ザ・ドッグトレーナー #33『仕置き、上半身が先で足が後ルート』(⇔32)
Added 2024-02-05 14:26:04 +0000 UTC#33 「ですよね? 私も……ショートケーキの苺は最後の楽しみに取っておく派です……」 あなたの出した指示に対してソフィアは口元をクスリと笑わせその様に呟きを入れる。リサはそのボソッと零した彼女の独り言を聞いても、あなたの指示を聞いた訳ではない為ソフィアの呟きの意味は理解出来ないで困惑する一方な様子。ソフィアはそんな彼女の不安そうな顔を見て再び笑みを携えると、構えていた手を彼女の胸横に狙いを定め直す。そして、その狙い澄ました手を目標の場所へと着地させようとリサの股間部を跨いでそのまま体重を預けるように腰を屈めて行き、上半身をくすぐり易くなる着座の姿勢へと切り替えていった。 「ではでは、今から30分間……罰を与えますね?」 リサの怯える顔を着座の姿勢で確認したソフィアは、そのまま腕につけていた時計のタイマーを敢えて“15分”にセットしてスタートのスイッチを押した。そしてその時計がピッ! という音を発したのを確認すると、彼女は手をワキワキさせて見せながらリサの胸横の肌にその手を移動させていった。 「まずは……先程やり損ねた上半身のくすぐりからです。さぁ、遠慮などしなくて良いのでいっぱい笑って苦しんでくださいね?」 万歳の格好を強いられている訳ではない為ワキの部位だけ見れば緩めな拘束だと言わざるを得ないが、両手をまとめて後ろ手に縛られている為くすぐられる事に対して抵抗が行える訳でもない。服を着ていれば多少なりとも刺激の緩和は出来たかもしれないが……彼女の今の格好は一糸纏わぬ裸体の格好であるから彼女の手の感触はダイレクトに肌に伝えられる事となる。 身体の構造的には心臓を守るための肋骨が左右に展開して伸びているが、胸の横の肌にはその骨の形が薄っすら見て取れるくらいには浮き出て見えている。 リサの胸周りの肌が引き締まっている事もあって、その肌に投影された肋骨の姿は骨の数まで数えられるほどに顕著に浮き出ているのが確認でき、ソフィアはそんな浮き出た肋骨の骨頭を摘まむように手を這わしていきくすぐる態勢を整えていく。 リサは襲ってくるであろう刺激に対して抵抗を試みようとすぐに目と口に力を込め、顔だけを起こしてソフィアの手を睨むように見ている。 彼女の手が動いても今度こそ決して笑わないぞという意志をその目に見る事が出来るが、その勇ましい顔も維持できたのはほんの数秒だけだった。 「ほ~ら、笑ってくださ~い? コチョ、コチョ、コチョ~♥」 骨の部分と間の肌の部分を交互に触る様に、ソフィアの10本の指が左右それぞれの胸横を優しく引っ掻き始める。その刺激を受けるや否やリサの耐えようとしていた顔は途端に歪み出し、瞬く間に笑う寸前の顔へと変化を余儀なくされてしまう。 「コチョコチョ♥ コチョコチョ♥ いかがです? 胸の横はワキとはまた違ったくすぐったさがあって……堪らないでしょう?」 「はぐぐぐぐぐぐ、ぐふっ! くふぅぅ~~~っふふ……ふっっ!!」 上半身を必死に左右に捩ってくすぐったさから逃げようと抵抗するリサだが、後ろ手に拘束された状態ではソフィアの手から胸横を守ってやることは出来ず、ただただ嫌がる仕草を取って見せるだけに留まってしまう。 そうこうしている内にリサに蓄積した笑いたい欲は我慢の許容量を超えてしまい、上限からはみ出してしまった笑いが徐々に口の端から零されるようになる。 「くっっっくっっくふっ!? くっくっくっくっくっくっく……くひゅひゅっっぅぐぐぐぐ~~~~!!」 どんなに身体を捩っても顔を横に振って気を紛らわそうとしても、ソフィアの手のくすぐったさからは逃れられない。募り募った笑いの欲はくすぐりが続くにつれ、押し出されるように口の端から吐き出され始め……リサの顔に笑いと苦悶の表情を浮かべさせる。 「ココですか? ココが弱そうですねぇ~♥ ココをコリコリされるの……とっても弱いでしょ?」 ソフィアのくすぐりに大爆笑までは誘発せず耐えて来たリサだったが、彼女の手が丁度胸の中心の横にある肋骨の骨を摘まんでコリコリし始めると途端に口元が緩み始め……顔が笑いの形へと歪まされ始める。