留守番中に襲われた女の子
Added 2025-09-18 10:28:24 +0000 UTC・
ぽかぽかとした陽射しが窓から差し込み、屋敷のリビングをやさしく照らしていた。
外は静かで、風の音さえ聞こえないほど穏やかな午後。
そして、そんな昼下がりの中心に、ひとりの少女がいた。
マリア・ラーネッド。
金色の髪は腰まで届くほど長く、陽の光を受けてきらきらと輝いている。
柔らかいウェーブのかかったその髪には、鮮やかな赤いリボンが大きく結ばれていて、どこか絵本の中の登場人物のような華やかさがあった。
服装はいつものお気に入り、ピンクのドレス。
ふんわりと広がるスカートに、胸元には白いフリルが並び、リボンとレースの装飾が可愛らしさを引き立てる。
軽くパフのかかった袖が二の腕を包み、全体的にふわりとした、少女らしい可憐なシルエットを作っていた。
そんなマリアが、ふわふわのクッションに頬を預けながらソファに寝転んでいる。
「……ひま〜……」
ぼやくような声が、部屋にぽつんと響いた。
義兄のリヒターは、今朝早くに出かけていた。
またどこかの町で吸血鬼退治の依頼を受けたらしい。
最近では「伝説のバンパイアハンター」と呼ばれるほどになっている兄を、マリアは尊敬していた。
でも――
「置いていかれたの、やっぱ納得いかないかも……」
ソファの上でゴロゴロと寝返りを打つ。
スカートの裾がふわっと広がり、ひんやりした空気が脚に触れた。
「だって、私だって強いし。ね? こう見えても!」
手を握って見せるが、誰も見ていない部屋の中では虚しいだけだった。
ため息をついて、もう一度うつ伏せになる。
そのとき――
ふと、背筋に“ぞくっ”とするような違和感が走った。
「……ん?」
何も聞こえない。何も動いていない。
けれど、ほんのわずかに空気の流れが変わった気がした。
「……気のせい?」
マリアは起き上がり、ゆっくりとリビングを見渡す。
さっきまで感じていた安心感が、どこか遠くに行ってしまったような、微妙な違和感。
それでも彼女は首をかしげながら、明るくつぶやいた。
「まぁ、いっか。お兄ちゃんが帰ってくるまでに、お茶でも入れよっかな〜♪」
そう言って、マリアはふわりと立ち上がった。
ピンクのドレスが揺れて、裾が花びらのように舞う。
彼女はまだ知らなかった。
自分の留守番が、誰かに“見計らわれていた”ことを。
そしてすでに、この屋敷の中に“侵入者”がいることも――
リビングの扉が、ギィィ……と不自然な音を立てて開いた。
「……ん?」
マリアはクッションから顔を上げ、扉の方を向いた。
そこに立っていたのは――二人の見知らぬ女だった。
ひとりは黒いスーツに身を包み、もうひとりは白衣のような長いコートを羽織っている。
どちらも、どこか冷たい目をしていた。
「……誰?」
マリアはソファからすっと立ち上がり、物怖じせずにまっすぐ二人をにらんだ。
「このお屋敷に勝手に入るなんて、悪い子だよ。なにか用?」
女たちはにやりと笑う。
「あなたには関係ないわ。だけど――“リヒターの妹”っていうのが、どうにも気に入らないのよね」
「……お兄ちゃんのこと、知ってるの?」
マリアの目がきゅっと細くなる。
「そっか。じゃあ、やっぱり悪い子たちなんだねっ!」
そのまま跳ねるように後退し、両手を構える。
「来なさい!」
「させると思って?」
ひとりの女が、一瞬で距離を詰めた。
手首をつかまれ、召喚の構えが崩れる。
「うわっ、ちょっ……はなしてぇっ!」
もう一人の女が回り込むようにしてマリアの肩を押さえつける。
スカートがふわりと舞い、床に踏み込む足がもつれてしまった。
「このっ……あたし、負けないからねっ!!」
暴れるマリア。
細い体をいっぱいに使って、ねじって、蹴って、必死に抵抗する。
