NokiMo
ハルカナ
ハルカナ

fanbox


ザ・ドッグトレーナー #28『上半身ルート二日目を終えて』(⇔27)

#28 「聞いてくださいよマスター! あの女ときたら……急に生意気になりやがってですね!」  食卓のテーブルに着くや否やソフィアらしからぬ汚い口調があなたの耳に無理やり入れられる。  頬を膨らませ、いかにも怒りを露わにしている様子だが、内心はどうやら真逆なようで……今日の調教は楽しかったと言わんばかりに口元を僅かにニヤつかせている。 「本気でくすぐったんですよ? 手なんて抜いてなかったのに……あの女ときたら、体力が限界だ~とか、もう手が離れる~とか言いながら、全ッッ然手を放さないんです! どう思います? あの嘘つき!」  手を抜いていない……とは言ってはいるが、ソフィアの事だから肝心な部分は優しさを見せリサが手を放さないよう計らったに違いない。  今回の調教は2回目の罰の段階でリサの変化を確認できた為、もうその段階で今日の調教は完了したと言っても過言ではなかった。  3度目のトライなどオマケに過ぎなかったのだ。  しいて意味を応えるなら、リサへの最終確認とでも言えるのが最後の試験だった。  いかに出来レースだったとしても、リサに舐められる訳にはいかないのだから……そこは本気を装って試験を行ってあげなくてはならない。  そして、リサに自分の力で試験をクリアできたんだという成功体験を植え付けなければならなかった。奴隷になる覚悟を持たせ、その最初の第一歩が自力で歩めたという体験は……リサに自信を持たせる事に繋がる筈だ。  この自信は次の調教の拒否感を薄めてくれる。  リサに次の一歩を歩ませる追い風を吹かせる事が出来る。だから、例えオマケであっても必要な仕上げであったと言えるのだ。 「あの女……ずっと私に対して“負けない”とか“耐えてみせる”とか言って煽ってきたんですよ? 拒否感を薄める事には成功したみたいですが、地の性格が生意気すぎて私じゃなきゃキレていた所ですよ! 明日の調教はその辺も“分からせ”てやらないと……このままじゃとてもルルシア様に会わせられませんよ! 全く!」  プリプリと怒っている声をあなたに聞かせているが、既に明日の調教の事を考えているようで……口元のニヤつきは収まっていない。恐らく想像の中で筋道を描いている事だろう……あの生意気な性格をどう屈服させてやろうか……とか、どうイジメてどう苦しめてやろうか……とか……。 「明日は……わたくしも参加して構わないのですわよね?」  珍しくやる気に火のついた姉を見て少し引き気味になっているエリナが、あなたに確認するためにソッと耳打ちをしてきた。  あなたはその言葉にウンと頷いて返事を返す。 「2日目にしてお姉様が逃避段階と絶望段階の二つを乗り越えさせましたから、リサさん……まだ頭の中は完全には整理出来ていないでしょうね……」  興奮するソフィアに代わりエリナがあなたのコップに水を注ぎながら、リサの身を案じる言葉を零す。 「さっき……お洋服と食事を届けに行った時……彼女……泣いてました。多分……今になって色んな想いが一気に溢れてきたのでしょうね……」 「……フン! あんな奴……泣かせておけばいいのよ!」 「姉様? それは……本心じゃありませんよね?」 「うっ! ぐっ……むぅ~~~~」 「私達だって……最初はあんな感じだったじゃありませんか……。お姉様なんて、リサさんよりも塞ぎ込んで……」 「う、うるさいわね! もういいでしょ? そんなの過去の話よ!」 「…………………………」 「あぁもう! そんな事より、明日の話をするわよ! マスター? 明日は予定通り“快感寸止め責め”で良いのですよね?」  あなたはソフィアの言葉に頭を縦に振って「その通りだ」という意志を示した。  快感寸止め責め……これはその名の通り、性的刺激を入れて絶頂寸前までリサを追い込むが決してイくまで責め切らないという“焦らし”の究極形になる調教手法だ。  本来なら、このような早い段階で本格的な性刺激を入れるべきではないとは思っているが、これも時間が無いという制約が計画を前倒しにさせてしまうためどうしても明日にはこの調教を行う必要が出てきている。  奴隷も犬や猫同様……快感という名の褒美に弱い生き物だ。上手い食事を食べる事も快感だし……性欲を発散する事も同様に快感であり最大の褒美に繋がる。  寸止めとは、その性衝動を高めるだけ高めさせて未消化のまま焦らすという調教方法であり、欲求不満を人為的に引き起こさせ……奴隷の快楽をコチラでコントロールするという手法を取る。  奴隷は気持ち良い事が分かっている快感をいつまでも消化できずに苦しむ事になる。調教師はその気持ち良くなるギリギリのラインを見極め、上手くくすぐりと調和を計って最後の爆発的な快感に結び付けなければならない。  普通はこれを2~3日かけてじっくりと身体に染み込ませるものだが、今回は明日の一発の調教でそれを植え付けてやらなくてはならない。  