顎の先を小刻みに震わせ、笑うのを我慢しようと必死に口を閉じて力を込めよう試みるが、いよいよその刺激に耐えられなくなると、耐えようとする意気込みをあっさり手放すように、目と口を大きく開いて今まで溜め込んでいた笑いを全て吐き出してしまうほどの大爆笑を見せ始めてしまう。 「ぶひゃっっっ!? ッッッフギャ~~~~ッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、やぎゃ~~~っはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、やめでぇへへへへへへへへへへへ!! そこやめでぇへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」 肋骨の浮き出た硬い骨の部分と絹のように繊細で柔らかな胸横の肌を同時に摘まんで力強くコリコリとしごかれるくすぐりを施され、リサの我慢は一瞬にして崩壊を迎えてしまい彼女はこれまで以上の大笑いをその口から吐き出す事となる。 身体の捩りや顔の振り乱しは先程以上に激しくなり、笑いと涎が同時に調教部屋に撒き散らされる。 「うぇひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ、イヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、くひへぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、おでがひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、そこぉコリコリしないれぇへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへ!!」 リサの悲痛な笑い声は調教部屋に反響して何度もソフィアの耳に届けられるが、彼女はその笑い声を聞き、口をニヤつかせる事はあれど手を緩めることは決してしない。 リサが笑ったと見るや、その笑いをもっと強めてやろうと手の動きにも工夫が為されていく。 「ほら、腋を触られるのも好きでしょう? ちゃんと全部は触れないのが残念ですが、晒されている箇所だけでもくすぐって差し上げます! ほ~ら、コチョコチョコチョ~♥」 万歳の格好ではないが後ろ手の格好ではある為腕の付け根には僅かながらワキを触れる隙間が存在している。ほぼほぼ閉じられたワキではあるが、ソフィアは自分の細指を巧みに使ってその無防備を強いられている部分の腋に指先を這わせ、モジョモジョと掠る様なくすぐりを施していく。リサはその刺激にも笑いを耐える事は出来ず、更に口を大きく開けて馬鹿笑いを吐き出す事を強いられる。 「ギャ~ッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、いひゃははははははははははははははははははははははははは、えへひゃみぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、いっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、無理やり腋に指入れ込んで来ないでぇへへへへへへへへへへへへへへへへへ!! その無理やりさもなんか可笑しくてっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへ、笑っちゃうぅぅふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ!!」 ワキをくすぐって笑わせたらまた胸横のくすぐりに戻り、胸横のくすぐりを終えたら今度は脇腹の方に手を向かわせ新たな刺激を与えて笑いを強制していったり…… 脇腹をくすぐったかと思えば、柔らかなお腹の肉をムニムニ揉み解して無理やり可笑しさを植え付けてあげたり、そうかと思えば胸の付け根の円周をモジョモジョ触ってじれったい感情を呼び起こさせたり……首を優しく愛撫したり、鎖骨の部位をコショコショ触ってあげたり…… あの手この手を使ってソフィアはリサの“笑いたい欲求”を刺激していき、彼女の腹の底から新鮮な笑いを無理やり生ませ搾り出させていく。 「ギャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、あひゃ、はひゃ、アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!! ヒィヒィっ! 