NokiMo
ぷよ
ぷよ

fanbox


拘束され、口を塞がれ、声にならない悔しさ〜悪魔城潜入~




月がまんまるに浮かんだ夜だった。

深い森の奥、霧に包まれた古びた道をぬけた先に、それはあった。


黒くそびえ立つ巨大な城。

塔の先端は雲に突き刺さりそうなほど高く、重たく閉ざされた門には、何百年も開かれた形跡がない。


世間では“悪魔城”と呼ばれ、恐れられている場所だ。


そんな不気味な場所の前に、場違いな少女がひとり、胸を張って立っていた。


「ここが……うわさの悪魔城ってやつだねっ!」


少女の名前はマリア・ラーネッド。

腰まで届くふわふわの金髪は月の光を浴びてきらきらと輝き、その頭には、真っ赤なリボンがひときわ目立つように飾られている。


胸元には大きなフリルがあしらわれたピンク色のドレス。

ふんわりと広がるスカートは軽やかに風をはらみ、足元の白い靴がカツンと石畳を鳴らすたび、リボンの飾りがふわりと揺れた。


年齢は見た目でいえば十六、七といったところだが、表情は年相応というよりも少し幼い。

目をくりくりさせながら城を見上げるその顔には、緊張の色はまるでない。


「ぜんっぜん、こわくないもん! 私はぜったいに負けないの!」


両手を腰に当てて胸を張るポーズ。

大きな胸がぷるんと揺れ、ドレスの布地が控えめに波打った。


マリアは天真爛漫そのものの少女だった。

そして、なによりも“負けず嫌い”。


「ふんっ、こんなとこ一人で乗りこんでやるんだから!」


前に進みながら、なぜかスキップを混ぜる。

その姿はとてもじゃないが、恐ろしい城に挑む直前とは思えなかった。


だが彼女には確固たる目的があった。

この城に囚われた“ある人”を助けるために、マリアはたったひとりで乗り込む決意を固めてきたのだ。


「よーし!いざ、しゅっぱーつっ!」


自分に気合を入れるように、頬を両手でぱちんと叩いたマリアは、勢いよく鉄の門をくぐっていった。


このときの彼女は、まだ知らなかった。

この城が、侵入者をじわじわと“飲み込む”ように、巧妙な罠と拘束の仕掛けで満ちていることを――。









マリアは石畳の廊下を、ぱたぱたと元気よく歩いていた。

天井は高く、ステンドグラスが月光を受けてほのかにきらめいている。

けれど内部はしんと静まりかえり、風ひとつ吹かない。


「わ〜、中はおっきいしピカピカしてる〜。何が出てきても私、ぜったい逃げないからね!」


声が反響して廊下に広がった。


足元のタイルには、不思議な模様が浮かんでいる。

それに気づかず、マリアはそのまま中央を踏みしめた。


一瞬、空気がぴりりと張りつめた。

次の瞬間だった。


「え……? きゃっ!? な、なにこれっ!?」


天井の影から、まるで生き物のようにしゅるしゅると動く魔法のロープが数本、音もなく降りてきた。

白く輝く糸のようなそのロープは、マリアの両腕に絡みつくと、ぐいっと引き寄せるようにして――


「わ、ちょ、ちょっと!? 待ってってば〜〜っ!」


ぐるん、と体が回転させられ、マリアの両手首は背中の後ろでぎゅっと縛り上げられた。

細くて柔らかそうに見えたそのロープは、驚くほどしっかりと締まり、まるで生きているようにぴったりと手首に吸い付いてくる。


「うう〜っ、な、なによコレっ!まだ何にもしてないのにぃっ!」


マリアは身をよじってロープを振りほどこうとするが、手は背中に回されたままぴくりとも動かない。

ぷくっと頬を膨らませ、不満そうに足を踏み鳴らす。


「こんなことしても、負けないんだからっ!」


