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ザ・ドッグトレーナー #2『マーガレット姉妹とあなた』 (⇔1)

#2 ――とある洋館、夕の食卓にて…… 「マスター? 人間が性奴隷に堕ちる為の4段階過程という理論があるのはご存じですか?」  赤いテーブルクロスが引かれた長いテーブルの端に着席して料理を待つあなたに、使用人のソフィアが水差しにてコップに水を注ぎながらそのように語りかけて来た。  彼女の名前はソフィア・マーガレット。あなたの大きな屋敷で住み込みで働いてくれているメイド兼“教育”係を担ってくれている存在で、彼女との生活はもうかれこれ3年経つか経たないかと長く……知らない事は殆ど無いと言っても過言でない程お互いを知り合っている仲でもある。 「恐らくマスターはその様な理論など知らずとも調教など出来ると仰るかもしれませんけど……折角仕入れた知識なのでお教えいたしますね?」  目尻は若干吊り目がちで喋り口調は平坦な為冷たい印象を与えられるが、時折あなたに見せる口元の笑みはそこはかとなく妖艶さを醸し出していて……薄ピンクの控えめな口紅も相まって彼女の魅力はそのクールな見た目と美人な顔立ちに凝縮されていると言ってもいい。  その美人な顔立ちは……肩に毛先が付くかどうかまで伸びた美しい銀色の髪によって一層際立たされ、真っ直ぐに伸びきったストレートの固い髪質が彼女のルビー色の綺麗な瞳に重なって、凛とした力強さも感じさせてくる。 「そもそも人間というのは……誰かの“所有物”になるという事を、基本的には拒むものです……」  そんな彼女が“奴隷”だの“所有物”だのと言う物騒な言葉を堂々と放ってくるのはいささかギャップがあって、それもドキリとさせられる一因になりそうに思えるが……あなたはその会話を彼女との日常会話だと認識して言葉を交わしている。  それは何故かというと……あなたは“そういう言葉が飛び交う世界”で商いを行っている商人なのだからだ。 「ヒトは自分の生存本能を自分で管理出来なくなると感じると……途端に恐怖を抱く生き物であり、それを奪おうとする者を脅威の対象だと知覚し敵として認識するのだそうです……。まぁ、人間に限らずどんな動物でも襲われれば敵対するというのは当然の反応ですよね? 人間もそれに当てはまる……という事です」  奴隷調教商……と界隈の者からは呼ばれている為健全な商人でない事は察する事が出来るだろう。  あなたの商いは依頼人に預けられた奴隷を依頼の通りに調教し、期日までに主のもとへと送り返すという裏の世界でのみ行われる特殊な仕事を請け負って生計を立てている。  ……性奴隷という現代の闇の奴隷に身を落とした女性達のカラダを無理やり買い主の好みの性癖になるよう捻じ曲げたり、奴隷として従順になるよう調教するのが主な仕事……と、表の世界で堂々と言う事は憚られるため、表の世界では“ドッグトレーナー(犬の調教師)”で生計を立てていると説明はしてある。  まぁ……犬というのが“どういう意味での犬”なのかは人の解釈次第なので、別に嘘をついている意識は特にない。要はこの大きな調教屋敷がどのように財を成して建てられたかを表の人間に説明できる言葉があればいいだけなのだから……表の人にも馴染みのある言葉でオブラートに包むのが肝要という訳だ。  表の世界の住人に怪しまれては仕事がやりりにくくなるのだから、そこら辺の対策は……屋敷を山奥に建てたり、地下室は全ての壁に防音処置を施したりと徹底している。その一貫としてドッグトレーナーという隠語も使っているだけだ。 「全員がそれに当てはまるとは申せませんが……大体の人間は、奴隷として売られるという事に大なり小なりの抵抗感を抱くものです。人に買われるという事象は、イコール自分の生殺与奪権を相手に委ねることになってしまう……と、同意ですから……まぁ当然ですね」  性奴隷を欲しがる買い手には、容姿は気に入ったが自分の性癖に合っていない……と感じる買い手も少なくない。