あれからもハッサンとアモスは何かと理由を付けてはテンツクとリップスとの同行を避けていた。
モンスターとは言え忠実で優秀な仲間を遠ざける二人を他の仲間たちは不思議がる。
だが、ハッサンとアモスだけは互いにその理由をおぼろげに掴み取っている。
二人の意向がいつまでも通るはずも無く、その時はやってきた。
山の麓にとめられた馬車の中には二人の巨漢が残され、互いに黙りこくっている。
以前のような快活な空気は一体どこへ行ったのか、疑心暗鬼の落ち着かない雰囲気が漂っていた。
「……あいつらは魔物使いになれなんて言うけどよ、そんな気にはなれねえよな」
沈黙に耐え切れずハッサンが口火を切るとアモスもそれに応える。
「ええ、分かりますよ。だってあいつらは……」
再びの沈黙。
だが、それだけで互いに理解する。
モンスターに射精させられる屈辱と快感を知っているのは自分だけではないと。
「……ガキの頃の話なんだけどよ」
いつの間にかモンスター二匹の姿が見えなくなっている事を確認し、ハッサンが訥々と語り始める。
それはハッサンの故郷である港町、サンマリーノでの出来事だった。
「俺はその日も大工仕事の手伝いをサボって海にいた。海つっても田舎の、人気の無い浜辺だ」
ハッサンは早熟だった。
その時の彼の体格は既に並みの大人を上回り、女の一人や二人抱いていて当然の風格があった。
「けど実際は童貞どころか射精すらしたことが無かった。年上の奴の話聞いてよ、精子が出るって事と、ガキがデキる仕組みは一応知ってたけどな」
少年のハッサンは苦しんでいた。
知識はあっても肝心の子種を出す方法を知らない。
昼夜を問わず襲い来る発情と、場所を選ばず膨れ上がる若竿をどう扱えばいいのか分からなかった。
「そん時も急にムラムラして勃起しちまってよ。釣竿投げ捨てて自分のサオ握ってた」
釣りの穴場である岩陰は人気も無く、ハッサンは下穿きを下ろして自身の悩みの種を見下ろす。
未精通ながら既に大人よりも大きい肉竿は未だ包皮すら剥けたことがない。
ただ、触ると痺れるような感覚のあるピンク色の先端をのぞかせ、ハッサンの無知をなじるようにいくつもの血管を浮かべている。
「ガキだった俺はコイツをどうしたらいいか分からなかった。あいつが現れたのは、そん時だ」
海からその軟体を現したのはウミウシとイソギンチャクをかけ合わせたようなモンスター、シーフラワーだった。
「ヌメヌメした気味の悪い奴だった。でも俺からすりゃザコだった。追い払おうとした瞬間、そこに目が留まっちまった」
シーフラワーのエビ反りに逆立ちしたような尾部の先端には肉の花が咲いていた。
妖しい紫色の触手の花弁、その中心に蠢く肉色の穴。
そこは開き、閉じ、また開き、男を誘っていた。
「そんで……」
目覚めの時は向こうから、どうしようもない力と共にやってくる。
ハッサンにとって、今がその時だった。
「俺はまだ射精したことも無いチンポを、モンスターの穴ん中に挿れちまった」
重低音を発するアモスの喉仏が上下に蠢く。
「今考えりゃ完全にガキの気の迷いだ。でも、そん時分かっちまった。男が何のためにチンポを生やしてんのか……」
男であることの根源を丸ごと預ける事の心地良さを、少年のハッサンは初めて知る。
どっしりとした腰が誰にも教わっていない動きを始める。
「正直に言やあ……気持ち良かった。チンポってもんがあんなに気持ち良くなれる部分だと、そん時に初めて知った」
シーフラワーは触手をざわめかせ、滑った肉穴を引き絞ってハッサンに男としての悦びを教え込む。
童貞の下反り肉棒は際限なく膨れ上がる快感に戸惑いながらも異形の器官を激しく出入りして止まない。
早くも上がり切った睾丸を、吹き始めた陸風が撫でる。
「腰の奥から熱いもんがキューッと上がってきてよ。分かったぜ、俺は今から精子を出すんだってな」
「……」
それとなく隠してはいるが、語るハッサンも、聞くアモスも既に勃起している。
男たちに植え付けられた快感の記憶は根深く、屈辱を無視して股間に蓄積されていく。
「出る、っていう直前に思ったぜ。もしこの穴がマンコだったらよ……中で精子出しちまったらよ……俺とウミウシの子供がデキちまうってな」
膣内で精液を放てば子が出来る。
その単純な仕組みをハッサンは知っていた。
「けど、射精もしたことねえ童貞のガキがあの気持ち良さに勝てるワケがねえ。俺はモンスターん中に、初めての金玉汁ぶち撒けちまった……」
ハッサンは初めての生殖分泌液をモンスターの怪しい器官に搾り出される。
シーフラワーの胎内でハッサンは少年から、男にされる。
「男ならなんとなく分かるよな、これデキちまったな、ってよ。でも止まらねえんだ。孕ませちまってるって分かってんのに……」
初めての命の営み。
それは一瞬の事にも、気が遠くなるほど長い時間にも感じた。
ハッサンを精通させ、童貞を奪った軟体生物はゆっくりと男根を解放し、雄としての成果を見せつけた。
「あいつのマンコから俺の精子がゴポゴポ溢れてきてよ。やっちまったと思った……俺ぁ何やってんだって、後悔した」
しかし、あまりに衝撃的な童貞喪失の快感の余韻にハッサンは半ば放心していた。
「あいつが海に帰って、俺は自分のチンポを見てみた。モンスターに使い捨てられたチンポだ。したらよ、皮が完全にムケてんだ。モンスターのマンコで、チンポの皮まで剥かれちまった……」
既に夕日が差し始めていたが、若き日のハッサンはその場を動けなかった。
─旅の武闘家と村の英雄は魔物使いに転職した!!(5/6)へ続く──