期待などしていない。
そんな強がりに似た嘘を、男は自分に言い聞かせていた。
この美少女―中野五月がブラウスのボタンを外す姿を横目でちらりと確認しながら、時折目を反らしてみるものの、磁石のように思考と視線が強引に引き戻されてしまって目を離すことができない。
後ろ姿だけでは確認できないが、ブラジャーのホックが外されたと同時に溢れた豊満な乳房を想像するだけで、意識までもが彼女に惹きつけられていく。
放課後の自宅。
男にとっては何の不思議もない、いつもどおりの光景。
少しだけ違うのは、ベッドに腰掛けている自分の横に、同級生の女子が座っているということだけだ。
普段密会している屋上に人が居たため、二人きりになれる場所はないかと考えた結果、男は自宅に五月を招くことを決意した。二乃は積極的な性格で男の家に強引に上がり込んだのだが、五月は誘いに戸惑い、少しの思案の末に許諾した。
その時の五月の心は、自分が今日のうちに大きな一歩を踏み出すであろうことを覚悟していたのだが、そのようなことを男は知る由もない。
部屋を飾る装飾品の類がほとんどない殺風景な部屋。
実用性を意識して構築されたこの空間にやってきた可愛らしい少女が唯一この部屋を彩っている存在になっている。
五月に対して、何かをして欲しいなどという気持ちを伝えることはない。
他者に何かを期待するということを、男はしなかった。勝手に期待して、そのとおりにならなければ勝手に裏切られたような気分になって。そんな積み重ねの末、心の奥底にしまい込んだはずの期待感が、最近になって言うことを聞かなくなってきている。
先日初めてこの家に二乃がやってきたときも、今日こうして五月が自分の家に来ていることも、もしかしたらこの関係の一線を超える出来事が起こるのではないかという気持ちに、男は嘘をついて必死に誤魔化しているのだ。
「あの、良かったら……これ、外してもらえませんか?」
「あ、え、お、俺が?」
「だめ、でしょうか……?」
五月の狙ったような言葉に、男は現実を直視させられる。
突然の問いかけに素っ頓狂な声を出してしまったのは、息をすることも忘れて見入ってしまっていた証明にほかならない。
彼女の乳房を拝めるのはいつ以来だろうか。
二人は出会ってからそんなに日が経っていないというのに、ずっと前から共に過ごしてきたのではないかと言うほどに濃密な時間を共有し続けている。
「分かった」
甘い香りのする髪の毛を持ち上げて背中を見せるという羞恥心で五月の表情が引き攣る。
白い柔肌を締め付けているブラジャーのホックに手をかけて優しく外すと、胸を支えている五月の右腕にたぷんと乳房がその重みを預けた。
上半身だけが全て顕になった姿で、五月が男に振り返る。
「本当にあなたは……破廉恥な人です」
「お、お前が外せって言ったんだろ」
「違いますよ、これは何なのですか?」
豊満な肉体を男に押し付けながら、天井に向かって反り返る男性器を五月が優しく握り込んだ。
「私の身体を見て興奮してしまったのですか?」
「だって五月の身体、すげー柔らかそうで……仕方ないだろ……」
照れて目を合わせられない男の耳元に近づく五月の顔は、いつもよりも目元が垂れている。
「えっちですね」
言って、五月が男をゆっくりとベッドに沈み込ませた。
「いつもあなたばかり気持ち良くなってずるいので、少しくらいはお返ししてください」
「お返しって、どうすれば」
仰向けになった男に五月が逆向きで伸し掛かり、自分の乳房の中に男の顔を閉じ込める。
「んっ、んんっ」
「苦しがってないで、しっかりしてくださいっ」
◇
「いきなりこんなにたくさん出してしまって……大丈夫なのですか?」
唾液でびちゃびちゃになった乳房が口元から離れ、男の目には射精した後の残り汁が零れる亀頭が写った。
いやらしく男の乳首にしゃぶりついて奉仕する五月の姿は、いつもの彼女よりもかなり積極的に見えた。
「はぁ……ごめん……興奮しちゃって……思いっ切り出しちゃった……」
「まったく……仕方のない人ですね。されるがままに気持ち良くなって、あなたがこんなに変態だとは思いませんでしたっ」
息を整えることに精一杯だった男は、五月が何をしているのかなど気にする余裕はなかった。
だが、下半身にずっしりとした重みがのしかかったことによって、男は自分の身に何が起こっているのかということを理解した。
「五月……」
「本当は、いけないことなのでしょうね。でも私は、そのつもりで今日ここに来ました」
ショーツ越しに五月の陰唇が、男の裏筋に当たる。
スカートを捲りあげて、上半身は半裸のまま五月が下着に手をかけた。横にずらして女性器を露出させ、肉棒を持ち上げて濡れた陰唇に擦り付ける。
「あなたも、そうなのですよね?」
「それは……」
「じゃあ、ちゃんと言ってください」
男の期待は、この瞬間現実のものになろうとしていた。あと一歩踏み出さないといけないのは、覚悟を決めている五月ではなく男自身。
だったら考えることなどなにもない。肉壷の感触を期待して、ビキビキと勃起した肉棒に力がこもった。
「挿れたい……五月のナカに、挿れたいっ」
五月の口元がニヤリと釣り上がり、
「よく言えましたね」
腰が、ゆっくりと下ろされた。
【Side:S 五女-ゴブンノイチ- つづく】
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次回:11/13(土)21:30公開予定
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