「本当に元気。でも――そろそろ黙ってもらうわね」
女がポケットから薄紫の布を取り出す。
「なに、それっ!?」
マリアが叫ぶより早く、ぽんっという音とともに、その布が口元にぴたりと貼りついた。
「ん゛っ!? んむぅぅっっ!!」
柔らかな魔法布が、口元だけでなく鼻の上あたりまでぴったりと覆っていく。
「ふぅーっ! ふぅーーーっ!! んんんーーっっ!!」
マリアは顔を左右に振って抵抗するが、布は吸いつくように肌に密着し、外れる気配はまったくない。
「さぁ、これで召喚も、叫び声も、ぜーんぶおしまい」
「ふむっ、ふぐっ……んんっっ!!」
なおも暴れるマリアを、女たちはあざ笑うように押さえ込む。
「お兄ちゃんによろしくね、可愛い妹ちゃん?」
「んむぅっっ!! んーーっ!!」
目に悔しさと怒りを浮かべながら、マリアは激しく身をよじらせる。
髪がばらけ、スカートが乱れても、それでも力を込めて体を捩る。
「(お兄ちゃんっ……はやく、帰ってきて……っ!)」
彼女の叫びも願いも、今はただ、こもったうめき声として、布の奥で震えているだけだった。
「んぐっ……んんんっ!!」
魔法の布で口と鼻を塞がれたまま、マリアは必死に首を振って暴れた。
でも、押さえつける女たちの力は強くて、身体をうまく起こすこともできない。
「さぁ、まずはその腕。ちゃんと後ろに回してあげて」
「んぅっ!? ふぐぅっ……!」
片方の女がマリアの両手首を無理やり背中へと引き回す。
マリアは全身をくねらせて抵抗するけど、押さえつけられた肩が動かない。
そのまま――きゅっと冷たいロープの感触が走った。
「んぐっ……っ!? んんーっ!!」
背中で、マリアの手首がぴったりと束ねられていく。
一巻き、また一巻き。
ロープが肌に擦れて、すぐにぎゅうっと締め上げられた。
「ふむふむ、なかなかいい体のラインしてるじゃない。ちゃんと見えるように……」
もう片方の女が、マリアの前に回り込んだ。
「次はここね」
言うが早いか、ロープが胸の下にぐるりと回された。
そのままぐいっと引かれて――
「んっっ!? んむぅぅうっ!!」
マリアは体をよじって逃れようとするけど、ロープは容赦なく締まっていく。
胸のすぐ下に食い込むように、しっかりと巻かれ、そして次は――
「もちろん、上にも通さないとね」
上――?
「ん゛っ……やだっ、やめ……っ!」
言葉にならない悲鳴が、布の下で震えた。
今度は肩の上からロープが回され、胸の上部に沿うようにぴたりと巻かれていく。
上下から持ち上げられるように、形を押し出されるように――
胸はロープに挟み込まれて、勝手に主張を強めてしまう。
「んんんっっ!! ふぐっ、んんーーっっ!!」
マリアは体を大きくくねらせた。
けれど手首は背中で縛られ、胸の上下も締め上げられているせいで、ほとんど身動きできない。
「ねぇ、どう?ちゃんと見えるように縛ってあげたわよ?」
「リヒターのお兄ちゃん、こういうの見るのかしらねぇ?」
「んむぅっっ!!」
胸がぎゅうっと締められているせいで、息をするたびにロープが肌に擦れて……
汗ばんできた布の中が、熱くて苦しくてたまらない。
「(やだっ、こんなのっ……こんな姿……っ!)」
「んぅぅっっ!! んんーーっっ!!」
マリアは決して諦めず、暴れ続けていた。
「ふふ、上半身は完成ね。次は……脚、いっちゃおうか」
「んむっ!? んんんーーっ!!」
マリアは頭を振って必死に拒絶の意思を示す。
でも、魔法の布で口も鼻も塞がれている今、そんな声はこもった息の音にしかならなかった。
「大丈夫、優しくしてあげるから♪ でもしっかりね」
一人の女がしゃがみ込み、私の太ももに手を添える。
そのまま滑らせるようにして、ロープを巻き始めた。
「んんっ……んぐぅぅうっ!!」
