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目が覚めたら絵本の中にいた。そうとでも言わない限りこの不思議な現象を説明できない。
見渡す限り一面の草原、心地よい風が吹いている。空に昇る2つの太陽はあたりの草花をキラキラと照らしていた。
「ついさっきまで保健室で寝てたはずなのに..........」
都会育ちの私、愛(あい)は学校をサボるために仮病を使ってベッドの上ですやすやと眠っていたのだ。
呆然と立ち尽くす私はどうしたものかと考えた末に、とりあえず歩き始めた。
出会いは突然に
私の目の前に現れたのは『ウサギ』であった。真っ白な毛に丸い尻尾、長い耳が特徴のあの『ウサギ』である。
すばしっこく走る彼女は確かにこう言った。
「遅刻しそうです〜!裁判に遅れてしまいます!」
「しゃべった!!?」
「わわ!貴女は誰ですか!」
「私は..........愛、人間よ」
「あたしは時計ウサギ.......愛......とにかく気を付けてください!時間がないのでこれにて失礼!」
そそくさと去ってしまったウサギの後ろ姿を見るに相当急いでいるようであった。
丘の上まで登ってくると視界がぱっと開け、眼下にはファンタジーな模様の街が広がっていた。
「えと.........どうしよう.......」
一歩進むたびに現実から離れていくような気がして脚が止まった。
その時
「愛、待っていたよ」
「うひゃああ!?」
突然後ろから話しかけてくる女の人に私はびっくりして倒れた。
「何を驚いているんだい。愛、キミは魔女の茶会に招待されたんだ。これは光栄なことなんだよ。素質のあるものしか参加できないのだから」
「いやいやちょっと待って!」
私は両手を振って女の人を静止する。
「魔女?茶会?興味ないから!」
「キミは魔女になる才能がある。しかも特級クラスのね」
「興味ないって言ってんじゃん!」
「もしかしてこのまま帰ろうって気かい?」
「そう!私はツダノキ高の保健室に帰るよ」
「それは無理な話だよ」
「どうして?」
「この世界を知ってしまった者が元の世界に戻ることは許されていないんだ」
女の人はどこから取り出したのか、慣れた手つきでトランプをシャッフルし始めた。そして一枚『シュッ』と私の元に突き刺すように投げた。
投げ捨てられたスペードの3♠️は『よっこいしょ』と立ち上がると女の人に向かって喋った。
「魔女様、ご命令を」
「この娘が帰還するのを阻止しなさい」
「っ!!」
つづき