そして買いたての奴隷は拒絶感も強い為、自分の思い通りに出来ない……と、嘆く買い手も居たりする。本来ならそんな奴隷を主人自ら自分好みに調教していくのが楽しみの一つだとも思うのだが……中にはそういう手間を省いて最初から好みの合った従順な奴隷が欲しいと願う買い手もいるのだ。  その様な顧客のニーズに応える為にあなたはこの商いを始めた。  買い手のどんな特殊な性癖にも対応できるよう、教育係(調教師)であるこのソフィアにもあなたが直接調教を施して技術を習得させた。  ちなみに調教師はソフィアだけではない。彼女には義理の妹がおり、その彼女も…… 「あら、お姉様? 奴隷になれば抵抗感が~とか仰ってますが……わたくしは最初からマスターの奴隷になりたいと立候補した口でしてよ? そういうのって……イレギュラーなのかしら?」  今……丁度奥の厨房から料理を運んできて話に割り込んできた彼女が、ソフィアの義理の妹……エリナ・マーガレット。彼女達マーガレット姉妹が奴隷の調教を担当し、あなたは彼女達に指示を下す立場を取っているのだ。 「……エリナ……邪魔しないでくれる? 今は私がマスターと話をしているのよ?」 「ウフフ……♥ それはそれは……ごめんあそばせ♥」  姉のソフィアとは正反対にほんわかした雰囲気を常に醸し出している癒しを擬人化したかのような彼女……。とてもソフィアより3つも歳が下だとは思えない程、女性としての発育が顕著で……特にその胸の膨らみは姉のソフィアにいつも風呂でひがみを入れられる程。  糸のように細い目をにこやかに閉じ、口元には笑顔を絶やさない……背の低いソフィアを見るとどっちがお姉さんか分からなくなりそうな高身長で、その身長に見合うよう髪はボリュームと長さがあり……薄ピンク色とオレンジのメッシュの入ったその髪は、軽いウェーブ癖を見せながらも腰の少し下まで伸びている。  見た目にもついつい甘えたくなってしまいたくなる程の強い母性を備えている彼女の容姿だが、こんな見た目でもまだ19歳になったばかりの少女である為……調教師としてもまだ少し未熟だ。  苦痛を与える事に容赦のない姉と比べても、エリナは快楽に寄った責めを行う事しか出来ていない。それはそれで個性的だとも言えるが……調教師に寄せられる依頼は何も苦痛を快楽に変換できる奴隷ばかりが求められるわけではない。  ちゃんと苦痛を苦痛と認識する奴隷であってほしいと依頼される事もあるのだから、そうなれば彼女個人で調教を行うのは難しくなるのだ。  まぁ……そうは言っても、快楽に寄った責めはソフィアの責めよりもねちっこくて上手いと評判が良い為、一概に彼女が調教師として適性が無いと断言する事は出来ない。だから今は二人で足りない部分を補い合って調教をするというスタイルが一番に成果が出せると信じ、彼女達に調教を任せている次第だ。 「エリナは別としまして……普通の人間は、奴隷として堕とされた瞬間から次の4つの段階を踏んで最終的に奴隷になる事を受け入れるとされています」  ソフィアの声は普通の女性と比べて若干低く……どちらかと言えばカッコイイと感じる声質だと思うが、その低く響く声には艶があり……言葉の節々にそこはかとなく妖しさが含みを持たせてくる。   「それ……わたくしも知ってますぅ♥ 確か……最初は“拒絶”でしたわよね?」  逆にエリナのホンワカした喋り口調には癒される部分が強いが……彼女が仕事の為に奴隷を責める場面になれば、その柔らかい口調が逆に場の雰囲気に合わず倒錯的なエロさを醸し出してくる。 「そう。最初の段階は“拒絶”です。奴隷に堕とされた者は自分の境遇や立場を理解しようとせず……どんな要求もただただ拒絶を繰り返すイヤイヤ人間に成り下がります」 「イヤイヤ人間? フフフ……可愛い♥」 「私達が調教を開始する段階はまさにこの第一段階から始まることが多いですが……調教が進めば次の段階である“逃避”という段階に移行します」 「逃避? って……逃げ出しちゃいますの?」 