そう言いつつも、ぴんと張ったロープに腕を引かれ、胸を突き出すような姿勢になってしまっている自分に、ほんの少しだけ羞恥の色が浮かぶ。


「…このポーズ、なんか……ヘンかも……?」


背中に回された手は全然ほどけない。

それどころか、ロープが“するする”と結び目を自動で締め直している気がした。


「こ、こんなトラップっ!」


マリアの悪魔城での冒険は、まだ始まったばかり。

けれどその体は、もう第一の罠に捕らえられてしまっていたのだった。









「う〜〜、もうっ、ほどけないしっ!誰よこんなイタズラしたの〜っ!」


マリアは手を背中で縛られたまま、ぷるぷると体を震わせていた。

けれど、ロープの動きはそれで終わりではなかった。


「……え?」


ぐるん、と空中でまたひと筋、輝くロープが降りてくる。

その先端は、まっすぐにマリアの胸元へと向かっていた。


「ちょ、ちょっと待って、そこは――」


ロープはためらいなく、マリアのふくよかな胸の下に通される。

それから肩の上へ。

上から下へ、下から上へ――まるで計算されたように、リボンのようなループが胸の上下を挟み込むように巻かれていく。


「んっ、くぅぅ……な、なんか……ぎゅうってされて……っ」


きゅっ、きゅっとロープが締まるたび、大きな胸が柔らかく持ち上げられ、布地越しに形が強調されていく。

ロープは決して乱暴ではない。

だが“美しく、しっかりと見せるように”縛ってくる。そこが逆にいやらしい。


「ちょ、これ……や、やばいかも……!動くたび、ドレスの中が変な感じ……っ」


体を捩じろうとするたび、胸元のロープが肌を擦り、布地をぐいっと押し上げる。

しかも、さっきまで自由だった足元に、再び気配が。


「え、まだあんのっ!?」


ロープが床から這い上がるように現れ、太ももへ、膝へ、足首へと――次々に巻き付いていく。

マリアが驚いて足をよじろうとした瞬間、足首がまとめてぐいっと引き寄せられた。


「わっ!?きゃああっ!」


そのままバランスを崩し、マリアは床にコロンと転がされた。

背中の手首は縛られたまま、胸はロープで持ち上げられ、足はきつく揃えられた状態。


「う、うそでしょ〜!?」


太ももにはしっかりとロープが食い込み、膝も押さえられ、足首はぴったり閉じられている。

完全に動きを封じられた状態。


「……動けない……くぅ〜〜〜〜っ!く、悔しい〜っ!こんなの、こんなの絶対ほどいてやるんだから〜〜っ!」


床の上で、マリアはぷるぷると小さく身をよじるしかなかった。

ピンクのドレスは拘束で歪み、可憐な姿勢のまま、無様に転がされたまま――


ロープはもう、動かない。

罠は完璧にマリアを捕らえてしまったのだった。










「ん〜〜っ、こ、こんなの……ぜったいに、解いてやるんだからぁっ!」


床の上で転がされたままのマリアが、ぎゅっと歯を食いしばった。

背中で縛られた両手首に力を込め、肩をぐいっと引き寄せる。

脚も思いきりねじり、縛られた膝を左右にぶんぶんと振ろうとする。


けれど――動けない。


ロープはまるで“意思”を持っているかのように、どんな方向から引っ張ってもびくともしない。

むしろ、動けば動くほど締め付けが強くなるような気さえする。


「うぐぐぐぐ……な、なによコレぇっ!こんな……っ、こんなきついの、聞いてないってばぁっ!」


大きな胸に食い込んだロープが、もがくたびに揺れ、押し上げられ、ますます苦しげな姿勢になる。

膝も太ももも、びっしりとロープに包まれていて、まるで“ぬいぐるみ”のように可愛く、だが完全に拘束されている。


