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次の朝はベッドの上で目が覚めた。
「んーーーーー...........あれ?」
全部夢でしたなんて優しいオチはなく。
「お目覚めかい?」
「あ、おはよう」
昨日の出来事を思い出すと恥ずかしくなって声がうわずっていた。
「おはよう?呑気な挨拶だね」
「どういうこと?」
「身体をみてみなよ」
彼女に言われて自分の身体を観察してみると
「!?」
まず驚いたのは全裸だったこと。
次に驚いたのは...........両腕を背後で縛られていた事だ。
「まだ縛られてんの!?いい加減解いてよ!」
「それは私じゃない」
彼女の返事は淡々としていた。
「私はずっと起きてたからわかる。里奈の両腕を縛ったのは例の"縄"だ」
「例のって........1週間私が悩まされてる...........」
「そう、どうやらその縄は里奈が寝ている間にチャンスとばかりに動き出すようだ」
「なんとなく分かってた事だけど、どうすれば.........」
「歩けさえすれば両腕が使えなくても今日決行する"儀式"にはあまり影響はないよ。それよりも問題は下の方の縄じゃない?」
「下の方?」
下って、別に脚は縛られてない。
「バランスは取りづらいけど歩けると思うよ」
「そう?立ち上がってみて」
言われてベッドから身体を起こした瞬間
「ゔっ.......」
股間に刺激が走った。
それでやっとぼやけていた目が覚めた。
「分かったかい?その縄は里奈の弱いトコ、股の間をも縛ってるんだよ」
「あ......あぁ...........歩けない........」
声がふにゃふにゃになって脚にも力が入らなかった。
今までのように縄はパーカーを羽織ることで隠した。
だが........
まさか下半身にまで縄が進んでくるとは思っていなかったので下はスカートという心もとない格好である。
(短パンでも持ってくればよかった.....)
ちなみにノーブラである。
縄のおかげで(?)胸が垂れてくる事がないのだ。
「里奈............思ったより重い」
「ごめん」
彼女におんぶされて運ばれている。
「どこまで登るの?」
「海が見えるトコまで」
私達は立ち入り禁止の天守閣を目指していた。
この観光地のお城跡にはタクシーでやって来た。
班の皆んなに別行動する旨を伝えると『彼氏〜?』と茶化されたが、まさか本当の事を言うわけにもいかず、適当に肯定しておいた。
まぁ
そんなこんなで私は彼女を頼り"儀式"とやらを開始する場所を目指しているのだ。
「海って.........なんで?」
「上に着いたら教えるよ」
女の子とはいえ人ひとりおぶって階段をのぼる彼女に、今説明させる方が酷だろう。
20分後
「里奈のいう"亀の甲羅みたいな模様"ってのは合ってる。それは亀甲縛りと呼ばれるものだ」
見晴らしのいい場所だが、海から吹く風が強い。
「なぜ里奈がターゲットになったのか、そもそもどうして縄が勝手に動くのか、なにも分からない」
「うん」
「唯一参考になる文献は、かつて世界を支配したアルテミスの神話くらいかな」
「あの生きる縄の話?」
「そう」
「おとぎ話じゃん」
「......」
少しの間沈黙が流れる。
「で、儀式ってのは?」
「単純だよ、ここから海まで歩くんだ」
「は?」
意味がわからなかった。
「携帯はもちろん地図もなにも見ずに、海の音と潮の香り、直感、なんでもいいから自分で海まで歩くんだ」
「それ、儀式ってほどの事なの。簡単じゃん」
「里奈、股の間縛られてるの忘れてない?」
「あ」
彼女は少し怒っていた。
ずっとおんぶされてたから忘れていた。
今の自分は歩けない。
「無理無理まじ無理」
「でもやるんだよ」
「イク、5分で絶対イク」
「.........こんな事もあろうかと昨日、慣らしておいたんだよ」
「そっちの方が楽しんでなかった?」
少しの間の沈黙
「そもそも本当に効果あるの?」
海まで歩くなんて単純な儀式に疑問を持った。
すると彼女は説明した。
「里奈を縛る縄は亀の甲羅の模様を描いている。皆んなには秘密にして欲しいけど私はSMの知識があるから一目見てそれが亀甲縛りだと分かった。そう、亀。里奈は亀に襲われた」
彼女は少し息継ぎして言った。
「還すんだよ"亀"を、海にね」
「は............やぁ..........ん........」
膝が『ガクガク』として極端に内股になってしまう。
かすかに潮の香りのする方角へノロノロと進む。
「こっちの方向で........合ってる.....?」
「それは教えられない。儀式の効果が薄れちゃうから」
「ぅぅ.........」
後手に縛られている上、脚が震えてしまいバランスを取るのがやっとだった。
そこにとどめを刺すように股を縛られているのだから、よろける度に『キュッ』と食い込んでくる。
