1.新しい仲間は賢者です【宿屋に泊まったらパーティの女賢者に魔法責めされて、超絶イキ地獄を味わいHPが0になった】
Added 2021-12-03 03:00:00 +0000 UTC俺は勇者リット。 王国の命を受けて、魔王討伐の旅に出た。 1ヶ月前、魔王を倒すことができた。 当時のパーティは解散。 今は魔王軍の残党を根絶やしにすべく旅をしているところだ。 残党は世界に散らばっている。 根絶やしにするには、1年は掛かってしまうだろう。 もう第一線から退きたいところなのだが、王国から指令が出たので仕方がない。 そろそろ俺も結婚をしたいんだけどな。 もう33歳だぞ……。 現在、王国から離れて1週間ほど旅をし、この大陸に巣食う残党と戦っているところだ。 洞窟に逃げ込んだ魔族である。 この魔族は、魔王軍の幹部の地位にいた。 俺は剣を握りしめながら、魔法を詠唱する。 「……雷の精霊よ、その魂の一部を我に譲ることを許したまわん! 我が剣にその魂を集めたまえ! ……サンダーストライク!!」 雷を纏った俺の剣が敵にヒットする。 よし……倒したぞ。 打撃も魔法も優れた、タフな相手だったぜ。 激闘の末、ようやく大技を当てることができた。 「勇者様、大丈夫ですか? 回復しますね」 隣で心配しながら回復魔法を唱えているのは女賢者だ。 『ルー』という可愛いらしい名前である。 じつは、王国に紹介された優秀な賢者と2人で旅をしている。 この賢者がいれば、攻撃魔法も回復魔法も任せられるので非常に助かっている。 「ああ……時間がかかってしまったが、なんとか大技を決めることができた」 雷を纏わせた剣で敵をなぎ払う俺の最大奥義……【サンダーストライク】。 1ヶ月前も、この奥義で魔王を倒したんだ。 これさえ決まれば、元幹部とは言え残党になんて負けるはずがない。 --- 魔王軍の残党を倒すことに成功し、町に到着した。 ここは、海の香りが漂う港町である。 この世界は、この大陸にある武力国家【カタストロフ王国】の統治下にある町が多い。 この港町も、この王国の統治下である。 俺に指令を出しているのもカタストロフ王国だ。 先ほど、統率していた元幹部を倒すことができた。 この大陸の治安はある程度良くなるだろう。 というわけで明日は船に乗り、別の大陸で残党狩りを行なう予定である。 それにしても、さっきの戦いで疲労が溜まってしまったぜ。 33歳……か。 身体のピークは当に過ぎている。 魔王討伐に成功し、気が抜けしまった……というのもあるな。 そんな俺のステータスは…… --- リット 職業: 勇者 レベル92 HP 191/686 MP 103/455 【そうび】 雷鳴の剣 勇者の鎧 【魔法】 サンダー サンダーボルト サンダーストライク --- 町の【魔法屋】で俺の能力を調べてもらい、結果が出た。 【魔法屋】は魔法の習得や助言、普及など、様々な業務を行なっている。 それ以外にも、ステータスの鑑定という便利なサービスも取り扱っている。 俺のステータスが記載された巻物を眺めていると、店主のおじさんが話しかけてきた。 「さすが勇者様! 圧倒的な強さでございますね……!」 そう言いながら、店主は俺から鑑定料の代金を受け取る。 圧倒的な強さ……と言われはしたが、ここ最近は俺のレベルに変化はない。 魔王討伐の旅でレベル92に到達したのだが、この値で打ち止めのようだ。 さきほど倒した元幹部の魔族はなかなか強かったはずだが……。 レベルには変化なしだ。 どうやら俺はもう成長しないようだな。 今日のような戦闘が続いたら、少々キツいかもしれない。 最低でも、今の能力をキープしなくては……。 自主トレを増やしてみるか? フィジカルは年齢と共にどうしても落ちていくから、身体強化のメニューを増やして補強しよう。 魔法はもう伸び代がないな……。 これだけ頑張ってきて、覚えた魔法は3つだけだ。 まぁ……その分、集中的に磨くことができたんだけど。 正直なところ、魔王討伐に精を出していたときほどの向上心はないんだ。 でも、コツコツと鍛錬を続けないとダメだよな。 残党が相手とは言え、負けたら終わりなんだ……。 魔王を討伐していた頃のパーティは実力者ぞろいだった。 戦士、武道家、弓使い、魔法使い、神官……。 およそ10年間、戦い続けた。 カタストロフ王国が選抜し、途中でメンバーが加わったり入れ代わったりした。 熱い気持ちを伝え合ったり、世界平和について語り合ったりした初期メンバーは離れ、若い子達が入ってきたりもした。 メンバーが死んだこともあった。 長く、苦しい道のりだった。 最終的なメンバーとは、比較的淡白な付き合いだったな。 若い子たちが参入し、年齢が少し離れてしまったというのもあるけど。 それでも全員の長所を活かし、短所を補い合い、無事に魔王を倒すことができた。 