縛られたヒロイン、えびぞり全国中継【前半】
Added 2025-05-08 11:00:00 +0000 UTC・
無機質な電子音が、コンクリートの空間に冷たく響いていた。
「ピッ、ピッ、ピッ――」
薄暗い照明の中、照らされるのは赤と白のボディスーツに身を包んだ少女の姿。
その身体は、まるで獲物を縛り上げたかのように、全身をロープでがっちりと固定されていた。
「ん……んぐぅっ……!」
天城セイラ――変身名、ブレイザー・セイラ。
正義のヒロインとして幾度も戦場を駆け抜けてきた彼女が、今、
冷たい床に投げ出され、うつ伏せ気味の姿勢で身動き一つ取れない。
両手首は背中で交差され、複数のロープで食い込むほどきつく縛られていた。
その背の縄から、足首へとさらに伸びる一本のロープ――
それは、両脚をぴったりと揃えた足首の縄と結ばれ、セイラの身体を大きく反らせるように引っ張っていた。
「むぅぅ……っ、んむっ……んぐっ……!」
口には白い布を噛まされ、その上から銀色のテープが何重にも巻かれている。
言葉にならないくぐもったうめき声だけが、薄闇にかすかにこだました。
セイラの頬には汗が伝っていた。
息を吸おうとすれば胸を締めつける縄がきしみ、吐けば喉の奥から熱が上がる。
全身が、何かの儀式のように完璧に固定された“作品”のようだった。
「セイラっ、聞こえるか!? おい、応答しろ!」
通信機から、かすれたノイズ越しに仲間の声が届く。
耳元でマイクが微かに光るが、声が出せない。
「んぐっ……ふむぅ……!」
手を引こうにも背中側、足首のロープと繋がっているせいで、引けば引くほど自らの身体が無理にのけぞる形になり、
身体中の関節がじわりと軋む。
脚をばたつかせれば、背中のロープが引き戻す。
動けば動くほど、自分の肉体にしか跳ね返らない。
まるで、縛られた自分自身が自分の檻であるかのように。
――残り、10分。
中央モニターには、淡々とカウントダウンが続いている。
「ピッ……ピッ……」
(こんなところで……終われない……!)
セイラの瞳が、燃えるような闘志を宿す。
ぐっと息を吸い、縄が胸の上下を締めあげる感触に歯を食いしばり、
今度こそ、と本気で縄抜けに挑む――。
「ピッ……ピッ……残り時間、9分30秒」
冷たい電子音と共に、基地中央の爆弾装置が赤く光る。
それはこの施設、いや、この一帯の街全体を吹き飛ばすほどの威力を持つ“時限爆弾”。
そして、
その解除スイッチの目の前に倒れているのが――セイラだった。
「んぐっ……んぅぅううっ……!」
口元は白布に噛まされ、その上からぴったりと貼られたテープが、
言葉という言葉をすべて喉の奥に封じ込めていた。
吐息が鼻先から荒く漏れ、肩が小刻みに震えている。
両手首は背中で交差されて縛られ、さらにその縄は足首のロープと繋がっている。
ただでさえ手が使えないのに、動かそうとすれば足が引かれ、身体がのけぞるだけ。
それでも――
「ふっ……ふぅ……んぐっ……!」
全身の筋肉に力を込める。
床をぐっと蹴るようにして、体勢をずらし、縄が食い込む痛みを無視して、身体を捩じらせる。
だが、そのたびに足首から背中へと渡されたロープがピンと張り、引き戻される。
「んぅうう……ふむぅっ……んぐっうう!」
(あと少し……せめて手が、あと数十センチ届けば……!)
スイッチは、確かにすぐそこにある。
だが、身体は微動だにできず、声も出せず、助けも来ない。
スーツ越しに伝わるロープの締めつけは、動くたびにより強くなる。
胸の上下に食い込む縄が呼吸を制限し、汗が首筋を伝って滴り落ちていく。
「セイラ! 今どこだ!? もう少しでそっちに――!」
通信機から仲間の声が響く。
けれど、セイラの口から出るのはくぐもったうめき声だけ。
「んぅうっ……んんむぅぅ……っ!」
彼女は――自分自身の身体の中に閉じ込められていた。
誰にも伝えられない声、伸ばせない手、止めなければならないカウント。
「ピッ……ピッ……9分」
(……自分で、抜けるしか……ない……!)
