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ハルカナ
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笑う生贄少女物語 『①:生贄の少女、覚悟を決める』

①    繊細な糸を綺麗に伸ばしたかのように美しく腰まで伸ばした黒髪……その髪は陽の光に当てられると僅かに青みがかって見え漆黒色の髪に深みを与える。  年の頃は18になったばかりの少女であるが彼女は年不相応に凛とした表情を崩さず、これから自らに課せられる運命を受け入れているかのように巫女たちの話を姿勢を正しあくまで冷静に聞いていた。  帝国辺境の地、リマ村……  その村は周辺諸国に農作物を納めてどうにか生計を立てているという貧しい村だった。  村の人口は100人足らず……その内、半数以上を女、子供、老人が占めており、働き手である若い男は近くの町に出て行き年々細りいくばかりとなっていた。  今年は人間に害を及ぼす魔物の数が増えた事もあり、好待遇で討伐隊を募集する町や村が増え……農作業の主たる担い手であった若い男性たちはこぞってその討伐隊へと参加しリマ村の男手を更に減らす要因となってしまっていた。それ故、残されたのは老人と子供……そして成人に満たない若い娘達という、魔物に襲われればひとたまりもない状況が今の村のあり様だった。  だったらこの村でも護衛の騎士や戦士を雇えば良いのでは? と思うかもしれないが、村の財政は逼迫しており人員を募集する為の仲介料すら払う事を渋らざるをえない程に困窮を極めていた。  農作業で生計を立てている村である為、食べる物に困る事はないのが救いではあったが……村の中では金銭ではなく物々交換で生計をやりくりするのが主である事もあり余計に資産を形成しずらい環境を生んでしまっていた。  「このままでは魔物に蹂躙されてしまうのも時間の問題だ」と、村長や村の神主は危惧していた所だったが、その危惧を察してつけこんできたのか……とある知性ある魔物がこの村を訪れこのように進言してきたのだ。 「この村に魔物を寄せ付けないよう働きかけてあげるから、その代わりに月に一度村の若い女性を一人……生贄として私のもとに差し出しなさい……」と。  その進言に「村の存続のために未来ある若い娘の命を引き換えに渡すというのは割に合わない」と村長及び神主たちは反論するが、その魔物はこうも言った…… 「生贄とは言ったけど別に命まで取ろうとは思っていない。勤めが終われば五体満足のまま村に返すし、なんなら体に傷をつける事もしない……」と。  それを聞いた村長たちは頭を悩ませた……  傷一つなく村に返してくれるというのであれば……それは確かに良い条件だ。勤めという言葉が引っ掛かりはするが……村に来たのが魔物の中では比較的に穏やかな性格をしていると噂の“花の妖魔”である事も後押しして村長たちは渋々その進言を呑む事とした。  そうして契約が交わされると“花の妖魔ラフラ”は村から少し距離を置いた場所に自分の住処となる“蔦の屋敷”を作り出し、そこに数日までに最初の少女を送るよう指示を下した。  迎える少女となる条件は以下の通りで……  1つ……年の頃は18歳以上かつ25歳未満である事。  1つ……処女である事。  1つ……美人である事。  それだけを告げて花の妖魔ラフラは自ら建てた住処へと立ち去っていった。  それから村長と神主は巫女たちも交えて幾日もかけて話し合った。この条件に合う娘は誰にすればいいのかを……。  そして二日と三晩かけて候補者の中から選びだしたのは、村長の孫娘であるルフィーナ嬢であった。  月に一度魔物に身を差し出す……。それは、言ってみれば村の安全をその一人の女性の身体で買うに等しい。その約束を勝手に村長たちが決めてしまったのだ……突然決まったその理不尽な決まりごとに村の娘たちは反発する事はあれ自ら進んで生贄になりたいなどという事は言わない。  五体満足の状態で帰ってこれる……と話してはいたが、相手は知性ある魔族……しかも魔族の中でも人間の娘の“新鮮な蜜”を好む花の妖魔だ……何をされるかは考えなくても想像がついてしまう。  きっと……いかがわしい行為を強要され弄ばれるに違いない……と、その様な光景が容易に想像出来る為……身を犠牲にしたいなど言い出さない。  だからこそ……最初の生贄はルフィーナが適任であると誰もが認めた。  村長の孫娘たる彼女が先陣を切って生贄の任を全うしてくれたなら……その次の月、また次の月に選ばれた娘は断り辛くなる。村長の孫娘が真っ先に村の為を思って生贄になったのだから……という口上が後に続く娘たちへの拒絶感を多少は和らげてくれる筈なのだ。  それ故村長の孫娘であるルフィーナに白羽の矢が立った。ルフィーナ本人の意向など汲みもしないで……  しかしながら……ルフィーナはその話を聞かされた時……戸惑いはしたが拒否はしなかった。  なぜなら、村がその条件を呑んだという事であれば遅かれ早かれ自分にもその任が回って来る事だろう……と考えたから。  今年18になったばかりの自分がこの理不尽な生贄にいつか名を連ねなければならない事は明白。しかも自分は“村長の孫娘”という立場だ……村を守るために身を挺する役割は誰よりも自分が相応しいと考えるべきだと言える。  聡明なルフィーナは戸惑いながらもその様に思考を巡らせ……やがてその件を通達しに来た巫女たちにコクリと1つ頷きを返した。  