ラグビージャージ型スーツに包まれた分厚い大胸筋が強い日差しに黒光りする。
あっけないものだった。
セン凶たちが送りこんだ自動攻撃兵器はその超火力を全てプロップマンに集中させ、そして一つの傷も付けられずに粉砕された。
多くの市民をいつか必ず帰宅させると約束した隔離区域。
プロップマンには、ラグビー場を中心としたその無人の市街地を守る余裕すらあった。
「状況終了」
DGの影響で通信が使えない領域で小さく呟く。
数年前から自動攻撃兵器しか見かけなくなった。
最前線で戦う男の実感として、プロップマンはこの戦いの勝利を確信している。
ヒーロー達は数えきれないほどのセン凶を屠り、今は残党と言って差し支えない規模の異種族しか残っていない。
近いうちに人類は全ての領土を取り戻すだろう。
「プロップマン、帰……」
監視局へ帰投するべく身を翻しかけたプロップマンの動きが止まる。
目の端で捉えたものにカッと巨体が熱くなる。
崩れかけた民家に小さな身を隠す後ろ姿。
忘れられるはずもない丸く肥えたシルエット。
大沼は反射的にその存在を追いかけていた。
加藤が死んだあの日、大沼は一体のセン凶を取り逃がした。
あの小さな異形は20年越しの心残りに相違なかった。
「止まれ! 投降するのであれば危害は加えない!」
追跡しながら降伏を促す。
今なお風化する事の無い怒りと悲しみ。
だが、既にヒーローであることが心身に滲み渡っている大沼は大いなる慈悲と温情を仇敵にすら分け与える。
大沼は自身の平静を感じ取りながら一歩、また一歩と距離を詰めていく。
「厄介だな……」
行き止まりに追い詰めたと思ったセン凶は崩れた建物の隙間に潜り込んだ。
異種族の矮躯であれば屈んで通過できる空間もヒーローの巨体では一筋縄ではいかない。
もちろん、プロップマンの膂力をもってすれば家屋など一瞬で吹き飛ばせる。
しかし、全てのセン凶を撃退した後に住民を帰宅させる目標があるため無暗な破壊は出来ない。
プロップマンは瓦礫の隙間を腹這いになって進むことを決めた。
「何だこれは……」
昼なお薄暗い瓦礫の隘路は奇妙なもので覆われていた。
樹脂ともゲルとも言えない半透明の物体が瓦礫の凹凸を包み込んでいる。
異次元由来の毒物の可能性も考えられる。
ヒーローの肉体には影響を与えられないとはいえ、状況としてはイレギュラーが重なり続けている。
撤退を選択するべき場面だった。
「つまらん小細工を……!」
だが、大沼は自分が思っているほど冷静ではなかった。
不規則に波打つ床に巨体を擦り付けながらますます匍匐前進の速度を上げる。
「……」
変化はすぐに訪れた。
指摘こそしないものの、彼の姿を目にした誰もが注目していたプロップマンの体の中心。
ラグビーパンツ型スーツに無理矢理押し込められて弧を描く太く長い輪郭。
その男の器官が密着した黒衣の中でぐんぐんと体積を増していた。
狭い筒の中で凹凸に嫐られた大沼の陰茎は彼自身の意志とは別に勃起を始めていた。
「おっ……!」
丈の短いラグビーパンツ型スーツの脇から遂に大沼の巨大な肉棒がまろび出る。
自然妊娠が困難であるほどの極太の直径は僅かに反り、床の瓦礫を圧迫する。
膣を抉るために設計されたような大きく張り出した亀頭冠が狭い空間を押し広げる。
海綿体の隆起を強く浮かび上がらせた褐色の男性器がぴくぴくと震えていた。
「くそ……」
大沼は忌々し気に呟き、平泳ぎのような姿勢での前進を速める。
性欲が強いのは男が元気な証拠であり、それ自体を恥じたことはない。
だが、精通以来ずっと大沼が自身の性欲に悩まされてきたこともまた事実だった。
学生時代は食事と睡眠とラグビー以外の時間は発情し続けていたと言っていい。
四六時中自慰に耽っていたにもかかわらず満員電車の手すりに刺激されて学生服の中に強か射精してしまったことは忘れられない。
女ができれば精力の強さが原因で逃げられ、落ち込みながらも勃起は収まらなかった。
これほどの性欲を宿した男が滑らかな起伏に陰茎を舐め回されればどうなるか、結果は目に見えている。
「むう……っ!」
先ほどまで闘志に燃えていた大沼の双眸が僅かに湿度を帯びる。
良くなっていた。
蛙のように広げた脚の付け根に射精欲求が蓄積していた。
張り詰めた先端の割れ目からは既に大量のカウパー腺液が垂れ流され、大沼の逸物を余すところなく潤している。
出してもいいのではないか。
出してしまった方が目の前の事に集中できるのではないか。
それは大沼があらゆる時、あらゆる場所で戦い続けてきた誘惑だった。
時にその誘惑に勝ち、時にその言い訳に負け、大沼は男としての人生を生きてきた。
「っ……」
だが、圧迫と摩擦は次第に弱くなっていく。
瓦礫のトンネルは少しずつ広くなり、前方は上り坂になっていた。
「……」
陰茎への刺激が無くなったからといって、一度火をつけられた男の腰の奥の熱が霧散するわけではない。
それでも大沼は下半身の欲求を無視する。
亡き友の魂の安らぎのためにも、今は冷静に、確実に追跡を続行すべきだ。
固い決意と共にプロップマンは上体を起こし、傾斜に手をかける。
それが卑劣な陥穽へと転がり落ちる最初の一手であるとも知らずに。
「これはっ!」
瞬間、紫電が走り視界が揺らぐ。
今まで何度も見てきたDG発生時に観測される現象。
退避する暇も場所もなく、プロップマンの巨体は倒壊した家屋から消えた。
ダイゴ(だい)
2025-05-08 07:38:51 +0000 UTC大人のつみき(レゴ)
2024-10-04 01:33:28 +0000 UTCAbka
2024-10-02 10:00:06 +0000 UTC