「逃避と言っても身体的には逃げられない状況にありますから……この場合の逃避は肉体的な逃避ではなく、精神的な逃避行動となります……」 「精神的な……逃避?」 「調教を行い始めのこの段階では……自分が奴隷になったという自覚はまだ無いと言っても過言ではありません。しかし、自分が自由ではないという自覚は芽生えてきます……」 「あぁ……。食事も睡眠も管理されるようになるし……拒否しても無理やり調教部屋に入れられて苦痛を味わう事になるしで……それがもどかしく思えて来る時期ですわよね?」 「そう。この段階の奴隷は“逃避交渉”という特別な行動をするのが特徴的です」 「……逃避交渉?」 「自分の待遇の改善……自分の自由の確保……それらを“交渉”によって得ようと試みる行動です。まぁ、要は……調教を受けたくないが為にそれを受けなくて済む交換条件を提示し始めるアレです……」 「あぁ、ナルホドぉ。助かる為の命乞いみたいなヤツですわね?」 「まだこの段階では“交渉”すればどうにかなると勘違いしている奴隷も多く居ます……。まだ自分にそういう事が出来る権利があると……信じている感じですね」 「アハハ……可愛い♥ 足搔いても無駄ですのにねぇ……」 「しかし実際は、逃避も出来ない……交渉しても交渉が通らないと悟り始めると……次の“絶望期”という段階に移行します」 「絶望……。何てイイ響きの言葉なのかしら♥」 「このあたりから自分の境遇は自分の意思では変えられないと自覚し始め、内心焦りを覚え始めます……」 「この段階が一番調教を怖がりますわよねぇ……もう、ホントにやだ! って……言って聞かなくなる奴隷さんも少なくないですわ♥」 「今までは“まだどうにかなるんじゃないか”という希望があったりするから耐えられた部分もあったでしょうが……それも打ち砕かれた奴隷は、耐える気力も削がれ絶望しか感じられなくなります」 「可哀そう……。さぞかし怖い思いをする事でしょうね……?」 「この絶望期に奴隷はようやく自分には救いはないと悟り、奴隷として生きて行かなくてはならないという未来と向き合う事になります……」 「ヒィ……怖い怖い……♥」 「絶望していても苦痛は続きます。その苦痛も、今後延々と与えられ続けるものなのだと理解する事になり……それを理解した時、脳は二つの選択肢から一つを選ぶ事となります」 「二つの……選択肢?」 「苦痛を快楽に変え……自分の性癖を歪めて適応する道を選ぶか……それとも、苦痛を苦痛と認識したまま……永遠に苦痛と拒絶を繰り返すか……」 「究極の二択ですわね……。まぁ私は断然……1番目の選択しかありえませんが♥」 「人間は弱い生き物です。だから大体の奴隷は苦痛を快感に変える選択肢を選んで自分を守ろうとしますが……中には精神が屈興過ぎて2番目の選択を取ってしまう者もいます」 「軍隊の兵士さんとか……そういう訓練を受けた人たちという事ですの?」 「稀に普通の女子でも精神だけは屈強でタフな女子も存在します。そういう女子には……かなり手こずらされますよね?」 「そうねぇ……どんなに快感を与えても……動じない子とか……たまに居ますわね……」 「そういう選択をする女子たちは、実は単に精神力が強いというだけでその選択をする訳ではありません……」 「え? そうなんですの?」 「この場合……多くは、その下のどこかの段階で調教を強引に進めてしまったり、欲望のままに責めてしまったりする事で調教が上手く行かず、奴隷に考える余地を与えてしまう事になります……」 「考える余地?」 「責めが中途半端であればある程“この程度だったら耐えられるかも”という余裕ある考えが生まれ、奴隷が勝手に苦痛に耐え頑張ろうとしてしまいます……」 「あぁ……それ、長引くパターンですわね……」 「特に、快楽を与えるタイミングだったり苦痛との比率を間違えると……そういう事になり易い為……」 「……えっと……快楽を与えるタイミングって……それ、もしかして私に言っていたりしますぅ?」 