苦るひっっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、たしゅけてぇへへへへへへへへへへへへへ、笑うの苦ひぃぃっっひひひひひひ、いっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」 「苦しいですか? 笑うのが苦しくて辛くなってきましたか? でもまだまだこれからですよ~? ほら、コチョコチョコチョコチョ♥」 「苦ひぃぃっひひひひひひひひひひひひひひひ、くる、苦ひぃぃっっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ、笑うの苦ひぃぃっっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、イヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」 「苦しくて当然です。辛くて当然です。だってそれが“罰”なのですから……」 「ひっっひっっひぃぃぃひひひひひひひひひひひひひひひ、ウヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ、ぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、はひ、あはひぃぃっっ!!?」 「少しでも楽をしようと考えるからこんな事になるのです。貴女はあの条件が出された時言いましたよね? “次の挑戦さえクリア出来れば罰を免れる事が出来る”っと……。その安易に罰から逃げたいって考えてしまうのが貴女の失敗の一番の要因です」 「はひひひひひひひひひひひひぇへへへへへへへへへへへへへへへ、だ、だ、だってぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへ、苦しいの嫌ぁぁはははははははははは、だからぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」 「良いですか? ご主人様の指示に従えなかったというのは、誰が悪いわけでもなく貴女の罪なんです。その罪に対しての罰を逃げようと考えるのは、ちゃんと躾が為されていないと思われます」 「ひぃひぃ、誰でも罰は受けたくないって思う筈よぉォほほほほほほほほほほ、そう思って何が悪いのぉっっ!!」 「罰を受けたくないと思う事は貴女の自由ですが、罰を与えたいと思っているご主人様に反抗するのは間違いです。罪を犯せば誰でも罰を受ける……上の世界でもそれは一緒だったでしょう?」 「だってぇっへへへへへへへへへへへへへ、あんたの罰ぅぅふふふふ理不尽っっ!! 酷過ぎるからぁははははははははははははははは、受けたくないって思うのは当然でぇへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」 「上の世界では罪相応の罰を与えられてきたでしょうが……この世界では違います。奴隷という身分の低い者が犯した罪は厳しく罰せられるのが常です。これでも私の罰は甘い方なのですよ? 貴女の買い主が本気で罰を与えようと考えたなら……この程度で済ますとは思えませんからね……」 「ひっひっひっひっひっひっひっひ、イヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!! ルルシアとかいうヤツ? ルルシアってヤツが私の買いぃぃひひひひひひひひひひひひひひひ?」 「そうです。ルルシア様は躾にかなり厳しいお方です……ですから、ホントに些細な油断でも見逃しては貰えないと思った方が良いです……」 「はひひひひひぃひひひひひひひひひひひひひひひひひ……ひぃ、へぇ、ハァ、っはははははははははははははははははははははは、くぁはははははははははははははははははは!!」 「しかし、ルルシア様は慈悲にも厚い方だと私は思っています。ちゃんと自分に従順な奴隷には、それ相応の愛情を傾けて下さる方だと……そう思っています」 「はひひひひひひひひひひ、そんな風には見えなかったぁはははははははははははははははははははははは!! 