セイラの瞳が決意に燃える。
その瞬間、
少女は、全身を縄で縛られたまま、たった一人の戦いに挑んだ。
「ピッ……ピッ……残り時間、8分32秒」
タイマーの音は冷酷に響き続けていた。
誰の感情も、痛みも、焦りも、考慮しない。
ただ淡々と、終わりの時へと時間を削り取っていく。
セイラは――呻きながら、身体をよじらせていた。
「ふむぅっ……んんんぅうう……っ!」
汗ばんだ太ももが、縄に擦れるたびにピクッと震える。
足首のロープをわずかでも緩めようと、膝を内側に向けて何度も力を入れるが、
背中から引かれている縄がそれを許さない。
動けば動くほど、のけぞる体勢を強要される。
まるで、動こうとする意志を“責め”として返されているかのようだった。
(こんな……こんな体勢じゃ……っ)
首を横に振り、うつ伏せになった顔を、床からほんの数センチだけ持ち上げる。
赤と白のボディスーツの上から、濃密に縛られた縄が、汗に濡れてキラリと光っていた。
口にはめ込まれた白い布が、奥歯にまで食い込んでいる。
その上から巻かれたテープが、動くたびに頬を引きつらせる。
うめき声を押し出すたびに、テープの内側がわずかに熱を帯びていくのが自分でもわかる。
「んぐっ……ふぐっ……ふぅーっ……んぅ……っ!」
呼吸が整わない。
縄に締め上げられた胸が、肺の膨らみを許さない。
一度深く息を吸おうとするたびに、胸の上下のロープが、皮膚の上に細く沈む。
(時間は……まだある……まだ……)
目線を上げると、解除スイッチの赤いランプが視界に入る。
あと数十センチ。
だがそのわずかな距離が、まるで永遠にも思える。
セイラは肩を震わせ、首を左右に大きく振った。
テープ越しに唾がこぼれ、頬に一筋の汗が伝う。
全身を縄に沈められ、声を奪われ、床に押しつけられながら、
それでも彼女は――“正義のヒロイン”であろうとした。
「むぅううぅ……! んっんんっ……っ!」
膝を滑らせ、腰を捻り、片肩を抜こうと暴れる。
床に擦れるスーツの音と、縄がきしむ音が、無機質な空間に響いた。
(絶対に……負けない……!)
「残り時間、8分」
「ピッ……ピッ……残り時間、7分30秒」
赤く光るタイマーのカウントに合わせて、
天城セイラの体内時計までもが、心臓の鼓動に追いつかれそうなほど加速していく。
「セイラ!? 聞こえるか!? そっちは今どうなってる!? どこに捕えられてる!?」
通信機から仲間の叫び声が飛び込んでくる。
だが、返事はできない。
セイラの口は、白布を噛まされたまま、テープで何重にも封じられている。
少しでも口を動かすと、布が舌を圧迫し、唾液が漏れて頬に伝う。
彼女は必死に、声を出そうとする。
「んぐっ……んぅうっ……! ふむぅっ……!」
喉の奥から絞り出すようなうめき声が、マイクへと届く。
だが、通信の向こうでは混乱が走る。
「セイラ!? 今の声……!? くそっ、どこだ!応答してくれ!」
言葉にならない。
伝えたいことがあるのに、伝えられない。
セイラは縄に沈む身体を捻って、必死に這い寄ろうとする。
だが、背中から足首へと渡された縄が、のけぞるように全身を引っ張り返す。
「むぅぅぅぅううっ……!んんんぐっ……っ!」
叫びたい。
「ここにいる」
「手が届きそう」
「でも届かない」
そのすべてが、うめき声にしかならない。
声が漏れるたびに、胸の縄が上下して締まり、呼吸が乱れていく。
「セイラ!お願いだ、何かサインを送ってくれ!」
(してる……今もしてる……でも……届かない……!)
