか政治とかに使う頭は良いわよ。お互いの長所を活かして頼って頼られる戦友……そんな関係が適しているかしら?」 彼女の言葉を受けて、エリィが眉間にシワを寄せる。 (私は頭が悪い……と言いたいのか? 相変わらず嫌なことを平気で言う奴だ) 嫌な感じがしたが、彼女の言っていることは概ね正しい。 そこには触れずに会話を続けることにした。 「お前のことを頼りにしている面はある。……が、この世界を生き抜くために、政治的な意味で頼りにしているだけだ。親友や戦友といった、『友』という言葉を使うのは違うな」 「あら、冷たいのね」 首を傾げるシャーロット。 「……」 沈黙するエリィを見て、シャーロットが話題を変える。 「そう言えば、相変わらず美術品や高価なインテリアを集めているのね。ここに来る途中にも色々と飾ってあったわ」 部屋を見渡しながら、エリィが集めた品物について言及した。 エリィの城には、至るところに絵画や壺、置物などが飾ってある。 他にもシャンデリアや絨毯なども、自分で選んだものだ。 そんな拘りの強いところが彼女にはある。 (急になんだ? 会話の目的は一体……?) エリィが様子を伺っていると、シャーロットが口を開く。 「この赤い絨毯は、いつだか魔界に来て私のところに取りに来たものよね? エリィ……私と最後に会ったのは、その時だったかしら?」 彼女が言う『その時』とは、以前エリィがマステラ王国に国王と暗殺者を返しに行ったときのことだ。 その際、シャーロットの国にも顔を出していた。 じつはシャーロットは、魔界にあるサキュバスの国の一つを統治している王なのである。 「ああ、そうだな。……そんなことよりシャーロット、お前の用件は何だ?」 「あら? 用がないと来ちゃダメなの?」 口元に笑みを浮かべて返答するシャーロット。 「……」 またしても沈黙するエリィ。 (シャーロットとは命を助け合った仲だ。確かに頼りになる。しかし、何か腹の中で別のことを考えている気がするのだ。ただのカンなのかもしれないが、信じ切っていいものか……) 頭の中で考えをまとめていると、シャーロットが真剣な表情になった。 「じつは私……あなたの城が半壊したっていう噂を聞いてね。それで来たのよ」 マリエーヌ達がケンジを奪回しに来た際、エリィの城が一部壊れたことが魔界で噂になっていた。 「半壊……? 確かに侵入者が盛大に暴れたが、そこまで壊れはしなかったぞ……」 「……確かにね。でも、下のほうの階はまだボロボロだったわよ。こっぴどくやられたようね」 (こ、このっ……! いちいち嫌なことを言う! こういうところが、この女を信頼し切れない理由なのかもしれない) 決してカンだけでの判断ではないと、エリィが気づく。 そんなエリィを他所に、シャーロットは続けて喋り出す。 「最後に会ったときは、絨毯を取りに来るだけなのに、わざわざ自分で魔界まで来たわよね? 本当は何か私にお願い事があったんじゃないの?」 「いや……とくにない。マステラ王国に用事があったから、ついでに寄っただけだ。絨毯は自分で選びたかったしな」 本当はシャーロットに助けを求めようという下心もあったが、それは言わなかった。 エリィは、この城の警備の脆弱さに不安を抱えていたのだ。 「そうなのね。……でも、地上も大変でしょう? ブルー……だったかしら? あの子達は相変わらずでしょうし……」 「……!」 シャーロットに助けを求めようと思っていたことを見透かされているような発言だ。 今もエリィは、この城の警備に不安を持っている。 「……地上ではうまくやっている」 エリィは動揺を悟られないように、表情を変えずに言葉を返す。 「そうかしら? 城が半壊したのに……」 「半壊はしていないと言っているだろう……! 地上には魔女がいるのだ! 戦闘力が高い者もいる……!!」 「あら? そんなに大きな声を出して……。ふふっ。何か動揺している? それにしても……魔女、魔女ねぇ……。魔女の存在は私も知っているわ。やっぱり地上も大変じゃない」 (くっ! こいつ、何が言いたいんだ……!? こちらから情報を引き出すような、真意を確かめるような……嫌な感じだ) エリィが不快感を表情に出す。 お構いなしに、続けて口を開くシャーロット。 「本当に私の助けは必要ないのね? あのとき、私が言ったこと……覚えているでしょ?」 「あのとき……だと?」 『あのとき』と言われ、エリィの意識が過去に向かう。 そして、シャーロットとの過去を思い出し始めた。 --- エリィは地上に来る前、魔界にいた。 