私を競り落とす時のあの女の目はぁはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、私にエロい事させようって言いたげな目だったぁはははははははははははははははははは!!」 「エロ……? まぁ、そこは否定しませんよ? 実際……ルルシア様の奴隷に向ける性欲は、あの小柄な体格からは想像できない程大きなものですから……」 「やだぁははははははははははははははは、わだじぃぃひひひひひひひ、エロい事できないぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひ!! 女同士でそんな事経験した事ないぃィひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」 「それはルルシア様が手取足取り教えて下さるでしょうから……貴女はそれに大人しく従っていればいいのです」 「ひっっひひひひひひひひひひひひひひ、イヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!! 私はそんな事したいと思ってないぃぃひひひひひひひひひひひひひひ、そんな主人のトコに行きたくなんてないぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」 「ったく……どの口がそんな暴言を吐いているのです? 例えそう思っていても、口に出して良い事と悪い事が有ると……まだ分かりませんか?」 「だって、だって、だってぇへへへへへへへへへへへ!!! 嫌なものは嫌だからっっははははははははははははははははははははは!!」 「嫌なものを“嫌”と口に出して許されるのは普通の人間だけです。貴女はもう……その普通の人間ではないのだと何度言ったら分かって頂けるのです?」 「いやはははははははははははははははははは、奴隷も、調教も、くすぐりも、もう嫌ぁはははははははははははははははははははははは、全部嫌ぁははははははははははは!! 全部嫌なのっっ!!」 「だから……嫌だと言って聞き入れらる身分ではないと言っているでしょうにっ! 貴女はド・レ・イ! 奴隷になったんです! もう元の世界にも帰れないし、ココでしか生きていけない身体になったんです!」 ソフィアの痛烈な捲し立てによってリサは顔を笑わせながらも、目からは大粒の涙を零し始めた。 彼女からしてみれば受け入れられない現実であり、出来れば解放されたい現実でもあった筈だ。 しかし、二日が経った今でも自分の待遇は改善されないし、自分が元の世界に戻るという算段も付けられないというのが現実……。一向に好転しない境遇の悲惨さは彼女の心に苛立ちを芽生えさせ、同時に先の見えない暗闇に居るかのような大きな不安を彼女に駆らせる事となった。 そこに来てソフィアに痛烈な現実を突きつけられたものだから、不安はより強い不安と絶望を生む事となった。それらの感情は、リサの目から涙という形で表出し今彼女を笑い泣きさせている。 自分が奴隷に堕とされたという現実……それは絶対に認められないと、ずっと現実逃避する事で自分を保とうとしていたリサだったが……いざ現実を突きつけられ、自分自身も「そうかもしれない」と自覚してしまった事で、自分という尊厳が理不尽に剥奪されたかのような錯覚に陥り……そこから生まれた絶望が彼女の心を締め付け……涙を流させる事となった。 その涙は、ただの笑う事が苦しくて流した涙ではない。彼女の希望が完全に絶たれた事による絶望の涙だと捉えて間違いない。 自分の尊厳が奪われたと感じた人間は……更に攻撃的になって抵抗するか、あまりにも非現実的なこと過ぎて何も考えられなくなり茫然自失してしまうかのどちらかになるという。 普通の人間であれば、自分を保つためにも攻撃的になって自分を奮い立たせようとするものだが……リサの場合は、その攻撃的になるという行動すらも制限されてしまっている為……怒りに身を任せる事も出来ない。 だから、彼女は笑いながら茫然自失の涙を流す事しか出来ていない。 ソフィアの言葉に対して……自分の感情や意思に反するような笑いと涙を流すより他ないのだ。 このまま何のフォローもなくリサを放っておけば、彼女は更に塞ぎ込んで生きる気力を無くしていくのがオチなのだが……そこで少しの助け舟を出してあげるのが調教師の役割でもある。 