うつ伏せの体勢から、セイラは無理やり膝を曲げ、片肩を浮かせて身体をひねった。
ロープが音を立てて軋み、スーツが肌に食い込む。
「んぐっ、ぅんぅううっっ……っ!」
足をじたばたと震わせ、背中のロープを擦り上げながら、少しずつ身体をねじっていく。
爆弾の解除スイッチまでは――あと数十センチ。
目の前にあるのに、近づけない。
彼女を縛っているのは、ロープだけじゃなかった。
声を出せないもどかしさと、責任の重圧と、時間の恐怖。
「残り時間、7分」
目の奥が熱くなる。
それでも――天城セイラは、正義のヒロインとして、自分の手でこの危機を止めるため、
叫べない喉と、動かない身体で、“もがき”を続ける。
「ピッ……ピッ……残り時間、6分38秒」
床に押しつけられたボディが、今まさにうねるように動き出す。
天城セイラは、うつ伏せの姿勢から仰向けになろうと、全身で暴れていた。
「んぐっ……ふむぅうっ……! んぅっ、んぐぅうううっっ……!」
肩を振り、腰を捻り、膝を横へ倒しては跳ね返される。
背中と足首を繋ぐ縄が、まるで命を持ったかのように、彼女を仰け反らせたまま固定し続けていた。
それでも、セイラはやめなかった。
「ふぐっ……! んんぅううっ、んむっ……ふ、ふむぅぅぅっ!」
スーツ越しに汗が浮かび、ロープに湿り気が滲む。
胸の上下の縄が呼吸のたびに上下に動き、ぎちぎちと音を立てて彼女の身体を締め続ける。
片側の肩が床から浮いた。
それをきっかけに、セイラは自分の背中で床を擦りながら、身体全体をゆっくりと転がそうとする。
「んぉぉおおおっっ! んぐぐぐぅううっっ!」
顔を横に振り、腿に力を込め、脚を無理にねじるようにして反転をかける。
だが、背中のロープと足首の連結が彼女の腹を反らせ、のけぞった姿勢のまま中途半端に仰向けに近づいていく。
「ふむぅううっ……! ぅんぐっ、んんっ、んああぁあ……っ!」
息が荒い。
首筋が汗で濡れている。
吐息は鼻先から逃げ、喉の奥でくぐもった喘ぎが漏れ、
ロープが全身に擦れながら、ほんの少しずつ彼女の体勢が変わっていく。
「ぅぐっ……ふっ……ふむっ! ふ、ふんぅぅぅぅ……っ!」
ついに――
セイラは仰向けに近い状態で、半ば反ったままの不自然な姿勢に転がされた。
背中の縄と足首の結びがきつすぎて、腰が浮いたまま、背筋が苦しげに曲がっている。
それでも、うつ伏せで床に押しつけられていたときよりは、スイッチに視線が届いた。
「んぁああっ……! んぐっ、むぐぐううっ……っ!」
口の中の布が、絶え間ないもがきと吐息で湿っていく。
鼻からも荒い呼吸が吹き出し、額にはにじんだ汗が光っていた。
だが、仰向けになっても、縄は解けていない。
身体は依然として、自分の動きに応じて抵抗するように締まり、
彼女の自由を、残酷なまでに奪い続けていた。
それでも、彼女は諦めない。
たとえこの身体が縛られて沈黙の檻と化していても――
天城セイラは、正義のヒロインなのだから。
「ピッ……ピッ……残り時間、5分」
ついに、天城セイラの手が――いや、縄で縛られた両腕の“感覚”が、スイッチの距離を捉えた。
仰向けにのけぞった不自然な体勢のまま、
腰を振り、肩をすべらせ、ロープで繋がれた身体を一塊にして床を這いつくばるように前へ前へと進んできたのだ。
胸の上下を締めつける縄が呼吸を妨げ、
足首から背中へと伸びるロープが、常にセイラの身体を引き戻そうとする。
それでも――彼女は進んだ。
「ふっ……ぐぅっ……んむっ……ふぅーっ……!」
鼻から漏れる荒い呼吸。
うめき声は布とテープに遮られ、こもった吐息が頬を濡らす。
スイッチは、目の前にある。
だが――届かない。
「ぅんっ……ぅうっ……ふむぅぅっ……!」
手首は後ろ。
背中で重ねられた両腕は、太く重なったロープにより一切の可動を許さない。
身体を揺すっても、胸の縄がきしむ音が返ってくるばかり。
足を蹴ろうとすれば、背中の縄が容赦なく引き返し、仰向けのままのけぞり、息が詰まる。