俺は【雷の勇者】として、盛大に称えられた。 魔王討伐が終われば、仲間との付き合いはなくなった。 メンバー達は今、もう別々の人生を歩んでいる。 「……やはり勇者様は強いですね。私はレベル50でした」 隣で賢者が笑顔を振りまいている。 彼女は【賢者の里】から来た。 カタストロフ王国と、賢者の里は敵対関係にある。 武力国家であるカタストロフ王国にとって、力をもつ賢者達は目障りなようだ。 かつて、武力による脅しを仕掛けたこともあったそうだ。 そんなピリついた状況から今は落ち着いてきた。 賢者の里は友好の証として、この子を魔王軍残党の討伐に参加させたからな。 「勇者様、日が暮れてきましたね。そろそろ宿屋に行きましょうか」 「ああ。今日はキミも疲れただろ。どこか良い宿屋を探してくれ。お金は国王からたくさんもらっているからな」 仲間が女というのは、なかなか慣れないな。 俺のかつての仲間は全員、男だった。 そのため、男女間のいざこざなどはなく、無難に旅を終えることができたのだが……。 ……この旅は大丈夫だろうか? --- 宿屋に訪れ、俺と賢者は2階の部屋に宿泊することになった。 もちろん、俺と彼女とは別々の部屋である。 部屋の中に入り、俺は装備を外した。 寝巻である布の服に着替え、購入しておいたパンと果物を一人で食べた。 ……夕食は以上だ。 30代中盤にもなると、あまりたくさん食べなくても問題がなくなるのだ。 さて……もうすっかり夜だな。 明日も朝は早い。 ……寝るか。 今日もお疲れさまだ……。 「……勇者様、まだ起きていますか?」 ノックの音がしたあとで、賢者の声が聞こえた。 「……ああ、起きているよ。どうした?」 賢者が部屋に入って来た。 ……彼女とは、かれこれ1週間ほど旅をした。 とても印象の良い子だ。 しかも童顔で可愛い。 紫色でボリューム感のあるショートヘアスタイル。 その毛先はカールしており、可愛らしさを際立たせている。 もう夜だというのに、寝巻には着替えていないな……。 露出度の高い綿でできた白い服を着ており、その上に黒いマントを羽織っている。 権威を感じられる金色の装飾を施した黒マントだ。 マントの隙間から、彼女の豊満な胸の上半分が見えているので、ついつい見てしまう。 さらに、胸の近くにはネックレスが輝いており、なんともエロさを醸し出しているぞ。 下は黒のミニスカートを履いており、その中から伸びる細い脚が綺麗だ。 少々底の厚いオシャレなサンダルを履いている。 年齢を聞いたところ、23歳だそうだ。 若くて小柄で細い体ではあるが、とても優秀だ。 しかし……こんな夜に男の部屋に一人で入って来るなんて、感心できないな。 ……俺も男だ。 ずっと女っ気のない旅を続けていたので、自制心が働くか分からないぞ。 まだ若い子だから、危機感がないのだろうか……? 「……どうしたんだい? 何か用でも? 明日も早いから、もう寝た方がいい」 「ちょっと言いたいことがあります。よろしいですか?」 言いたいこと……だって? わざわざ部屋に言いに来るなんて……こんなことはこの1週間で初めてだな。 俺に何を言いたいのだろうか……? 「いいよ。どうしたんだい?」 「……戦闘の時に思うんですけど、勇者様の剣さばきが甘いのではないかと」 「え……そうかい?」 「はい、そうです。敵は残党とはいえ、強敵もいますよね。今日の元幹部だって強かったですよ。劣勢の場面もあったように思えました。『キミは手を出さなくていいよ』なんて言われましたけど、ヒヤヒヤしました。……勇者様には、もっと向上心を持ってもらわないと」 「まぁ……確かに」 痛いところを指摘されたな。 俺は伸び悩んでいる……というか、もう限界なのだ。 すでに成長期は過ぎている。 それは今日、魔法屋で自分のステータスを見たときに確信した。 ただ、そんな弱音を、出会って1週間の仲間に言いたくはないな。 しかも年齢が一回り近く違う子だ。 この先、ずっと舐められてしまうかもしれない。 「……」 彼女は、その幼さの残る顔を冷たい表情に変えて俺のことを見ている。 ……いつもは従順なのに、少々攻撃的な態度である。 俺は温厚なほうだと思っているが、この態度には少々イラついてきたぞ。 ……まぁ、自分の戦闘力を指摘されたことについて、わざわざ怒る必要はないか。 こんなことを言うのは虚しくなるが、彼女の分析は正確である。 さすが賢者の里で育っただけのことはあるな。 わずか一週間の旅で、それほど戦闘回数は多くなかったにもかかわらず、俺の能力を冷静に分析したというわけか。 わざわざ忠告しに来たのは、この旅を確実に成功させるためだな。 「トレーニング……しませんか? 私と」 ……え? なんだって? トレーニング? こ、この子は……何を言い始めたんだ?