「ったく……泣かれては折角の笑顔が台無しになるじゃないですか……」 ソフィアはその様に零すと「ふぅ」と一呼吸をつき、座りの姿勢のまま少し腹部の方まで移動して上半身を前屈みの格好にさせつつ、彼女の虚ろになった目を覗き込むように睨みを入れて言葉を紡ぎ始めた。 「いいですか? 貴女は確かに“奴隷”という身分になりましたし、現実世界へ戻る事も叶わなくなりました。それは現実のことであり変えられないものです」 リサにとっては聞き入れたくない現実。ソフィアはそれを敢えて強調し語りかけていく。 「それが現実だと分かって……貴女は次に自分が何をしなければならないか……それを冷静に考えた事はありますか?」 「ひひ、はひひ……次に……何をくっく、ひひひひ……しなければ……ならないか?」 「今貴女の中に渦巻いている感情は絶望だけかもしれませんが……その絶望を抱いた所で貴女の身分が変わる訳ではありません。それは分かりますよね?」 ソフィアは語りながらも徐々に責めのスピードを緩め、リサの目を真っすぐに見て語り掛ける。 リサは藁にも縋る思いでその目を潤んだ瞳で見つめ、静かに頷きを入れる。 「どれだけ不安を感じても現実は変わりませんし、いくら時間を置いても……誰も貴女を助けてはくれません。そんな状況に置かれて……貴女はただ絶望して現実逃避を繰り返す事が最良の行動だと思いますか?」 「現実……逃避? 私が?」 「誰かが助けに来てくれると思う事は現実逃避でしかありません。同じく、現実を突きつけられ何も考えられなくなるというのも現実逃避です。貴女は今……その状態になりかけている」 「でも、私は……」 「逃避しても現実は変わりません。逃避すればその分だけ、折角与えられたチャンスや選択を逃す事にもなってしまいます」 「チャンスや……選択?」 「貴女は……奴隷に堕とされたとはいえ運が良い方です。さっきも言いましたが、この世界には奴隷という身分よりもまだ更に身分を下に見る世界が存在します。人間をモノとしてしか見ようとしないそんな世界が……」 「ひっ!? 人を……モノ……!?」 「最初からそっちの世界へ堕とされる人間だって少なからず居るんです。それに比べたら……自分はまだ運が良い方なんだと思ってください」 「私は……運が……良い?」 「しかし、その幸運を……貴女は自分を見失って手放そうとしています。気力を無くして……自ら地獄へ堕ちようとしかけています……」 「手放す? 私が? 何を?」 「この適性試験は貴女を苦しめるだけの試験ではありません。ここで適性が認められないと……本当に奴隷商のもとへ送り返される事になります……」 「送り返されたら……私は……地獄に……堕ちる?」 「適性試験も、奴隷調教も……貴女にとっては理不尽で不快なものにしか感じられないかもしれませんが……我々もただ貴女をくすぐって虐めて楽しんでいるという訳ではありません。ちゃんと計画に沿ってプログラム通りの調教を施して貴女を立派な“奴隷”に躾けようと努力しているのです……」 「……………………」 「でも、この適性試験も調教の作業も……貴女が奴隷としての“自覚”が芽生えないと……何の意味も成さなくなります」 「うぅ…………」 「苦しくて辛くてしんどいという気持ちは良く分かります……貴女が現実を受け入れられないのも重々承知の上です。しかし、それでも……このプログラムは時間通り進むし、成長が見込めなければすぐに切り捨てられる程のシビアさも兼ね備えています。貴女が望もうが望むまいが……時間が貴女を追い立てているんです……」 「……時間が……私を……」 「その短い時間にチャンスや選択は紛れています。それを手放せば……きっと貴女は後悔する事になるでしょう……。でもその後悔は、悔やんでも取り戻す事の出来ない後悔に成り果ててしまうんです……」 「チャンスって……奴隷になる事が……それ……なの?」 「貴女にとってのチャンスが何なのかは自分で考え出さなくてはなりませんが……少なくとも今貴女の目の前には二つの道がまだ示されている筈です」 「二つの道……? それって……奴隷になるか……それよりも酷い所に……堕ちるかの、二択って……事?」 「この選択肢はそう長い時間は提示されません。こうしている間にも……片方の道は閉じようとしているのですから……」 「私には……それだけの道しか残されていないの? 他の道は……」 「この二日間でそれ以外の道が示されましたか?」 