ぐる、ぐる、と。
ロープが生地の上からでもわかるほどにぴったりと食い込んでいく。
「(やだ……やめて……そんなところまで……っ)」
「(足、逃げられない……っ!)」
腿の高い位置で数回巻いたあと、結び目をぎゅっと締められる。
太ももがくっと絞られ、肌の内側が熱くなるような圧迫感が走った。
「はい、次。膝いくよ〜」
「ふぐっ!? んんんーっ!!」
続いて膝の上。
ドレスのスカートがたくし上げられ、女の手が迷いなくロープを回していく。
マリアは膝をバタつかせて抵抗するけど、両手は背中で縛られてるし、胸の上下も締めつけられてて、うまく力が入らない。
「動かないの。逆に締めたくなっちゃうじゃない」
「んんっっ!? んむーーっっ!!」
膝上のロープがぐいっと締まり、脚の曲げ伸ばしが制限される。
脚全体が、じわじわと自由を奪われていく感覚に、マリアは体をくねらせるしかなかった。
「はい、最後は――お待ちかねの足首ね」
「ふぅーーっ!! んんんんっっ!!」
両脚を揃えたまま、足首にしゅるっとロープが絡む。
そこから一気に、きゅっ、きゅっ、ぎゅうっ……!
「(やだっ……足まで完全に……!)」
結び終えた女が、わざとらしくマリアの足を軽く持ち上げて見せた。
「これで逃げられないねぇ。見て、ピンクのお姫様が、ロープでぜーんぶおとなしくなっちゃった」
「んぅっっ!! んんーーーっ!!」
マリアは怒りと恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら、必死に全身をくねらせる。
でも――
手首は背中の後ろでしっかり縛られ、胸の上下はロープに挟まれ、太もも・膝・足首はすべて固定されていた。
もう、動こうとするたびにロープが軋み、身体がきしむ音しか響かない。
「(こんな……こんなのって……っ!)」
「(お兄ちゃん………助けに来て……っ)」
そんなぐちゃぐちゃな感情を抱えながら、マリアはなおも声にならないうめき声を上げて、暴れ続けていた。
「ふぅん、しっかり縛ったし、もう暴れられないわね」
「じゃあ、せっかくだし……お姫様にはお姫様のお部屋でお休みいただこうかしら?」
「んんっ!? んむぅぅうっ!!」
マリアは声にならないうめき声を上げながら、全身を捩らせた。
けれど、背中で縛られた手首、胸の上下を締め上げるロープ、ぴったり揃えて縛られた太もも、膝、足首――
どこにも力が入らない。どれだけ体をよじっても、きゅうきゅうとロープが軋む音がするだけだった。
「動くたびにロープがきつくなるでしょ? 可愛い〜♪」
「さ、持っていこ。リヒターの可愛い妹ちゃんのお部屋へ」
「ふぅーっ! んんーっ!!」
マリアは全力で抵抗しようとした。
けれど――
女たちは、ひょいっとマリアの体を担ぎ上げた。
「んむぅうっ!? んんっ、んんーーっ!!」
体が浮く。
縛られたままの姿勢で持ち上げられたマリアは、肩に背中を預けられた状態で運ばれていく。
髪がだらりと垂れ、ドレスの裾が揺れ、ロープの締め付けが強調されるように身体がぐにゃりと傾く。
「ほらほら、静かにね〜。お姫様が騒ぐと、ご近所迷惑でしょ?」
「んぐぅっ!! ふぐっ……っふぅーっ!!」
マリアは必死に足をバタつかせる。
でも足首はがっちりと縛られていて、ただ“揺れる”だけ。
手も動かせず、顔は布に覆われて声も出せない。
廊下を進む間、悔しさと羞恥がこみあげてくる。
「(あたしの部屋に……連れてかれる……っ!)」
「(あそこ……ぬいぐるみとか、お兄ちゃんとの写真とか……!やだっ、やめてっ!!)」
やがて、部屋の前に着いた。
「この部屋ね。中、可愛い〜♡」
「んんーっ!! んむーーっ!!」
マリアは頭を振って必死に拒否を示した。
だけど――
どさっ!
