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クールなOLさん、後輩に縄で縛られて





昼下がりのオフィスには、カタカタとキーボードを叩く音と、プリンターの低い駆動音が響いていた。

蛍光灯の白い光に照らされたデスク群の中で、橘美咲は背筋をぴんと伸ばし、書類を片手に画面へと視線を走らせている。表情はほとんど変わらない。淡々とした指の動き、余計な雑談を一切挟まない態度。その姿は周囲の誰から見ても「仕事ができる先輩」そのものだった。


「先輩、これで合ってますか?」

軽やかな声とともに書類を差し出してきたのは、後輩の桐谷夏海だった。

明るいオレンジ色のカーディガンに、少しだけ無造作に結んだ髪。真剣な業務中でも笑顔を絶やさないその雰囲気は、オフィスの中に小さな太陽を持ち込むようだった。


美咲は書類に目を落とし、数秒の沈黙を置いてから短く答える。

「……この数値、逆じゃない?」

「えっ、あ、ほんとだ!やだぁ、またやっちゃった」

夏海は舌をぺろりと出し、肩をすくめる。普通なら気まずい失敗も、彼女が言うと笑い話のようになってしまう。


「確認、怠らないで。次からは気をつけて」

「はーい。橘先輩、ほんと冷たいなぁ。氷の女王って呼ばれてるの、知ってます?」

冗談めかして小声で囁く夏海。

美咲は表情を崩さず、ちらりとだけ視線を向けた。

「くだらないあだ名を広めないで」


そのやり取りに、周囲の同僚がくすりと笑う。夏海の軽口と、美咲の無表情な返し。そのコントラストは、すでにオフィスの風物詩になっていた。


だが夏海の胸の奥では、違う感情が芽生え始めていた。

(クールな橘先輩……。その完璧さの裏に、もしも“隙”があったら……どんな顔をするんだろう)







残業を終えて外に出ると、街はすでに夜の色に沈んでいた。オフィス街のビル群がまばゆいネオンを映し出す中、夏海は隣を歩く美咲をちらりと見上げる。


「先輩の家、初めてですね」

「……散らかってるから、期待しないで」

「えぇ〜、橘先輩が散らかしてるわけないじゃないですか。きっとモデルルームみたいなんだろうなぁ」


軽口を叩きながらついていくと、美咲のマンションはやはり整然とした雰囲気を漂わせていた。

部屋の中も想像通り、無駄な物のないシンプルな空間。白い壁、シックな家具。淡々とした美咲そのままの空気だった。


ソファに腰を下ろし、コンビニで買ったお惣菜をつつきながら、二人は仕事の話から恋愛の話へと流れていった。


「先輩、彼氏とかいないんですか?」

「……今はいない」

「ふーん。意外だなぁ。あんなに綺麗なのに」

「そんなことない」


淡々と答える美咲の横顔に、夏海は何かを探るような視線を送った。

沈黙が少し流れる。テレビはつけていない。小さな部屋に、氷のように静かな空気が漂った。


やがて夏海が、ぽつりと口を開く。

「私、ちょっと……変わってる趣味があるんですよ」

「趣味?」

「人には言えないような……。ちょっと“縛る”のが好きで」


美咲の指がわずかに止まった。グラスを持つ手に、かすかに力がこもる。


「……そう」

「ほら、先輩、今ちょっと反応しましたよね?」

「気のせい」


無表情のまま答える美咲。けれど夏海には、ほんの一瞬だけ彼女の瞳が揺れたのを見逃さなかった。


(やっぱり……先輩にも、何か隠してるものがある)


