ー東京都麻生十番 公園ー
「みんな!」
セーラーマーズに変身したレイが見たものは、未知の敵に相撲取りのように太らされた仲間のセーラー戦士4人の姿だった。4人は丸太のような足をばたつかせ風船のように真ん丸な顔を汗で濡らし、満月のように大きなお腹を抱えて悶えている。
「く…来るなマーズ!」
ジュピターは苦し気な野太い声でマーズに呼びかけるが、マーズは仲間と未知の敵の間に立ち敵と向かい合う。
「貴様にも喰らわせてやろう」
未知の敵…バズガスは妖魔、ドロイド、ダイモーンとも異なる雰囲気で、筋骨隆々で戦車のような重装備を身にまとい、両肩の大砲をマーズに標準を合わせる。身構えるマーズ。
「マーズ!」
セーラームーンが呼びかける。ガードは恐らく無駄…みんなに当てず避けられるか?
カチッ!カチッ!
「ん?玉切れか…」
攻撃は発動せず。マーズは唖然としずず敵から視線を逃すことはない。
「まあいい。どうせターゲットは貴様らじゃない!」
その場から撤退を試みるバズガスをマーズが静止する。
「待ちなさい!」
「おっと!」
バズガスは腹部の機銃をマーズの足元に向け発砲。
「ぐっ…!」
機銃の弾はマーズの右足首をかすめた。うずくまるマーズ。
「宇宙海賊バルバンの邪魔はさせるか!魔獣ダイタニクスの復活にはマッサージ師が必要なんだからな!」
バズガスはそう言い残すとあっという間に走り去ってしまった。マーズは悔やみながらもひとまず仲間を安全な場所に移動させることにした。
ー火川神社付近の森林内ー
「敵がセーラームーン達に2発ずつ撃った弾丸だけど、赤い弾は人間を大きくさせて、白い弾は効き目を抑える効果があることがわかったんだ」
肥満化した仲間の汗を拭くルナに、一部始終を見ていたアルテミスが説明する。
「どうしてそんなことを?」
ルナが問う。
「みんなの体にわずかに付着していた薬剤を解析した。もしかしたら、効き目を弱める弾をもう1発撃ち込めば、元に戻すことができるかもしれない」
「でも、その弾をどうやって手に入れるの?」
反論するルナの前に、一旦神社に戻り占いを終えたレイが戻ってくる。
「私が行く。敵の場所はもう占いでわかってるわ」
レイは負傷した足を持ち上げながら歩き出そうとする。
「待ってよレイちゃん!その足でどうしようっていうの?」
「そうだ、無理するな」
レイを呼び止めるヴィーナスとジュピター。
「平気よこんなの!」
「でも、まだ敵の正体もわからないのよ」
大きなお腹を抱えながらマーキュリーも警告する。
「だからってこのままにしてられないわ!とにかく行ってくる」
無理して歩き出すレイ。セーラームーンは必死に立ち上がり追いかける。
「レイちゃん待って!わ、とっとっ……」
神社の階段から降りようとするが…
「わあ~!」ゴロゴロゴロゴロ…どす~ん!
雪玉のように転げ落ちる。変身し耐久力が上がっていたのが幸いか。
「あ~見てられないわ」
ルナは飽きれた様子で土俵から落ちた百貫力士のようなセーラームーン関を見下ろしていた。
ーとある工場ー
バズガスは戦闘員ヤートットに巨大化する秘薬「バルバエキス」の弾丸の調整をさせていた。
「さっきの弾だとバルバエキスの効き目を抑えすぎってことだな。それならこうして…」
ヤートットから粉末を受け取り弾丸内に注ぐバズガス。完成した弾丸を掲げる。
「できたぜ!今度こそ巨大化間違いなしでい!」
カートリッジに弾丸数個を装填し肩に装着。
「行くぞ!新しいマッサージ師を探すんでい!」
そしてヤートット数人と街に赴く。
つづく
【注釈】
惑星を餌とする魔獣ダイタニクス復活には心臓をマッサージできる巨大な手が必要だと考えたバルバンにより、バズガスは派遣された。その最中、ファラオ90消滅(セーラームーンS終盤で起こった出来事)によって起こった時空の歪みによりセーラームーン達のいる世界の地球へ知らないうちにワープしたのだ。