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14.若い2人が才能を見せつけてきます【宿屋に泊まったらパーティの女賢者に魔法責めされて、超絶イキ地獄を味わいHPが0になった】

 現在、賢者の里へ向かっているところだ。 俺はルーと歩いている。 昨夜は森で野宿をした。 この森の先に賢者の里があるらしいが……。 空を飛んでいると目立ち過ぎるため、歩くことにした。 そろそろ、森を抜けてもおかしくない頃だ。 「夜に行動したほうが見つかりにくいとは思いますけど、ここら辺の魔物は夜間、凶暴なんですよ……。群れを成すこともありますし」  ルーが俺に告げた。 夜行性の魔物が生息しているのか……。 「……そうか。魔物の群れは危険だよな」  1体1体はたいしたことがなくても、数の暴力は命に関わるぜ。 「そうです。夜間に飛行するのもアリかなって思ったんですけど、空にも魔物はいますし」  ルーは、性格はともかくとして、ちゃんと考える子なんだよな。 イライラしていたのもおさまったみたいだ。 冷静に、より安全性の高いルートを選んでいるぞ。 「森の中の道なき道を進んでいけば、里からの刺客には見つからないんじゃないかと……」  そう、俺たちは今、道なき道を進んでいるんだ。 草木を掻き分けて進んでいるぞ。 「そうだな……追って来ているレインにも注意だ」 「はい……戦闘力についてはレインが1番、要注意人物です」 「そうなのか? 里にもっと強い賢者はいないのか?」 「います……。例えば大賢者とか、その親衛隊の2人が強いですね。でも……彼らほどの賢者は、わざわざ里の外には出て来ないでしょう。他にも、私の師匠が強いですね。私の見解では、里のNo.1は師匠です」 「……師匠? ルーの師匠ってことは、過激派か?」 「はい、そうです。私がまず助けを求めたいのは師匠ですね。……けど、師匠は貧民街の出身者です。過激派として疑われ、身動きができない状態かもしれません」 「そうか……」 「とにかく、里の外に出てくる賢者のうち、要注意なのはレインです。彼女は……まだまだ本当の力を見せていません」  なるほど……。 ルーは選抜試合とやらで彼女に勝ったし、昨日は無事に逃げ出すことに成功した。 ルーのほうが一枚上手だと思っている。 それにもかかわらず、次も同じように切り抜けられる保証はないってことだな。 10回戦ったら、何回かは負けてしまうのかもしれない。 「あ、勇者様! 森を抜けましたよ。この草原を進めば、賢者の里があります」  彼女の視線の先は……見渡す限り、草原だな。 青い空が広がっている。 格段に見通しが良くなった。 ということは…… 「こ、ここは……隠れる場所がないな」 「……そうですね。この草原は致し方ないです。後ろからレインが来るか、前から刺客が来るのか、それとも過激派の誰かが助けに来てくれるのか……」 「駆け抜けるしかないか?」 「そうですね、走りましょう。……空の魔物も少なくなってきたので飛んで行きたいところですが、もう里が近いので目立ち過ぎてしまいます」 「そうか……」  というわけで、俺たちは草原を走った。 ふぅ……誰とも遭遇しなきゃいいけど。 「……ここら辺で曲がっておきましょう」  しばらく走っていると、前を走るルーが伝えてきた。 「なぜだ?」 「里の裏口から入るからです。過激派のアジトまでバレずに入り込みたいところですが……」  過激派のアジトか……。 過激派は、俺の睾丸を潰す気はない。 むしろ子供をつくろうとしている……。  睾丸を潰されることはないから、今は過激派についておくか。 「……もう過激派狩りが始まっている可能性があります。師匠……大丈夫でしょうか……」 「師匠……。さっきも話に出てきたな」 「あ、はい……。お世話になりましたし、過激派の中心人物なので、絶対に無事であって欲しいです」 「そうか……。水晶玉で連絡を取れないのか?」 「え? ああ……水晶玉のことをレインから聞いたんですね? あれはですね……大賢者としか繋がらないんですよ」 「なるほど……」  ……連絡手段はないということだな。 それにしても、ルーの師匠……か。 里でNo.1って言っていたな。 それは強そうだ。 過激派は睾丸を潰してこないからいいけど……俺はこのままだと、ますます逃げ出せなくなってしまうな。 「勇者様! ストップです!」  ……ん? ルーが立ち止まった。 顔色が変わっているぞ。 真剣な表情だ。 あ……目の前に誰かいるぞ! 「ルー……! 