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ハルカナ
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ショーダウン(リメイク)⑮

15:絶望の感覚 「いぎゃあああぁっぁぁあっぁぁぁぁぁぁあっぁぁぁぁ!!! んぎはっっっはぁぁぁっっっっはははははははははははははははははははははははははははははははは!!」  爪の強い引っ掻きから一転して、まるでその引っ掻きによるダメージを肌を労わるかの様に優しく筆を上下にゆっくり動かして敏感になってしまった足裏の皮膚を撫でてくる鈴音のくすぐりに、綾香は自分の体裁など取り繕う暇もなく大きな悲鳴と笑いを吐き出し始める。 「ギャーーーッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、や、やばっっははははははははははははははははははははは、その筆ヤバいぃっっひひひひひひひひひひひひひひ、はぎゃっははははははははははははははははははははははははははははははは!! うははははははははははははははははははははははは」  先程強く引っ掻かれ明らかに他の部位よりも敏感にさせられた箇所を、その赤く跡のついたラインから毛先が出てしまわないように気を掛けながらなぞっていくその正確無比な筆捌きは、露出させられているかとも思える程敏感になった足裏の神経をここぞとばかりに刺激し、綾香の腹部を不規則に痙攣させる程のこそばゆさを彼女に与える。 「ははっ、かはっっ! うはははははっっ! いははははははははははは、やはははははははははははははははははははは!! や、だめっっ!! 無理っっひひひひひひひひひひ!! ホントに無理ぃぃぃぃひひひひひひひひひひひひひひっひひひひひひひひひひひひひ!!」  全く同じ箇所を智恵理にもこそばされたが、その時はこんなにも搾り取られるような笑いを吐き出してはいなかった。  くすぐったさは強く感じていたのは確かであったため笑いこそしたが、今の様などうしようもないくらいのこそばゆさを味わった訳ではなかった。  笑いはしたが、まだ自分の意志である程度コントロール出来ていた笑いだった……と、今にすれば思う。  我慢しようと思えば……頑張れば少しは我慢できたかもしれない刺激だった……と、この刺激を味わえば思ってしまう。  智恵理のくすぐりは意識を集中すれば我慢できたかもしれない刺激だったが、正直……我慢する事にメリットなど無いと思っていた綾香は頑張って笑わずに我慢しようという意思を示さなかった。どうせ笑うまでヤるのだろうから、我慢しようとするだけ無駄……体力の無駄遣いだと無意識的に頭が結論付け、綾香は彼女の刺激に逆らわず笑ってあげていた。  しかし、今の刺激は違う!  智恵理のくすぐり方より優しい筈の今の鈴音のくすぐりにはそのような思考の割入る隙が無い。  ただただ笑いたくて仕方がないという欲求が脳を支配する。笑うのが苦しいから笑いたくないと本能が訴えかけているのに綾香のカラダはその意志を無視するかのように勝手に笑いを口から吐き出してしまっている。  そのこそばゆさはもはや脳を経由していない。いや、正確には経由しているのかもしれないが、くすぐったいと感じる前に笑わされている感覚に綾香は陥っている。 「がっひゃひゃひゃひゃひゃひゃ、うぐっふひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、けははははははははははははははははははは、んあっっはははははははははははは、ひぃっっっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ、あがはははははははははははははははははははははは!!」  笑いを吐き出した直後に次の笑いが喉奥から溢れ出しその次の笑いを引き連れて口から吐き出されていく。笑っても笑っても切れる事のないその連鎖に、綾香の肺はすぐに酸欠引き起こしまるで海で溺れているかのような苦しさを綾香に味あわせる。  苦しくて仕方がないが、綾香は笑う事をやめられない。  