引き締まった腰と柔らかな尻肉がぶつかり合う爽快な音が部屋の中で弾け、五月の甘い声が小刻みに響いていた。
「激し……っ、んっ、欲情して……女性に優しくできない人はモテませんよ? あっ、あんっ」
「まだ中に、俺のザーメン残ってる、あっ、あ……」
五月の膣内で分泌された愛の蜜と、男が中に放出した精子が絡み合い、陰茎を包み込んでいく。
「本当に遠慮がなくなってきましたね……更に変態になっているではありませんかっ」
「気持ち良い、気持ち良いよ五月っ、お前も気持ち良くなってくれ……!」
「ひゃっ」
壁に手を付き、後ろから襲いかかる獣のピストンに耐えていた五月は、不意に訪れた乳首への刺激に思わず声を上げた。
「やっぱり……ビンビンに固くなってるぞ」
「んっ、んっ、そんなに……摘まないでくださいっ」
「もっと……五月にも感じてほしい」
「……わ、分かりましたよもうっ」
五月は、ぷるぷると宙を暴れていたもう片方の乳房を手で抑え込み、その先端で固く勃起した乳首を自分の指でくりくりと弄り始めた。
この男に今更何を思われようと気にならない。
いつの間にか、恥ずかしいという気持ちはどこかへと消え去り、この男との交わりを全身で感じるためだけに動いている。
「すげ、乳首弄り始めたら……五月のマン◯……もっと締まって……あッ!」
「もっと……気持ち良くしてくださいっ」
◇
それから二人は体力が尽きるまで肌を重ね合い、時計が0時を回った頃になって、溶けるように意識を失った。
翌朝目を覚ました男は、朝日に刺激される目を擦りながら、キッチンに立っている制服姿の美少女の姿を確認した。まるで一夜の夢の出来事ではないかと思えるほどの熱い夜が現実のものであったことを理解し、明らかに度が過ぎた性欲を容赦なく五月にぶち撒けてしまったことに罪悪感を感じていた。
「ようやく起きましたか? まだ眠そうですね」
「あ……ぁ、おはよ。早いな」
「あなたが遅すぎるんですよ? さ、早く支度をしないと、学校に遅刻してしまいます」
「たまには休んでもいいだろ……動きたくない」
「駄目です、あなたは成績は良いようですが、どうにも私生活は大分乱れているようですね」
「なんでそんなこと分かるんだよ?」
「この寂しい冷蔵庫を見ればすぐに分かりますっ」
五月に促されるままに身支度を整え、二人は並んで学校へと向かった。
学校へ近付くほど、同じ制服を纏った学生の姿が多くなる。
同じく登校中の生徒から見れば、同級生の男女が一緒にいることに違和感はない。この二人が学生らしからぬ行いをしていることなど知る由もないし、くたびれた様子の男を見てそこまで妄想を膨らませる者も居なかった。
男女が並んで登校するという行為自体に、思春期特有の余計な考えを抱く者も少なからずいるだろうが、その程度であれば何の問題もない。
それよりも今問題なのは、男と五月が歩いている先に、中野家の四女―四葉が立っているということだ。
「五月おはよー!」
「よ、四葉……おはようございます。早いですね」
バスケットボールの練習着に身を包んでいる四葉の顔には汗が光っており、一日の始まりを運動で過ごしたであろう健康的な少女の姿がそこにあった。
「今日は朝練があったからさー。ちょうど練習終わったばっかりなんだ、それより五月は昨日誰の家に泊まってたの?」
「えっと……クラスの友達です。こちらの方とは先程会って」
「あれ? もしかしてこの前会った……二乃のクラスの?」
二人が会話を始めている中、男は登校中の足を少しも止めることなく歩き続けていた。
五月と共に登校していたわけではなかったかのように、偶然横並びのように見えてしまっただけのように偽装を試みた男の考えを汲み取ることなく、五月が四葉に男を紹介してしまった。
「もしかして知り合いだったのですか?」
「あ……いや、知り合いっていうかこの間少し話しただけだよ」
四葉は以前、五月と男が屋上で話し込んでいる姿を見ていたのだが、幸いにもその記憶とこの男の姿は重なっていないようだった。
「そうそう、三玖を保健室に迎えに行ったときに偶然会ったんだよねー!」
男が強引に空けた数メートルの距離を縮めながら、四葉が快活な笑みを浮かべて爆発物を投下した。
「三玖とも?」
「うん、あのとき二人も保健室で初めて会ったって言ってたしね、なんか知らないうちにみんな知り合いになってくよね」
五月の問いかけに、四葉がニコニコと微笑みながら返答する。
「あぁ……そうだな、偶然って恐ろしいよな」
額に汗を滲ませながら、震える声を何とか平たく整えて男が五月を横目で確認する。
(まずいかもな……)
歩き始めた四葉と五月の姿を追うために、男は昨夜の性行為でくたびれた身体をなんとか鼓舞してまた歩きはじめるが、肩を叩く小さな手で強引に後ろへ引き戻された。
後ろからやってきたのは、疑念の眼差しを無言で男に向けていた少女、中野二乃だった。
「おはよ、揃って何してんのよ」
二乃は男に向かってニッコリと笑い掛けてはいるものの声は冷たく、内心では笑っていないであろうことは男にも容易に想像できた。
「お、おう。中野か……おはよ」
「紛らわしいから二乃って呼べって言ったじゃない」
「そうだな……悪い」
「ふん、で、あの二人と何してたの?」
「た、たまたま会っただけだよ」
「本当に? アンタ、私の姉妹に何かしたら許さないわよ?」
「何かってなんだよ……」
「まぁ、アンタの変態性を皆が知ったらどうせ離れてくだろうけど」
「うっせ」
男を放り出して姉妹のもとへ駆け寄る二乃に釘を差されてしまったが、男にとってはもう全てが遅かった。
◇
五月としても、男との関係を姉妹に知られてしまっては都合が悪い。
なるべく接触を避け、男との会話を行わないよう姉妹とともに校内へ入って来たが、内心では男のことが気になって仕方なかった。
昨夜あれだけのことがあったとはいえ、次に男と会う約束は何一つない。
後ろをついてきているであろう男とまた予定を取り付けたい気持ちは少なからずあったが、二乃と四葉、更に三玖まであの男と知り合いであるということが心のどこかで引っかかる。
二乃と男が関係を持っているというのは、初めて五月と男が出会ったときから知っていることだ。
だがもしも、他の姉妹ともそういう関係性があるのだとしたら。
(負けたくないです……)
五月は小さく振り返ったが、後ろの男をちらりと見るだけで気持ちを言葉にする勇気はなかった。
昨夜のことを少し思い返すだけで、内股に力が入る。
男と出会ってからの日々を思い返すだけで、胸が熱くなる。
今以上の関係になれば。
今以上に、自分が明確な関係になることができれば、姉妹は男に近付きにくくなるかもしれない。
そうなれば、自分が男を独占することもできるかもしれない。
(……やるだけ、やってみます)
五月は何かを決心したように胸の前で小さな手をぎゅっと握った。
【S&M -ゴブンノイチ- へつづく】
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※五月編は一旦の終了を迎えましたが、まだ物語は続いていきます。