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1.新しい仲間は賢者です【宿屋に泊まったらパーティの女賢者に魔法責めされて、超絶イキ地獄を味わいHPが0になった】

 俺は勇者リット。 王国の命を受けて、魔王討伐の旅に出た。 1ヶ月前、魔王を倒すことができた。 当時のパーティは解散。 今は魔王軍の残党を根絶やしにすべく旅をしているところだ。 残党は世界に散らばっている。 根絶やしにするには、1年は掛かってしまうだろう。 もう第一線から退きたいところなのだが、王国から指令が出たので仕方がない。 そろそろ俺も結婚をしたいんだけどな。 もう33歳だぞ……。  現在、王国から離れて1週間ほど旅をし、この大陸に巣食う残党と戦っているところだ。 洞窟に逃げ込んだ魔族である。 この魔族は、魔王軍の幹部の地位にいた。 俺は剣を握りしめながら、魔法を詠唱する。 「……雷の精霊よ、その魂の一部を我に譲ることを許したまわん! 我が剣にその魂を集めたまえ! ……サンダーストライク!!」  雷を纏った俺の剣が敵にヒットする。 よし……倒したぞ。 打撃も魔法も優れた、タフな相手だったぜ。 激闘の末、ようやく大技を当てることができた。 「勇者様、大丈夫ですか? 回復しますね」  隣で心配しながら回復魔法を唱えているのは女賢者だ。 『ルー』という可愛いらしい名前である。 じつは、王国に紹介された優秀な賢者と2人で旅をしている。 この賢者がいれば、攻撃魔法も回復魔法も任せられるので非常に助かっている。 「ああ……時間がかかってしまったが、なんとか大技を決めることができた」  雷を纏わせた剣で敵をなぎ払う俺の最大奥義……【サンダーストライク】。 1ヶ月前も、この奥義で魔王を倒したんだ。 これさえ決まれば、元幹部とは言え残党になんて負けるはずがない。 ---  魔王軍の残党を倒すことに成功し、町に到着した。 ここは、海の香りが漂う港町である。 この世界は、この大陸にある武力国家【カタストロフ王国】の統治下にある町が多い。 この港町も、この王国の統治下である。 俺に指令を出しているのもカタストロフ王国だ。  先ほど、統率していた元幹部を倒すことができた。 この大陸の治安はある程度良くなるだろう。 というわけで明日は船に乗り、別の大陸で残党狩りを行なう予定である。  それにしても、さっきの戦いで疲労が溜まってしまったぜ。 33歳……か。 身体のピークは当に過ぎている。 魔王討伐に成功し、気が抜けしまった……というのもあるな。 そんな俺のステータスは…… --- リット 職業: 勇者 レベル92 HP 191/686 MP 103/455 【そうび】 雷鳴の剣 勇者の鎧 【魔法】 サンダー サンダーボルト サンダーストライク ---  町の【魔法屋】で俺の能力を調べてもらい、結果が出た。 【魔法屋】は魔法の習得や助言、普及など、様々な業務を行なっている。 それ以外にも、ステータスの鑑定という便利なサービスも取り扱っている。 俺のステータスが記載された巻物を眺めていると、店主のおじさんが話しかけてきた。 「さすが勇者様! 圧倒的な強さでございますね……!」  そう言いながら、店主は俺から鑑定料の代金を受け取る。 圧倒的な強さ……と言われはしたが、ここ最近は俺のレベルに変化はない。 魔王討伐の旅でレベル92に到達したのだが、この値で打ち止めのようだ。 さきほど倒した元幹部の魔族はなかなか強かったはずだが……。 レベルには変化なしだ。 どうやら俺はもう成長しないようだな。 今日のような戦闘が続いたら、少々キツいかもしれない。 最低でも、今の能力をキープしなくては……。 自主トレを増やしてみるか? フィジカルは年齢と共にどうしても落ちていくから、身体強化のメニューを増やして補強しよう。 魔法はもう伸び代がないな……。 これだけ頑張ってきて、覚えた魔法は3つだけだ。 まぁ……その分、集中的に磨くことができたんだけど。 正直なところ、魔王討伐に精を出していたときほどの向上心はないんだ。 でも、コツコツと鍛錬を続けないとダメだよな。 残党が相手とは言え、負けたら終わりなんだ……。  魔王を討伐していた頃のパーティは実力者ぞろいだった。 戦士、武道家、弓使い、魔法使い、神官……。 およそ10年間、戦い続けた。 カタストロフ王国が選抜し、途中でメンバーが加わったり入れ代わったりした。 熱い気持ちを伝え合ったり、世界平和について語り合ったりした初期メンバーは離れ、若い子達が入ってきたりもした。 メンバーが死んだこともあった。 長く、苦しい道のりだった。 最終的なメンバーとは、比較的淡白な付き合いだったな。 若い子たちが参入し、年齢が少し離れてしまったというのもあるけど。 それでも全員の長所を活かし、短所を補い合い、無事に魔王を倒すことができた。 