NokiMo
ぷよ
ぷよ

fanbox


謎の球体【SP】

.



初めは襲撃されているという感覚すらなかった。

"それ"が生物なのか動物なのか、知能があるのかないのか。

敵の情報は何もない。

言ってしまえば"それ"が敵であるかどうかすら分からなかった。







【はじまり】


風香(ふうか)は一般的な女の子だった。

華奢な体に控えめな胸部。

平均的な女子高生よりも"小さい"と言えばそれが特徴になる。


そんな普通の彼女を襲ったのは。


黒い.........球体だった。



「はぁ〜疲れた〜〜」

時刻は13時。

トイレに向かった風香は背後から近づく球体に気付かなかった。

「ん、最近太ってきたかなぁ」

球体はゆっくりと忍び寄り

『ブニュ!』

「だれ!?........え......は.......!?」

考える暇もなく拘束されてしまった彼女はようやく自分のピンチに気付くとやっと次のアクションを起こした。

「きゃあああああ!」

風香は悲鳴をあげた。

「だ、誰か........!」

首から下まで風香をすっぽりと覆った球体はそれ自体に相当な重さがある様で彼女はその場から動けなくなってしまった。

「助け......んむむむむ!」

口の中に入り込んで来た別の球体が風香の口を塞ぐ。

「むぅううううう!」

生憎近くには誰もいない。

拘束されてしまった風香は助けを求めて呻き声を上げ続けた。



こうしてP女学園の女生徒たちと謎の球体との戦いは始まった。







【武装集団】


「うむむむむ!」

「んむーーーーっ!」

「んふーーーーっ!」


「こちら2階廊下、確認できるだけで3名拘束されてます」

『3階もダメ、脱出経路を探して何としてでも離脱して』

「了解」


P女学園の生徒は半数が球体に捕まってしまった。

外部との連絡手段はなぜか断たれている。

しかし、そんな状況の中でも私たちは戦い続けた。

何を隠そうこの学園の生徒はライフルで武装しているのだ。

制服などの動きにくい着衣は廃止され機動性重視の体操着が推奨されている。

そんな私たちにとって侵入者は決して怖い存在ではない。

しかし、相手は人でなく球体だ。

日頃の訓練が通用する相手だったら既に私たちはこの戦いに勝利している事だろう。


「むぅううう!」

私は身を隠しながら拘束された3人を観察する。

球体の大きさはゴルフボールくらいの小さなものからバランスボールくらいの巨大なものまで大小様々。

小さいのは彼女たちの口の中に収まって声を封じている。

また、大きいものはその動きこそ遅いものの捕まれば一瞬で拘束されてしまう。


圧倒的に情報が不足していた。

弱点は?

意思はあるの?

何が狙い?

考えを巡らせていたその時

『こちら職員室、ダメです教師は全員.........きゃああああああ!』

「ミコ、どうしたの返事をして!」

『んむむむむむ......』

しばらくの無音の後、トランシーバーから弱々しい呻き声が聞こえ始めた。

どうやら女教師達は既にやられていた様だ。

そこに偵察に行ったミコも捕まってしまったらしい。

考えてみれば当たり前だ。

大きな戦力は不意打ちで最初に狙われる。

つまり、学園内で主力となる女教師はもうあの球体に丸められていたのか。

「ミコ......ごめん......」

ミコという大事な戦力を失ってしまった。







【拘束】


「んむむ......むーーーっ!!」

(なに、何なのこれ!?)


戦闘訓練の一環かと思ったがどうも違うようだ。

今まで幾度となく行われてきた抜き打ちテスト。

その厳しさは身をもってわかっている。

しかし今回はあきらかに様子がおかしかった。

「んむぅううううう!」

(マナ先輩.........)

1.2.3年が合同で訓練に参加する事はない。

目の前で拘束されているマナ先輩は3年生。

超実力派のエリート。

そして私の後ろで可愛い声で藻搔いている娘はたぶん1年生だろう。

「んんんんんんっ!!」

半泣きになりながらも、必死に球体から脱出しようとしている。


私もなんとか抵抗するもどうしても動けない。

「んんぅ.......おぇええ!」

口内にパンパンに詰まった球体のせいでえづいてしまう。

脱出の糸口は掴めずにいた。







【ひよっこ一年生】


「来るな!.......来るなぁぁぁあ!」


やばい!

これはやばいヤツ!

