「ねぇ五月、二乃のこと何か分かった?」
「い、いえ……私も気にはしているのですが、まだ話せるようなことは何もないです……」
「そっか、私の方も全然ダメ。直接聞いたら怒られたし、難しい」
朝の通学路を進む中野家の姉妹、三玖と五月は次女のことを話していた。
ここのところ様子がおかしかった二乃の抱えている悩みは、歪んだ男女関係だということを五月はすでに知っている。
その事実を三玖に話さずに過ごしていた結果、今度は自分自身も当事者になってしまい、この三角関係を説明することができないでいるのだ。
幸いにも五月の秘密は三玖に悟られていないようで、次女に対する心配の姿勢は未だ続いている。
このままでは、この関係が三玖に知られてしまうのも時間の問題だということは五月も理解しており、対応を考えなくてはならない。
嘘を付くのは簡単だが、これ以上話がこじれてしまっては五月の手に余る。
いっそのこと、あの男が二股しているということにしてしまえば良いのかもしれないが、それは五月自身の人間性が許さない。
清々しく晴れ渡った空模様とは裏腹に、五月の気分は憂鬱だった。
◇
休み時間になると、生徒たちは各々自由な場所で昼食をとる。
普段は食堂で姉妹と過ごすことの多い五月だったが、今日は弁当を用意している。
特に約束も考えもないまま、彼女の足は屋上へと向かっていた。
二乃と男が人には言えないようなことをしていたあの場所になぜ行こうと思ったのか、今の彼女にはわからない。
だからこそ、その姿を見て五月の身体はビクリと震えた。
「あっ」
「おう」
件の男が、一人で食事をしていたからだ。
「どうしたのですか、こんなところで」
「あぁ、たまに来るんだよ。静かに飯食いたいときもあるだろ?」
「そう……ですね」
「五月も?」
「ええ、今日はお弁当なのでどこか良いところはないかと思いまして」
「なら良いところを見つけたな」
あれから二日。五月と男が出会うのはあの日以来だ。
男の様子を見ている限り特に意識している態度は見受けられず、妙に意識して不自然な行動をしているのは五月だけだ。
「隣座るか?」
弁当を何故か後ろに隠していた五月が立ち尽くしているのを見て、男が促す。
「で、ではお言葉に甘えて」
五月の持ってきた弁当は、男が見てきた女子の弁当とはイメージが違い、想定よりも二回りほど大きなものだったのだが、彼女が満足そうな笑みを浮かべて食事をしている姿は思わず笑みが溢れる微笑ましい光景だ。
よく食べる女の子の姿が可愛く見えるという言葉の意味を、男は今理解した。
「あの、今日の放課後は……?」
「ん? 帰るけど」
「その……二乃と……」
「あ……そういうことか、いや、今日は何も約束してないし、そのまま帰るよ」
食事を済ませた五月は、肩を小さくしたまま「そうですか」と返答する。
(今誘えば……もしかしたら放課後はこの人と過ごせるかもしれません……でも……)
ふと姉妹の顔が脳裏をよぎる。
これ以上男との関係を深めてはいけないと頭では理解している。
だがそれ以上に、ふつふつと湧き上がる気持ちを抑え込むことのほうが心に負担をかけてしまう。
少しの沈黙の末に、五月は男の顔を上目がちに見上げた。
「では、私に付き合ってもらえませんか……?」
顔が熱い。
自分が考えている以上に赤くなっていることは予想できる。
恥ずかしさに耐えながら必死に見つめる五月の姿は、男の胸を激しく打った。
「それって……そういう……こと……だよな?」
「それを、私に言わせるのですか……?」
「悪い、そうだよな、わ、分かった。じゃあここで良いか?」
うなずいた五月の顔は、男からは見えない。
鼓動が高鳴り緩んだ頬を隠しながら、五月は安堵の息を漏らした。
◇
「これ……本当に好きなのですね」
乳房を露出させ、男の巨根を挟み込んだまま乳首をくりくりと弄り続ける。
なんとか声を我慢している男だったが、耐えきれなくなるのも時間の問題だった。
熱く脈打つ肉棒はどんどん固く膨らんで、五月の口元でビクビク震えている。
「先っぽから汁が……溢れてきてしまってます……」
「ごめん……気持ちよすぎて我慢できそうにない……ッ」
「すごい匂いですが……どんな味なのでしょう」
「こ、これ以上何もしないでくれ、今でもなんとか耐えてる……から!」
数日ぶりの感覚。
男が身悶える光景。
だがそれ以上に五月の気持ちの中にあるのは未知への恐怖だった。
目の前にある亀頭から溢れ出る液体は、強烈な匂いで頭がぼーっとしてしまうが、これを口で咥える決心ができない。
口でするのは男が喜ぶ愛撫だということは分かっているのだが、いくら食べることが好きな彼女でも勇気が必要だ。
「五月、無理しないほうが良いよ、それ……しないほうがいい……」
亀頭を見つめている五月の様子を見て、フェラを躊躇っていることが男には分かった。
しかしこの状況で口に咥えられてしまえば、男が必死に我慢して保たれているこの均衡は簡単に崩されてしまう。
五月の口がどんな感触なのか興味はあるが、これ以上の醜態を晒すわけにはいかない。
ならば彼女の迷いを逆手に取り、興奮材料を増やさないようにするのが懸命というものだ。
「じゃあ、してあげます」
「な、何言って……あぁッ」
舌先で裏筋をぺろりと舐め上げた五月は、そのまま汁が溢れ出す亀頭の先端を舐め始めた。
(なんだか、不思議な味です……)
初めての味を確かめつつ愛撫に一切の暇を与えない。
五月は男の扱いに、慣れ始めていた。
◇
「またこんなに出して、悪い人ですね」
「なんで急に、口で……」
「あなたが、してほしそうにしていたからですよ?」
照れながらもニヤリと笑う五月は、溢れる精液をぺろぺろと舐め取っていた。
「そんなこと言ってないだろ……っ」
「言わなくても分かりますよ」
悪戯な表情を、男は見たことがあった。
ほんの数日前に二乃が男に向けたものによく似ている。
「明日もまたここに来てくれませんか?」
「い、いいけど……」
「じゃあ、約束ですからね」
勇気を振り絞ってどうにか取り付けた待ち合わせの約束。
顔についた精液をぺろっと舐めながら、五月は満足げに微笑んだ。
【Side:S 五女-ゴブンノイチ- つづく】
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次回:10/31(日)(五月編は一週お休みです。)
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