鈴音の操る筆が綾香の敏感になり過ぎた神経を意地悪く刺激してくるせいで笑う事をやめたくてもやめられない。 「あひゃははははははははははははははははは、うぎひひひひひひひひひひひひひひひひ、やめっっえっへへへへへへへへへへへへへへへへ、やめっっけへへへへへへへへへへへへへへへへ、やめへ! おでがいっっやめへぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!! うへへへへへへへへへへへへへへへへへ」  口の端からはだらしなく涎が……  目尻からは次々に意図せぬ笑い涙が……  額には拭いきれない程の汗が滴り、綾香の聡明な顔をグチャグチャに濡らしその責めの凄まじさを観客にも見せつける。 「いいわぁ♥ 生意気だったあの美人顔がたったこれだけの事でこんなに無様に歪むのを見るのは……いつ見てもソソるわぁ♪ とってもいやらしい気分にさせられちゃう♥」  鈴音は綾香の足裏をくすぐりつつ惚けた目で綾香の笑い苦しむ姿を下から眺める。その顔は先程までの子供っぽい彼女の表情とは似ても似つかないほど妖艶で、思わず彼女に母性を感じ取れてしまう程に大人びた色気を纏っている。  観客は鈴音のその表情と綾香の激しい悶えっぷりに倒錯的な淫靡さを感じ取り、皆一様に生唾を呑み込んで徐々に興奮を感じながらも彼女の仕置きを見守った。 「やめっっへへへへへへへへへへへへへへへへ、も、もうやめっっへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!! あがっっはははははははははははははははははははははははははは!! 苦ひぃっっひひひひひひひひひひひひひひひひひ、息出来ないっっひひひひひひひひひひひひひひひひひ、だはははははははははははははははははははははは!!」 「苦しい? そうでしょ? 苦しでしょ? これがさっきあんたが馬鹿にした“くすぐり”の怖さってやつよ……今なら理解できるでしょ?」 「わ、わ、わがっだぁぁっははははははははははははははは、十分にわがっだがらぁぁはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、いったん止めてぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」 「でもね……くすぐり“責め”の怖さはココからが始まりなのよ」 「はひっ!? あひひひひひひひひひひひひひ、始まりってなにぃ? いいから止めてってばぁぁはははははははははははははははははは、うひゃ~っはははははははははははははははははは!!」 「くすぐりの辛さや苦しさを存分に味わって恐怖した人に……その苦痛を延々と止めることなく与え続けるのがくすぐり責めの本当の怖さよ♥」 「あがっひっはははははははははははははははははははは、うははははははははははは!? えひっ!? 延々って? 何それぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへ!! 何で止めてくれないのぉぉ!?」 「あんたの要望は一切聞いてあげないし、あんたの意志はとことん無視し続けてあげるわ♥ そうでないと仕置きにならないし……」 「も、も、もういい! もういいっっひひひひひひひひひひひひひひひひひ!! 分かったぁぁはははははははははははははははは!! 降参するっっ! 降参するからぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」 「だぁ~かぁ~らぁ~! そんな事言っても止めてなんてあげないってばぁ♥ やめて欲しい時にやめてあげたら責めにも何にもならないでしょ?」 「ひぎぃ~っひひひひひひひひひひひひひひひ!! この私がやめてって言ってんのぉほほほほほほほほほほほほほほほほ、くははははははははははははははははは!! 言われたらさっさとやめろっ!! このクソガキぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」 「それが降参を宣言した人の取る態度ぉ? これだからプライドの高い女は信用ならないのよ。ほら、心の底から反省するまで笑わせてあげるから、しっかり大笑いして苦しみなさい?」  