あの変な球体に捕まったら一巻の終わりだ。

友達は全員捕まってしまった。

助けを呼ぼうにも何故か、ケータイ電話が繋がらない。


「来るなぁーーー!」

『バァーン!』


原則として無許可での発砲は禁止されているが非常事態は別だ。

今撃たなきゃ重いライフルを抱えて生活している意味がない。


『バァーン!』

ぜんぜん当たらない

こんなの私が戦える相手じゃない!

教師や先輩たちはどうしてるの!

『バァーン!』

『バァーン!!』

『バリンッッ!』

「あたった!?」

下手な鉄砲も数打てば当たるというがまさにそれだった。

「やった!」

浮いていた球体はその場に落ちた。

しかし様子が変だった。

『ギュルルルルル』

「?」

私を追ってきたのはバランスボール大の巨大な球体だった。

動きは遅く、走ればなんとか逃げ切れそうでもあったのだ。

それが.......

『ブニューーーーッ!』

「っ!?」

なんと地面に落ちた球体は2つに分裂した。

半分の大きさになったそれはとんでもない速さで私に突進してきた。

「きゃあああ!」

分裂した1つに右手を取られてしまった。

「離せ!離せ!」

粘度の高い水飴のような感触だった。

そして力強く引っ張られる。

「え、え、やめてぇえええ!」

あろう事か球体は右手と右足をくっ付けるように拘束した。

「うんーーーっ!やだやだぁあ!」

そして残っていた1つは私の左手と左足をくっ付ける。

「うそ!?.........くぅううう!」

カニのように拘束された私は廊下に仰向けに倒れてしまった。

「お願いします助けてくださ.........んごぉおおおお!」

仕上げとばかりに口の中に入り込んだゴルフボールほどの大きさの球体は私を静かにしてしまった。

「んぅううううう!」

ライフルで反撃した私は見せしめとしてなのかとても恥ずかしい格好で放置されてしまった。








【トリプル・ブルー】


既に動ける生徒は30人もいないだろう。

いろんな体勢で拘束されてしまった仲間が廊下に転がっている。


そんな中、私を含めた3人の奇襲部隊

"トリプル・ブルー"

は戦況を打開する鍵であった。

ここから見えるだけでバスケットボールほどのサイズが4つ宙に浮いて彷徨っている。

まだ私たちは球体に見つかっていない。

勝ちの目はある。


「2人とも援護して」

「「了解!」」


教室内に隠れていた私は廊下に飛び出し、その身を球体の前に晒した。

「「んむぅううううう!?」」

なぜ出て来たのかと既に拘束されて転がっている女の子たちが呻き声を上げた。


当然のことながら

私を感知するや否や4つの球体はスピードを上げて近づいて来る。

それに向かって走る。

『バァーン!』

発砲した。

『バァーン!』

『バァーン!』

『バァーン!』

続け様に四発。

全弾命中。

球体は床に落ちる。

ここまでは予想通り。


『グニュ........グニュニュニュ!』

球体は動く素振りを見せた。


「暇を与えるな!打てぇええええ!!」


私が合図を送ると後ろの2人が発砲する手筈だったのだが。


「「んむぅうううううう!」」

「!?」


振り向くと2人はあられもない姿で拘束されて藻搔いていた。

アオイは身体をすっぽりと覆われてしまい『ブニブニ』と跳ねている。

セイカは両手両脚を後ろで一つの球体に纏められてしまい、海老反りの姿勢にされてしまっていた。

この一瞬で行動不能にーーーーーーー

私のライフルの残りタマは2つ。

「くそっ!」

2人を拘束する球体に照準を合わせる。

「「んぅうう!」」

「ぐぁっっ!」

トリガーを引く寸前。

私が一度は仕留めたはずの球体が一瞬の間にライフルごと私の両手を包み込んでしまった。そしてバンザイをさせるように高々と持ち上げる。

「うっ.......くぅうう!」

なんとか振り解こうとするが上手くいかない。

『グニューーーッ!』

「きゃあああああ!」

そんな事をしているうちに自由だったはずの両脚も1つに纏められてしまった。

「離して!離してよぉおお!」

どんなに叫んでも敵は沈黙したままだった。








「うっ.......んむむむむむ!」

「うぐぅううううう!」

「ふぅふぅ......ふむぅうううう!」

どうしても外せない拘束に苛立ちが募る。

こんな丸くなってしまった手ではライフルは使えない。

「んぅううう.....」

すぐそばに落ちてるのに!