「……っ!?」 「逆にそれ以外に道が有ると思えますか? これだけの仕打ちを受けておいて……」 「……………………」 「急かすような言い方はあまりしたくはありませんが……貴女は、時間も選択できる道も極端に限られているんです。でも限られてはいるけど、その道を選ぶチャンスはまだ貴女に残っているんです。そのチャンスがあるのに……他の道が無いかだとか、助かる方法は無いかだとか無駄な現実逃避をして拒否すればどうなるか……もう言わなくても分かるでしょう?」 「チャンスも道も……無くなる……」 「別に貴女が、地獄に堕ちても良いという考えでしたら、これ以上言う事もありませんが……もし少しでも堕ちたくないと考えているのでしたら……奴隷になる覚悟云々は別として、この適性試験にだけは合格しておいた方が身の為だと思いますよ?」 「この試験を……パスできなければ……私は……もっと酷い所に……堕とされる……」 「どうせ助かる見込みもないのでしたら……それ以上悲惨な事にならないよう自分の身を守ってやるくらいはしてあげても良いのではありませんか? それくらいしか出来ないのですから……」 「身を守ること……それが、今……私がしないと……いけない……事?」 「この世界では“自分の身は自分で守る”というのが鉄則です。どんなに惨めな格好で地べたに這いずり回る事になるとしても、どんなに辛い現実と向き合わないといけない局面が訪れたとしても……自分を助けられるのは自分だけです。そこに“選択肢”が用意されてあるのなら、せめてその選択を自分の手で選ぶ事くらいはした方が、後になっても自分に納得も出来るでしょう?」 「自分に納得……。選択肢を自分の手で……選ぶ……」 すっかりくすぐる手を止めてその様に語り掛け続けたソフィアだったが、ここで先程セットしておいた腕時計のタイマーが15分経ったことを告げる電子音を鳴らせ始めてしまう。 「……っと、私としたことが……ついつい話に気を取られてしまいましたね……」 ソフィアはすぐにまた時計のアラームをセットし直し、責めの続きに移ろうとリサの顔を見直す。するとそこには先程までの生気の抜けた彼女の顔ではなく、何やら悟りを開いたかの様なスッキリした表情を戻した彼女の顔があった。 「もしかして、あんた……私に気を遣って……こんな時間……取ってくれたの? それを伝えたくて……」 「おっと、勘違いしないで下さい? 話をしていて手を止めた分はちゃんと追加で罰を与えるつもりですので……。それに別にこれは貴女に情が移って話した事ではありません。最初からこれだけは言ってやりたいと思っていただけです。貴女にあまりにも成長が見られなかったもので……」 「でも、その割には……言わなくて良い事も……言ってたんじゃない? ルルシアとかいう……私の買い主の情報とか……」 「…………うぐ!? あ、あれは……話しの流れで私の主観を述べたまでで……」 「それにしては結構具体的だった様な気がしたけど……もしかしてあんた……元彼女の奴隷かなんかだったとか?」 「なっ、し、失礼な! 多少面識があったという事だけです!」 「ふぅ~~~ん、本当かなぁ?」 「えぇ~い! それはもうどうでも良い事です! 話は終わりです! さぁ、罰の続きを再開しますよ!」 「罰か……うん、そうだよね? 話が長くなって……私に……罰……与えられなかったもんね?」 「そうです! でも話をした分はキッチリ追加の時間として計上させていただきますからね!」 「血も涙もない事言うのね……そんなんじゃモテないわよ? あんた……」 「うぐぐっっ余計なお世話です! ってか、何ですかそのふざけた物言いは! 私は貴女の友達でも何でもないのですよ? 貴女の調教師なのですから立場を弁えて口を開きなさい!」 「はいはい……」 「ったく……塞ぎ込もうとしたかと思えば、今度は減らず口ですか! これだから最近の若い奴隷は躾がなってないというか……」 「でも……あんたが話してくれたおかげで……ちょっと楽になった気もするわ……」 「うっ……ぐ……なんです? 随分と生意気な顔に戻ったじゃありませんか。さっきまでこの世の終わりだみたいな顔で泣いていた癖に……」 「いや、うん……なんか……吹っ切れたような気がしただけ……」 「吹っ切れた? それは、奴隷になる覚悟が出来たという事ですか?」 