誰かいるぞ!?」 「……わかっています」  スタイルの良い女性だ。 綿製の赤いワンピースが長い手足に似合っている……。 この子は…… 「見つけたわよ!」  レインだ!! なぜ前方に? いつの間にか追い抜かれていたのか……!? 「レイン……! どうしてここに?」 「賢者の里にたどり着くには、この草原を抜けるしかないもの。待ち伏せしていたわ」 「飛んでいる間に差をつけたと思っていましたが、いつの間にか抜かれていたんですね」 「そりゃ、警戒しながら進んでいるあなた達とはスピードが違うからね」 「くっ! 町には寄らずに来たのですが……。遅かったみたいですね」 「やっぱり野宿していたのね。大賢者様のアドバイスどおりだわ。……この場所も大賢者様に伝えたから、刺客が向かってきているわ」  これはもう……里が一丸となって俺の睾丸を潰しにかかっているな。 「……そんなに俺の生殖機能を停止させたいのか!」 「そうよ。あなたの存在意義を完全停止させる……それが私たち貴族の目的。最終的にはカタストロフ王国にも勝利し、賢者の時代がくるわ。……逆に過激派は勇者の血を取り込もうとしているのよね? ルー……あなたは過激派ってことで間違いない?」 「……」  ルーは黙り込んでいる。 その眼は真剣なままだ。 「沈黙ってことは、イエスってことね?」 「賢者の里で勇者にセックスさせて、その血を取り込もうとしているのね。誰が身篭るのかは知らないけど。勇者の力は、生まれてくる子に引き継がれる……。まさか、あなたが過激派だったなんてね」 「……」 「もう一度聞くわ。ルー……あなたは本当に過激派なの?」 「……さぁ、どうでしょうね? 力づくで聞いてみたらどうですか?」 「そう。過激派なら、あなたは……死刑になるわ。私は……あなたに死んで欲しくはない」  レインが悲しみの表情に変わる。 ルーへの想いをはっきりと告げたぞ! 死んで欲しくないんだな……! ……ん? また彼女の表情が変わったぞ。 あれは憎しみの眼だ。 ルーをニラみながら、再び口を開く。 「……でも、私はあなたに選抜試合で負けたことを、払拭しなくてはならない! 貧民街の出身者に負けたままだと、私の立場がない! 私は……私自身を許せないわ。あなたに勝ったという事実が欲しい」  その言葉を聞いたルーが一歩前に出て、構える。 「上等です。なんかゴチャゴチャ言っていますけど、私が勝ちます。私がどれほどの辛酸を舐めてきたと思っているんですか。温室育ちのあなたに……私が負けるはずがありません」 「……『過激派じゃない』って答えが欲しかったけど、そうは言ってくれないのね。私は……もう余計なことを考えないわ。あなたに勝つだけ」  そう言い終わるのと同時に、レインが踏み込む。 ルーが迎え撃つ形だ! これは2人とも、本気で闘う気だぞ……! 因縁が……あるのだろう。 レインは、ルーのことを大切に思っている部分があるんだな……。 ただ、里での差別にとらわれているな? 貧民街の出身者に負けることが、とても屈辱的なことなのだろう。 ルーに勝利することに集中しようとしているけど、まだ迷いがあるな。 俺は……どっちにつく? もちろん……ルーだろ! レイン側の派閥は俺のキンタマを潰そうとしているからな!! 「……重力の精霊よ、その魂の一部を我に譲ることを許したまわん……我が右手にその魂を集めたまえ! ……沈降魔法オモ・クナール!!」  ルーが後退しながら、魔法を唱える。 体を重くする魔法だ! どうだ!? レインの動きは……鈍くなっているか!? 「ま、また……この魔法ね! 重力が1.5倍になるやつ!」  お! 今回も効いているようだ! しかし……レインは焦ってはいない!! 「ルー……! 私も本気を出すわ! ……気流の精霊よ、その魂の一部を我に譲ることを許したまわん! 我が全身にその魂を集めたまえ……風魔法ウィンドアップ!!」  レインも魔法を唱えた!? 風魔法か……!? どういう効果だ? 全身に……風を纏ったのか!? レ、レインが動き出す……! ルーの魔法の影響がないようだぞ!? 風魔法の力で、自分の速度を無理やり上げたのか!? な、なんだその魔法の使い方は!? 「レイン!! その魔法……完成させたのね……!!」 「そうよ! 接近戦なら、私が完全に有利よ!」  レインが拳を振りかざす!!  その拳に……炎だと!? 両方の拳に炎を纏っているぞ!! 無詠唱で……炎の魔法を唱えたというのか!? な、なんだその攻撃方法は!! 魔法? 物理攻撃? 拳に炎系の魔法を纏わせるなんて……。 