「う〜〜〜〜っ!くっそぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!」


床の上でマリアは転げ回った。

背中から転がり、腹を下にしてバタバタ、また仰向けになってじたばた――

ドレスの裾がめくれ、髪が顔にかかっても構わずに、ひたすら必死に、暴れる。


「こんなのに負けるもんかぁぁぁっ!!」


顔は真っ赤、息は荒くなり、髪の隙間から見える瞳には悔し涙が滲み始めていた。

けれど、ロープは――緩まない。


「はぁ……はぁっ……っく……くぅ……」


体を動かすたび、胸がロープに擦れ、肌が熱くなる。

息を吐くたび、ドレスの中が汗でじっとりしてきた。


「なんで……こんなに……ほどけないの……?」


マリアは天井を見つめたまま、力が抜けるように、ゆっくりと床に頬を預けた。

それでも足首を小さくよじらせ、腕をぐっと引っ張ろうとする動きは止まらない。


――負けず嫌い。

そう、彼女は決して諦めない。


たとえ、どんなに動けなくても。

たとえ、誰にも助けてもらえなくても――


「マリアは……絶対……負けないもん……っ」


その小さな声は、しんと静まり返った城の中に、ぽつんと響いた。










「はぁっ……はぁっ……も、もう……ちょっとで……ぐぬぬ……」


マリアは荒い息をつきながら、それでもまだロープを引っ張ろうと必死にもがいていた。

だがそのとき、背中側に絡みついていたロープが、ふいに“きゅっ”と動いた。


「……え? ちょ、なに、今の……?」


すぐに異変が起きた。

床に揃えられていたマリアの足首のロープが、まるで自分の意志を持ったように、背中のロープへとずるずると引き寄せられていく。


「えっ……ちょ、ちょっと!? や、やだやだやだっ、ちょっとまっ――うわあぁっ!?」


パチン――

結び目が自動で締まり、足首の縄と背中の縄が連結された瞬間、マリアの身体がぐいっと無理やりのけぞった。


背中で縛られた手首が引き上げられ、同時に足首がぐいと持ち上がる。

体全体が“く”の字に折れ曲がり、ピンクのドレスがきゅうきゅうに引き寄せられ、胸が張り出すように持ち上げられた。


「な、なにこれ!? な、なんで背中と足がくっついてるのぉっ!? ちょ、ちょっと、ちょっとぉ〜〜〜〜〜〜っ!!」


完全に逆えび姿勢。

腹ばいになることすらできず、体は弓なりに反り返ったまま、ぐらぐらと転がるしかない。


「やっ、だめっ、これ、動きづらい〜〜〜〜〜っ!」


足をばたつかせようとしても、手を引こうとしても、どちらかが引っ張られ、逆に苦しくなる。

ロープの連結は見事なまでに動きを封じ、マリアの体はぐいっとそり返ったまま、床にぴたりと固定されていた。


「う、うそでしょ……? こんなの、こんなのって……っ!」


ぷるぷると体を震わせながら、マリアは何度も腰をよじるが、ただきゅっきゅっとロープが鳴るだけ。

顔が熱い。息も苦しい。だけど、諦めたくない。


「くっそ〜〜〜〜〜〜っ!! こんな……こんな、かっこ悪い姿で……負けたくないのにぃっ!」


のけぞった姿勢のまま、マリアは再び必死に身体をくねらせる。

胸はロープで押し上げられ、ドレスは乱れ、体は汗ばんでいく。


けれど――

縄は一切緩まず、ただ美しく、そして残酷に彼女の体を固定し続けていた。











「んぐぅっ……んぅぅぅっ……!」


のけぞった姿勢のまま、マリアは必死に暴れ続けていた。

けれど足も手も背中でひとつに繋がれていて、動くたびに引っ張られ、息をするのも苦しい。


