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天空戦姫セラフィーヌ 第12話 奔る光、消えゆく光 前編

「そうは、いくかよっ!」

 二人同時に頭部を狙った一撃は、しかしアンバーの一撃のみが獣のものを貫いていた。

(なんて判断をするの……っ!)

 グラガンは同時に避けるすべがないと知るや、竜の首をかばうかのように獣の首をアンバーの剣先に突き出していたのだ。

「くっ!」

 二人は反撃を恐れ瞬時に飛び退いた。

 頭部を二つ持つグラガン。その無限とも思える再生力は、その頭部に依存しているようだった。

 頭部にダメージを与えると、明確に再生力が鈍る。

 しかし、その頭部を破壊したとしても、もう一方の頭部に瞬時に再生されてしまう。

 この難儀な怪人と退治している二人のセラフィーヌ……セラフライラックとアンバーは、抜群のコンビネーションでグラガンを攻め立てていた。

 彼女らの攻撃は一撃ごとにグラガンの肉体を傷つけ、破壊した。

 しかし――

(このままじゃ、こいつは倒せない……ッ)

「クソがっ! 反則だろこいつっ!」

 傍から見れば、二人が優勢に見えるだろう。

 だが、それはあえてグラガンが頭部以外に隙を晒しているからだ。しかし、同時に頭部に攻撃が迫ると、的確に弾き返してくる。

(要は……)

 ライラックが唇を噛む。

(こっちを舐めてるってことだろうがッ!!)

 アンバーは怒りをむき出しにしてグラガンに迫る。

「グハハハッ! お前らの考えることなぞお見通しなんだよっ!」

 飽きた、と言わんばかりにグラガンは二人の首を掴むと、地面に叩きつける。

「が、はっ……!」

 背中から地面にめり込み、二人は苦悶の声を上げる。

「ハッハ……よえぇなあ! このペニスケースの方がまだ手応えあったぜ?」

 グラガンの股間でペニスに串刺しにされているジェイドは、未だ沈黙したままだ。

「き、さ、まぁあああああっ!」

 アンバーが飛び上がり、グラガンの竜の顔に連打を加える。

「おぐ、おっ!?」

 グラガンの肉体がぐらりと揺らいだ。

「今よっ!!」

 セラフライラックが地面に手を着くと、グラガンの足元が爆発を起こし、その巨体を吹き飛ばす。

「う……おお……っ?」

 宙空に弾かれたグラガンを、二人のセラフが追う。

「調子に乗るんじゃ……!」

「グラビティ・フリッカー!」

 ライラックの能力は、重力操作。二人を迎撃しようとしたグラガンの腕が、一瞬、ぐいと外側へ引っ張られる。

 そして、グラガンの二つの頭部ががら空きになる。

「お、まえらぁぁっ!!」

「くらええええええっ!」

 二人の拳が、竜と獣の頭部に迫る。

 しかし――

「こ、いつ……!」

 ライラックが狙った獣の頭部は爆散していた。一方、アンバーが狙った竜の方は、無傷であった。

「卑怯者めっ!」

「残念だったなぁ♥」

 グラガンはあの一瞬で、腰を持ち上げてジェイドの体をアンバーとの間に滑り込ませていた。

 これでは、ジェイドを慕っているアンバーならなおさら、攻撃することはできない。

「甘い奴らだぜ……けッ! そろそろお前らの相手も飽きたなぁ……そらぁっ!!」

 呆気にとられていたライラック、アンバーに対して、グラガンは拳を振り下ろし、二人を強烈に撃ち落とした。

「あ、ぐっ、かはッ!」

 ずぅん、と土煙を上げて、二人は墜落した。

「は、くぅうぅ……」

 土煙が収まったあと、小さなクレーターの中ではライラックとアンバーが二人並んで地面に這いつくばっていた。

「終わりだな。 ま、少しはヒヤッとしたぜ」

 グラガンが二つの頭で笑う。

「ちく、しょう……」

 セラフスーツの発光部が点滅している。エネルギーが尽きかけているのだ。

「俺が可愛がってやってもいいんだがな……俺のチンポはこいつに埋まったままだ。なんで……」

 周囲で様子をうかがっていた戦闘員たちがぞろぞろと寄ってくる。

「おいお前ら! こいつらを好きにしていいぞッ!」

「キィィイーーッ♥」

 戦闘員たちは声にならない雄叫びを上げる。そして二人へと一斉に群がっていく。

「や、やめて……」

「ち、近寄るな……やめろぉっ!」

 二人の悲鳴は、やがて戦闘員たちの奇声に紛れて消えていった……。


(後編へ続く)

天空戦姫セラフィーヌ 第12話 奔る光、消えゆく光 前編

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