俺は【雷の勇者】として、盛大に称えられた。 魔王討伐が終われば、仲間との付き合いはなくなった。 メンバー達は今、もう別々の人生を歩んでいる。 「……やはり勇者様は強いですね。私はレベル50でした」  隣で賢者が笑顔を振りまいている。 彼女は【賢者の里】から来た。 カタストロフ王国と、賢者の里は敵対関係にある。 武力国家であるカタストロフ王国にとって、力をもつ賢者達は目障りなようだ。 かつて、武力による脅しを仕掛けたこともあったそうだ。 そんなピリついた状況から今は落ち着いてきた。 賢者の里は友好の証として、この子を魔王軍残党の討伐に参加させたからな。 「勇者様、日が暮れてきましたね。そろそろ宿屋に行きましょうか」 「ああ。今日はキミも疲れただろ。どこか良い宿屋を探してくれ。お金は国王からたくさんもらっているからな」  仲間が女というのは、なかなか慣れないな。 俺のかつての仲間は全員、男だった。 そのため、男女間のいざこざなどはなく、無難に旅を終えることができたのだが……。 ……この旅は大丈夫だろうか? ---  宿屋に訪れ、俺と賢者は2階の部屋に宿泊することになった。 もちろん、俺と彼女とは別々の部屋である。 部屋の中に入り、俺は装備を外した。 寝巻である布の服に着替え、購入しておいたパンと果物を一人で食べた。 ……夕食は以上だ。 30代中盤にもなると、あまりたくさん食べなくても問題がなくなるのだ。  さて……もうすっかり夜だな。 明日も朝は早い。 ……寝るか。 今日もお疲れさまだ……。 「……勇者様、まだ起きていますか?」  ノックの音がしたあとで、賢者の声が聞こえた。 「……ああ、起きているよ。どうした?」  賢者が部屋に入って来た。 ……彼女とは、かれこれ1週間ほど旅をした。 とても印象の良い子だ。 しかも童顔で可愛い。 紫色でボリューム感のあるショートヘアスタイル。 その毛先はカールしており、可愛らしさを際立たせている。 もう夜だというのに、寝巻には着替えていないな……。 露出度の高い綿でできた白い服を着ており、その上に黒いマントを羽織っている。 権威を感じられる金色の装飾を施した黒マントだ。 マントの隙間から、彼女の豊満な胸の上半分が見えているので、ついつい見てしまう。 さらに、胸の近くにはネックレスが輝いており、なんともエロさを醸し出しているぞ。 下は黒のミニスカートを履いており、その中から伸びる細い脚が綺麗だ。 少々底の厚いオシャレなサンダルを履いている。 年齢を聞いたところ、23歳だそうだ。 若くて小柄で細い体ではあるが、とても優秀だ。 しかし……こんな夜に男の部屋に一人で入って来るなんて、感心できないな。 ……俺も男だ。 ずっと女っ気のない旅を続けていたので、自制心が働くか分からないぞ。 まだ若い子だから、危機感がないのだろうか……? 「……どうしたんだい? 何か用でも? 明日も早いから、もう寝た方がいい」 「ちょっと言いたいことがあります。よろしいですか?」  言いたいこと……だって? わざわざ部屋に言いに来るなんて……こんなことはこの1週間で初めてだな。 俺に何を言いたいのだろうか……? 「いいよ。どうしたんだい?」 「……戦闘の時に思うんですけど、勇者様の剣さばきが甘いのではないかと」 「え……そうかい?」 「はい、そうです。敵は残党とはいえ、強敵もいますよね。今日の元幹部だって強かったですよ。劣勢の場面もあったように思えました。『キミは手を出さなくていいよ』なんて言われましたけど、ヒヤヒヤしました。……勇者様には、もっと向上心を持ってもらわないと」 「まぁ……確かに」  痛いところを指摘されたな。 俺は伸び悩んでいる……というか、もう限界なのだ。 すでに成長期は過ぎている。 それは今日、魔法屋で自分のステータスを見たときに確信した。 ただ、そんな弱音を、出会って1週間の仲間に言いたくはないな。 しかも年齢が一回り近く違う子だ。 この先、ずっと舐められてしまうかもしれない。 「……」  彼女は、その幼さの残る顔を冷たい表情に変えて俺のことを見ている。 ……いつもは従順なのに、少々攻撃的な態度である。 俺は温厚なほうだと思っているが、この態度には少々イラついてきたぞ。 ……まぁ、自分の戦闘力を指摘されたことについて、わざわざ怒る必要はないか。 こんなことを言うのは虚しくなるが、彼女の分析は正確である。 さすが賢者の里で育っただけのことはあるな。 わずか一週間の旅で、それほど戦闘回数は多くなかったにもかかわらず、俺の能力を冷静に分析したというわけか。 わざわざ忠告しに来たのは、この旅を確実に成功させるためだな。 「トレーニング……しませんか? 私と」  ……え? なんだって? トレーニング? こ、この子は……何を言い始めたんだ?


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