「あんた、あのいけ好かない女と何したのよ」
「なんだよ急に、何したって……別に変わったことはないけど」
「嘘よ、あの女が珍しく上機嫌だったもの。原因はあんたぐらいしか思いつかないわ」
竜の魔女は苛立っていた。
黒き騎士王、アルトリア・オルタは同じマスターを持った仲間である。
しかし、何かにつけて積極的にマスターと交流しようとする彼女は、ジャンヌにとっては邪魔者。気持ちに抗うことをやめれば、彼女のように寄っていくことも出来るだろうが、ジャンヌにはそれが出来ない。
だからこそ、彼女のことが気に食わない。
「そんなこと言われてもな……口に合うジャンクフードでも見つけたんじゃないか?」
「……ちっがうわよ! そんなことだったらどうでもいいけど、あの真っ黒な女があんなに気分よく見えたのは初めてだったの! だから聞いてるのよ!」
「わかった、わかったよ。わかったからそんなに大声出すな」
「冷静でいろっていうの? ふーん……やっぱりあの女の味方をするのね」
「なんでそんな話になるんだよ!」
不貞腐れ切ったジャンヌの思考は、沸騰して他の情報を受け付けていない。
これ以上ジャンヌに構うのは無駄かもしれないが、自分のサーヴァントとして日々懸命に戦っている相棒を無下にすることも出来ない。
マスターは一度溜息をついてから、ジャンヌの顔を訝しげに見つめた。
「あんたね……どうしてあの女ばかり構うのよ」
「そんなことないだろ。ジャンヌのことだって、俺はいつも気にしてる」
「嘘よ、あんたは私のことなんか見てない。別に見てほしいなんて思ってるわけじゃないけど、それでも同じサーヴァントとして、他の奴だけ贔屓するのは気分がいいものじゃないわ」
「……つまり、ジャンヌはどうして欲しいんだよ」
「…………」
しばらく口篭ったジャンヌは、もじもじと動いて眉間に小さな皺を寄せ、そしてゆっくりと口を開いた。
「あんたがあの女にしたこと、私にもしなさいよ」
その言葉には、マスターを動揺させるには十分すぎるほどの威力があった。
「……い、いや、そんなことできるわけないだろ!」
「…………やっぱり、何かあったんじゃない!」
「あったというか、あれはセイバーがしてきただけで、俺は別に……まぁ、乗ったのは確かだけどさ……」
「だから、それを私ともしなさいって言ってるの! 不公平じゃない!」
「わかったから! いいから落ち着け!」
セイバーがしたこと……それは数日前の夜のことを言っているのだろう。
だがそれは、簡単に頷けるような内容ではない。
珍しく真っ赤な顔をして憤慨しているジャンヌは、諦めてくれそうにないことも分かっている。
「……いいけど、何をするのか分かってるのか?」
「知らないわよ。だからって、私とはしないなんて不公平でしょ?」
大きな溜息をついてから、マスターは仕方なく自室へと足を向けた。
「わかったよ……ほら、行こうぜ」
「ふん」
◆
「ほ……ほら、ぬ、脱ぎなさいよバカ!」
呼吸を荒くし、さらに顔を真っ赤にしているのは竜の魔女その人。
マスターから前日の夜の事情を伝えられ、酷く心を乱したジャンヌは、その乱れた心のまま状況を無理やり飲み込みんでここに立っている。
(私……そんなこと、したことない……っ)
ジャンヌに男性経験は一切ない。
しかし、やめようとしてもアルトリアの満ち足りた見下し顔が脳内でちらつき、心に影を落とす。
だからこそ、負けるわけにはいかない。
「や、やるわよっ」
顔を真っ赤にして懸命に気持ちを保っているジャンヌに応えるべく、マスターはゆっくりと衣服を脱ぎ、裸体を顕にした。
「じゃぁ、ジャンヌに任せてもいいのか?」
「もちろんよ。あの女がしたこと以上に、もっともっと気持ちよくしてみせるから、覚悟しなさい!」
ジャンヌが陰茎へとその手を伸ばし、未だ柔らかいそれをクニクニと揉みしだく。
少しずつ、血液が集まり硬くなっていくそれを、横目がちに見つめてなるべく注視を避け続けているようだった。
本当ならば、頭が沸騰しそうなこの状況からすぐさま逃げ出したいところ。
しかし、ジャンヌにも人並みの性欲はある。
次第に固く勃起していく陰茎を見つめて、ジャンヌは興味を持ち始めていた。赤桃色に艷めく光を反射させる亀頭は、外見の割に柔らかい。先端の口から何が出てくるのか、それに期待し始めていたのだ。
(この匂い……何だか……私……っ)
ジャンヌはついに、勢いのままそれを口へと運んだ。
「……うっ」
ジャンヌの口が、亀頭全体を暖かく包み込む。
唾液が亀頭を、裏筋を、雁首をも覆い、グチュグチュと絡みつく。
ジャンヌの舌は、それ自身が生き物のように這い回って快楽の渦から離さない。
(……これ、先から何か……出てきてる?)
我慢汁が先端から漏れ出ていることに気がついたジャンヌは、それを意図的に陰茎全体に絡みつかせた。
そして、その姿に興奮したマスターの身体は、全身の性感帯を活性化させていく。酷く脆く、酷く敏感なそこへと至るまで、ジャンヌの勘はすぐそこまで近づいている。
「……はっ。あんたもしかして……!」
まだ気づかないでくれ、まだそこを責めるには早いと、マスターの考えが伝わることはなく、
「ジャ……ジャンヌっ」
容易に気づかれてしまった。
アルトリアの時と同じ、弱点へとジャンヌの細い指が迫り、カリッ、と、爪先が両乳首を同時に引っ掻いた。
「……んっ、あっ……」
反応を見て、ジャンヌは確信した。
マスターの弱点と、責め方を。
◆
「……はぁ、はぁ…………っ。少し……飲んじゃったじゃない……!」
口から溢れ出す精液を見て、自分が飲み込んだものを再認識する。
「これが……精液……なのね……」
なんと妖艶で雄々しき匂いなのだろうか。
鼻腔を突き抜け、肺を満たすようなその匂いが、ジャンヌの身体を刺激する。
じわっ……と、自らの陰部が湿っていくのを感じる。
(求めている……マスターを、このちん〇を……っ)
「ジャンヌの口……暖かくて……乳首まで弄られたら……俺……癖になる……っ」
「ふ、ふん! 当然でしょ! この私が相手になってあげてるのよっ!」
「あぁ……最高だよ……ジャンヌっ」
「…………何言ってるのよ」
「え?」
「まだまだ……これからよ……覚悟しなさい……」
その言葉はマスターへと向けられたものなのか、自分へと向けて放ったものなのか、ジャンヌは、やがて、その意味を知ることとなる。
竜の魔女 01 -了-
以下、台詞なし差分です。二枚目は上のと一緒デス。
寝待月
2019-09-05 10:40:28 +0000 UTC