「ううん、別に奴隷になりたいとかは全く思ってないけど……少なくとも、この適性試験とやらへの気の向け方は変えられたと思うわ……」 「試験への気の向け方が変わった? それはどのように?」 「フン、そんなの知れたこと。次こそは意地でもあのコインは落としてやらないって思ってるし……死ぬ気でコインを維持し続けて、落とせなくて焦ってるあんたの顔を見てやりたいと思っただけよ」 「へぇ? そんな事言って良いのですか? まだ……罰は半分以上も時間が残っているのですよ?」 「どうぞ? 好きなだけくすぐれば良いわよ。でも、もう……くすぐられる事を怖いとは思わなくなったわ。苦しくなることも……怖くなくなったから……」 「成程? アレで私が本気を出していたと……そう勘違いされている訳ですね? 良いでしょう……今度は貴女の弱点である足の裏……死ぬほど苦しく笑える様くすぐって差し上げますから……」 「うっ……足の裏……」 「あれぇ~? どうされましたか? くすぐって良いのでしょう? くすぐりなんて怖くなくなったんでしょう? ねぇ?」 「や、やってみなさいよ! こ、今度こそ……耐えて見せるんだから……」 「そうですか、そうですか……では、足の指も拘束して磔にして差し上げましょう♥」 「うぐっ!? な、な、なにそれ!! まだ拘束するつもりっ!?」 「こんな事もあろうかと……足の指も拘束できるよう、付属品を付けておきましたから♥」 「くっ……何よ……楽しそうに笑いやがって! そんな事されても絶対笑ってやんないんだからっ!!」 「それは何です? 誘い受けってやつですか? 笑ってやんないとか言って私の事煽ってますよね? もうそんな高等技術を身に着けたのですか……。これは、これは、先が楽しみな奴隷さんです♥」 「うぐぐ! さ、誘い受けじゃないわよっ! 本気でそう思ってるってのっ!」 「ハイハイ。それは楽しみですねぇ~♪」 「くぅ……絶対笑ってなんかやるもんかっ!! 絶対我慢してギャフンと言わせてやる!」 ソフィアと言い合うリサの顔は自然と口元に僅かながらの笑顔を形作っている。 これはソフィアに作らされた笑顔でなく、自分の意思で浮かべている笑顔だ。 まだまだ力強い笑顔ではないけど……それでもこの調教が始まる前までは決して見せなかった、自分の意思で浮かべる初めて意味のある笑顔だった。 彼女の中から何かつっかえのような物が取れたかのような……そんなスッキリしたような笑顔……彼女はそれを浮かべながらソフィアとの会話を楽しんでいる。 どうやら……ソフィアの言葉は彼女に届いたようだ。 ちゃんと目を見て、リサの間近で真摯に言葉を紡いだのが功を奏したか……彼女の心にはソフィアの言葉はしっかり届けられ、彼女を少しだけ前向きにさせられたようだ。 リサとソフィアとの関係性は決して良くはなかった。 礼儀に煩く、冷徹で冷酷……そしてすぐに手を出す暴力女……。リサの目にはソフィアの人物像はそのように映っていた事だろう。しかしそれは、意図して厳しく振る舞うよう指示を出していたからソフィアもそれに従ったまでで……彼女の本心は決してリサを必要以上に苦しめたいなどとは思ってはいない。 リサもそれを話の節々で感じ取れたようで……ソフィアを見る目が最初の怯えた目ではなく、友人を見るような柔らかい目に変化してきている。 調教師と奴隷候補の馴れ合いは調教に置いて障害以外の何ものにもならない不必要な要素ではあるが、奴隷候補が調教師を“信頼”出来ないと調教は最後まで上手くいかない。 奴隷候補からすれば調教師など自分をイジメる敵でしかない……というイメージしか持たれないだろうが、そうではなくてココでは学校で言う所の先生と生徒くらいの関係であると再認識してもらう事が必要となる。 イジメを与えて来る生徒を“信頼しろ”と言っても土台無理な話であるのは当然なのだから、そこの認識は改めさせないと話が先に進まない。 調教はただの暴力ではなく……教育であり勉強でもある……と、リサ自身が納得してくれないと調教に成果は現れない。 調教は躾の一環であり、現実とはまるで作法の異なる“この世界”に堕とされてしまったリサへ“最初の挨拶の仕方”を教えているに過ぎない。 無論……性癖を曲げるだの、身体の感じ方を変えてしまうだの……そういう精神や肉体改造的な事もするにはするが……別に催眠術をかける訳ではないのだから、それを受け入れるかどうかは結局彼女の意思に最後は委ねられる事になる。 