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22.(最終話)まだまだ現役です【宿屋に泊まったらパーティの女賢者に魔法責めされて、超絶イキ地獄を味わいHPが0になった】

 俺は死ぬ……のか? ルーが何か喋っているところまでは意識があったけど。 今はボンヤリしていて、視界は真っ白だ。 まぁ、死んでしまっても仕方がないよね……。 ちょっとムリをし過ぎたかな、いくらなんでも。 呪いのリングを外すためとは言え、ムチャし過ぎた。 けど、あの方法以外に戦法が浮かばなかった……。 後先考えずに戦わなきゃ、間違いなく全滅していた。 (勇者様! 勇者様……!!)  ……あ、あれ? なんだかルーの声が微かに聞こえるぞ。 ルー……俺とエッチしてくれたルー……。 「あっ! 勇者様……!! よかったです! ようやく……気がつきましたね。いま、回復魔法をかけていますから」  え? 回復魔法……? 「まだ絶命していなかったので、なんとかなりました。口と喉の部分が焼けて大変なことになっていたので重点的に治療しましたよ」  ルーの回復魔法か! そのおかげで、死なずに済んだんだな……! 「あ……」 「まだ動かないでください! 今から、手をくっつけていきます」  手を……くっつけていく? 「ちょっと大人しくしていて」  なっ!? レインが俺の手を支えてくれている! 切断してしまった手を拾ってくれたんだな。 敵対関係にあったはずなのに、ありがとう……。 まさか……くっつけるつもりなのか? 「癒しの精霊よ、その魂の一部を我に譲ることを許したまわん! ……我が手にその魂を集めたまえ! 接合魔法……ジョイン・ヒール」  ルーが詠唱した。 接合魔法……? 切断された部位を接合するための魔法だろうか? そんな魔法の存在は聞いたことがあるけど……。 規格外な魔法だったはずだ。 やはりすごいな、ルーは……!! 「勇者様……そのまま動かずに聞いてください。私は……これまで舐めていました。勇者様の戦闘能力……いえ、勇者様の、なりふり構わず何が何でも使命を達成しようとする意志を」 「ルー……?」  な、なんて嬉しいことを言ってくれるんだ! めちゃめちゃ俺に敬意を示しているじゃないか! 大好きなルーにそんなことを言ってもらえて、泣きそうになるよ……。  ん? 今度はレインが喋り始めるぞ? 「本当にあなたは……なんで、なんで怖くないの? 私は……震えて動けなかったのに……」  お、おお……。 レインが弱気だ。 『なんで怖くないの?』……か。 喉と口を直してもらったから、俺はもう声を出せるよね。 「……いやいや、俺だって怖いよ。死ぬかもしれないから。……怖いけど、勇者としての使命は……失敗できないからね。負けたら死ぬ。怖くて逃げたとしても、世界中の人から非難される。恐怖心から戦えなくなってしまったら、ムリヤリ【引き継ぎ】をしなきゃいけない。自分で死ぬか、子孫を残すかだ。魔王軍と戦う新しい勇者が成長するまで時間が掛かってしまうから、俺は世界中から恨まれるってわけだ」  赤裸々に話すと、こういうことだ。 勇者の責任は重い。 「……」  レインが黙って聞いているぞ。 ルーも俺の言葉に耳を傾けている。 2人して黙って俺の言葉を待つなんて……。 ……この機会に俺の意見を主張しておこうかな。 賢者達が企てた勇者を無力する計画に対する、俺の返答だ。 「俺はまだ……戦えるんだ。まだ現役なんだ。戦える限りは、勝たなくてはいけない。こんなことを言ったら、また怒られるかもしれないけど……君たちよりも今はまだ強い。まだ戦えるんだ……」 「……そうね。それは今回の戦いで分かったわ」  レイン……なんか素直になったな。 ルーも頷いているぞ。 「もちろん、俺は2人の能力をすごいと思っている。いずれ俺を抜かすはずだよ。俺は若くてセンスある才能を尊重したい……って思ったんだよ、2人のことを見てさ」 「勇者さま……!! 私も、まだまだ腕を磨かないとなって思いましたよ!」  ルー……前向きだ。 そして、俺に従順になっている気がする……。 レインは何かを言いたいようだ。 ……何を考えているんだろう? 「あなたが歩んできた人生と、今どう思っているかは分かったわ。私は……里に戻る。もう……あなたの睾丸を潰すことなんてできないもの。