「んぐぅっっ!!」
女たちは、ベッドの上に、そのままマリアを放り込んだ。
ロープに縛られた身体が布団に跳ね返り、きゅうっと締め付けが強まる。
「おとなしくしてなさい、マリアちゃん。今からが本番なんだから」
「……たっぷり楽しませてもらうわよ」
二人はくすくすと笑いながら、静かにドアを閉めた。
バタン――
部屋に静寂が戻る。
「んっ……んんんっっ……!」
マリアはぐしゃぐしゃに乱れたドレスのまま、ベッドの上で全身をよじらせる。
自分の部屋。なのに、安心どころか――一番見られたくなかった空間に、こんな姿で放り込まれたという現実が、さらに羞恥を煽ってくる。
「(お兄ちゃん……こんな、こんなの……っ)」
「(助けて…っ!!)」
揺れる視線、揺れる心。
口を覆う布の中で、熱い息がまたひとつ、詰まっていった。
「じゃあ、リヒターが帰ってくるまで――大人しくしてなさいね」
そう言い残して、女たちはくすくすと笑いながら部屋を後にした。
バタン……
扉が閉まる音が、心の奥まで響いた。
マリアは、縛られたままベッドの上に取り残された。
「んぐぅっ……! んんーっっ!!」
全身をくねらせる。
ロープに包まれた体を、なんとか少しでも動かそうと、懸命に身じろぎした。
背中でぎゅうぎゅうに縛られた手首を、捻るようにこすり合わせる。
けれど結び目には指先すら届かず、ロープはびくとも動かない。
「(くそっ……解けない……っ!)」
胸の上下を締め付けているロープが、呼吸のたびにぎゅうぎゅうと肌に擦れてくる。
汗ばんだ布地の中で、鼓動と一緒にロープが脈打つみたいに感じる。
「んむっ、ふぐっ……っふぅーーっ!!」
鼻まで覆われた魔法の布は、まだぴたりと口元に張り付いたままだ。
息を吸おうとするたび、こもった空気がむわっと顔の中にこもる。
「(誰かに見つかったら……こんな恥ずかしい姿……っ!)」
マリアはベッドの上でゴロンと転がり、膝を持ち上げようとする。
だけど、太もも・膝・足首に巻かれたロープがぴたりと脚を固定していて、自由にならない。
「んーっっ! んんんーっ!!」
なんとか少しでもずらそうと足をバタつかせる。
すると、その反動で胸のロープがまた締まり、息が詰まるような感覚が襲ってくる。
「(動けば締まる……でも、じっとなんてしてられないっ!)」
「(絶対に縄を解かないと……!!)」
マリアは再び暴れ出した。
両脚を揃えたままぐいっと跳ねさせ、背中のロープを少しでもずらそうと肩を捩じる。
「んっっ……んぅっ、んーーーっ!!」
だがロープは動かない。
きゅっ、きゅっ、と肌を擦る音だけがむなしく響く。
自分の部屋。
ぬいぐるみも、写真立ても、全部見慣れた安心の空間のはずなのに――
今のマリアは、ここがいちばん見られたくない場所になっていた。
「(お願い……見つかる前に……自分で、ほどいて……っ!)」
「(私、絶対に……お兄ちゃんにこんな姿、見せたくない……っ!!)」
悔し涙がこぼれる。
それでもマリアは、全身をくねらせて、必死に藻掻き続けた。
ロープの軋む音と、こもったうめき声だけが、静まり返った部屋に響いていた。
「んんーっっ!! ふむっ、んぐぅっっ!!」
マリアはベッドの上で、全身を激しくくねらせていた。
背中でぎゅうぎゅうに縛られた手首を擦り合わせ、なんとかロープを緩めようと力を込める。
だが、肌にぴったりと吸いつく魔法の縄は、びくともしなかった。
「んぐっっ!! んっ……ふぅっ、んむむーーっ!!」
口と鼻を覆う布に声を封じられながらも、マリアは叫ぶようにうめいた。
悔しさと怒りをぶつけるように、全身で暴れ続ける。
呼吸のたびに胸を締め付けるロープが擦れ、息苦しさが増す。
汗ばんだドレスの中は蒸れて熱く、それでも彼女の動きは止まらない。
「ふぐっ、んんぅうっ!! んーーっっ!!」