俺の奥義、サンダーストライクに発想が近いな。 しかも、全身に風魔法の効果を持続させながら使っているのか……!! レインも、あの若さで……2つ同時に魔法を扱っている!! その扱い方も、センスが溢れているぞ! 「……とは言っても、その攻撃方法は選抜試合で見ていますよ? 相変わらずの接近戦ですね」  ルーは想定内のようだ! 彼女も詠唱を始める!! 「水の精霊よ、その魂の一部を我に譲ることを許したまわん……我が周辺にその魂を集めたまえ……水魔法ウォータフォール!!」  ルーの周囲に空から激しく落ちてくる……滝!? 豪快な量の水だ!! 「なっ!?」  ルーに接近したレインに直撃!! こ、拳の炎をかき消した!! 「……リバース!!」  リバース!? ルーの詠唱が、まだ続いていたのか!? 今度は地面から激しく湧き上がる……滝!? 意味が分からん!! 吹き上げた大量の水の圧力に負けて、レインが吹っ飛んだ!! ルー……水系の魔法も使えるのか……!! しかも、申し分ない威力!! ルーはどれだけの属性を使いこなすんだ……。 ……本当に強いぞ、この2人。 いや本当に、俺は舐めていたよ!! 俺が前に組んでいたパーティの仲間達よりも戦闘能力が上なんじゃないか? ポテンシャルは……間違いなく上だ。 というか、魔法の発想がすごい。  ルーは様々な属性を扱う。 しかも、浮遊魔法はレア、傀儡魔法に至っては聞いたことがない。 風魔法は無詠唱だった……。 さらには浮遊魔法と風魔法を組み合わせて空を飛んでいた。 滝の魔法は二連続で……リバース? 初めて見たぞ、あんな唱え方!!  レインは風魔法にしろ、炎魔法にしろ、直接身体に纏わして、魔法を上手く利用している。 賢者なのに、魔法だけじゃなくって格闘のレベルが高いんだよな。 前の戦いで、『遠距離魔法は苦手』ってルーに言われていたな。 接近戦に力を注ぐために、格闘と魔法を組み合わせるようになったのだろうか……。  なんというか……本当にすごいな。 新しい時代を感じるよ。 魔王軍の残党の討伐に、俺は必要か? ……ってとこまで思ってきた。 もう……俺はいらないんじゃないか? このまま勇者を引退してもいいんじゃないかと思うような斬新な戦い方をしているんだよ。 俺の知らない魔法、戦術を次々と繰り出している。 若さゆえか、身のこなしもキレがある。 伸び代もまだまだある。 レベル92で止まってしまっている俺とは……違う。 「レイン……私のほうが優勢ですね」  吹っ飛んだレインに、ルーが近づきながら告げる。 「そうかもしれないわね……。このままでは、私は勝てないかもしれない」  レインは少し考え、静かに口を開いた。 「……ねぇ、ルー。もう……勇者とエッチはしたの? それによって話が変わってくるわ。エッチしているのであれば、私はあなたを殺さなくてはならない。エッチしていないのであれば……私があなたを殺す必要はない。……どの道、あなたは死刑になってしまうけど。すべて大賢者様の……ご決断よ。もうあなたは、過激派として見なされている」 「そうですか……隠しても仕方がないですね。私は過激派です。勇者様とのエッチは……どうでしょうか? 教える必要はないですね。どちらにしろ、証拠を示せません。意味のない質問です。大賢者大賢者って……盲信し過ぎです」 「……そう。それもそうね。でも……賢者の里で生きていくには、大賢者様は絶対よ。……いずれにしろ、次は殺す気でいくわ。そうしないと……私はあなたに勝てないわ。さっきの攻防で確信した」  殺す気で戦うつもりか……? レインは、そう望んでいるようには見えないけどな。 さっきも『死んで欲しくはない』……と言っていた。 とは言え、これまでよりも殺傷能力の高い攻撃を繰り出してきそうだ。 一方のルーは、まだ余裕がある。 余裕はあるが、俺の睾丸を守りながらの戦いなんだよな……。 この勝敗は……わからなくなってきた。 相打ちになる可能性だってある。 「ルー……あなたも、勇者を気にせずに戦ったほうがいいわよ」  ルーが俺を気にせずに戦う……。 そうだな……この戦いが白熱するほど、俺は逃げやすくなるんだ。 ルーに隙ができれば、俺は逃げられる。 「そうですね。勇者様……逃げないでくださいよ? 呪いのリングは魔法屋で外せても、アレは外せませんよ」  あ、アレ……だと!? あ! 股間のバリアのことか!! ルーが抜け目なく忠告してきた! この先、俺はずっと……しゃ、射精ができなくなるってことか……!! 「ルー……何の話しているのかしら? 私はあなたに勝ち、勇者の睾丸を潰すわ。