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13.すでに精子が仕込まれているかもしれません【宿屋に泊まったらパーティの女賢者に魔法責めされて、超絶イキ地獄を味わいHPが0になった】

 レインは賢者の里の貴族である。 貴族であることは、賢者として純粋な血を持っていることを示す。 レインは貴族の中でも能力の秀でた家系に生まれた。 生まれながらのエリートである。 中心街で生まれ育ち、常に優秀。 そんな順風満帆の人生であったが、最近になって彼女は挫折を経験した。  賢者の里は、カタストロフ王国との親睦のため、雷の勇者のお供をする賢者を派遣することにした。 ピリつく両者の間を緩和する重要な国交である。 もちろん、賢者の里からすれば表向きの協力関係である。 大賢者は、勇者と同行する賢者を選ぶための選抜試合を行なった。 その試合で優勝し、見事に選ばれたのは貧民街出身のルーであった。 選抜試合の最終戦で、レインはルーに負けたのだ。 これがエリート貴族として道を歩んできたレインの初めての挫折であった。  賢者たちの目的は、勇者を弱体化させ、この世界に賢者の時代を築くことである。 雷の勇者と残党狩りの旅を供にすることは、その理想を実現させるための最初の1歩であった。 次、いつ訪れるのか分からないような最高のチャンス。 レインは、その枠を貧民街出身のルーに取られてしまった……。  ルーがカタストロフ王国に向けて旅立ったころ、レインは大賢者に呼び出されていた。 「選抜試合は、残念じゃったな……」  選抜試合で負け、落胆しているレインを呼び出した大賢者。 白いローブを身に纏っている。 80歳を超えているであろう老人であり、白くて長い髭を生やしている。 レインに暖かい言葉を贈った。 「まぁ、気を落とし過ぎるな。あの貧民街の出身者……名前はルーとか言ったな。……なかなか力をつけてきておる」 「はい。……申し訳ございません、大賢者様」 「まぁ、ワシとしては貴族であるお前をあまり里の外には出したくないのじゃがな。その純血が汚れてしまう恐れがある。勇者とは言え、男じゃ。何があるか分からん……」 「そのようなお考えでしたか……。ただ、私は自分の実力のなさが情けないのです。まさかルーに負けてしまうなんて……」  レインが下を向く。 「そう気にすることはない」 「しかし、私は……」  言い淀むレイン。 「……お前にとって、初めての挫折じゃったのか? 貧民街の出身者に負けるとは思っていなかったのだろう」 「はい……あそこまで力をつけているなんて……」 「ふむ。そういうときは、塞ぎ込まずに仕事をしていたほうが良かろう。雷の勇者に関する指令においては、他にもできることがあるのじゃが……」  レインが前を向き、目を輝かせる。 「大賢者様……? 何か……ございますか? このまま負けたままの私では……私は自分を許せません!」  「その意気じゃ。そうじゃな……お前は見張るのだ。雷の勇者とルーの2人を。ルーの落ち度を見つければ、その役目を交代させてもいいだろう。他の賢者たちも、ルーに落ち度があれば納得する。もちろん、カタストロフ王国も納得するはずじゃ。……いや、ワシが納得させる」 「大賢者様……ありがとうございます! 喜んでやります!」 「上手くいけば、今回の指令はお前の手柄になる。自信を取り戻すのじゃ」 「はい! ありがとうございます!」 「……里の外の男には、充分に気を付けるんだぞ。何か間違いがあったら大変じゃ」  大賢者はレインに甘かった。 「そうじゃ……」  彼は何かを思い出し、真剣な表情で語り出す。 「どうしました?」 「……話は変わるが、この里に巣食う【過激派】の存在も気になっている」  レインが首を傾げる。 「過激派……ですか?」 「……何やらコソコソと動いている連中が里の中にいるらしい」 「何か……里にとって良くないことを企んでいるのでしょうか?」 「おそらくな。ワシの統率に不満をもつ賢者がいるのかもしれん」 「不満……ですか。もしかして……中心街にいる貧民街の出身者、もしくは貧民街の人達……という可能性はありませんか?」 「それは充分あり得る。ただ……分からん。……なかなか尻尾を出さないのじゃ」 「そうですか……そんな状況だったのですね」 「ああ。他言するでないぞ。どこに過激派が潜んでいるのか分からない」 「はい」 「……胸騒ぎがするのじゃ。ルーが雷の勇者と組むために旅立った。賢者の里とカタストロフ王国との関係も動き出した。……何やら起きそうな予感がする」 「大賢者様……」 ---  時は戻り、現在。 レインはマカロウンの港町を出て、走っていた。 ルーが勇者リットを連れて空を飛び、逃げ出した。 その後を走って追っているのだ。 だが、彼女達の飛行速度は自分の足より速く、完全に見失ってしまった……。 