脚をばたつかせようとしても、太もも・膝・足首すべてが縛られていてほとんど動かせない。
それでもマリアは、拘束された身体でベッドの上を転がりながら抵抗を続ける。
「んんっっ! むーっ! んぐうううっ!!」
ロープがきゅっ、きゅっと肌を擦る音と、くぐもったうめき声だけが部屋に響く。
ほどけた赤いリボンが髪から滑り落ち、ベッドの端に転がった。
「(くっそぉぉぉ……っ!)」
「(ほどけ……ほどけってば……っ!)」
「(私、こんなもんに負けないんだからっ!!)」
マリアは肩に力を込め、背中を持ち上げるようにして、縛られた手首に全力を注ぐ。
ぎちぎちとロープが鳴る。
布越しの息が荒くなり、再び全身をひねるようにして跳ねる。
「んんーーっっ!! んっ、んむむーーーっ!!」
ロープは動かない。
だが、マリアは止まらない。
「んっ、んぅっ! ふぐっっ! んーーーっ!!」
どれだけ苦しくても、どれだけ汗が流れても、彼女の動きが止まることはなかった。
全身を縛られ、声も出せないその姿で――マリアは、ただ必死に、ひとりで闘っていた。
「んむっ……んんーーっっ!!」
マリアはさらに激しく身体をくねらせた。
ベッドの上で転がりながら、縛られた手首をなんとかずらそうと背中に力を入れ、足を揃えたまま跳ねるように暴れる。
「んっ! んぅうっ! ふぐぅっ!!」
ロープが軋む。
胸の上下を締め付ける縄がぎゅうっと食い込み、息をするたびにきゅっ、きゅっと擦れて苦しさが増していく。
「(もう少し……もうちょっとだけ動ければ……っ!)」
拘束されたまま、マリアはベッドの端へとじりじりと転がっていく。
足も腕も自由はない。けれど、体重をずらし、勢いをつけるように腰をひねる。
「んんっ! んむーーーっっ!!」
ぐらっ。
視界が傾いた――
そして、
ドサッ!!
「んぐぅっっ!!」
マリアの身体が、ベッドから床へと転げ落ちた。
背中から絨毯に落ちるように倒れ込み、クッション性はあったものの、反動で体が跳ねてロープの締め付けがさらに強まる。
「んっ……んんんっっ……!」
一瞬、息が詰まりかける。
けれど、マリアは止まらない。
倒れたままでも、再び背中を動かし、腕を引き、脚をよじらせようと全身をうねらせる。
「ふぐっ……ふぅっ! んーーーっ!!」
髪が顔にかかり、ドレスは乱れてめくれ、汗ばんだ身体にロープが貼り付く。
それでも――
「(私は……絶対にあきらめないっ!!)」
「(負けない……負けてやるもんかっ!!)」
床の上で、ぐしゃぐしゃに縛られたまま、マリアはなおも抵抗し続けていた。
ロープは緩まない。
口の布は外れない。
だが――その心だけは、何ひとつ屈していなかった。
ドアの外で、コツン、コツン……と、ヒールの音が近づいてくる。
「……ねえ、聞こえた?」
「うん。随分と元気に暴れてるみたいね」
部屋のドアがゆっくりと開いた。
マリアは、床の上でうつ伏せのまま必死にもがいていた。
手首も胸も、足も、すべてロープでがんじがらめ。
それでも動くことをやめず、ロープの軋む音とくぐもったうめき声を響かせていた。
「ふぐっ……っんんーっっ!! んむぅうっっ!!」
ドアを開けた女たちは、少し呆れたように、そして楽しげに笑った。
「ふふ、そんなに暴れちゃって」
「おとなしくしてなさいって言ったでしょ?」
マリアは顔を上げ、必死に首を振って抗議のうめき声を上げる。
「んんっっ!! んんーーーっ!!」
「仕方ないわね……。ちょっとだけ、お仕置きが必要ね」
「ふぅーっ!! ふぐぅっ!!」
女のひとりが、ロープの端を手に持ってマリアに近づいた。
それは、マリアの足首を縛っている縄の一部――
もう一方の手には、背中側の手首のロープから伸びた結び目が握られていた。
「これをこうして……はい、できあがり♡」
キュッ……パチン!