「うにゃあっ……はぁ、はぁっ……っもう、これ以上は……っ」


そのときだった。

ピン――と空気が震える音がして、マリアの頭上に何かが出現した。


「え……? な、なに?」


彼女が声を出そうとした瞬間、


「ぽんっ!」


軽快な音とともに、何かがふわっとマリアの顔に貼り付いた。


「ん゛むっ!? んむむむ〜〜〜〜〜っ!!?」


それは――魔法の布地だった。

淡い紫色のその布は、マリアの口元にピタリと貼り付き、そのまま鼻の半分までを包み込むようにずりずりと上へ引き上げられていった。


「あ゛〜〜んむむっ!? むぐぅ、んっんぅうっ!!」


ふわりとした手触りのその布は、まるでシルクのように肌に吸い付き、わずかな隙間も許さない。

しかも、そのまま顔のラインに沿ってぴたりと密着し、口も鼻も完全に塞いでしまった。


「んーっ!んむむっ!! むぅううう〜〜っ!!」


マリアは顔を必死に左右に振った。

けれど布はまるで“顔に張り付いた魔力の仮面”のように、ピクリとも動かない。


「んぐぅぅぅっっ!! はふっ……ふぅーっ! ふぅーっ!」


鼻の上まで覆われた布の中で、荒い鼻息だけが詰まりながら漏れていく。

頬は熱く、目には悔し涙が浮かび、金髪は顔にぴったり張り付いていた。


「(こんなの……こんなのって……!)」

「(喋れない……声が……でない……っ!)」


ドレスは拘束でぐちゃぐちゃに歪み、体は反り返ったまま動けず、ついに声さえ奪われたマリア。

もはや頼れるのは自分の意思と、暴れまわる身体だけだった。


けれど――

ロープは締まり、布は張り付き、出口のない罠の中で、マリアはただひたすらにもがくことしかできなかった。









んぐっ、んぐぅっ……!

むぅぅ〜〜っ……んぅ、んぐっ……っ!


マリアは今、とんでもなく情けない格好にされていた。


背中で縛られた手首、足首はそのまま引き寄せられて、身体はぐいっと弓なりに反り返ってる。

太ももも、膝も、全部ぎっちりロープに押さえられてて、まるで“くの字”のまま床に転がされてるみたいな感じ。


しかも……っ!


んむぐぅっ!? ふぐっ、ふっ、ふーっ!


この顔の布!魔法の変な布が、口も鼻もぴったり塞いでて、声もぜんぜん出せないっ!


「(こんなの……ひどい……!)」

「(私、まだちょっと中に入っただけなのに、もうこんなにされて……!)」

「(くっそ〜〜〜〜っ!絶対、絶対こんなロープなんかに負けないもんっ!)」


マリアは身体をよじる。必死にねじる。

うつ伏せのまま、腰をひねって、足をばたつかせて、なんとか布もロープも外そうと暴れる。


んんっ……っむぅぅ〜〜っ! んぐ、んん〜〜〜っ!


でもロープはぴったりくっついたまま、まるで“私の形”に合わせて縛ってるみたいに、びくともしない。


「(うそでしょ……? どれだけ動いても、ちっとも緩まないなんて……!)」

「(はぁ……はぁっ……息、しづらい……っ)」

「(でも……まだ負けない……!)」

「(こんなことで……っ!)」


んぶぅっ! ふむっ! んーーーっ!!

ふぅぅ〜〜っ……っふーっ、ふぅっ……!


もう息も苦しくて、汗が首筋を伝っていく。

体は熱くなって、胸のあたりがぎゅうぎゅうに締められてるのがよくわかる。

動くたびに布が擦れて、ロープがきゅっ、きゅっって鳴る。


「(やだ……すっごい恥ずかしい……っ…?)」


私は背中で縛られた手に力をこめて、ふたたび足をバタつかせた。


んんぐぅっっ! むーーっ! むぅう〜〜っっ!