しばらく走った先に別の町を見つけた。 比較的小さな町である。 その中を歩くレイン。 (ルー達は見当たらないわね……。さすがに町には寄っていないかしら? 目立つ場所に立ち寄っていたら、簡単に見つけられてしまうものね)  町の中をくまなく探索する。 しかし、勇者とルーの姿は見当たらない。 (それにしても、まさかルーが私の邪魔をしてくるなんて! 私は大賢者様の指示で動いているのよ? もしかして、ルー……過激派なの? 私を負かすほどの実力を持っているのに、道を間違えてしまったのね……。これだから貧民街の出身者は! やはり過激派は貧民街の出身者で構成されているのかしら? ルー達は徒党を組んでまで、一体なにを企んでいるの……!? そうだ……早いところ現在の状況を大賢者様に連絡しなきゃ)  宿屋で部屋を借り、レインは水晶玉を取り出す。 大賢者に連絡をし始めた。 『そうか……状況は把握した。ルーは……勇者の睾丸を守ったということじゃな?』 「はい。私は……彼女が過激派ではないかと疑っています」 『ふむ……そうじゃな。ワシの指示だと知って逆らうとは……過激派と見て良いだろう。……奴らの動きが見えてきたな。勇者の睾丸を守ったということは……つまり、勇者の子供をつくるつもりじゃろうか?』 「なっ!? え……た、確かに! それは……あり得ますね!」 『そうじゃな……それが過激派の狙いなのか。やはり過激派は貧民街出身者で構成されている可能性があるようじゃな』 「そうですよね! 貴族である私たちが、賢者の純血が汚れてしまうようなことをするはずがないです……!」 『そういうことじゃ。ルーは、自分が過激派であることが我々にバレたと思っているはず。里の過激派と合流し、助けを求める可能性が高い。勇者の睾丸を守るため、保護することを考えるはずじゃ。里の警備を強化させておこう。里にルーが帰ってきたら、すぐに取り押さえんとな』 「そうですね、止めないと……!」 『待てよ……ルーは女じゃったな? ルー自身が子づくりをしてしまう可能性もある。すでに勇者とセックスをしている可能性もあるな……。すぐに取り押さえたいところじゃ』 「なっ……! ルーが……ですか!? あの勇者と……」 『そうじゃ。レイン……お前はルーを早めに探し出して、拘束せよ。勇者とセックスをしていることが分かったら、ルーを殺せ。そうすれば、子を孕んでいても心配はなくなる』 「ルーを……殺す!?」  レインが動揺する。 殺すという提案に驚きの表情を隠せない。 『そうだ。むしろ最初から殺すつもりで戦ったほうが良い。……そのつもりなら、奴に勝てるだろう? レイン、お前なら……』 「た、確かに……」  レインの気持ちが少し高まる。 ルーに勝ち、負けた屈辱を晴らしたいと思っていた。 しかし、殺すつもりで戦う……という選択には躊躇している。 『……ルーを殺すことに迷いがあるのか? どの道、過激派は死刑にするつもりじゃ』 「し、死刑……!? そうですか……」 『発見したら、勇者のほうは睾丸を潰しておくだけでいい。そして、レイン……お前が魔王軍の残党を討伐する旅を続けるのじゃ。勇者を従えてな。カタストロフ王国にはワシから賢者が代わったと伝える。大丈夫じゃ』 「了解しました!」 『奴らはレインを警戒して、町には泊まっていないかもしれんな……』 「……な、なるほど。ということは……野宿ですね?」 『そうだ。見つけたら、水晶玉で連絡して居場所を教えるのじゃ。正直、1対2はキツいかもしれん。そこに賢者の精鋭を向かわせる』 「はい!」 『よろしく頼む』  大賢者との話を終え、レインが思考を巡らす。 (過激派が勇者の血を取り込むつもりだったなんて……! ルーと戦って、ルーに勝って、私は自信を取り戻す! ずっとトップだった私から、アイツは自信を奪った! これはチャンスよ! 自信を取り戻すチャンスなのよ! ……けど、抹殺はできない。殺したくないから、捕まえるだけにするわ。でも、殺さず捕まえることに成功しても、ルーは死刑になる……)  彼女はルーをライバル視してきた。 (認めたくはないけど……ルーの実力は本物。実際に戦っているから分かる。彼女がどれだけ努力しているのかも分かる。私と違って、里の外でがんばってきたのよね)  そんなルーに憧れているところもあった。 (殺すのはいくら何でも……と思う。けど……どの道、過激派は死刑……。ルーは……私が殺す意志を示せば、殺しにかかってくるかも。……外の世界で、そんな死戦を超えてきたのかもしれない)  レインは、命をかけた戦いをしたことがない。 (とにかくルーを探さなきゃ。……とにかくルーに勝つ。そして、勇者の睾丸を潰す……)  明らかな迷いが生じている。 そんな中でレインは、ルーと勇者を探しに行くのであった。


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