夏海の胸の奥に、いたずら心と好奇心が静かに膨らみ始めていた。








夏海の言葉が部屋に落ちてから、しばしの沈黙が続いた。

冷蔵庫のモーター音だけが低く響く。


美咲はグラスを手の中でゆっくり回しながら、視線を落としたまま言葉を探していた。

「……人には言えない趣味、か」

「はい。ちょっと恥ずかしいですけどね」

夏海が笑ってごまかすと、美咲は小さく息を吐いた。


「……私にも、そういうものがある」

「え?」

「普通じゃない。人に話したら、きっと引かれる」


夏海の瞳がきらりと光る。ソファに身を乗り出し、いたずらっぽい笑みを浮かべた。

「それ、聞いてみたいなぁ。先輩がどんなこと隠してるのか」


美咲は少しだけ目を伏せた。冷静な仮面が、ほんのわずか揺らぐ。

「……“縛られる”のが、好きなのかもしれない」


その一言を残すと、美咲はすぐに口を閉ざした。

あまりに率直で、あまりに脆い吐露。

普段の彼女からは想像できない告白だった。


夏海は一瞬ぽかんとしたあと、口元を押さえて笑みを噛み殺す。

「……やっぱりだ。なんか先輩、そういう顔してましたもん」

「……からかわないで」

「からかってませんよ。むしろ……すごく興味ある」


美咲は返す言葉を失った。胸の奥で、隠してきた秘密を見透かされた動揺が、静かに熱を帯びていた。








美咲がぽつりと吐いた言葉の余韻は、狭い部屋の空気をぴんと張りつめさせた。

夏海はわざと間を置き、くるくるとストローを指先でいじりながら、にやりと笑う。


「へぇ……。先輩って、そういうの好きなんですか」

「……別に、好きとかじゃない」

「でも、“かもしれない”って言いましたよね? それってもう、ほとんど認めてるじゃないですか」


美咲は返す言葉を探して視線を泳がせる。普段なら一刀両断できるはずなのに、今だけはうまく切り返せない。


夏海はわざと声をひそめて、囁くように続けた。

「橘先輩みたいにクールで完璧な人が……実は“縛られたい”なんて。誰も想像しませんよ」

「……言わないで」

「誰にも言いませんって。私と先輩だけの秘密、ですね」


夏海の瞳がきらりと輝いた。まるで新しいおもちゃを見つけた子どものような、いたずらな光。

美咲は小さく溜息をつき、グラスをテーブルに置いた。


「……桐谷さんは、人を“縛る”のが好きなんでしょう」

「うん、そうですね。正直、試してみたくてうずうずしてます」

「……軽い気持ちで口にするものじゃない」

「じゃあ、先輩は軽くないんですね?」


その一言に、美咲の肩がびくりと震えた。

夏海はその反応を逃さず、さらに距離を詰めるように身を寄せる。


「先輩……。なんか、ほんとに“試してみたい”って顔してます」

「……違う」

「ほんとかなぁ?」


夏海の明るい笑い声と、美咲の沈黙。

部屋の中に漂うのは、言葉にならない緊張と期待の入り混じった空気だった。









夏海はソファに身を預けながら、わざと無邪気な笑みを浮かべた。

「ねぇ先輩。……軽く、試してみませんか?」


美咲の目がゆっくりと夏海に向けられる。大人びた冷静さをまとった瞳が、一瞬だけ不安げに揺れた。


「……試す?」

「うん。そんな本格的なことじゃなくていいんです。ちょっと手首にリボン巻くとか……座布団に縛り付けるとか。遊びですよ、遊び」


軽口のように言いながら、夏海はテーブルの端に置いてあったヘアゴムを指先で弾いた。

カチン、と小さな音が響く。


美咲の喉が、かすかに上下した。

普段なら即座に否定するはずの彼女が、このときだけは言葉を失っていた。


「……」

夏海はいたずらっぽく首を傾げる。

「もしかして、嫌じゃないんですか?」


沈黙のあと、美咲は視線を伏せ、小さな声を落とした。

「……うん」


その一言には、冷たい仮面はもうなかった。

頬がうっすらと赤みを帯び、伏し目がちな表情は、普段のクールな先輩像とはまるで違う。まるで照れくささを隠せない少女のように。


夏海の胸に、喜びといたずら心がいっきに膨らむ。

「ふふっ、かわいい……。じゃあ、ちょっとだけですよ? 先輩」


美咲は小さく頷き、その仕草すら普段とのギャップで夏海をさらに魅了していた。








夏海は立ち上がり、美咲の部屋をきょろきょろと見回した。

「さて、何で縛りましょうかねぇ……あ、これなんてどうです?」


彼女が開いたクローゼットの中には、きちんと並べられたジャケットやシャツ。その横に、数本のネクタイが整然と吊るされていた。

夏海はそのうち一本を手に取り、にやりと笑う。


「仕事用のネクタイで、仕事終わりの先輩を縛っちゃう。なんかぴったりじゃないですか?」

「……やっぱりやめたほうが」

「だめです。さっき“うん”って言いましたよね?」


美咲の頬が再び赤くなる。普段ならあり得ない反応だ。