頷いて再びあげた彼女の顔の目には既に村長の孫としての使命感を帯びた強い意志が宿っていた。『私が村の安全を守ってみせる……』と言わんばかりのその強い視線に、巫女たちは深々と頭を下げて彼女の前から去るのだった。  そして……その二日後。  生贄を出すと約束した日の夕刻過ぎに、ささやかながら食事会を開いて貰ったルフィーナは食事と歓談の後巫女たちに促され村近くの聖湖へ清めの水浴びを行いにいった。  夏が過ぎ少し肌寒い季節になってはいたが、ルフィーナは躊躇うことなく衣服を脱ぎ巫女たちの前で堂々と裸体を晒した。  その……絹を敷いたかのように白く美しい肌……適度に膨らんだ母性を象徴する胸の丘陵……無駄な肉の無い細身の腰、腹……いかにも張りがよく柔らかそうな桃尻……細く引き締まった脚……  男がそれを見れば否応なしに飛びつきたくなるであろうその完璧なボディラインは、同性の巫女であってもその素晴らしさに思わず感嘆の溜息を零してしまう程で……付き添った二人の巫女はそれぞれ担当する箇所の清めの水かけを行いつつも、顔をほんのり赤らめてしまうことを余儀なくされた。 「ちょっと冷たいけど……気持ちが良いわね……」  水を浴びながらもルフィーナは遠くを見つめながらそのように零す。  その声は冷静で透き通っており、これから生贄にされるという重い事実を感じさせない彼女らしい声だった。 「ルフィーナ様……怖くはありませんか? 不安など……ありませんか?」  涼やかな表情を浮かべるルフィーナに、頬を赤くさせた巫女の一人がその様に伺いを立てる。  その言葉にルフィーナはクスリと笑みを零し「怖くはないけど……不安ではあるわね」と優しく返してあげた。  ルフィーナの中に生贄になる事への恐怖は特にない。なにせ、彼女自身……自分に言い聞かせていたのだから……  村の為に身を捧げる事が出来る……それは栄誉な事だし、誇り高い事だ……と。  その思いを持っているからこそ身を捧げる事に恐怖などない。むしろ喜んで差し出しててやろうとすら彼女は思っている。  しかし不安は確かにある。ひと思いに命を奪われるならその瞬間だけの痛みや苦しみで済むだろうが……妖魔は「無事に帰す」と言っている。それはつまり……命は取られないという事であり、その点だけは安堵できる要因の一つとなり得るが……じゃあ生かしておくなら1か月もの長い間“何を”して過ごさせる気なのか? というのが疑問に上がってしまう。  まぁ、花の妖魔なのだからヤる事と言えば想像がつかなくはないが……それでも1か月もの長い間ソレを延々とやり続けるつもりなのか?  ぶっちゃけて言えばルフィーナは花の妖魔という種族が何をするか知っている。本で読んだ知識だけではあるが、花の妖魔が“女性の蜜”を好んで吸う事を知っている。  普通、花と言われれば蜜を生み出して虫に吸わせて花粉を運ばせるという過程を思い浮かべるかもしれないが、淫魔から派生して生まれた花の妖魔は逆だ。人間に蜜を“出させて”それを吸って力に変える……という真逆の習性を持つ。  ここで言う人間の蜜というのは勿論……女性が出す“愛液”に相当するという事はルフィーナもよく知っている為、花の妖魔の条件である若い女性と処女であるという条件も当然の事だと理解出来る。  淫魔から派生して生まれた妖魔という種族……  淫魔の血が流れている為、人間の出す精液を好んで食する……  その精液を搾り出させるためにヤる事など……分からない筈もない。  ルフィーナは凛とした表情の裏に、自分がヤられる事になるであろう淫行を想像して心の眉をひそめていた。  どうせ淫らな事を強いて無理やりに愛液を啜るつもりでいるのだろう……汚らわしい限りだ……と、その様に怒りを増して考えているが……それが1か月も続くと聞かされると不安の一つも覚えるというものだ。  毎日果てるまで吸われ続けて……それをひと月も続けられると想像すると、背筋に悪寒が走って仕方がない。その間……延々と身体を弄られ続けるのだ……魔族にその様な行為を許すと想像しただけで吐き気を催してしまいそうだ。  ルフィーナは遠い目をしながら、ふぅと一つ溜息をついた。  想像した嫌悪感と悪寒は冷たく清らかな聖湖の水に洗い流されていく。  水は冷たい筈なのに、身体の線に沿って流れていくその清らかな水は体温を奪うどころか自分を守ってくれるかのように不思議な温もりを発し包み込んでくれる。  ルフィーナはその心地よさに目を瞑りもう一度息を吐き……憐れむように見ていた巫女に再び言葉を返す。 「不安だけど……大丈夫。どんなに淫辣な行為が行われたとしても……この聖湖が私に付く不浄を洗い流してくれる筈だから……」  湖からあがり、身体を白いタオルで拭かれながらルフィーナはその言葉の続きを巫女に送る。 「だから……勤めが終わったらまたこの聖湖に一緒に来てもらえる? 私にこびりつくであろう邪悪な淫気を……今日みたいに貴女達に洗い流して貰いたいの……」  その言葉を聞き巫女たちは不安気だった顔を上げて「はい!」と元気に返事を返す。巫女たちの返事にルフィーナは心からの笑顔を浮かべて、用意された生贄用の白装束に身を包んでいく。  そうして、清めの水浴びを終えたルフィーナは巫女に別れを告げて……独り花の妖魔ラフラの住処へと歩いていった。  自身にこれからどんな責め苦が与えられるのかと……淫らな想像を抱きながら……


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