無駄だと分かっていても無様な格好で力の限り藻搔いた。









【希望】


「発砲を許可します」

「私たちが最後の望みです。連携をとって誰か1人でも学校の外に出て助けを呼んでください」


時刻は16時。

皮肉なことに最後に残ったのは新米の1年生が10人、女教師が1人だった。

校舎から離れたグラウンドで訓練していたため、異変に気づくのが遅れたのだ。


「作戦を10秒で伝えーーーーー」

先生は私に銃を向けた。

『バァーン!』

一瞬の出来事だった。

タマは私の茶髪をかすめるとすぐ後ろで鈍い音に変わる。

とっさに振り向くと無数の球体がこちらに向かって飛んで来ているのが分かった。

「ああ…………」

私はその場に立ちすくんでしまった。

「みんな走って!」

「「わぁああああああ!!」」

一目散に逃げる女生徒たち。

私の体は動かなかった。

さながら蛇に睨まれたカエルのように固まってしまった。

「何してるの!」

先生が私の手を掴んで引っ張る。

ようやく最初の一歩を踏み出した所で

「きゃっっ!」

「先生!」

球体は先生からライフルを取り上げるとそのまま身体を拘束しにかかる。

「この……やめ……」

「あわわ……」

いくつもの球体が這い寄ってきて合体し、大きな塊になる。

「んあっ!くぅ……逃げて!」

「え……でも……」

「はやくーーーーーんむぅうううう!!」

「っ!!」

ダルマのように拘束されてしまった先生を置いて走り出した。






「はぁはぁ」

走りながらあたりを見渡すと既に何人か捕まっていた。


「ちょっと動かないで!」

「そっちこそ!」

2人合わせて丸められてしまったサチとマキが喧嘩していた。

その横を素通りして走る。

「「んむむむむむ!!」」

私の後ろで聞こえる喧嘩の声はすぐに呻き声に変わった。


「ひゃああああああ!」

頭上で悲鳴がした。

パッと上を見るとバンザイで足をぴーんと伸ばし切った姿勢でカナが浮かんでいた。

拘束されたあとで球体に持ち上げられたのか。

「むぅむぅうううう!!」

カナもやられてしまった。




この学校は高さ10メートル、重さ30トンの巨大な門で閉ざされている。

そこを抜ければ助けが呼べる。


「はぁはぁ!」

全力疾走で目的の場所へ

あと数メートル


『ブニュルルルル!』

身の毛もよだつ音に反射的に振り向いてしまった。

目の前に4つの球体があった。

捕まーーーーーーーーーーー

「うぁああああああ!」

「ユカ!」

私を庇って身体を投げ出したユカは

「はやく門を.......ぉおむぅううううう!」

4つの球体に捕まり、四肢を大の字に開かれてグラウンドに倒されてしまった。

「おむぅううう!(行って!)」

「ごめん」

ユカを置いて残り数メートルを走り終え、門の開閉を操作するコンピュータに飛び付いた。

「はやく!はやくしてよ!」

起動するのに少しばかり時間を要する。

『ピーーーー』

足踏みしながら待つとようやく機械は動き始めた。

「開門します!」

そう言いながら最後のボタンを押した。


私は

一生後悔するだろう。


『暗証番号を入力してください』

「!?」











「う........うむぅぅ.............っ!」

ねっとりしていて気持ち悪いし、凄い力で動きを封じられてしまう。

それが口の中にも入っていて息をするだけで精一杯だった。

「んむ.........ぐふっ........っ!」

1つの球体に四肢を背後で纏められてしまった私はそのまま吊り上げられてしまった。

宙に浮いた状態で海老のように藻搔いてみたが、手足を解放してくれる様子はなかった。

「「んんんんんん!」」

気付けば拘束されたクラスメイトは一箇所に集められていた。

「「ふぐぅゔゔゔゔゔゔ!」」

彼女たちは怒り狂って藻搔いている。

その矛先の大半は球体に向けられているだろうが。


「おぅゔゔゔゔゔゔゔゔ!!」

カナが私を睨みつけて呻いた。

口が開けっ広げなので結果としては無様な表情だった。


先生をはじめ、私以外のクラスメイトは開門のための暗証番号を知っていた。

朝礼の時間に居眠りをしていた私以外の全員がーーーーーーーーーー












【終幕】


「ねぇミコ、もっと呻いてよ藻搔いてよ抵抗して見せてよ」

「んほぉおお......」

「世界一可愛いアタシのミコ、これからたっぷり遊んであげるから」

「うぅぅぅ...........」


車内は女の子が2人。

これから始まる妖艶な未来を察してか、ミコは身震いした。





〜終?〜

謎の球体【SP】 謎の球体【SP】 謎の球体【SP】 謎の球体【SP】

Related Creators