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今年、才能のある双子が里に加入した。
里の発展のためにも彼女達を育成する必要がある。
それはクノイチになって5年目である私の仕事であった。
"決して人を殺めない"
これが私の属する里の鉄の掟だった。
生ぬるいと思う。
この掟を守るために捕まった仲間の数も多い。
だが此処に属する以上、掟は絶対だ。
後輩達にも教え込んで来たことであり、新参者の双子忍者にも徹底的に教え込む所存だ。
才能のある者は自分の力に溺れる傾向にある。
明日行われる年に一度の実践形式の鍛錬。
運動会とは名ばかりの"捕縛バトル"を通して自分達の未熟さを思い知らせてやろう。
私も一年目の時は先輩クノイチにコテンパンにやられたものだ。
まるで昨日の出来事のように思い出せる鮮明な記憶。
回想
森の中を軽快に走る私は我ながら天才だと思った。
走力、持久力ともに自信があった私は自分より遅い先輩達に捕まる事なんて絶対に無いと思い込んでいた。
「ふっふーん、先輩達の面目のためにもわざと捕まってあげようかしらっ!」
そんな風にたかを括っていた私は"罠"を踏んだ。
急に地面を踏んでいた足の感覚がなくなった。
ーーー落とし穴ーーー
「きゃあ!?」
と声だけ地上に残して真っ逆さまに落ちた先はトリモチでいっぱいの深い穴だった。
『ベタァァーーーー!』
と手足から顔に至るまで強力なネバネバが纏わり付いて私の動きを封じた。
「う、動けない......!?」
暗い落とし穴の中でベタッと拘束されて半分パニックになっていた。
「た......助けて..........かふっ!」
口や鼻にまで及んだネバネバが私の呼吸を極端に制限した。
「うごごご........」
「アヤ捕獲〜〜」
頭上から先輩の声がして私は引き上げられた。
「痛たたた!せんぱい、痛いです!」
連れて行かれた先は牢獄を模した里にある大きな屋敷。
普通なら一年目では入ることが出来ない。
そこへ連れて来られた私は目を疑った。
「んんーーー!」
「んぐぅーー!」
「ふぅーーー!」
私の同期の女の子達が揃って捕らえられていたのだ。
厳重に縄で縛り上げられた彼女達はそれぞれ違う縛りを施されていた。
身体の柔軟性が特徴のサキは胡座をかかされて厳しく前屈させるように緊縛。
力自慢のユリは四肢を後ろで纏められ宙吊りにされていた。
そして彼女達は例外なく口に縄轡を噛まされている。
「「うううーーーーっ!」」
それぞれの弱点を突いた完璧な捕縛術だった。
「アヤはその自慢の脚を手首と繋げてあげる」
その場に倒された私は力の限り抵抗したが、もともと非力な事もあり先輩の手から逃れる術はなかった。
『シュルルルル.......』
「ゔっっ!?」
「その縛りはキツいよ〜、縄抜け頑張ってね」
「んぉあああ!」
緊縛された見習いクノイチの溜まり場に私も転がされる事となった。
「ねぇアヤ...........ねえってば!」
「!?」
「何ぼーっとしてんの!」
「ごめんちょっと昔の思い出を......」
「しっかりしてよ!」
自力のあるユリに怒鳴られると怖い。
あばら骨の2.3本もって行かれそうだ(冗談)。
「私、先に行くから!」
そう言うとユリは森の中に消えていった。あの時から変わらずたくましい。
結局のところ同期は私とユリしか残らなかった。
後は皆んな里を抜けていったのだ。
「さびしいな.........」
寂しいし、胸が痛い。
いつも可愛がっている後輩クノイチを追い回して縄で捕獲、その後はーーーーーー
あの時の先輩もこんな気持ちだったのだろうか。
「いけない!」
感情を押し殺すのは忍者の基本。
私情で動くなんてもってのほかだ。
青い装束を身に纏った私は自分を鼓舞するように両手で頬を叩いた。
ルールは簡単。
青い装束の私達が狙うは赤い装束を身に纏う見習いクノイチ。
見つけ次第捕獲して牢獄(屋敷)へ。
ちなみに見習いクノイチも先輩である私達を捕獲する権利はある。
できればの話だが。
今まで青い装束のクノイチがお縄になった事はない。
さて、青装束リーダーの私は持ち前の走力を生かして全員が疲労して動きが鈍る終盤にたたみかけると言う作戦だった。
それまでは........