「いいえ、これは私にも言えることだし……指示を出すマスターにも言える事です」 「マスターにも……言える?」 「各段階にはそれに適した責め方・調教の仕方というのが存在します。それを見極めるのは全体の流れを読まなくてはならないマスターの役目でもあります……」 「指示を出して下さるのはマスターですものね? 私達は基本的にそれに従って責めを行う流れですし……」 「マスターの指示が裏目に出たり、私達が興奮しすぎて余計に手を加えてしまったりすれば……それは調教の失敗に繋がってしまうかもしれません」 「調教……失敗? いやですわ……聞きたくないぃ!」 「あ、っと……別にこれは脅す為に言っている訳ではありませんよ? マスターはそこの所しっかりご自分で管理されていると思いますので……普段通り行って頂ければ気にする必要はありません!」 「そ、そうですわよ! マスターは調教を失敗なんてなさった試しがありませんもの! その指示に従うわたくし達だって……」 「えぇ。ただ……まぁ、注意喚起と言いますか……気を抜かないようにと思っての進言です。もしそういう事を意識せず調教を行っていましたら、この機会に意識してみるのもいいかな……と思いまして……」 「そうですわね。確か……明日でしたわよね? 新しい“依頼品”が到着するの……」 「そう……。明日やってくる“依頼品”は我々のお得意様にもなっている……ルルシアお嬢様からの直々の依頼……」 「ルルシアお嬢様っ!? って……女性だけのハーレムを作ってらっしゃる……あの?」 「えぇ。お嬢様は自分の屋敷に競り落とした沢山の奴隷を住まわせ、日替わりで自分の性癖を満たすプレイをその奴隷たちに施しているのだそうで……」 「お嬢様の性癖って……確か……」 「ルルシア様の性癖は“くすぐり”です」 「でしたわよね……。彼女……奴隷を身動き取れないよう拘束して……身体中をくすぐって無理やり笑わせる事に興奮を覚える性癖の方ですわ……」 「彼女からの依頼は過去に2回受けましたが、この2回は趣が真逆になる依頼でした」 「えっと……確か最初が……くすぐりを苦痛に感じる奴隷に仕立てて欲しいって言われましてぇ……。次がくすぐりを快感に感じるようになる奴隷に仕立てて欲しい……でしたっけ?」 「今回の依頼内容は、お嬢様が奴隷の移送ついでに直接伝えに行くと仰っていましたのでまだ分かっていませんが……彼女の性癖を考えると、またくすぐり奴隷を調教する事になるのは間違いないでしょう……」 「うぅ……くすぐり奴隷を調教するのって……難しいんですわよね~。私自身がそういうのが苦手って事もありますし……実際に調教してても奴隷の笑い声を聞くとわたくしまで身体が勝手にこそばゆく感じちゃって……」 「そう? 私は……別に……」 「お姉様は不感症なだけでしょう? わたくしは……その……身体が敏感ですからぁ……♥」 「誰が不感症よ! 私だって……マスターに……快感を仕込まれたカラダなのだから……」 「うぅ……それを言うのならわたくしだって!」 「っと、私が言いたいのはそうじゃなくて! とにかく、くすぐり奴隷に調教するという依頼が来るのは間違いないと思いますから、その準備をしておくべきだと言いたいの! 分かってる?」 「……は、はぁ~い……(わたくしだってマスターに気持ち良くなるカラダにして貰ったのですから、お姉様だけの特権じゃありませんわよ?)」  ルルシア・ライラック嬢……あなたは彼女をよく知っている。  彼女は裏の世界でも有名なくすぐりフェチのお嬢様だ。  単に女の子をくすぐるのが大好きなお嬢様という訳ではなく、自分が拘束されくすぐられるという立場も好きだという……責めも受けも両方こなせる稀有なご主人様だ。  彼女の屋敷には10人以上のくすぐり奴隷が住んでいて、その内の二人の奴隷をあなたが調教を受け持った。  いずれもルルシアのお眼鏡に適う奴隷に育て上げる事が出来たと自負しているが、しかし“くすぐり”という慣れない行為で奴隷を仕立てる事になったためソフィアとエリナへの教育に時間もかかった。  