「新しい寝袋買ったの!」
「はぁ...」
香菜(かな)の話はいつも唐突で掴み所がない。
「キャンプにでも行くの?」
「違うよ、家で寝るんだよ」
親友の私ですら香菜の思考回路は読めない。
香菜曰く、この寝袋はスイッチを入れると自動的に登録した人に合わせてギュ〜っと縮むらしい。これにより安心で快適な寝心地を可能にしたのだっ!
とのこと。
「で、なんで私も入るわけ?」
「2人で寝るのは楽しいからだよ」
今、私は例の寝袋に香菜と一緒に入っている。たしかに2人で寝るのは楽しい。なんだか修学旅行みたいだ。
「.....よいしょ...美咲、手が届かないからそこのスイッチ押してくれない?」
「うん」
『ポチ』
「ああぁ!それじゃない!!」
「え?」
「早く止めて!!」
止めてったって...どのボタン押せばいいの。数が多すぎてわからないよ。
「!!?」
寝袋が少しずつだが縮んでいる。私達2人を捕まえるようにギュ〜〜っと圧迫する。
「やばいよこれ!早く抜けないと!」
「くぅ...!ダメ、2人で入ってるからもう抜けられない...早くその...んぶぅううう!」
「香菜!?どのボタン!?」
「んぶぅううう!ふぅうう!」
やばい、私より少し背が低い香菜は口元まで寝袋に飲み込まれてしまった。もう適当に押すしかない!これだぁ!
『ポチ』
「ふぅゔゔゔゔ!!」
香菜が凄い呻き声を上げる。
「香菜!どうしたの.....ぉおひゃあ!?」
私と香菜は背中合わせに寝袋に拘束されている。そして今、5秒ほど私は寝袋に敏感なところを撫でられてしまった。
「あぁ!また!?どうなってんのこれ!!」
「...ぷはっ!この寝袋はマッサージもしてくれるの...1人で入った時はいい感じにお腹周りと背中を刺激してくれるんだけど....んにゃあ!!」
「なるほど、2人で入った所為でちょうど位置がズレて.....にょはぁっ!」
もう!会話ができないじゃない!今この寝袋はお互いに5秒ずつ順番に女の子の弱いところを責め立てる卑猥なオモチャだよ!
「美咲、あんまり動かないで!私けっこうキツイ...」
「あぁごめん...のほぉ!」
くっそう!我慢しても声が出ちゃう!
ちなみに私も香菜も腕を寝袋の中に入れた状態でギュムギュムにされてしまったので動けない。思ったより寝袋はキツくて腕を動かすゆとりはない。故に手のひらで秘部をガードすることもできない。
「香菜、解除のスイッチは!?」
「きゃあ!...変な時に話しかけないで!」
変な時ったって香菜が楽な時は私が振動くらってんだから無理な話だよ!
「ごめん美咲、縮んだ後はタイマー式だから.....ぅっ......朝までこのまま...」
「!?」
冷や汗が頬を伝う。朝までこのまま...!?
「無理だって、これは耐えらんない」
「一応、遠隔のリモコンあるんだけど...」
「どこにあるの!?」
「リビングなんだぁ...」
香菜が申し訳なさそうに言う。
私達が拘束されているのは香菜の部屋。つまりリビングまで約15メートル、這いずってリモコンを取りに行かなくては!
「香菜!一緒に行くよ.....ぉふぅっ!!」
「美咲!動き方ヘタすぎるよぉ!」
「香菜が変に暴れるからでしょ!!」
当たり前だ。1人ならまだしも2人で寝袋に捕まっているのでお互いに相手の邪魔をしてしまい全く動けない。極め付けは寝袋のマッサージだ。
「ぬわぁ!」
「いちいち反応しないで!....ぅっ!」
うまく動けない苛立ちから言葉が乱暴になる。
結果、1時間もがいても最初の位置から1センチも移動していない。
(力技で抜けらんないかな...?)
そう思った私は寝袋から抜ける方向に力を入れる。
「このぉおお!!」
しかしギチギチに小さく縮んだ寝袋は私を捉えて離さない。
「痛たたぁ!美咲、痛いよ!!」
私が無理に動こうとすると香菜を苦しめてしまう。
「美咲、背中すごく熱いよ、汗もかいてるでしょ...」
「それは香菜も同じでしょ...もうビショビショだよ」
私達の汗を吸った寝袋はさらなる悲劇を与える。
『ビリビリ』
という不安な音が聞こえている。
「この音は何...?」
「わからない.......どぉわぁあああ!」
「香菜、どうしたの....ぉおおおぅぅ!!」
どうやら何かの拍子にマッサージの強さが上がってしまったらしい。先程までとは比べ物にならない刺激がピンポイントで秘部を襲う。
「あ...これダメ........っっっっっ!!」
香菜の身体がビクンと跳ねたのが背中でわかった。どうやら寝袋の振動にイかされてしまったらしい。
「美咲ぃ......」
完全に涙声になっている。それはそうだ、ただの寝袋に弄ばれる屈辱。現在進行形で私も味わっているのだ。いつもなら優しい言葉の1つでもかけてあげるのだが
「...んんっっっ!!」
これは女の子が耐えられる振動じゃない。私も簡単にイってしまった。出来るだけ声は抑えたつもりだが、小刻みに震えた背中で香菜にはバレているだろう。
(2人で寝袋に拘束されて動けない、朝までこの振動に耐えるのは無理だ。一体どうすればいいの.....おほぉぉおおぅ!)