五月はとても真っ直ぐな少女だ。
真面目であろうとするがゆえに、時折見せる要領の悪いところも彼女の愛らしい部分である。
間違った知識をそのまま披露してしまい恥をかくこともあったが、最終的には自分の力になると信じているのだ。
今もこうして、男と人に言えないような行為を行っている状況でも、昨夜学んだことを活かそうとしている。
スマートフォンの小さな画面の中で見た、男性が性器を乳房で挟まれている姿を思い出し、好奇心が抑えられなくなってしまったのも思春期の彼女にとっては仕方のないことかもしれない。
熱り立った肉棒が目の前にあり、自分には恵まれたサイズの胸がある。
この男は、どんな反応をするのだろうか。
「五月……これ……やばい……ッ」
すっぽりと谷間の中に隠れてしまった肉棒。時折亀頭がひょっこり顔を出してはまた見えなくなる。
「このおっぱい……すっげー柔らかい……」
「効果覿面……みたいですね、だったらこのまま続けたらどうなるのかも見せてくださいね」
◇
「三回目でもまだこんなに……」
「だめ……もうしばらく出ないから……」
情けない表情で天井を仰ぐ男は息絶え絶えの状態でぐったりと椅子にもたれかかっている。今にも崩れ落ちそうな体勢はひどく不安定だったが、その格好を見るだけで五月は少しだけ嬉しくなった。
「むっ……そ、そうなのですか? 男性は年中いやらしいことばかり考えているものだと……」
「考えてたとしても、そんなにたくさんは出せないんだよ……」
「そう、ですか……」
実のところ、男はまだ射精できなくもなかった。
生まれつき性欲が非常に強く、一日に何度も連続して射精を繰り返したこともあるが、疲れないというわけではない。
だが放課後の学校で、しかもいつ誰が来てもおかしくない状況で快楽に身を任せるというのは危険を伴う。
無防備な姿を晒さないようにするという、雄の本能が急速に理性を引き戻していたのだ。
「ごめん、ぐちゃぐちゃにしちゃって……」
「だ、大丈夫です。私もその……少しやりすぎてしまいました……」
男がポケットティッシュを渡し、五月が顔と胸についた精液を拭き取ったが、正直彼女は満足していなかった。
自らの手で異性を快感へ導いたことは大変貴重な経験であり悪い気分ではなかったが、まだしてみたかったことがあったのだ。
だがこれ以上出ないと言われてしまえば、この先に踏むこむこともできない。
身だしなみを整えて、二人は教室をあとにした。
「あの……明日は二乃と会うのですか……?」
「うーん、どうだろうな、アイツ気まぐれだし」
「そうですね、家でも感情の起伏が激しいですよ。振り回されてしまうこともありますが、多分お互い様なのでしょうね」
「いいな、家族って」
「あなたの家族は、一体どのような方々なのでしょう?」
「俺の話は良いって」
「えー教えてくださいよ」
校内で肩を並べて歩くことは初めてで、他の生徒が見たらこの二人をどう思うだろうか。
どことなくぎこちないお互いの態度は、初々しい恋仲にでも見えるだろうか。
恋仲なら、話は簡単だったに違いない。
だがこの男の環境に起こった小さな歪みは、徐々にその範囲を広げ始めていた。
【Side:S 五女-ゴブンノイチ- つづく】
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10/17(日)21:30公開
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