前回はその時間のかかり具合を彼女は不服に思っていた様子だったが……また依頼してきたという事は、調教の技術を認めてくれたという事だろう。 「マスターは……その……くすぐり奴隷って……どうお考えですか?」  ルルシアの顔を思い浮かべながらそのような事を耽っていると、隣の椅子に座ったソフィアがあなたの顔を覗き込んでその様に問いかけて来た。 「くすぐりを気持ち良く感じるようになるって……どういう感覚になると……思いますか?」  ソフィアの赤い瞳があなたの目を真剣に直視する。  あなたの太腿に手を置き自分の存在をアピールするかのように手に体重を掛けて来る彼女……そのアピールを見てエリナは慌てるように握っていた食事ワゴンの取っ手から手を離し、姉とは逆の太腿に自分の手を置いて顔を近づけさせた。   「わ、わたくしは! その……弱いですが、マスターにくすぐって貰った時は……う、嬉しかった……ですわよ? 気持ち良かったし……快感でした!」 「私はまだ……気持ちが良いと感じた事は無いので……その気持ちは分かりかねます……」  姉に取られまいと必死に自分をアピールするエリナだが、ソフィアはその様な想いなど関係ないと言わんばかりに淡々と自分の言葉を続けていく。 「マスターが……嫌でないのでしたら……その……私のカラダを……くすぐりが……快感に……なるよう……調教して頂いても……」 「あぁぁ! ズルイ! ズルイ!! お姉様! それズルいぃィ!!」  姉の誘惑の仕方が冗談ではなく本気だと悟ったエリナは居ても立ってもいられなくなり、あなたの太腿から手を離すとすぐにソフィアの背後へと回り込み、彼女の油断していた両腋に自分の手を差し込んで誘惑の邪魔をするかのようにくすぐりを入れ始めた。 「キャッ!? ハヒャヒャ!? うはははははははははは!! ちょ、やめ! エリナ!!」 「マスターに先に調教されるのはわたくしですっ! お姉様はわたくしがこのように直々の調教して差し上げますからっ! それで我慢してくださいまし!」 「あはっっ! アハハハハハハハハハハハハハハ!! あんたはもう調教済みでしょうがっ! 何でそこで張り合うのよっ! ぅくくくく……くはははははははははははは!!」 「じゃあ私も! 私もまだ快感を覚えていませんっ! 覚えてませんから私にも教えてくださいましっ! くすぐりで快感を!」 「意味わかんない事言わないでぇへへへへへへへへへへ!! ちょ、ホントに怒るわよっ!!」 「これ以上マスターを誘惑しないと誓いますか? 誓わないとやめてあげません!」 「わ、わ、わかった! 分かったわ! 誓う! 誓うからやめっへへへへへへへへへへへへ!!」 「ホントにぃ? その言葉……ホントですかぁ? 嘘だったら……もっとくすぐっちゃいますよぉ? ほ~ら、脇の下も……コチョコチョコチョ~♥」  体格では妹のエリナの方がソフィアよりも大きい。だから、体重をかけて抑え込まれればソフィアは成す術なくエリナに抵抗できなくなってしまう。  しかし、ソフィアもただ黙ってヤられる程大人しくはない。彼女はその体格差を補って余るテクニックを持ち合わせているのだから、少しの隙でも見せようものならすぐに反撃に転じられる。 「えぇぇい、しつこいっ! 誓うって言ってんでしょうがッっ! この色ボケ馬鹿妹ぉぉ!!」  床に崩れ落ちるようにうつ伏せに押し倒され、尚且つそのまま背中に馬乗りに体重を掛けられエリナにくすぐられ続けているソフィアだが、彼女の細くしなやかで柔らかいその腕は後ろ向きの状態でもエリナの脇腹を捉える事が出来、くすぐられながらの不利な状況であっても妹に反撃する余裕を持てる。  ソフィアはその柔軟さを生かし、くすぐるのに夢中になって防御を疎かにしたエリナの脇腹を容赦なくくすぐってエリナに反撃を開始した。 「キャ~~~~ッハハハハハハハハハハ♥ お姉様ぁ! 