「暇だ」
まだ赤と青は鉢合わせしていないのだろうか。
まるで戦闘の気配を感じない。
もっとも忍者の戦いは基本的に静かなので当たり前と言えば当たり前なのだが。
私は目の前の森をぼ〜〜っと見つめていた。
「仕方ない、牢屋の見回りにでも......」
自由に出入りが許される5年目の私は牢獄となる屋敷へ向かった。
もしかしたら既に誰かが捕まっているかもしれない。
すると
「あむぅうううう!」
中から呻き声が聞こえてきた。
お、やっぱり縛られてるか。
さてさて、誰かな?
始まってまだ数十分、あの双子って事はないだろうけども.........
「んむぅうううう!」
「.........っ!?」
私は言葉を失った。
捕まっていたのは青装束の...........ユリだった。
「あう!あぅううう!」
後手に縛られた上に片方の脚を折り曲げるように拘束されている。
中途半端に動ける状態にされているため必死に暴れたのだろう。
体力を大幅に消耗しているようだった。
「んぐんぐ!」
丁寧に縄を噛まされたユリは意味のある言葉を発する事はできない。
捕縛バトルでは"縄抜けの術"の向上も視野に入れている。
故に仲間が捕まっていても縄を解く事は許されない。
再び参戦するには自力での脱出しか方法が無いのだ。
「くっ!」
「んーーんーー!」
私の油断が招いた失態だ。
緊縛されて転がされたユリを放置して屋敷を出て全脚力を使い森へ向かった。
過小評価していた。
あの双子は天才だ。
見習いにして5年目を捕らえるなんて。
しかし、ユリと正面衝突したわけでは無さそうだ。
縛られた彼女に戦いの痕跡はなかった。
故に不意打ちを喰らったと考えるのが妥当だろう。
なにより力勝負になってユリが負ける事などあり得ない。
「なんて事なの!」
見習いを教育する立場にある私達が負けるような事態は避けねばならない。
自分達の方が実力が上だと認識されては"教育"は崩壊してしまう。
それに先輩としてのプライドもある。
神経を研ぎ澄まして走る。
勝手の知った森はどこに隠れやすい大木や洞穴があるか、手に取るようにわかるのだ。
あの双子が隠れそうな場所をしらみ潰しに..............
「いた.........うふふっ!」
「こらこら、はしゃいではダメよ」
反射的に私は上を見上げた。
2対1の空中戦。
「疾いなぁ........うふふっ!」
「でもでも、思ったほどじゃないわ」
「ふざけた余裕顔も今のうちよ!」
木から木へ飛び移り、時には飛んでくる手裏剣やクナイを弾き飛ばす。
コンビネーションが完璧だった。
姉が隙を作り、妹がとどめを刺す。
彼女達の洗練されたフットワークは私やユリに匹敵するものだった。
だが、1人でも行動不能にすれば容易い勝負に思えた。
「先に貴女よ!」
地上から私を狙う双子の姉に狙いを定めて飛びかかった。
「疾い動きの相手には........」
双子の姉は素早く私の攻撃をかわした。
着地
と同時に
『ズボッ!』
「しまった!」
ぬかるんだ地面に足を取られた。
「隙あり.....うふふっ!」
「勝負有りですかね」
双子は2人同時に私に斬りかかる。
『ボォン!』
「「!?」」
私は咄嗟に煙幕を使った。
2人がのけぞった一瞬、時間にして1秒もなかった。
その間に地面から足を引き抜く。
「往生際の悪いです........ね......っ!?」
「はい、お終い」
煙に紛れてーーーー
私は双子の妹の首元にクナイを当てていた。
「捕まっちゃいました.....うふふっ!」
ペロッと舌を出す妹。
「降参です、お見それしましたアヤさん」
なんとか先輩の面目は保てたようだ。
「貴女達、反則スレスレよ?」
「殺す気でやれって言ったのは先輩じゃ無いですか」
「久しぶりの本気..........うふふっ!」
双子の姉妹を縛り縄尻を持って屋敷へと歩かせていた。
うるさい口も塞いでやろうかと思ったが生憎のところ1人分の縄で2人を縛ったので口に噛ませる分が無かった。
「だけどユリを捕まえたのはすごいわ」
「何の事でしょう?」
「意味不明........うふふっ!」
「?」
この双子は見習いの中で一線を画している。
ユリが負けるとしたらこの子達だと思っていたが...........