実力的に無理だし、その……あなたは命の恩人だし」  デスヌーダとの戦いで、大きな心境の変化があったんだな。 「ルー……私は里に帰るわ。大賢者様に報告して、方針を決めなきゃ……。呪いのリングが外れたから、方針は変わってくるわ。勇者の本来の実力も分かったし。魔族の強さも、ちゃんと報告しないと……。この地上に勇者がいなきゃ、魔王軍の残党を全滅できるかどうかも怪しくなってきたから……」  お、おお……そういうことか。 賢者の里は、魔族ぐらい自分達でどうにかできるって思っていたんだな。 確かに……デスヌーダ級の魔族がまた現れたら賢者だけでは勝てないだろう。 「そうですね。勇者様の存在が、今もなお、この地上にとってどれだけ大切なものなのか……身に染みましたよね」  ルー……ありがとう。 「……保守派が冷静にレインの意見を聞いてくれればいいな。この先、どういう方針になるのかは分からないけど……」 「そうね。里は……根本的なところは簡単には変わらないわ。長い歴史があるもの。賢者の純粋な血を守り、この世界に賢者の時代をつくるのよ。……じゃあ、そういうことだから。ルー……また戦いましょう。今度も負けないから」 「のぞむところです。……まぁ、殺し合いはナシで」 「そうね。勇者を超える力をつけて、さっさと引退させましょう」  レインがニヤリと笑った。 「雷の勇者リット……命を助けてくれて、ありがとう」  あ、レインがお礼を言ってから去って行った。 なんか……本当に素直になったな。 「……というわけです、勇者様。これから保守派がどうするのか……予想できませんけど」  ルーと2人きりになった。 これからの方針を話し合わないとな。 「……そうだね。まぁ、みんなが無事で良かった。……ルーは、これからどうする?」 「私は……勇者様と一緒にいます。妊娠しているかもしれませんからね」 「そ、そうだよね! 良かった……。過激派の人たちは……」 「レインが、師匠たちは神殿から逃げたと言っていましたから。心配無用です。今ごろ私たちを探していますよ」 「……そうか。そうだな」 「勇者様は……どうするんですか?」 「俺は魔王軍の残党を倒すための旅を続けるよ。もちろん、ルーと一緒に。で、カタストロフ王国の管轄からは抜けることにするよ」  俺の決断を聞いて、ルーが目を大きくして驚く。 「えっ!? 何でですか? 勇者としての活動がしやすいって言っていたじゃないですか」 「いつだかルーに、『カタストロフ王国って調子乗りすぎ』……みたいなことを言われただろ? あのとき、確かにな……って思ったんだ。あとさ、過去にカタストロフ王国がルーにしたことに嫌悪感を覚えている。それに、ライスタールの町に兵士を派遣していないし、俺に町を助けろっていう指示もなかった。なんかね、ルーとの旅の中で、王国を信用できなくなっていったんだよ」 「ゆ、勇者様……? なんだか、変わりましたね……」 「そうだな……ルーの言葉がきっかけになったのかもしれない。ルーのおかげだよ」  ルーが嬉しそうだ。 俺が本当に変わった瞬間は、神殿の牢屋でルーのことばかり思い出していたときかもしれない。 ……これは恥ずかしいので言わないでおこう。 「……」  ん? ルーが何かを真剣に考え始めたぞ? 「……勇者様が王国から足を洗うのであれば、話は変わってきます。もう、賢者の里を2つに分けちゃってもいいと思うんですよね」 「え……なんだって!? どういうこと?」 「勇者様と私、私たちの子供、あと、過激派のみんなで……1つの里を作るんです。……勇者様と私がちゃんと繋がっていれば、できるはずです。これまでは、カタストロフ王国との均衡が崩れてしまうので、大々的に里を2つに分けて戦力を分散するなんてことは考えもしませんでした。けど、勇者様がいればカタストロフ王国は怖くないです」 「それは……なかなか妙案かもしれない。まさか……また俺を無力化したりはしないよね?」 「もちろんしませんよ! 勇者様がいないと……王国や魔族を相手にするのは困難ですから。デスヌーダのような魔族がまだいて、また新しい魔王が出現しないとも言い切れませんし……」  あ、あれ、そういう理由? 俺のことを好きだから……とかじゃなくって? 「そうだね。で、つまり……その提案って、ルーは俺と……その……結婚……するってことだよね?」 「え、結婚!? いや、あのですね……結婚って! 結婚は……まだ話が早いですね……。