「んむぅぅぅっっ!! んんんんぐっ……ふぐぅううぅっ!!」
セイラは、暴れた。
身体を反らせ、ねじり、膝を擦りつけ、床に背中を打ち付けるようにして全力でもがく。
スーツの下の肌にロープが沈み、擦れ、軋む。
縄はまるで意志を持っているかのように、動くたびに締まり、
彼女のもがきをすべて“罰”として返すようだった。
「ふむぅ……んんんぅううっ!! んぐっっ! ふぁ……ふぁむぅうぅっ……!」
肩を振り、腰を跳ねさせ、足首をばたつかせる。
背中の縄が音を立てて引かれ、腕に食い込んでいく。
それでも――止めなかった。
「ふぐっっ! んんんんんんっっ!! むぅううぅうっ!!」
“届かない”という絶望が、セイラの中で“届かせたい”という怒りに変わっていた。
目を閉じ、鼻から鋭く息を吸い、
背中を反らせて、もう一度――いや、最後の力を込めて縄を抜こうと全身で暴れる。
「むぅぅぅううううっ!!」
縄がきしむ。
床が震える。
通信機から誰かが叫んでいる。
だが、今のセイラには聞こえていなかった。
彼女の世界には、もはや“縛られた身体”と、“どうしても届かない解除スイッチ”だけしか存在しなかった。
「ピッ……ピッ……残り時間、3分」
息が上がり、喉が焼けつくようだった。
背中を反らせ、仰向けになったまま、全身にロープを巻きつけられたセイラは、
なおも指先一歩届かぬスイッチの前でもがき続けていた。
「んんんぅぅっ……! ふむっ……ぐぅっ……!」
うめき声はすべて布とテープに吸い込まれ、苦しげな吐息だけが鼻先から漏れていた。
目の前にあるのに届かないスイッチ。
伸ばせない腕。
縛られたままの脚。
それでも、彼女はあきらめなかった。
のけぞるほど身体を振り、肩を跳ねさせ、太ももを震わせて必死に暴れる。
そのときだった。
「……っ、なに、ここ……?」
――扉の隙間から、小さな声がこぼれた。
セイラの目が驚きに揺れる。
床をすべる視界の中に、少女がひとり立ち尽くしていた。
学生服。小柄。リュックを背負っている。
道に迷ったのか、爆発を警戒して避難しようとして紛れ込んだのか――
とにかく彼女は、一般人だった。
「……ひ、ひと……!? あの、あなた……大丈夫……!? な、縄……えっ……!?」
目を見開く少女。
彼女の視線がセイラの全身を見て、驚愕と困惑が入り混じった表情になる。
その顔に、希望が差した。
セイラの目も、細かく震えながら少女を見つめていた。
「んっ……っ、ふぅっ! んぅううっっ!!」
(お願い、来て――! スイッチを……!)
少女は半歩近づき、戸惑いながらもスイッチに視線を向ける。
「これを押せば……助けられるの……?」
その手が伸びようとした――その瞬間だった。
「ええ、助けてあげられるわよ」
艶やかな声が、背後から響いた。
「だけど残念、あなた自身も“その女性と同じ姿”になるわ」
少女が振り返る。
そこには、闇色の衣装をまとった敵幹部の女――カリス・ノクターンが立っていた。
手には、艶やかで硬質なロープ。
唇に笑みを浮かべたまま、まっすぐ少女を見下ろしている。
「な……や、やだ……っ!」
逃げようとする少女。
だが、カリスは一瞬でその手首を取り、滑らかな動きでロープを滑り込ませる。
「っきゃあああっ!?」
くるくると巻かれる腕、揃えられる足。
悲鳴と共に、少女はみるみるうちにセイラとまったく同じ拘束姿勢にされていく。
背中で手首を交差、胸に縄が上下から食い込み、
太もも、膝、足首を固定され、最後に――
足首のロープが背中の縄に引き寄せられた。
少女の身体が、苦しげに反った。
「やぁっ……いや、やだ……っ! 動けないっ……!」
「ふふ……かわいい声。ヒロインとおそろいね」
その姿を、仰向けにのけぞったままのセイラが見ていた。
「んんんぅううっっっ!!!」
足をばたつかせ、肩を振り、布越しのうめき声をぶつけるようにぶちまける。
(どうして……彼女まで……!)