今から100年以上も昔の話である。 100年と言っても、サキュバスの寿命は1000年以上と言われているため、人間からしたら10年ほどの時間感覚だ。 当時エリィは、いくつかあるサキュバスの大国の一つを統治していた。 彼女はサキュバスの中で最強の力をもつと言われており、歯向かう国は徹底的に力でねじ伏せる、最凶の国王として恐れられていたのだ。 エリィは【親衛四天王】と呼ばれる幹部、そして兵士のサキュバス達を500人以上も従えていた。 「エリィ様……最近、北地方の魔人達が勢力を伸ばしています。あの国に対して、何らかの対策を検討しましょうか?」 エリィが魔界の森の中に建てた巨大な城。 その玉座に座る彼女に話しかけたのは、親衛四天王の1人である【メリフィールド】だ。 紫色でセミロングの髪の毛に、健康的な肌と程良い肉づき。 目尻が下がった優しい目をしている。 髪の色と合わせたパープルカラーのミニドレスの上から黒いマントを羽織っている。 戦力・知力ともに四天王の中では断トツでトップのサキュバスだ。 エリィと付き合いが長く、もっとも彼女が信頼している部下である。 「ふむ……あの地方の魔人達は、それほど強くないはずだ。ひとまず様子を見る。この国に攻めて来たとしても私1人で殲滅できるしな。妙な動きがあったら私が出向き、ねじ伏せる」 笑みを浮かべて拳を握りしめるエリィ。 自分の力を信じて疑わない笑みである。 「りょ、了解しました……」 メリフィールドは一歩後ろに下がりそうになる。 エリィが拳を握りしめただけで、城の壁にヒビが入りそうだ。 そんな気迫に圧倒されたのだ。 2人の会話が途切れたところで、エリィは真上から気配を感じた。 「……む?」 彼女が見上げると、そこにいたのは細い体の魔人の男。 突然、魔人が襲ってきたのだ。 (暗殺者か……!? まさか天井にへばりついていたのか?) エリィが立ち上がり、その場で尻尾を上方向に伸ばして攻撃する。 瞬時に繰り出された尻尾による強烈な攻撃。 その一瞬のうちに、数発分の打撃が魔人の体にヒットした。 「くぅっ……!! バレた……だと!?」 エリィに反応された上に攻撃を受けて、魔人の男は攻撃することを諦めた。 床に着地し、彼女の隣で構えている。 黒い腰巻きを身に付け、その手にはナイフを握っていた。 上半身は裸であり、エリィの攻撃に耐えるほどの強靭な肉体であった。 (なに……!? 細い体ではあるが、なかなか打たれ強いな。もう少し本気で行くか) エリィは敵のタフさに少し躊躇したが、すぐに気持ちを切り替えて構えの体勢をとる。 「くらえっ!!」 先に仕掛けたのは魔人の男だ。 彼は前進し、手にしていたナイフでエリィを攻撃する。 「……遅い」 エリィはナイフによる突きをギリギリで避けるとともに、右手で掌底を放つ。 完璧なタイミングで魔人の顔面にカウンターがヒットした。 彼はフラつきながら後退したが、両足に力を入れて立ち止まる。 エリィとメリフィールドに挟まれて不利な状況になった。 「貴様……暗殺者か? いい動きだ。攻撃に移るまで、この部屋にいることに気づかなかったしな。それにしても、この城にどうやって侵入した? この城にいる多くの兵の目を掻い潜って……」 「へっ! そいつは言えねぇな。奇襲が失敗したとは言え、攻撃するまで俺の存在に気づかないとは意外と甘いねぇ? しかも、俺を攻撃するチャンスが2度あったのに殺せないとはな! それでもこの国を統治するサキュバスの王かよ……エリィ!!」 大声で捲し立てる魔人の男。 その様を見て、エリィはため息をつく。 (やれやれ、調子に乗っているな。魔法を使うか……) 彼女は魔法で攻撃を仕掛けようとしたが、魔人の姿を見てあることに気づいた。 「ん……? 待て、貴様……その紋章、北地方の魔人か? ここまで力をつけていたのか」 魔人の首には黒色の紋章が刻まれていた。 メリフィールドが気にしていた北地方の魔人であることの証明である。 「……だったらどうした? エリィ王、お前を殺す気はないぜ。生け捕りだ」 「こちらこそ生け捕りにする気だから手加減をしている。メリフィールド……皆に伝えろ。こいつの仲間が侵入しているかもしれん」 戦いに入れず、見ているだけだったメリフィールドにエリィが訪ねる。 「……」 しかし、彼女は無表情で沈黙しており動かない。 「どうした? 早く動け」 エリィが圧力をかけるが、メリフィールドは反応しない。 すると、部屋の入り口から3人のサキュバスが現れた。 