観念したように、彼女はソファの上で両手を前に差し出した。


「……前で、なら」

「はいはい、前でね。優しいでしょ、私」


夏海は笑いながら、美咲の手首にネクタイを巻き付けていく。布地がするりと滑り、肌に触れる感触が伝わるたび、美咲の肩が小さく震えた。

結び目をきゅっと締めると、両手はあっさりと固定される。


「わぁ……ほんとに動けない」

美咲が試しに手首をひねると、布がぴんと張り、逃げ場を失った感覚が彼女を包んだ。

「……思ったより、ちゃんと締まるのね」

「でしょ? ネクタイって、結構使えるんですよ」


夏海は楽しそうに観察するように覗き込み、口元を押さえてくすっと笑う。

「先輩……今、めちゃくちゃかわいい顔してます」

「……からかわないで」


冷静さを失った美咲の姿は、いつものクールな橘美咲とはまるで違う。

夏海の胸の奥に、ぞくりとした高揚が広がっていった。









ネクタイで前に縛られた美咲は、ぎこちなく指先を動かしてみた。布が滑らず、きゅっと手首を寄せ合ったまま解けない。

普段なら“人に見せない姿”を、後輩の前で晒している。

その事実が、胸の奥をざわつかせた。


「どうですか? 橘先輩」

夏海は片肘をソファにかけ、美咲の手首を指先でつつく。

「ほら、抜けませんよね?」

「……っ」


指でちょんと弾かれるたびに、逃げ場のない自分を思い知らされる。

美咲は唇を結んで目を逸らしたが、その耳まで赤く染まっていた。


「えー、先輩照れてます?」

「照れてない」

「うそ。顔真っ赤ですよ」


夏海が覗き込んでくる。距離が近い。ふだん冷静に保っているはずの呼吸が乱れていくのを、美咲は自分でも感じていた。


(どうして……。こんな後輩に、簡単に崩されてる……?)

(縛られてるだけなのに、どうしてこんなに落ち着かないの……?)


「先輩、いつものクールな顔はどこ行っちゃったんですか?」

夏海は笑いながら、縛られた手首をそっと持ち上げる。

「ほら、動けない橘先輩って……こんなにかわいいんですね」


「……やめて」

声にいつもの鋭さはなかった。小さく震えて、掠れていた。


夏海の胸は高鳴る。

美咲の心は揺れる。

その境界線が、今まさに崩れ始めていた。







ネクタイの結び目をほどきながら、夏海は楽しそうに微笑んだ。

「はい、これで自由の身ですよ、先輩」

解放されたはずの手首を胸の前で押さえ、美咲は小さく息をつく。赤い跡が残るほどではなかったが、そこには確かな感触が残っていた。


夏海はネクタイをひらひらと指にかけて、茶化すように言う。

「ふふっ……次はもっときつく縛っちゃいますからね」


からかう調子でありながら、その言葉はどこか甘い響きを残した。

美咲の胸がまた高鳴る。


やがて夏海は時計を見て、軽く肩をすくめた。

「わ、終電なくなっちゃう。そろそろ帰りますね」


すっと立ち上がり、荷物を手に取ろうとする夏海。

美咲はその袖を反射的に掴んでいた。


「……っ」

驚いた夏海が振り返る。

美咲の顔は、いつもの冷静さを完全に失って真っ赤に染まっていた。


「……まだ……帰らないで」


か細い声。

普段の橘美咲からは決して想像できない、必死で、子供のように素直な響き。


夏海は目を瞬かせ、やがて口元を緩めた。

「……先輩、そんな顔できるんだ」


その夜、二人の関係はもうただの“先輩と後輩”ではいられなくなっていた。





クールなOLさん、後輩に縄で縛られて【完結】


ーつづきはこちらー







会社では誰よりも冷静で頼られるクールな先輩・橘美咲。

しかし仕事終わり、自宅に招いた後輩・夏海の前で、隠してきた“秘密”が暴かれてしまう。

ネクタイから始まった軽い遊びは、やがて麻縄に変わり――スーツ姿のまま縛り上げられる美咲。

胸の上下、太もも、足首、腰、そして首まで。視界を奪われ、声も塞がれ、やがて完全に転がされてしまう。


職場では誰よりも輝く先輩が、後輩におもちゃのように弄ばれ、羞恥と快感の狭間で翻弄される……。

“クールな先輩OLが後輩の手で崩されていく”背徳の緊縛ストーリー。


本作のポイント


クールな先輩OL × 無邪気なおちゃめ後輩OL という関係性の逆転劇。


普段のかっこよさと、縄に囚われて無様にされるギャップ描写。


ネクタイ → 麻縄 → 胸上下拘束 → あぐら姿勢固定 → 首と足首の連動拘束、とステップアップしていく丁寧な緊縛描写。


猿轡(ハンカチ+テープ)の二重封じによるリアルな口塞ぎ表現。


見えない暗闇(目隠し)と煽り言葉で揺さぶられる心理描写。


最後は完全拘束されたまま放置され、羞恥と甘美さに酔う先輩の姿でフィニッシュ。


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