「がはっっっはひゃあぁぁあぁぁあぁぁあぁぁぁ!!? アギヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、うはひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ、や、や、やめろっっほほほほほほほほほほほほほほほ、ぐひゃはははははははははははははははははははははは!!」 「ほれほれ~♪ もう少し強めに刺激してあげるからもっと笑い狂いなさい? ほ~ら、こちょこちょこちょこちょこちょこちょ~~♪」 「ギャハッっ!? はぎゃはっっ!? いひゃっ!! いひゃあぁぁぁっぁあぁぁあぁぁぁははははははははははははははははははははははははははははは、強すぎぃぃひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、それ強く触り過ぎィぃィひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、あぎひゃっ!? ハギャ~っハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」  「良い反応ね♥ その絞り出すような笑い方……大好物よ♥ ほら、もっと笑ってぇ? 私のくすぐりにもっと笑って見せてぇ~? コチョコチョコチョ~♪」 「ほぎゃははははははははははははははははははは、えげへへへへへへへへへへへへ、いひいひっっぃひひひひひひひひひひひひひひ、うひひひひひひひひひひひひひ、ひぃひぃっっ!! もう限界ッっひひひひひひひひひひひ、もう笑えないっっ!! もう笑えないぃぃっひひひひひひひひひひひ!!」 「なぁ~に? 足の裏はもう笑えないって? 仕方ないなぁ~~じゃあ今度はコッチをくすぐっちゃおっかなぁ~~?」  鈴音は足裏から筆を離し急いで体勢を変えるべく跳ねるように胡坐の姿勢から立ちあがり、綾香の笑いが途切れない様にと素早く背後に回って踏み台に足を掛けた。  そしてその踏み台を登り切るや否や両手に持った筆をすぐに構え直し綾香の腋を狙ってその筆を降下させていった。 「はぁはぁはぁ……くっっひひっ!? ちょ、ちょっと待ってってば! 待って!! 腋は今は……ホントにヤバイから――っハヒャ!?」  足裏の刺激が静まるのを待たずして腋の中央に突き立てられた太筆……鈴音は、その筆を幾重にも赤い跡の走っている腋のラインに追ってゆっくり上下に往復させ始めた。 「ビぎャハッ!? ひぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」  足裏よりも放置された時間が長くなっていた腋の神経は、筆の一撫での刺激にさえも耐えられず綾香に断末魔の様な悲鳴を上げさせてしまう。  腋から脇の下にかけての敏感なラインに強力な電流が流されたかのような、もはや痛いと感じていても過言ではない刺すような刺激に綾香は目を見開いて叫び声を上げさせられる。  しかし、この“痛み”と錯覚しそうな程強烈な刺激は二度三度と同じ箇所を撫でられると今度は全く別の刺激へと変貌を遂げていく。  その刺激とは……もちろん…… 「いぎゃはっっ!? はひっっひひっッ!? イギャアアァァハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、えはははははははははははははははははははははははははははははははは、く、く、くすぐったいっっ!! くすぐったいぃぃぃぃっっっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ!! はぎゃ~~っっははははははははははははははははははははははははははははははは、ウハヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、いひぃいひぃぃっっ!!」  “くすぐったい”という刺激。  それも……足の裏の比ではない程の尋常じゃないくすぐったさが綾香を襲う。 「何よぉ? まだ笑えるじゃない♥ もう笑えない~とかなんとか言ってたくせに! この嘘つき!」 