私は勇者様のことをまだ好きって訳でもありませんし……。ちょっと、早とちりしないでくださいね? 本当に、そういうところですよ……勝手に突っ走って、童貞じゃなくなったのに、童貞っぽいというか……。さすが良い年こいて童貞だったというか……」  え、えぇっ!? 俺の童貞な感じをまだ責めるのか! そっちだって良い年こいて、おしっこを漏らしていたくせに……。 とか言いたいけど、そんなことを言ったら、またデリカシーがないとか言われそうだ。 って、やっぱりルーは俺のことを好きじゃないのか……。 デスヌーダ戦を終えて、かなり好印象を与えたようだったけど! 「お、俺のこと……どう思っているんだ!? 本当に好きじゃないのか!? やっぱり、俺の精子と戦闘力を利用したいだけなのか!?」 「い、いやいや! そんなことないですよ!? ちょっと前までは精子だけでしたけど……今は……」 「い、今は……!? 俺のことが好きなのか!? 結婚……してくれるのか!?」  「な、なんでそんなガツガツした怒涛の質問責めになっちゃうんですか!? 私のことが本当に好きなら、もっとプレゼントを渡しながら『俺がルーを幸せにします!』とか、言ってくれたら嬉しいんですけどね……!」  な、なにぃっ!? そんな! いきなり……何の話だ!? プ、プ、プレゼントォ……!!? 「あ〜あ、せっかくデスヌーダを倒して格好良いとか思っていたんですけど……」 「え! か、格好良いとは……思ったんだね?」 「はい。もし私と結婚したかったら……今後、さっきの戦いみたいに格好良いところを見せてください。いいですね、勇者様」 「……お!? お、おお! 当たり前だ!」  あ、あれ!? な、なんか希望がある感じだぞ!? 「あとは……やっぱりデリカシーですね」  うっ!! 「そのぐらい、あ、当たり前……だ……?」  デリカシーのほうは自信ない……。 「え……そんな弱気な返事でいいんですか?」 「い、いやいや! デリカシーについても……当たり前だ!」  よし、言い直したぞ。 ルーが笑っている! 今しかない……!! 「俺がルーを……幸せにします!」 「あ、いいですね♪ けど、プレゼントがありません」 「なっ!? そ、そうか……」 「まぁ、その調子でアプローチしてくださいね、勇者様♡」  お、おおおっ!? なんか良い感じ!? 俺はルーをメロメロにすると決意したぞ! 「よし……ルー。新たなスタートだ。ライスタールの町に戻ってデスヌーダを倒したことを報告しに行こう! そして、引き続き魔王軍の残党を倒しに行くぞ!!」 「はい、了解です! あ、勇者様……魔法屋にも寄って行きましょうよ! もしかして今の戦いで、レベルが上がってるんじゃないですか? 無詠唱もできるようになりましたし、まだまだ現役ですね!」 「え、レベル? ああ! そうだな! ようやく……レベル92から93になっているかもな!」  もう30代中盤だけど、俺はまだまだ……現役だ!! --- 『宿屋に泊まったらパーティの女賢者に魔法責めされて、超絶イキ地獄を味わいHPが0になった』~完結~  この話で完結いたします! 初めてFANBOXで連載し、完結することができました! 最後まで読んでくださり、ありがとうございます!! 1年以上前にこの話のもととなる短編を投稿しました。 そのとき、このラストバトルを思い描き、これは絶対に長編で書きたい! ……と思っていました。 雷の勇者のように、自分より若い子に負けずに、できるだけ長く現役でいたい……そんな気持ちも込めたつもりです。  皆様、ご支援いただき、本当にありがとうございました。 私の小説に課金して読んでくださる……という事実は、とても励みになりました。 いずれは表紙や挿絵のあるライトノベルを投稿したいと考えていまして、その資金にさせていただきます。  なお、雷の勇者リットの小説は、FANBOXのプロフィールや最初の投稿でお知らせしたとおり、来月以降のどこかのタイミングでpixivやその他のサイトで公開いたしますので、ご了承ください。 今後のFANBOX内での投稿についてはまだ未定ですので、ご注意ください。 もちろんなるべく早く再開したいと思っております……!  それではまた、どうぞよろしくお願いいたします!! Subtle


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