そして残党討伐の旅を、私が勇者と続けるわ。カタストロフ王国には、大賢者様が弁明してくれる。相方の賢者が代わったってね」  そんな状況……俺は避けたいぞ。 「じゃあ、ルー! いくわよ!!」  レインが右の拳を前に突き出したぞ! その拳が氷に包まれて……その氷が……伸びた!? 先端が尖った氷の塊がルーのほうに伸びていく! すごいスピードだ! 「なっ!? 氷!?」  ルーは焦りながらも、向かってくる氷に反応した! ……が、避けきれない!! 彼女の肩に尖った氷が突き刺さる……!! 「ぐぅっ!? こ、これが……あなたの……奥の手なんですか!? こ、氷魔法を……無詠唱で!? そんなことをあなたができるなんて……し、知らなかった……」  ま、まずい!! ルーがピンチだ! ……けど、俺は何もできない。 この魔法戦……俺の今のレベルでは、まったく太刀打ちできない!! 「ほら、どう? 私の力は!! 私が得意なのは、炎だけじゃないのよ!」  そう言い放ち、右手に力を入れる。 右手から伸びている氷に力が加わり、ルーの肩に氷がめり込む。 「きゃああぁっ!!」  ルーが苦痛に表情を歪めている。  「もう一発!」  レインは容赦しない。 左手からも氷の塊を発生させ、ルーのもとへ伸ばす。 「うぅっ!? あああああっ!!」  ルーが痛みで叫んだ。 こ、今度は……足にも刺した!! ルーの右の太ももだ! ルーが跪く。 これは……もう動けないだろ……。 ルーの負け……か? 「やっとルーに勝てたわ!! あなたが中心街に来て以来、競っていたけど……最終的には私の勝ちね!」  レインが嬉しそうだ。 「くっ! レイン……新しい魔法を覚えていたなんて! ……あなたも努力していたんですね」 「まあね。選抜試合には間に合わなかったけど。最終的には、あなたに勝てて、あなたの悔しそうな顔が見れて嬉しいわ。それにしても……まさか本当にルーが過激派だったなんてね。私は勇者を連れて賢者の里に戻るわ。あなたが身篭っている可能性があるなら……殺すしかないわ。大賢者様の命令だもの。すでに勇者とセックスしているの? ……していないなら、そう言って」  レイン……その質問は意味がないと……言われたばかりじゃないか。 明らかにルーの抹殺をためらっており、感情的に質問している。 セックスはしていない……と言えば、信じてくれるのか? よし…… 「……セックスはしていない! 俺は童貞だ!!」 「今はルーに聞いているのよ!」  レインに怒られた……。 俺の話を聞く気はないってわけか。 このままルーが殺されたら、俺はレインに捕まってしまうだろう。 俺は……ルーを助けるぞ。 俺は過激派につくんだ。 時間さえ稼ぐことができれば、その間にルーが回復できるはずだ。 時間稼ぎさえできないほど、今の俺は弱いかもしれないが……。 レインの両手は氷の魔法を発生させてルーの動きを止めているので、新たな攻撃はもうできないはずだ。 俺の全力の雷魔法で動きを止める。 「……」  ルーは黙り込んで思考している。 その目はまだ……諦めていない。 攻撃に転じるようにも見えるな。 「……まだ戦うつもり? この氷をどうにかしないと、傷を回復できないでしょ? 炎の魔法で溶かそうとしても、溶かしている間に私はあなたを攻撃する。そんなにヤワな氷じゃないしーー」  レインが喋り終わる前に、ルーが詠唱を始める。  「重力の精霊よ、その魂の一部を我に譲ることを許したまわん……我が右手にその魂を集めたまえ!」 「な、何をするつもり!? そんな体で、まだ抵抗するつもり?」 「浮遊魔法……フワフワ・ニナール!」  ルーが早口で詠唱し、空に浮かんだ。 そのまま勢いよく、後方に向かって飛行する。 無詠唱で風魔法も使っているんだ! 「うぅっ!! あああぁっー!!」  ルーの肩と足から氷塊が抜けていく! 痛みで叫んでいるぞ!! 「くぅっ!! ……き、傷を治せなくても、飛ぶことはできます!」  そのまま飛行して遠くに飛んで行く! 血が……滴り落ちているぞ!! 大丈夫か……!? 「なっ!? ルー……逃げるのね……!! あなたは……貴族達に指名手配されるわ!!」  空に浮かぶルーが、こちらを見ながら悔しがる表情が見えた。 ……参ったな。 睾丸を潰したがっているレインと2人きりか! 俺は自分の性器とおさらばしたくないぞ……! ルーが仕込んでくれた股間のバリア……ちゃんと発動してくれよ……!!


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