親衛四天王の残りの3人であり、全員美貌を備えている。 そのうちの1人が一歩前に出て喋り始める。 「……私達が雇ったんです。北地方の魔人の暗殺者ですよ。エリィ様……この国では、あなたに反感を持つ者は多い。我々を筆頭にね」 突然の告白。 3人の美しいサキュバスの目には、エリィへの明らかな敵意が宿っている。 「なっ……!! 貴様らっ!! 私を裏切ったということか!?」 動揺するエリィに、四天王の3人は呆れた表情を向ける。 「我々の考えに全く気づいていなかったとは……」 「北の魔人を格下だと思っていましたか? 慢心ですよ、エリィ様」 「私たちのことも見下していたんじゃないんですか? そういうところですよ」 自分に従っていたはずの幹部達。 エリィは突然の謀反に驚きを隠せない。 「『そういうところ』……? どういうところだ……? 私に……原因があるのか?」 顔色が悪くなっていくエリィ。 四天王の3人は口撃を緩めない。 「あなたは王に相応しくないのですよ。我々の意見は一致しています。隣国のシャーロット王と怪しいつながりがある……そんな噂も流れているようですしね?」 「シャーロット王との噂もそうですが、そもそもあなたは人格的に国のトップに相応しくないんですよ」 「まだまだ北地方の魔人を連れて来ていますよ? 戦闘向きの手練れがね」 彼女たちの後ろから現れたのは10人の魔人。 「……!!」 全員体が大きく、大きな魔力を放っているのが分かる。 エリィは相手の力を推し量り思考する。 (……どうする? 暗殺者の魔人1人に、さらに屈強な魔人10人。そして親衛四天王が3人。この数……勝てるか? ……確実に勝てるとは言い切れんな) 突然の裏切りに判断ができずにいるエリィ。 「そうか。私は……追い込まれているのか。メリフィールド……一緒に戦ってくれるか?」 傍観していたメリフィールドに助けを求めるエリィ。 「いえ……私もこちら側です」 彼女は暗殺者の魔人とともに部屋の入り口に向かって歩き、四天王達と合流する。 「なっ!? メ、メリフィールド……? お前も!? う、裏切るのかっ!?」 「はい……」 無表情のまま返事をするメリフィールド。 「むしろ彼女が発案者です」 「メリフィールドさんに付いて行きますよ、私たちは!」 「長年、信頼していた部下に裏切られる気分はどうですか?」 残りの四天王の発言により、彼女達の考えが次々と明らかになる。 エリィはたまらず一歩下がり、思考を巡らせる。 (なんということだ……! 私は彼女にも嫌われていたのか。皆、私の命令を聞き続けてきたから、嫌われているなんて考えたこともなかった。……ショックだ) 自分の顔に冷や汗が伝うのを感じた。 両の拳を握りしめ、必死で言葉を捻り出す。 「くっ! 私は……信じていたぞ。信頼関係はあると思っていた……!」 その言葉に、メリフィールドが目を細める。 「……何を言っているんですか? 私はあなたに、怒りしかありませんよ……! あなたは力に任せて言い聞かせているだけです! 誰もあなたに逆らえない! 従うしかない!!」 「き、貴様……!! 私が教えたと思っていたが……。戦い方も、魔界での生き方も……!!」 エリィはたまらず感情的になる。 しかしメリフィールドの恨みは強く、声を荒げて発言する。 「勝てないと悟り、情に訴えかけているんですか!? あなたでも、これだけの数の力には敵いませんね!!」 (くっ! 私の言葉が伝わっていない! 私のことなど……) メリフィールドの反応にエリィが絶望する。 思考を続けると、胸の辺りが苦しくなってくる。 束になった部下達の力。 彼女達から向けられる冷徹な視線。 エリィは辛い気持ちになっていた。 (体の力が入らん……。その目で見るのをやめてくれ) 落ち込むエリィ。 自分が嫌われていることなど、考えたこともなかった。 心にダメージを受けてしまったのだ。 そんなエリィのことなどお構いなしに、メリフィールドが会話を続ける。 「せめて命は取らないでおきましょう。他国に力を示すため、あなたの名は必要です。表向きはあなたが国王ということにしておいてもいいですね。まぁ、ひとまず牢屋に閉じ込めておきましょう。あなただけが知っている他国とのやり取りを吐かせます。機密事項は全て吐いてもらいますからね」 メリフィールドが方針を示した。 その優しかった目には憎しみがこもっている。 エリィは四天王達に取り囲まれ、連れて行かれてしまった。 --- 続きは2/8(水)、2/15(水)の0時に更新予定です! Subtle