「ん゛ぐぅぅっっ!?!?」
マリアの体が、びくんと震える。
次の瞬間――
ロープがぐいっと引かれ、足首と背中が繋がれた。
身体が無理やりのけぞる形に固定される。
「んんーーーっっっ!! ふぐっっ!! んんむぅううーーーっ!!」
床にぴたりと押しつけられたまま、マリアは激しく身を捩った。
だが逆えび縛りにされた体は、反るほどに苦しさが増し、動きはますます制限されていく。
「うふふ、すっごく綺麗に反ったわねぇ」
「もう一声、いい声聞かせて?」
「んぐっっ!! ふっ……ふぐぅっっ!! んんんーーっっ!!」
マリアの身体はロープに引かれ、まるでくの字に弓なりになったまま、もがくたびにギチギチと音を立てる。
胸のロープが突き上げられ、肩に力を入れるたび息が詰まり、顔は熱く、息は荒くなっていく。
「(くそっ……ぜったい、負けない……!!)」
「(私、こんなもんじゃ……っ!!)」
ロープが締まり、体がのけぞり、布に覆われた口からはひたすらにくぐもった叫びが溢れ続ける。
「んんっっっ!! んーーーっっ!! ふんむぅぅぅっ!!」
それでもマリアは――なおも、必死に、全力であらがっていた。
「リヒターへの恨みも……この子に仕返ししちゃう?」
「いいじゃないそれ。お兄ちゃん想いの妹さんに、た〜っぷり伝えてあげなきゃね」
「んんっ……んむぅっ!? ふぐぅぅっ!!」
マリアは激しく首を振って抵抗を示したが、逆えび縛りでのけぞった身体は、もはやぴくりと動くだけで精一杯だった。
背中と足首を繋ぐロープがきつく締まり、胸も腕も完全に拘束されたまま。
顔は真っ赤に染まり、鼻からの呼吸だけで必死に息を整えている。
「それじゃあ……リヒターがどんな気持ちになるか、想像しながら楽しませてもらおうかしら?」
女のひとりが、マリアの足の裏にそっと指を這わせた。
「んむっ……!?」
ぴくん、とマリアの身体が跳ねた。
くすぐりに対する反射――だが、逃げることはできない。
「こっちも。せ〜の……くすぐったぁ〜い?」
女たちの指が、両足の裏を同時にくすぐり始めた。
「んんんっっ!? ん゛ん゛っ! ふっ……ふぶぅっっ!!」
マリアの鼻から、荒い呼吸が漏れ始める。
くすぐったさを押し殺そうと必死だが、鼻息がどんどん荒くなるのを抑えきれない。
「ふーっ! ふぅーっ! ふっふぅっっ!!」
「んんーっっ!! んっ、んんんーーーっっ!!」
「くすぐったい? ほらほら、指の間も〜♪」
「ここなんかどう? 土踏まず……ふふ、すっごい反応♡」
「ん゛ぐっっ! んむむぅぅっ!! ふぅーっ! ふぅーーーっっ!!」
マリアの足がびくびくと痙攣する。
だが、足首はロープでぴったりと揃えられていて、自由にはできない。
身を捩ろうとしても、逆えびの姿勢では腰が引けず、くすぐりから逃れることができない。
「(やめてぇっっ……! くすぐったい……息が……っ!)」
「(でも、笑えない……苦しいだけ……!)」
「(お願いっ……ロープ、外れて……っ!!)」
うめき声と、鼻息。
ロープの軋む音と、女たちの笑い声。
部屋の中は、異様な熱気に包まれていく。
「んっ! ふぶっ、ふぅーーっっ!! んんんーーーっ!!」
それでもマリアは、拘束されたまま、全身を震わせて――あがき続けていた。
「ふふっ、もう足の裏だけじゃ物足りないわね」
「この子、身体じゅうくすぐったそうなタイプだし?」