どんなに辛く苦しい世界に放り出されても、受け入れる事で楽になる事も多々ある。 全てを受け入れるには経験も時間も彼女には足りていないが……それでも、最低限の覚悟くらいは今の話で固まったように見える。 「さぁさぁ、ほ〜ら触りますよぉ〜? コチョコチョコチョ〜♥」 「びぎゃはっっ!? ひぎ、っく、くくくく、うぐっくくくぅぅぅ!」 「おやおやぁ~? どうされましたかぁ? 随分と苦しそうな顔されているようですが? もしかしてぇ〜くすぐったいのですかぁ? 足の裏がぁ♥」 「ぐくぅふふっっ、こ、この程度っっ! どうって事……ないぃっ! くひっ、ひぎぐぐぅぅ!」 「フフフ♥ そんなに嫌がろうとしても無駄ですよ。足の指は磔にしちゃいましたから……暴れたくても暴れられないでしょう?」 「くぅぅぅふっっ、んぐぅぅ! や、やっぱ、足は、キツイっっひっっひ! くっくっくっくっく……」 「ほ〜ら♥ 土踏まずのトコとかくすぐったくて、思わず笑いたくなっちゃうでしょ? ほらほらぁ♥」 「ヒギャっ!? いひゃ〜っっっはははははははははははははははははははははは、しょこだめぇへへへへへへへへへへへ、しょこぉくしゅぐったいぃぃぃひひひひひひひひひひひ」 拒絶する事はリサにとっては防衛反応だったのかもしれないが、その拒絶を行う事によって自分への危機が増す事も往々にしてある。 逆に、受け入れる事で失う物も勿論ある。彼女の場合は、現実の世界へ戻りたいという希望だったり、最低限度の人間的生活……奴隷になる事を受け入れるという事は、そんな生きる希望にもなっていた想いを捨て去らなくてはならなくなる。それがどれ程自分の自尊心を傷つけることになるか……あなたも痛い程理解はしている。理解しているが……しかしそういうしがみ付きたくなる希望をスッパリ諦めてみると……案外楽に感じられるようになる事もあるとあなたは理解している。 リサはまだ奴隷になるという覚悟を決めた訳ではないようだが、少なくとも奴隷を育成する“調教”に関しては前向きな気持ちを持てたようだ。 出来れば、奴隷になる事にも寛容になって貰いたい所ではあるが……そもそもリサはルルシア嬢の求める奴隷像を完全には理解し切れていない。性奴隷であったりくすぐり奴隷がどのようなモノなのかも分かっていないのだろうから、仕方がない部分ではあるが……そこは今後の調教で味を知ってもらうのが一番早いと思っている。 くすぐりを快感に思える奴隷…… そこに達する奴隷を調教するにはいささか時間が足りな過ぎるとは思うが……明日の調教でその部分はしっかり身体に植え付けて行こうと考えている。 リサはその入口に自分の足で立ってくれたのだ。きっと……明日の調教も上手く行く…… あなたはその様に頭の中で考えを述べゆっくりとモニター前の席から立ち上がった。 モニターには、リサの足裏をこれでもかとくすぐり倒しているソフィアと……結局それに大笑いする事を強いられる事になったリサのだらしない顔が同時に映し出されている。 「あら、マスター? 最後までご覧にならなくて大丈夫なのですか?」 立ち上がってモニターに背を向け始めたあなたを見て、隣に立って見ていたエリナがその様に声をかける。あなたはその言葉に「後は見なくてもリサはもう大丈夫だろう」と言葉を返しモニタールームの扉の方へと歩を進めていった。 エリナはその様子をクスリと笑みを零して見送り…… 「えぇ。わたくしも……この微笑ましいお姉様達のじゃれ合いを見終わったら、お夕飯の仕込みでも始めておきますわね♥」 と、零して……あなたが去った椅子へと座り直してモニターの方を見返した。 モニターの中でリサは先程よりも激しく笑い悶えている。 ソフィアのくすぐりがあまりに容赦がない為か……声が嗄れそうなほどガラガラになりながらも苦しそうに笑い悶えている。 しかし、その顔は……先程までの絶望に歪んだ苦悶の表情とは違い、ちゃんと笑いだけの苦しみに苦悶した顔を見せていた。 その顔を見たあなたは……確信した。 彼女は時間が許す限りあの挑戦に挑戦して……必ず最後までやり遂げて、今日を終えてくれるだろう。 そしてあのソフィアに“ぐぅ”の音を吐かせて挑戦を終えてくれるだろう……と。 その様に確信したのだからあなたはこの試験を最後まで見届けず、明日の為の調教プランを練る為自分の部屋へと戻っていったのだ。 夕食で……ソフィアの悔しがるような言葉を聞くのを楽しみにしながら…… →#35へ