「あ.........またイッた.........」
「気にしないで」
「そんな事いっても........垂れてきて...........あっ......」
今はまだパンティが食い止めているが、いつ限界を迎えてスカートの間から垂れてくるか分からない。
大勢の人目がある。
観光地の近くだから当たり前だが。
「ダメ.........耐えられない..........」
一段と縄の締め付けが強くなった気がした。
私はその場にしゃがみ込むと、小刻みに震える身体を休めた。
「...里奈!?」
彼女がギョッとするように声を上げた。
「休ませてぇ.......」
「そうじゃなくて首!」
「へぇ?」
股に意識が集中していて気が付かなかった。
縄は私の身体を這ってついに首にまで巻き付いていたのだ。
「うぐっ..........苦し..........」
しゃがみ込んだ結果縄が引っ張られて首が締め付けられたと思った私はすかさず立ちあがった。
「.....っ!」
今度は股間の縄が締まる。
「ど.........どうなってるの?」
ついに座ると言う動作も封じられてしまった。
「思ったより進みが早い、急がないとーーーーーーー」
「Japanese?」
明らかに挙動不審な動きをしていた私達に声をかける者がいた。
軍服を着た大柄な男。
「come on」
急に腕を引っ張られて車に連れ込まれる。
「待って!今その子は大切な儀式中で..........あぁっっ!!誰か............むぅうううう!」
小柄な女2人(しかも片方は緊縛済)では大した抵抗は出来なかった。
私達はさらわれた理由すら分からずにカビ臭い倉庫に連れてこられた。
2人とも赤いロープで拘束されてしまった。
「解け!......その子は命が危ないんだ!」
「嘘が下手な娘だ」
「嘘なんかじゃ........ああっっ!」
縛られながらも抵抗を試みる彼女にはきつい緊縛が待っていた。
胡座をかかされて首を足首に繋げられ、猫背になった厳しい姿勢を強いられる事になってしまった。
彼女は英語が話せた。
なんとなくだが私にも内容は伝わってくる。
「こんな事して何が目的なんだよ!」
「それはお前のクズ親に聞くんだな」
「........!?」
会話が止まった。
「忘れもしない、俺の妻はお前の親にーーーーー」
「..........人違い........」
「その顔は誤魔化せない、それに俺の感性が言っている。お前はあいつの娘だと」
「分かったよ!私はどうなってもいい。だけどその子は関係ないだろ!」
「大切なんだな、俺も大切な人をなくした」
私は成り行きを見ている事しか出来なかった。
「はやく解かなきゃいけないのに.........閂までしっかりされて.......」
彼女は胡座のまま暴れていた。
腕や太ももの可動域は極端に狭くなっていて窮屈そうだ。
おまけに首をクロスさせた足首に繋がれているのだ。
その縄は本当に短い。
「いったぁああ!」
彼女が悲鳴にも似た声を上げる。
そばにいる私には彼女の関節のどこかが軋む音が聞こえた気がした。
「うっ......ぐっ........!」
「ねぇ」
「?」
「ご両親って...........」
聞かずにはいられなかった。
完全に聞き取れたわけではない。
しかし、彼女の親があの軍人に恨まれているという事くらいは察した。
「私の親はクズ野郎なんだ」
身体を揺すり、縄抜けを試みながら彼女は話し始めた。
"
私の親は2人とも詐欺師だ。
平気で弱った善人を騙す最低な奴だ。
この世には科学で解明されていないオカルトや怪奇現象ってのがわんさかある。
中途半端に知識があった親はそれを利用して悪事を働き始めた。
数え切れないくらいの善人を騙した。
あの軍人も何かしらの形で被害に遭ったんだろう。
恨まれて当然だ。
"
「でもあなたは....」
「だからーーー」
私の言葉を遮って彼女は言った。
「だから私の手で治したい。その身体に起きている"怪奇現象"を私の力で。それが私の願いと同時に両親への復讐なんだ」
「あっ.......」
いつの間にか私の足首を縛っていた赤いロープを彼女は解いてくれた。
あの軍人に縛られた場所だ。
相変わらず手首や身体は"縄"に巻き付かれているのだが.........
「海まで逃げて!」
「でも」
「私の縄を解いていたら間に合わない!」
「っ!」
「その首の縄が完全に締まる前に.......」
「わかった。絶対助けに戻るから」
倉庫の外に出た瞬間、私の鼻は潮の香りをとらえた。
幸いな事に海は近い。
だが、
あの天守閣からここまでは”車”で連れてこられた。
自分の足で歩くことが儀式の条件だった。
それを破った私はペナルティを負うと彼女は言っていた。
(どんな罰があるのか………)
「はぁはぁ………」
こんな時なのに性感帯はしっかりと役目をこなし私に快楽を与えて来る。
「ふゔ.........ふぁ.....」
歩くたびに縄が擦れて.........