「ばぎゃっははははははははははははははははははは、うはひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ、だ、だ、だってぇぇへへへへへへへへへへへへへへへ、わ、わ、ワキはぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、ワキは弱いっっひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、だ~っっははははははははははははははははははははははは!!」  腋への刺激は自分でも弱いと自覚していた綾香にとって腋へのくすぐりは例え筆の刺激であっても大笑いを引き起こすほどにこそばゆく感じてしまう。それに加えて今はあの敏感になってしまう薬が最も効果を発揮している時間である為腋への刺激の感じ方は3倍にも4倍にも強く感じられ、それに応じてくすぐったさも限界以上のもどかしさを綾香に与えている。  もはや体内の神経を直接筆でなぞっているかのような痛こそばゆさ! 毛の1本1本の動きまで感じ取れてしまう位に敏感になっている肌を、これでもかと言わんばかりになぞりこそばしていく鈴音のくすぐりに綾香は無駄だと分かっていながらも手を暴れさせ足をバタつかせ笑い苦しんだ。 「ギャ~ッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ、いぎゃははははははははははははははははははははははははははは、し、し、死ぬふふふふふふふふ、ホントに死ぬぅぅふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ、ぎひゃははははははははははははははははははははははは、えぎひひひひひひひひひひひひひひひひひ、うひぃぃっっひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!」 「また大袈裟な事言って~~♪ ホントはそこまで苦しくなんてないでしょ?」 「ほ、ほ、ほんと! ほんとだってばぁぁっはははははははははははははははははははははは、ゲホゲホゲホッ! ひぎぃっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ、うへへへへへへへへへへへへへへへへへへへ!!」 「またまたぁ~♪ もう騙されないわよぉ? ホントは苦しくも何ともないんでしょ? ほら、さっきみたいに強がってみなさいよ? ほらぁ!」 「ぎゃ~~~っははははははははははははははははははは、や、や、やめでぇぇへへへへへへへへへへへへへへへへへ!! ホントに苦しいっていってんでしょぉ!! 分かってる癖にひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、分かり切ってる癖にぃひひひひひひひひひひひひひ、イヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ、ゲホ、ゲホゲホ!!」 「咳き込むフリしても無~駄ぁ♪ そんなんじゃ騙されませ~ん♥ それよりも……そんな咳き込む余裕があるんだったらもっと笑いなさいよっ! ほらっっ!! 笑え、笑え~!」 「ぎははははははははははははははは、ひぎゃあぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、くははははははははははははははははははははははははは、わ、わらっでるぅふふふふふふふふふふふふふふふふ、ちゃんと笑っでるでしょ! くへひゃははははははははははははははははははははははは、ひぃひぃっっ!!」 「この拷問をこよなく愛する私からしてみれば、あんたの笑い方はまだまだ体裁を整える余裕がある様に見えるのよねぇ~~? まぁ、こんな道具でのくすぐりだから我慢出来てしまうのも無理もないけど……私としてはもっと女を捨てるくらい激しく笑って貰いたいわぁ♥ そっちの方が興奮するし♥」 「えぎっ!? ビギャ~~っッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、うははははははははははははははははははははははははは、よ、余裕なんてある訳ないじゃないっっひひひひひひひひひひひひひひひひひひ、見たら分かるでしょっ! 