「んむっ!? ふぅーっ! んんんーーっ!!」
逆えびにされた体勢のまま、マリアのくねる身体に、女たちの指先が這い始めた。
柔らかな脇腹に、くすぐりの魔の手が忍び込む。
「こっちも、くすぐっちゃおうか」
女の指が、マリアの脇の下を優しく、しかし執拗に撫で回す。
「んぶぅうっ!! んんんっっ!! ふぅーーーっっ!!」
「んむーっっ!! ふぐぐっ!!」
鼻から絞り出される、荒い呼吸。
マリアの体はビクンビクンと跳ねるが、縛られた手首も、締め上げられた足も、びくとも動かない。
ただ無様に、くすぐられるがまま。
「くすぐったい? どう? お姫様は♡」
「ねえ、召喚術は? どこにいったのかしらぁ〜?」
「――あ、そうか。召喚術が使えなきゃ、ただの女の子ね?」
「んむーーーっっ!! ふっ……ふぶぅぅっっ!!」
「ふーっ! ふぐっっ! んんーーっっ!!」
女の爪先が、マリアの肋骨の間を軽くなぞる。
「ここもくすぐったいんだぁ? ふふ、可愛い反応♡」
「お兄ちゃんが見たら泣いちゃうかもね〜、妹がこんなにされてるの」
マリアの目からは涙が滲んでいた。
それでも、声をあげることはできない。
布で口をふさがれ、鼻呼吸だけで必死に耐えている。
「(やめて……くすぐったいの、苦しいのっ……!)」
「(召喚術……使えれば……こんな女たちに……っ!)」
「(お兄ちゃん、はやく……帰ってきて……っ!!)」
しかし願いは届かず、くすぐりはなおも続いた。
「はぁ〜、楽しかったぁ……♡」
「ねぇ、また来ようよ。お兄ちゃんが帰ってきたら、もっと面白いことができるかもよ?」
「ふふっ、じゃあ今度こそ……大人しくしてなさい、マリアちゃん♡」
そう言い残すと、女たちは満足げに笑いながら部屋を出ていった。
扉が「バタン」と閉じられる音と共に、部屋は再び静寂に包まれる。
「んむぅっ……! んんーーっっ!!」
「ふぅーーっ……ふぐっ……ふっ……」
マリアは逆えびにのけぞったまま、荒い鼻息を漏らしていた。
顔は汗に濡れ、頬にはうっすら涙の跡。
胸を締め上げる縄が呼吸のたびにきつく締まり、足首と背中を繋ぐ縄は容赦なく身体を反らせたまま固定している。
「(はぁ……はぁ……また、置いていかれた……っ)」
「(くすぐったいの、もうイヤなのに……まだ身体が震えてる……っ)」
静まり返った部屋に、聞こえるのはマリアの鼻息とうめき声だけ。
「んぐぅっ……ふっ、ふぅーっ……!」
「んんっ……むぅぅぅっ……!」
動こうとすればするほどロープが軋む音がする。
だが逃れられる隙はどこにもなかった。
マリアは無様に縄に囚われたまま、ただただ無力にもがくしかなかった。
玄関の扉が、静かに、しかし確かな力で開かれた。
「……妙だな。鍵をかけて出たはずだが」
ゆっくりと家に足を踏み入れるのは、マリアの義兄・リヒター。
漆黒のコートを翻し、腰にはホーリークロス、銀の鞭を携えたバンパイアハンターである。
部屋の空気がいつもと違う。
殺気と魔力の残滓が混ざったような、不穏な気配が漂っていた。
「……いるな」
その一言と同時に、背後の影から現れた二人の女――先ほどマリアを襲った侵入者たちだった。
「ふふっ、遅かったね。お兄ちゃん?」
「マリアにはもうたっぷり楽しませてもらったよ」
リヒターは静かに目を細めた。
「貴様ら……。マリアに、何をした」
「知りたい?だったら──」
ドンッ!