だけど、ロープはやっぱり解けない。

まるで「もがいてもムダだよ」って笑ってるみたいに、体にぴったり吸いついて離れてくれない。


「(うぅ〜〜……こんなの、絶対……いつか、ほどいてやるんだからぁ……っ)」


何度も、何度も。

私は体をくねらせて、床の上でぐしゃぐしゃに転がりながら――声にならないうめき声をあげ続けていた。










カツン……カツン……と、誰かの足音が石造りの階段に響く。

その足元には、ピンクのドレスを身にまとい、全身をきつく縛られた少女――マリアがいた。


逆えび縛りのまま、魔法の布で口元をしっかりと塞がれたマリアは、担がれるようにして暗い階段を運ばれていた。

ロープの結び目は一切緩まず、魔法の布も顔にぴったりと貼り付き、うめき声さえろくに外に出せない。


やがてたどり着いたのは、重たく軋む鉄の扉の奥。

石壁に囲まれた、小さな牢――明らかに“閉じ込めるため”に作られた空間だった。


マリアはそのまま床にどさっと投げ出された。


「んぐっ……んんんん〜〜っ!!」


目を見開いて、私は怒りに満ちたうめき声をぶつけた。

鼻まで覆われた布の奥で、口を大きく開けて叫んでも、こもった音が唇の前でくぐもるばかり。


「(ふざけんな〜〜〜っ!なんで牢屋に入れられてんのよぉっ!?)」

「(もう、信じらんないっ!ぜったいに許さないんだからっ!!)」


マリアはロープに全力で逆らって暴れた。

背中で縛られた手首を引き、足首をぐいっと反らせ、体をぐるんと転がす。


「んんむーっ! ふんっ、ふんぬぅうーっ!!」


怒りが込み上げるたび、息も荒くなる。

けれど動けば動くほど、胸のロープが肌に食い込み、逆えびの姿勢がさらに私の体を痛めつける。


「(くそぉぉぉ……っ!このままじゃ、誰にも気づいてもらえないっ……!)」

「(お願い……誰か!誰か見つけて……っ!)」


マリアは必死に叫ぶ。

怒ったような、でもどこか助けを求めるような、震えたうめき声を全力で上げる。


「んーーっ!んぐうっっ!むーーっ!!」

「んんっっ!んむむむむぅ〜〜っ!!」


声は壁に反響して、空しく消えていく。

牢の扉は閉ざされ、外からの気配は一切ない。


汗ばんだ髪が頬に張り付き、リボンはずれて床に転がっている。

でもマリアは、それでも、諦めない。


「んんーっっ!!ふぐっ、んんーーーっ!!」


誰にも届かないかもしれない。

でも私は叫び続ける。怒りと悔しさと、ほんの少しの不安を乗せて――


「(絶対に……私、ここから出てやるんだから……!!)」


牢に響く怒りのうめき声は、まだ止むことがなかった。










どれくらい経ったんだろう。

牢の中には時間を知らせるものなんてひとつもなくて、ただ、重たく沈んだ静寂だけがあたりを支配していた。


私は、まだ――このままだった。


逆えび縛りのまま、床に転がされたまま、口も鼻も魔法の布で塞がれたまま。

手首と足首を背中で繋がれた体は、ぴんと弓なりに反ったまま固定されていて、ほんの少し動くだけでも苦しい。


「んっ……っんむぅ……っ」


ずっともがき続けていたせいで、体は汗でじっとりと濡れていた。

ピンクのドレスの内側に湿気がこもって、肌にぴたりと張り付き、気持ち悪くて、息苦しくて、でもどうにもできない。


「(はぁ……はぁっ……くそっ……これ以上暴れるのも限界かも……)」

「(息が……足りない……ロープ、締まりっぱなし……っ)」


ロープは、さっきよりも……いや、確実にきつくなってる気がした。

汗ばんだ肌に魔力の糸がぴったりと食い込み、結び目がじわじわと私の肉に沈んでくるような感覚。


「んくっ……んぅ、んんぅぅ……っ!!」


胸の上下を縛るロープが、とくにきつい。

動こうとするたび、息を吸おうとするたび、きゅうっ、とロープがさらに私を締め付ける。


「(うそ……ロープって、こんな風に……)」


身体がじわじわと痛くなる。

けれど、何よりつらいのは――それに負けたくないって思う自分がいること。


「(こんな……こんな格好で、苦しそうな声なんて出したくないのに……っ)」

「(でも……苦しい……本当に、ほどけてほしい……)」


魔法の布も、汗を吸って顔にさらに密着してきていた。

唇の動きも鼻の呼吸も、全部封じるように、ぴたっと。


んぐっ……っふぅっ……んむっ、ふむぅうっ……!


「(助けて……誰か……っ)」


暴れれば暴れるほどロープは食い込み、布は密着し、体力だけが削られていく。

さっきまで怒りで震えていた体は、今はただ、汗と疲労にまみれて、静かにじたばたと震えるだけだった。


「んぅぅっ……っんん……んんっ……」


熱がこもって、目の端からじんわりと涙がこぼれる。


「(くやしい……なんで私が、こんな……っ)」

「(動けない……声も出せない……こんなのって……こんなのって……!)」


どこかで水が滴る音がする。

時間の感覚が狂っていく。


私は今、確かに“ここ”にいるのに、世界から見捨てられたような、そんな気がしていた。


それでも、私は――


んぐぅっ……んむぅうっっ!!