限界よ! 限界ッっひひひひひひひっひぇっへへへへへへへへへへへへへ!! ゲホゲホ!! くっっひひひひひひひひひひひひ!!」 「いやいや……本当に限界が近いんだったそんな反抗的な言葉を私に吐けない筈よ? もっと必死に懇願するはずだもの……“やめて下さいお願いします~”って♥」 「がはっっははははははははは、ゲホゲホゲホ! はひはひっっひひひひひひひひひひひひひひ、そ、そんな情けない言葉……死んでも言わないわよ!! はぁはぁ、特にあんたみたいな生意気な子供にはっっはははははははははははははははは、いっっひぃぃぃぃっっ!!?」 「ほら……その態度♥ そんな風に私を煽れる余裕があるって事はまだまだ限界なんて程遠いという事よ。まぁ良いんだけどね? 別に今は本気でくすぐってるわけじゃない訳だし……」 「がはひっ!? あひひひひひひひひひひ! ほ、本気じゃない?? こ、これが……本気じゃないですって!?」 「当たり前じゃない……これはまだ本番前の準備段階よ? 本番でこんなに優し~くコショコショするだけだったら私がお嬢に怒られちゃうもの……もっと本気でヤれって……ね♥」 「ふざけないでっっへへへへへへへへへへへへ!! これ以上何をするって言うのよっ!! 今だってこんなに笑わされてるのにっひひひひひひひひひひひひひひ、これ以上があるなんて……」 「この筆でのなぞりは、単純に薬がちゃんと効いてるかの確認で行っているに過ぎないわ♥ 本番はこの後……こんな道具なんて使わずにしっかり私の指でくすぐってあげるわ♥」 「ふ、筆が手に変わったからって何が違うっていうのよっっ! 笑わせる事に変わりはないんでしょうがぁっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは、はひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ、あひひひひひひひひひひひ!」 「まぁそうなんだけど……でも私の手はこそばいわよぉ~? こんな筆の刺激とは比べ物にならない程……」 「さ、さ、さっきくすぐられたからそれくらい分かってるわよ!! かひゃっ!? くはははははははははは、で、でも……それ以上の事はないんでしょ? あの程度の刺激だったら――」 「まぁ~だそんな夢見がちな事言っちゃってんの? そろそろ学んだらどう?」 「はへっ??」 「この感度チェックも本気ではないって言ったように……さっきの智恵理との罰でのくすぐりも当然本気で責めてなんてなかったわ。あれはあんたの弱点を探す為の愛撫程度の刺激よ? あれを“手でのくすぐり”だと勘違いしているんだったら……やっぱりただの馬鹿ね♥」 「う、う、うぞよっ!? そんなの絶対に嘘っっくふふふふふふふふふ!! だってあんなにくすぐったかった……」 「そう感じたんなら……あんたは自分が思う以上にくすぐりに弱いって事になるわね♥ まぁ……この反応を見れば言われなくても分かっちゃうけど……」 「がはひっ!? いへひひひひひひひひひひひひひ、う、嘘よね? ま、また……私を脅かす為の嘘をついてるだけなんでしょ? そうでしょ?」  綾香がワキから脇の下への刺激にある程度慣れてきた様子を見計らいつつ鈴音はクスリと小さな笑いを零しながら彼女の体側部から二本の筆をゆっくり引いていく。  そして彼女の足裏やワキをなぞった事によって筆先についてしまった薬液がスポットライトの光を反射して色鮮やかに煌めいている様子をウットリと眺めながら鈴音は台座から足を降ろしていく。 「はぁはぁはぁはぁ……お、終わり? もう……終わり? 終わってくれたのよね? あ、あんたのくすぐりは確かに凄かったわ! 認める! ホントにくすぐったかった! だ、だから……もういいでしょ? 私……もうホントに限界なの。だから……お仕置きなんてこれで終わりにして? ね?」  台座を降り筆をテーブルの上に置き直す鈴音の様子を見ながら、そうであってほしいと願いを込めながら仕置きの終了を確認する綾香……。