女のひとりが魔法陣を展開しようとした瞬間、
リヒターの動きが一瞬だけぶれた。
その直後、彼の拳が女の腹部を直撃し、壁ごと吹き飛ばした。
「……騒ぐな。壁が壊れる」
「くっ……!このっ!」
もう一人の女が襲いかかる。だが、リヒターは軽く腕を掴むと、そのまま床に叩きつけるようにして失神させた。
たった数秒。
それで、すべてが終わった。
「……マリア」
リヒターは、足音を立てずに廊下を歩いた。
その足が止まったのは、マリアの部屋の前。
ドアを開けると──
「んんっ!? んんーーーっ!!」
そこには、ピンクのドレスのまま、逆えびにのけぞる体勢で縛られたマリアの姿があった。
大きな赤いリボンが揺れている。鼻まで覆う布が声を遮っていたが、涙目でうめきながら暴れる様子は、明らかに助けを求めていた。
「……すぐに、解く」
リヒターは静かにそう言うと、ポケットから短剣を抜いた。
「もう大丈夫だ、マリア……動かないでくれ」
リヒターは短剣を慎重に使いながら、背中に繋がれたロープを切っていく。
ギチギチに食い込んだ縄がようやく緩むと、マリアの身体がベッドに崩れ落ちた。
「んっ……ぷはっ!」
鼻まで覆っていた布を取り外すと、マリアは大きく息を吸い込んだ。
「お、お兄ちゃんっ!やっと来てくれたぁ〜!」
涙を浮かべながら、マリアは両腕をぐるぐると振り回した。まだ体は少しぎこちなかったが、解放された喜びは隠せない。
「ありがとうっ、ほんとに……!」
「怪我はないか?」
「うんっ……でもね、聞いてよお兄ちゃん!」
マリアはぷくっと頬をふくらませながら、ベッドの上に正座して、まるでお説教でもするかのように語り始めた。
「いきなりね、変な女たちが家に入ってきて、召喚しようとしたら、口ふさがれて!ぎゅーってロープでぐるぐるにされて、胸もきゅーって! 足も、手も、もう動けないくらい縛られちゃって!すっごく、く、くすぐられてぇ〜〜!」
「……くすぐられた?」
「そう!足の裏とか、脇の下とか、もう、くすぐったくて涙出そうだったんだからっ!」
マリアは両腕をばたばたさせて訴える。リヒターはしばし黙った後、深くため息をついた。
「……よく耐えたな、マリア」
「でしょ? 私、すっごく頑張ったんだから!」
「……でも、次はもう少し冷静に――」
「むぅ〜、真面目なこと言わないでよ〜!女の人たち、私が可愛いからいじめたんだよ、絶対!」
「……そうかもしれないな」
リヒターは静かに頷きながら、部屋を見渡した。
縄の残骸、魔力の残り香、マリアの涙ぐんだ瞳――
確かに、彼女はよく頑張っていた。
ー終ー
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リクエストありがとうございました!
マリアの部屋に何があるのか、リヒターはどんな格好なのか、どれくらい強いのか、バンパイアハンターという言葉から想像で補いました。
必死に藻掻くマリアちゃんが可愛い!!
よろしければまたマリアの物語を書かせてください!