最後の力を振り絞って、また体をくねらせる。


「(負けない……負けないんだから……私、マリアは……絶対……っ)」


そう心の中で叫びながら、汗とロープにまみれた体を、私はまだ、動かそうとしていた。









んぅっ……んんっ……っふぅ、ふぅーっ……!


私は動くこともままならず、ただ床の上でぴくぴくと身じろぎしていた。

背中で縛られた手首と足首は、まだびくともせず繋がれたまま。

胸の上下にはきゅうきゅうにロープが食い込み、ドレス越しに肌を押し上げていた。


「(もう……動けない……体、ぜんぶロープに支配されてるみたい……)」

「(でも……私はまだ、負けたくないっ……!)」


そう心の中で叫んだ、まさにその瞬間だった。


キィ……ン……という不気味な魔力の共鳴音が、空気を震わせた。


「……っ!?」


直後、ロープ全体がぎゅっ……!と脈打つように動いた。


んぐうううっっ!?

むぅっ、んんんっっんんーーーっ!!


息を詰まらせるような苦しいうめき声が、魔法の布の奥から漏れた。

ロープが、縮んだのだ。


いや、“締めた”というより、私の体に合わせて、どこまでも絞り込むように――


「(な、なにこれぇっ!?やば……やばいっ……!)」

「(動けないどころか、呼吸まで……苦しい……っ!)」


胸のロープがぐっと食い込み、布地の上から肌が押し上げられる。

体を締め付けるすべてのロープが、いっせいに“ほんの数ミリ”縮まっただけなのに、それは圧倒的な差となって全身に襲いかかる。


んんっ、ふぅーーっ! んぅ、んっんむーーーっ!!


私は必死に鼻から息を吸い込もうとする。

でも鼻の上まで覆った布が、それすら遮るかのようにぴたりと貼りついて、息苦しさが消えてくれない。


「(やだ……このままじゃ……本当に……!)」

「(誰か……誰か助けてって………っ!)」


ロープはまだ、ゆっくりと締めている。

まるで私が反応するたびに、それを愉しむように、少しずつ、じわじわと。


「(く、くやしい……私、こんなっ……!)」

「(…もう、声も出せない……体も動かない……っ!)」


目から涙がこぼれた。

鼻を覆う布に吸い込まれて、すぐに消えていく。


私は、ピンクのドレスのまま、ロープに飾られて、完全に拘束されていた。


誰にも気づかれず、誰にも触れられず、でも確実に“縛られていく”この感覚だけが、全身に焼きついていた。


んぐっ……っふ、んむむっ……ふぐぅぅう……っ!


そして、マリアは――

その中でも、まだ……負けたくないと、わずかに身をよじらせていた。








ー終ー

小説の依頼はこちら(skeb) >https://skeb.jp/@puyo_damsel


小説の依頼はこちら(pixivリクエスト) > https://www.pixiv.net/request/plans/2517



金髪ドレスの天真爛漫少女・マリア・ラーネッド。

可愛さ全開で悪魔城へ単身潜入したものの、そこは“生きたロープ”と“魔法の罠”が支配する監獄だった。

背中で縛られた手首、胸を締め上げる拘束、反り返る逆えび縛り、そして口を塞ぐ魔布――

抵抗するたびに締まっていくロープと、悔しさに震えるうめき声。


「絶対負けないもん!」

そう言っていた少女は、いつしか誰にも助けを呼べない姿へ——


拘束・羞恥・放置の美学を徹底追求した、完全没入型・感情共鳴型ボンデージ作品!



本作のポイント


金髪ドレス×天真爛漫少女×単独潜入という映えるシチュエーション


背中での手首拘束、胸の上下を絞るロープ、太もも〜足首の段階的拘束描写


ロープの魔法による‘‘自動逆えび縛り‘‘の完成とリアルな息苦しさ演出


鼻まで覆う魔法の布で口封じ→声が届かず誰にも助けを呼べない恐怖


汗ばんだ身体に食い込むロープ、時間経過による羞恥と焦燥感の強化


マリアのうめき声・心の声・強がりの内面描写が感情移入を高める



Related Creators