「残り時間、2分30秒」
タイマーは残酷に、すべての行動を嘲笑うように進んでいた。
「ピッ……ピッ……残り時間、2分」
床に並べられた、ふたつの身体。
ひとつは、赤と白のボディスーツに身を包んだ正義のヒロイン、ブレイザー・セイラ。
もうひとつは、偶然巻き込まれた小柄な一般の少女。
どちらも――背中で手首を縛られ、足首のロープを背中の縄に引き寄せられて、仰向けにのけぞったまま。
「んんんっ……! ふぐぅううっ……!」
「ぅうっ、んぅぅ……っっ……!」
くぐもったうめき声が重なる。
口には白い布が詰め込まれ、その上からテープで封じられている。
言葉は出せない。
だが、目は――見ていた。
セイラの視線と、少女の視線がぶつかる。
怯えた瞳と、決意を秘めた瞳。
しかし、ふたりとも同じように汗に濡れ、縄に沈み、床の冷たさに晒されていた。
「むぅぅっ……んんんっ……っ!」
セイラが足をばたつかせる。
ロープがピンと張り、肩が反る。
スーツが擦れ、背中がぎしりと床をこする音が響く。
少女も、それに気づいて身体を揺らす。
「んぐっ……ぅぐっ……ふむぅううっ……!」
膝を震わせ、腰を捻り、何度も縄が軋んで音を立てる。
並んで転がされたふたりの身体が、互いに鼓舞するように縄の中でもがき始めた。
「ふむぅぅうっっ! んぉおぉおおっ……!」
「んんっ、んんんんっっ……ぅぅう……!」
顔を横に向け、目を細め、
唾液で濡れたテープの内側からくぐもる吐息を響かせる。
縄の束が動きに応じて僅かにずれるたび、締めつけは増し、
それでも、ふたりはやめなかった。
“このまま終わらせない”――その意思だけが、縄を食いちぎらんばかりに暴れていた。
「ピッ……ピッ……残り時間、1分30秒」
カリス・ノクターンはそんなふたりを、
腕を組み、まるで観客のように眺めていた。
「いいわ、もっと暴れて。せっかく並べてあげたんですもの。
二人そろって、最期の一秒まで……美しく、苦しんで」
言葉は届かない。
だが、ヒロインと少女の身体は、縛られてなお、最期のあがきの拍子を刻み続けていた。
「ピッ……ピッ……残り時間、1分」
カウント音が、まるで刃物のように空間を刻む。
その音に合わせるように――
床に倒れたふたりの少女の身体が、縛られたまま激しく転がり始めた。
「ふむっ……っ! んぅぅぅぅっっ……!」
「んんっ、ふぐっ、ぅんぅうううっっ……!」
全身をロープに締め上げられたまま、
セイラと少女は、仰向けの姿勢のまま背中を支点に、転がりながら必死に前へと進もうとしていた。
のけぞる身体。背中から引っ張られる足。
何度も反動に戻されながら、それでも進む。
「んぉおぉおぉっっ!! むぐぐぅぅぅ……っっ!!」
セイラの顔が歪む。
汗が髪に貼りつき、唾液が唇の端から流れる。
それでも、視線は真っ直ぐ前へ――解除スイッチを見据えたまま。
少女の身体が横に弾む。
彼女もまた、ロープが擦れ、衣服がずれ、
恐怖と焦りと羞恥に塗れながら、ただただ、生き延びようとしていた。
「んんんっっ! ふぅぅうううっっっ!!」
「ふぐっ! ぅんんっ! んぉっ……んむぅうぅっ!!」
2人のうめきが重なり合う。
縛られた身体が、床の上を跳ねるように転がり、
ロープの軋みと、スーツと肌が擦れる音が、部屋の空気に熱を与える。
あと少し――
ほんの、ほんの少しで、解除スイッチの足元に届く。
「ピッ……残り時間、1分」
女幹部カリスが、薄く笑う。
「さあ――残りはたったの60秒。
その拘束の中で、どれだけ“もがいて”見せてくれるかしら?」
ふたりは、その声を聞いていない。
聞こえていたとしても、もう何も応えられない。
縄の中でもがくことが、唯一の“言葉”だった。
目と目が、また交わる。
汗まみれで、涙をにじませたふたりの視線が、
“まだ終わってない”と、確かにそう言っていた。
そして再び、彼女たちは縄を揺らし、体をくねらせ――
最後の希望を、縛られたまま、掴みに行こうとする。
つづき(BOOTH)
つづき(DLsite)
つづき(ファンザ)
全身、がんじがらめ。
手首、足首、胸、太もも――すべてをロープで封じられたまま、仰向けにのけぞるように縛られたヒロイン。
動けない。
声も出せない。
だが、中継は止まらない――。
正義のヒロイン・セイラは、謎の敵によって全身を拘束されたまま“全国生中継”されるという屈辱を味わう。
足首の縄は背中のロープに繋がれ、身体はエビのようにそりかえったまま晒され続ける。
無様にもがく姿、くぐもったうめき声、滴る汗と涙。
これは、ただの“敗北”ではない。
完全な拘束の中で晒される、終わらない恥辱の記録。
正義は、縄の中で、声も出せずに嗤われる