何でそんな体勢からくすぐれますのぉ!? やめっっへへへへへへへへへへ、脇腹揉まないでくださいましぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひ!! イヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ♥」  その攻撃によって体勢を大きく崩してしまったエリナは起き上がってきたソフィアに逆に押し倒され形となり、床に仰向け状態で倒れ込まされた後今度はソフィアに馬乗られ身動きを取れなよう体重を掛けられてしまった。 「お、お、お姉様ぁ♥ 冗談ですわよ……ジョーダン♥ 許してくださいまし……ね?」  馬乗りになったソフィアは口元に緩い笑みを浮かべエリナの目の前で手をワキワキさせて見せる。 そして…… 「そんなに調教されたいって言うんなら……今度は私が調教してやるわよ! 二度と私に逆らえなくなる様……徹底的に……ね……」 「ヒィ! お姉様ぁ……♥ わ、わたくしは……お姉様よりも……マスターに調教されたいと思っているのですが……」 「そんな戯言をまだ言えるのねぇ? だったらそんな事も言えないカラダにしてあげようか? 私の顔を見るのも怖くなるよう……」 「イヤ~~~ン♥ 怖~い♥ マスター助けてぇ~♥」 「問答無用っ! 笑え!」 「ひぃぃぃっっひっ!? はひゃぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「ほらぁ! コチョコチョコチョコチョコチョ~」 「ギャアァァ~~ッハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、お姉様ぁぁ♥ 目が本気ぃぃ! 怖ぁ~いぃ~ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ、にゃはははははははははははははははははは♥」 「この! ほらっ! もっと笑いなさい!! ほらほら!!」 「きゃあぁぁははははははははははははははははははは、やはあははははははははははははは、めぇへへへへへへへへへへへへへ、てぇっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへっへ♥」  夜が近づき夕食を食べる頃合いになると……この姉妹はいつもこんな感じにじゃれ合っている。  その光景は猫同士が愛情表現を見せ合うようにじゃれつくようにも見え微笑ましい。これを見ている時は例え出来たての食事が冷えてしまうと分かっていても……いつまでも見届けていたくなってしまうから困りものだ。  クールで物静かな姉のソフィアをからかうように妹のエリナがちょっかいをかけて、姉をワザと怒らせ反撃されるのを楽しむ。  ある意味……苦痛を快楽と変換できるドMなエリナからすればこの反撃はご褒美なのかもしれないが……どちらかと言うとS寄りなソフィアにとってはエリナの悪戯は苦痛を覚えている事だろう。  だからこそソフィアはこうして……自分が優位に立って責められる時が一番輝いて見える。  逆に……エリナは、逆襲を期待してちょっかいを出す子供っぽさに普段とのギャップを感じ一層可愛く見えてしまう。  義理の姉妹ではあるが……こうも真逆な性格の二人が自分の下で調教師として働いているのはなんだか運命的な巡り合わせを感じられて、不思議な気持ちにさせられる。  奥手なソフィアは性的な刺激を与える事を苦手としているが、こと苦痛を与える責めは誰よりも上手い。  反対に、エリナは性的な責めや焦らすプレイに関しては一級品の技術を持つが、苦痛を与える責めは苦手に感じている。  まるでお互いを補い合う為に生まれて来たかのようなこの二人に、運命論をあまり信じていなかったあなたも流石に……成るべくして成っているんだなぁと感心に至っている。  二人が協力すれば一人前の調教を行えると言いたい所ではあるが……しかし個人個人になった場合はまだまだ半人前であるのも間違いない。  二人でずっと居るという事ならそれで問題はないだろうが……そうじゃなくなるのであれば、やはりそれぞれの技術をもっと高める必要が出て来る。  