奮闘すること15分
「見えた!あと少し……………うふーーー!?」
首に巻きついている縄がきつくなった。
いや、首だけじゃない。
身体に巻きつく縄の全てが縮んで圧迫して来たのだ。
縄は進行を続けている。
「くふっ……」
海を目前にして私は足を止めてしまった。
「ふぅ……ふっ……」
「いやぁああああああああ!」
「里奈ぁあああ!はやくぅううううう!」
藻搔いても藻搔いても、ロープは解けなかった。
それどころか胡座縛りでは倉庫から出ることすら出来ない。
秒針は刻一刻と進んでいる。
里奈を逃した自分の行動は当然の如く軍人の逆鱗に触れた。
彼は私の服をビリビリに破き、散々弄んだ後に軍事訓練用の爆弾を用意するとタイマーを30分にセットして去ってしまった。
「いやだぁああああああ!」
焦れば焦るほど縄抜けは上手くいかないと、分かっているはずなのにこの状況で理性を保つのは...........
「んぐぅあああああああああ!」
またイッてしまった。
股の間の3箇所を同時に責めるバイブが突っ込まれている。
既に私の周りには水溜りができていた。
「あむ.........あむぅ.........」
す、進めない.......
私は砂浜を芋虫のように這っていた。
少し前に縄が脚に絡みついて来て私を転ばせた。
あれよあれよと足首を揃えた縄は次に私の口を狙った。
『あっ』と驚いた隙に歯の間に滑り込んできて口を割るように巻き付いてきた。
両手両脚を縛られてしまった私に抵抗の余地はなかった。
「はむぅうううう!」
縄は『ギチギチ』と強く鳴った。
まるで意思を持って私の儀式を妨害しているようだった。
(こ、これが......ペナルティ.......?)
「んんんんんんんんんん!?」
身体を捩って海に向かう私をなんとか止めようと、縄は足首をぐっと上に持ち上げた。
「んぐぅううう!むぅうううう!」
砂まみれになりながら脚をブンブンと振った。
しかし、縄はその足を折り畳んで太ももと一つにしてしまった。
「むぅううううううううう!?」
これで這いつくばるのも難しくなってしまった。
「んんんんんんんんんん!!」
パニックになった私はめちゃくちゃに暴れた。
縄を引きちぎろうと必死に藻搔いた。
「んんんんん............」
その結果、体内の酸素がどんどん無くなって
「かふっ...........」
とどめに首を絞められて私は気を失った。
「もう..........ダメ..........」
身体を痙攣させながら最後の時を待った。
あと2分でこの緊縛を解除するのは不可能だ。
「あっ.........んぁっ.......」
仰向けに倒れてしまった私はそのまま起き上がる事も出来ずに何度も何度も絶頂を迎えた。
「もうイキたくないのに......」
丸出しの秘部を隠す事も叶わず、バイブの振動に縛られた身体をくねらせ続けた。
恐怖と快感がごちゃ混ぜになった脳は私を『とろん』とさせた。
「く...........んぁ.............」
次の波が来るのが先か、爆弾のタイマーが先か。
どちらでもいいかと目を閉じた。
ーーーーーーーーーー
すごく気持ちがいい。
とても懐かしい開放感だった。
私は夢から覚めるように目を開けた。
あまりの出来事に身体も心もついて来なかった。
目を疑った。
『スルスル』と
身体から"縄"が解けていったのだ。
「えっ.......」
縄は海を泳いでいった。
次の獲物を探しに行ったように見えた。
海までたどり着いた記憶はない。
儀式は........失敗したはずだった。
なのに私は海に浸かっていた。
どういうことか助かった。
「里奈」
「っ!?」
彼女の声を耳にした私は反射的に振り向いた。
「ありがとう」
次から次へと起こる予測不能な出来事はまさに怪奇現象と思えた。
海から吹く風は気持ちがいい。
久しぶりに手に入れた自由な身体も合わせて開放的な気分になった。
「里奈のおかげだよ。儀式の途中で助けを呼んでくれてたなんて」
「交番に携帯投げ入れただけだよ」
「それでもあの倉庫の位置を記録していた」
「まあね.......」
少しの沈黙
「そういえば私、縄に捕まって海まで行けなかったんだけど..........なんで助かったの?」
「ん、私が着いた時には里奈は海に浸かってた」
「どういうことだろう.........」
「里奈の頑張る姿を見て海は味方をしたんだよ」
「またオカルトや怪奇現象の類!?さすがに騙されないよ!」
「潮が満ちたんだろう..........」
それは科学で解明されていることだった。
〜終〜