会話のやり取りからしてもその様な事は決してないという事は薄々分かってはいたが、このように言う事で多少なりとも彼女の同情を引ければ後の責めも手を緩めてくれるかもしれない……そのように瞬時に打算した結果の言葉だったが、その考えは鈴音にすぐに読み解かれ逆に彼女の苛立ちを生む結果となる。 「私ね……今のあんたのように……わざとらしく媚びて自分に有利になるような展開に変えてしまおうっていう考えをする女が……大っ嫌いなの……」 「ひっ!? ち、ち、違っっ! ほ、ホントに認めてるんだってば! 本当よ! ホント!!」 「あと……そんな風に平気な顔して嘘をつく女も大っ嫌い! もちろん、私の事を子ども扱いする女もだし、私がそのコンプレックスを嫌っているのを理解したうえで煽るような女も……超キライ! 吐き気がするほど嫌いなの!」 「わ、分かった! こ、子供って言ったのは……謝る! それだけは謝るから……」 「そんなキライな女に……私は……何をして……苦しめたいって……思ってるか……分かる?」 「えっ? はっ? ひっっ!?」 「勿論……分かってるわよね? だって……今の今までそれに苦しめられてきたんだもの……」  綾香に背を向けて道具の整理を行いながら言葉を零していた鈴音はその言葉を言い終えるとクルリと綾香の方を向き直し、自分よりも高い所にある彼女の顔に満面に浮かべた笑みを見せつける。 「ひ、ひ、ひいっっ!? ま、ま、待って……待って!! もう……やめて……」  その笑顔を見た綾香は顔を真っ青に染めて口元を引きつらせてしまう。 「あんたは私に嫌われる要素を4つも満たしてしまっている女なんだから……何の気兼ねもなく……一切の遠慮なんて考えずに、これからの“本番”に進むことが出来るわ♥ ありがとう……このクソ女♥」 「や、やめろって言ってるでしょ!! この枷……外してよ! 今すぐ……外しなさいよっっ!!」 「あらあら? また口調が元に戻ったみたいね? やっぱりそっちが本心だったってわけか……あんたって演技派なのね?」 「う、う、うるさい!! さっさと外せ!! 外さないと、後で許さないわよっ!! 絶対に許さないわよっっ!!」 「強気になったかと思えば今度は脅すの? 忙しい女ね……」 「黙れこのクソガキっっ!! 私に指一本触れてみなさい! すぐに警察に通報するからっ!! 絶対するからっっ!!」 「すれば? でも……なんて被害届出すの? 幼女にコチョコチョされてムカついたから捕まえてくださぁい……とか言うつもり? それじゃあ……警察も動いてはくれないわよ?」 「くっっ! も、もう……誰でもいいからこの枷を外して!! 誰でもいいからッっ!! 早くっっ!!」  綾香の必死の呼びかけにステージ脇で見ていた夏姫がそれに応じようと立ち上がろうと膝を立てた。しかし、その動きを察した智恵理がすぐさま彼女のもとへと駆け付け彼女の細い腕を掴み、乱暴に引っ張りこんでその場に座り直せと力で捻じ伏せてしまう。 「ちょ! 夏姫に何すんのよ、暴力女っっ!! その手を放しなさいっっ!!」  手を伸ばして綾香の名前を必死に叫ぶ夏姫だが、智恵理の捻じ伏せには逆らいきれずそれ以上の抵抗はさせて貰えなかった。 「大丈夫? 夏姫っ! 大丈夫?」  智恵理の力の強さは自分が拘束される時に嫌という程味わった綾香だから……細身で華奢な夏姫が怪我でも負わされたのではないかと心配でならない。  そんな思いのこもった綾香の言葉に夏姫は「大丈夫」と返すが……捻じ伏せられた痛みと共に込み上がる自分の無力感にただ悔しさが込み上げてきてしまう。   「あんたはいいからっ! そこでジッとしてて! こいつらに抵抗しようとしちゃだめよ!夏姫に怪我なんてされちゃ……私……」  抵抗の意志を見せなくなった夏姫の態度に“脅威は無くなった”と判断した智恵理はゆっくりと組み伏せていた手を解いていき夏姫を解放していく。  夏姫は床に打ち付けた肩や膝に痛みを感じそこを摩りながら涙目になって座り直すが、その涙は痛みのために溜まってしまった涙ではない。目の前で苦しんでいる綾香の助けに何一つなれず力でも抵抗できない自分の不甲斐なさが悔しくて浮かべてしまった涙だった。 「わかった……もう分かった! あんたの気の済むまで……私の事……責めたらいいわ……」  夏姫の涙の理由を無言で悟った綾香は、諦めの息を吐きつつ鈴音にそのように零す。 