最終的には、リサが“快楽を与えて欲しい”という意志をしっかりと調教師に伝えられるかどうかが調教の成否に関わるが……そこまで運ぶ為の技術もソフィアとエリナには要求される。  快楽が足りなければリサに屈服を強いれないだろうし……くすぐりよりも快感に刺激が寄り過ぎれば途中で勝手に果ててしまい続行不能に陥る可能性だって出て来る。  快感の強さをコントロールするエリナの役割も大事だが、快感をくすぐりの刺激で塗りつぶすソフィアの手技も同じように大事になるというかなり高難易度な調教を明日はやり遂げないとならない。  そして彼女らにそれらの指示を的確に出して調教を成功に導くのはあなたの仕事だ。  リサの快感の数値がどの程度まで高まっていて、どの程度で果ててしまうのか……それは本人にしか測り得ない部分ではあるが、それを鋭く洞察して判断するのもあなたの役目でもある。  彼女の癖やら感じ方の特徴やらはこの短い時間の中で全ては見れていないだろうが、そこは調教師としての勘や今までの経験で補うしか方法はない。  寸止め責めを行えるのは日数的に見ても明日しかない。明日の調教を失敗すれば……自動的にその次の日の調教も失敗する事になる。だから明日はどんな事があっても失敗は許されない。  あなたとマーガレット姉妹の手腕が問われる山場が明日なのだ。  逆に明日の調教が上手く行けば……後は楽なものだ。  しっかりとリサに“くすぐり”と“性的快感”を結び付ける事が出来たなら、後はそれを繰り返し身体に染み込ませていくだけなのだ。  明日は……最後の山場だと言っても過言ではない。  明日を乗り越えられるかどうかで……調教の成否が決まる。 「明日は……リサさん的には絶望段階と受容段階の狭間に立たされてる事になりますよね? 今日の調教で姉様への拒絶感や、調教への拒絶感は少しは和らいだでしょうが……まだ彼女が奴隷になる事への自覚を強くは持ててはいません」 「くすぐりに対して“苦しい”以外のイメージを持てていないのだから……それも仕方ないわよね?」 「えぇ。ですから……明日は、快感と苦痛を混在して与えて……イメージを上書きしてあげないといけません……」 「焦らして……焦らして……焦らし切った末に、最後の最後で強烈な快感を植え付ける……。それでリサの性癖を無理やり捻じ曲げるって訳よね?」 「少々乱暴にはなるでしょうが……残りの日数を考えれば、妥当な調教プランかと……」 「そうね……。明日は、壮絶になりそう……」 「あら、お姉様? そう言っている割には、口元がニヤついてますわよ?」 「そう言うあんただって……。何よその……早く調教してやりたいって言いたげな顔は……?」 「わたくしは……早く明日にならないかと楽しみにしてますわよ? リサちゃんに……早くあの快感を味わって頂きたいと思ってますから……」 「リサは関係ないでしょ? あんたがリサのだらしない顔を見て悦びたいだけでしょうが……」 「姉様だってそうでしょう? リサさんの笑い苦しみながらも快感をおねだりする姿を……早く見たいと思っているでしょうに?」 「……っ!? うっ……うぅ……」 「フフフ♥ マスターの前で自分だけイイ子ぶるのはズルいですわよ?」 「べ、別に……私はイイ子ぶってた訳じゃ……」  難しい調教になることが分かっている以上、不安に思う事は山ほど積み重なっているが……  しかし、マーガレット姉妹同様……あなたも楽しみにしているのは確かだった。  不安以上に、あの拒絶の強かったリサが調教によってどのような変化を見せてくれるのか……それを早く知りたいと思えてならない。  あなたは食事を終えた後、自室へと戻らず再びモニタールームへと入り……こっそりと今日の調教の様子を録画した映像を流して、予習と称した妄想をリサの笑い顔に当てはめて明日への活力を得ようとした。  しかし、程なくして……ソフィアも同じ目的でこの部屋へこっそり入ってきたようで……あなたを見るや否や顔を真っ赤にしてそそくさと退散しようとした。  あなたはそんなソフィアを引き留め、一緒に見ようと誘い……夜が更けるまで二人でリサの悶え顔を堪能した。  流石にソフィアが居る前で不貞な行いをする訳にはいかなくなったあなたは、その後彼女の風呂上がりの良い匂いを隣で嗅ぎながら……この倒錯的な映像を見て悶々とした心持ちでその映像を最後まで見たのだった。  それはもう……リサが明日味わう事になる寸止め責めを事前に味わったかのようなもどかしさで……  明日のリサがこれ以上のモノを味わうのかと想像すると背筋に寒気が走るのが感じられた。  あなたのもどかしさを察したソフィアは去り際にボソリと「言ってくれたらヌいて差し上げましたのに……変なところで真面目ですね、マスターは……」と言ってプイっと顔を背けて自分の部屋へと帰っていった。  あなたはその言葉にドキリとさせられたが、それも彼女なりの冗談なのだと割り切り……自分の寝室へと戻る事とした。  そして、陽が昇り……3日目の朝……  いよいよ3日目の調教が開始される事になった……。 →#37へ


Related Creators