「うーうーっ!」
「むゔゔゔ!」
捕縛バトルは終盤。
屋敷の中からはたくさんの呻き声が聞こえて来る。
よく見るとユリ以外の青装束も捕まっていた。
今年の見習いはこの双子以外にも優秀なのがいたのだろうか。
「ほら、貴方達もさっさと入って」
「うーーむーーー!」
「うぐぐぐ!」
縄抜けが得意な子はいないのだろうか。
彼女達に施された緊縛は全く解ける様子はなかった。
あちこちでゴロゴロ転がったり、吊られた者は左右にブラブラと揺れるだけで脱出できる気配すら感じない。
縄抜けに必要なのは身体の柔軟性だ。
例えば既に里を抜けてしまったサキだが、彼女はその身体の柔らかさを生かし、ギチギチの緊縛から脱出した逸材だった。
「アヤさんこれはやりすぎ........あむむむ!?」
「んーーー!んむーーーーーっ!」
私は捕らえた双子を2人纏めて縛り、縄を噛ませた。
口に嵌め込まれた縄が双子の綺麗な顔を歪ませる。
「縄抜け、頑張ってね」
「「むゔゔゔゔ!」」
こうして赤装束の見習いクノイチは全員捕縛された。
「ねぇ、ユリ何やってんのよ」
「むぐーーーーっ!」
序盤に捕まってしまったユリは未だに施された緊縛に悶えていた。
ユリは力がある反面、不器用なところがあったので縄抜けは苦手なのだ。
それでも1時間以上経っても抜け出せないようではクノイチ失格だと思うが。
「ふ、ふぐぅうーーーっっ!」
「ダメよ、自分で解きなさい」
ユリは私に助けを乞うように縄を噛み締めてもがいた。
「さて残り15分よ、見習いは1人でも抜け出せたら勝ちなんだけど........」
「「「んんんーーーっっ!」」」
あちらこちらで縄が軋む音や呻き声が聞こえ始めた。
体力の無い子達も残りわずかな時間は精一杯もがき続けるつもりらしい。
私が見張っている以上縄抜けのチャンスを与えるつもりは無いが。
「うっ!うっ!」
「くぅぅううう!!」
畳の上で閂を切ろうとする双子コンビ。
やはり縛られていても才能が垣間見える。
しっかりと見張って置かなければーーーーーーーー
「相変わらずのようね、アヤ」
「っ!?」
驚いた私は双子から目を離し声のした方向を見た。
黒............の装束を纏った女。
「先輩面しちゃって、この緊縛運動会だけは好きになれないわ」
「部外者は立ち入り厳禁よ」
「私は関係者よ、不遇な見習いちゃん達に加勢してあげたの」
「まさか........」
「やっぱりユリは手強かったけどね、なんとか芋虫になって貰ったわ」
「...........サキ」
里を抜けたサキは
「命令が出てるの、ゴメンね」
「させない!!」
5年ぶりに帰って来たのだ。
先手
は私が取った。
此処は私の属する里であり地の利は私にある。
畳の裏に隠してあった10の手裏剣を素早く抜き取りサキに投げ付ける。
「おっと!」
半分はかわされ、もう半分は弾き落とされた。
「容赦ないね」
無駄口を叩く暇があるのか?