「あら……もう警察がどうのとかはいいの? これからの地獄を受け入れる覚悟が出来たって事かしら? っていうか……あんたに言われるまでもなくこれからヤるつもりだったんだけど……」  先程までの弱々しく不安がっていた綾香の顔から一転して、何かを諦めたように落ち着いた表情を浮かべなおした綾香に鈴音は「そうこなくっちゃ♥」と言わんばかりの笑みをニヤリと浮かべる。 「夏姫! あんたは心配せずそこで大人しく見てなさい! 私は大丈夫だから! こんな子供に絶対に負けたりはしないからっ!!」  芯のしっかりした声量でそのように宣言した綾香は、不安そうに涙を浮かべる夏姫に精一杯の強気な笑みを浮かべて見せてあげた。  それを見た夏姫はその言葉に応えるよう涙を手の甲で拭い綾香に大きな頷き返す。 「はいはい、もういいわよね? あんたらの茶番を見るのはもう飽きたわ。お客さんもそう思っている事だろうし……そろそろ始めちゃうわよ? 本番を……」  自分の助けを乞う言葉に誰一人として反応を示さなかった観客に向けて綾香は睨みを利かす。  その眼光は「裏切り者どもめ」と言わんばかりの怒りに満ちており、その目に睨まれた観客は思わず顔を引いてしまう程に迫力を感じさせた。 「絶対に許さない! あんたも、ここに居る客達も、ショーの時間を売り渡したオーナーもっ! 全員許さないっ! 絶対に許さない……」  全方位に怒りを吐き散らす綾香に「ヤレヤレ」と言葉を零す鈴音。彼女は自分の白いドレスをパンパンとはたきつつ睨みを利かす綾香の背後へと再び回った。 「いいの? 私はともかく……お客さんも、オーナーさんもあんたにとっては大事な金づるだったんでしょう? そんな敵に回すような事言っちゃ……後が面倒よ?」  綾香の背後に回った鈴音はそこに置かれていた台座に再び足をかけ背の嵩増しを行う。 「フン! 多額な賭け金をかけた勝負に負けた私はどうせお払い箱よ。だったらもう……客もオーナーも関係はないわ! コレが終わったらさっさと次のカジノに移ってやる!」  背後から見ても露出させられている腋の端が僅かに見えている腕の付け根付近をいやらしく見つめながら鈴音はゆっくりと両手を彼女のそこへ手を伸ばしていく。 「そう? そういうつもりだったんだ? ふぅ~ん。だったら……簡単に認める訳にはいかないわよね? いかさまをやったってコ・ト♥」  腋の背後からワキワキと指を動かしながら近づいてくる鈴音の指の気配を感じた綾香は、襲い来るであろう刺激にグッと口を閉じ意地でも笑ってやるものかと言い聞かせるようにそこに力を込め始める。 「お嬢はいかさまをやったって決めつけてるみたいだけど……あんたの口から“してました”って言われてないから……実は……まだ真実はまだ闇の中なのよね~」  腋の端から蠢く指の動きが僅かに見えた瞬間、綾香は固く目を瞑った。これ以上この指を見てしまうと……笑いが込み上げてきてしまいそうだと感じた。だからそれを見ない様にと目を閉じた。 「いかさまを“した”って一度認めちゃうと……何処のカジノに行ってもその言葉を覚えている客が来る事になる……。その客が他の客に言って回るかもしれないわ……『あの女はいかさまをしていたと自分で認めていた悪い奴だぞ』って♥ だから意地でも認める訳にはいかない……今後の人生の為にも……」  鈴音の手が腋の端から這い出すように綾香の正面に指を見せ始めるが、綾香はその指を見ていない。しかし全く映像として見てはいないが、綾香は指の擦れる音や空気揺らぎを感じ取って結局想像してしまう。  彼女の指が今……どんな動きで自分の腋を狙っているのか……その些細な動きまでも…… 「でもぉ……あんたに果たして……耐えられるかしら?」  万歳の格好で伸びきった綾香の汗と薬液に濡らされたワキ……  その窪みに鈴音の小さな指先がコチョコチョ動きながら迫ってくる。 「私の……本気の……く・す・ぐ・り・責・め・に……♥」  そしてその手の内の中指が敏感な窪みをカリッと一掻きした事で、始まってしまう……  鈴音の言った……本気のくすぐり責め……という……残酷なショーが……


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