だから、今のうちに二人には色々な調教を経験させて……学んで貰いたいと思っているのだ。  自分達の苦手なジャンルも苦手意識に囚われなくて済む様……勉強して貰いたいと思っている。  あわよくば……苦手な部分をそれぞれが教え合うという環境を作れたら……と、考えたりもする。二人で調教出来るという環境がある今の内に……  などと、彼女達に対する自分の見解と、個人的な期待を毎度この癒しの夕食時には思ったりするのだけど…… 「マスター? マスターもこの馬鹿妹を懲らしめる手伝いをしてくださいよ! 二人でイジメてやらないとこの子ったら全然反省しないんですから!」  毎度、このじゃれ合いにはあなた自身も巻き込まれる事となり……それに参加すると、思っていた事や悩んでいた事はフッと意識から外れてどうでも良い事のように消えて行ってしまう。  結局はこの素敵なじゃれ合いを見て、悩む事も馬鹿らしいか……と思い直すのがいつもであり、それが彼女達と出会って今までの日常でもある。 「いやっぁぁははははははははははは、マスターまで参加なんて駄目ぇ~~へへへへへへへへへ♥ そんなの反則っっふふふふふふふふふふ、アハハハハハハハハハハハハ」 「なぁにが反則よ! 嬉しそうな顔しちゃって! 今日という今日は絶対に反省するまでやめないんだからっっ!」 「にゃはへぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへ~~~♥ ひゃあぁ~~~ん♥」  この日常は尊いものだ。  あなたも……出来ればこのままずっと彼女達を見守り続けるマスターという立場であり続けたいと思っている。  嬉しい事に彼女達もあなたを心の底から慕ってくれているし離れたくないとも言ってくれている。  しかし、この立場であり続けるには……やはりもっとお金を稼がなくてはならない。  この大きな屋敷の維持も、彼女達に支払う給料も、奴隷の調教によって賄われているのだ。  特に……明日尋ねて来るルルシア嬢の依頼は破格に実入りが大きい!  1度の依頼で1年間は何もせずとも過ごせて行けそうな金額をポンと支払ってくれる。  その代わり……くすぐりという特殊な奴隷を扱う事と、何かしらの条件を付けて来ることが多い。  その条件を達成できれば、更に高額な褒賞を払ってくれるというのだけど……あなたはまだ彼女の出す条件をクリア出来た試しがない。  今回も……何かしらの条件を付けて来ることは間違いないだろうけど……  前に調教した際に提示された『7日以内に調教を完了しなさい』という条件が達成出来ず……結局10日ほどの時間を要してしまった。その時は奴隷の仕上がりに満足してくれたようで事なきを得たのだけど……  彼女は去り際にこのような不穏な言葉を残していっていた。  『次は、条件をクリアできなかった場合、罰も検討しておくから……そのつもりで』と。  正直……もう依頼は来ないかもと思っていた所だった為気にも留めていなかったが……まさか半年と経たずに次の依頼が来るとは思いもよらず、一縷の不安が過っている次第だ。  果たして今回は……どんな依頼が課されて……どんな条件を付きつけられるのか?  そして、彼女が検討している罰とは何なのか?  不安は募るばかりだが……  まぁ、きっと無茶苦茶な条件は付ける人ではないから……どうにかなるだろうとは思っている。  成長してきた彼女達のテクニックを振るえば……きっとどんな奴隷も従順にさせられる事だろう。  後は……自分の指示次第……か。  と、心の中で独り言をつぶやきつつ、あなたの手はエリナの身体をくすぐり続けていたのであった。 「んもぅぅ! やめて下さいましィぃィヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!! ニャハハハハハハハハハハハハハハハハハハ……♥」」  →#3へ


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