私は既に動いていた。
手裏剣をサキに投げつけると同時にユリの元へ。
縛られたユリを解放するのが最善の一手。
しかし
『シュッ!』
私の足元にクナイが突き刺さる。
「むぐぅうう!」
「だーめ、私のユリよ」
「........」
気付けばサキは転がされたユリのそばで屈み、頬を撫でていた。
ユリはそれを振り払うように顔をブンブンと振る。
「あはは、嫌われちゃったかな?」
「むぅううううう!」
ユリが大きな呻き声をあげる。
殺気立った目をしていた。
「アヤ、背後が隙だらけよ」
「あぐぅっっ!?」
突然、羽交い締めにされた私は首だけ捻って後ろを見た。
「私の分身、なかなかの出来でしょー?」
「うっ!くんっ!.....離せっ.........!」
「そのまま墜としちゃって」
『ギシィーーーーー』
と背中を膝で押されたかと思うとその場に倒されてしまった。
そのままサキの分身は寝技に入る。
「うぁ.......ああああ!」
軟体動物のように身体の柔らかいサキの分身は寝技で私を完全にロックした。
「うぎぎぎ..........ぅうっ.............」
身体を締め付けられた私はゆっくりと意識を手放した。
「おやすみ、アヤ」
「解きなさい........解けサキ!」
「縄抜けルールでしょ?」
「ちがっ!......この縄は反則.......ゔっ!」
目覚めると私は逆海老縛りで宙吊りにされていた。
最大級に厳しい緊縛だった。
「後輩ちゃん達も見てるわ」
「ん..........」
「おむ...........」
状況が理解できず、縛られたまま困惑する赤装束の見習いクノイチ達。
高い位置から目を凝らして見ると彼女達にも施されていた。
「サキ.........貴女...........っ!?」
「女の子にとっては閂以上に縄抜け防止の股縄ちゃん、感じちゃうね?」
「許さない........!」
私は身体を捻って縄抜けを試みた。
「うぐっ!くぅうううううう!」
宙吊りの身体が前後左右に揺れる。
「絶対抜け出して...........うっ!?」
股に掛けられた縄が『キュン!』と食い込んで来た。
「はぉっ!?」
どうしても身体がビクついてしまう。
それに一度揺れ始めた身体はなかなか静止しない。
「うくぬぅぅぅ.........っっ!」
ブラブラと振り子のように揺れる度に刺激が走った。
止めようと思っても止められない女の子の弱点への縄の食い込み。
「きゃっ、綺麗な声ぇ!」
「いい加減に..............ぶむっ!?」
「だけど巻き巻きしちゃおうね」
「むぐむぐーーーーーっっ!?」
鮮やかな縄さばきだった。
サキは床から5メートルほどの位置に緊縛した私の口めがけて縄を飛ばして来た。
狙い澄ました縄は正確に私の口に巻き付き、後頭部でくるっと一周したかと思うとそのまま結ばれてしまった。
「んおえぇーーーーー!」
舌で押し返す事ができない。
やられた。
「残念だけど時間だぁ、お暇するわ!」
「おぉえーーーー(待て......)」
サキは屋敷から出て行った。
「うくっ........ふんんんんっ!」
「むゔーーーっ!うぅーーー!」
屋敷の中は妖艶なうめき声で賑わっていた。
皆んなサキに施された股縄のせいで感じてしまっている。
「んっ..........ふぅっ..........!」
私も完全に行動不能だった。
股縄のせいで縄抜けに集中できない。
万が一誰も解けなかった時の為に服の下に残しておいた縄抜け用のクナイも奪われてしまったらしい。
最終手段さえサキに強奪されてしまったのだ。
「んんんーーーっ!」
畳の上でユリが悔しそうに顔をしかめる。
苦痛と快感が入り混じった複雑な顔で私の方を見上げて来た。
「んん........(ごめんユリ........)」
私が気付かなかったせいで..............
こうしている間にも
サキが率いる黒装束のクノイチはーーーーーーー
〜終?〜