「……」
ハッサンが仲間たちの様子を窺いに洞窟の入り口に向かった今、川辺に残された男はアモスだけになった。
そして、アモスもまたモンスターに対して落ち着かない感情を抱いていた。
鎧を身に付け、馬車の幌へと目をやる。
見えるのはアモスの肉体に舐め回すような視線を送る道化じみたモンスター。
アモスは横に大きく広がったテンツクの口を思わず見つめ、慌てて前を向く。
それはある町で宿を取った時の事だった。
上階の客室から仲間たちの賑やかな話し声が聞こえてくる。
アモスは宿屋の風呂場で旅の疲れを癒していた。
巌の如く隆起した全身の筋肉は温かな湯に解れ、苔のように生い茂る剛毛が肌に張り付く。
荒れた掌で石鹸を泡立て、体を清めようとしたところでアモスは小さな来客に気が付いた。
振り返るとそこにはアモスの腰ほどの身長しかない、道化じみたモンスターが佇んでいた。
その面相は不気味とも、愛嬌があるとも言える。
当初、アモスに警戒心は全くなかった。
「なんだ背中を流してくれるのか?」
笑いながらそう言うとテンツクは本当に石鹸を手に取り、椅子に座るよう指し示す。
少し驚きながらもアモスはこの珍妙な申し出を受け入れ、テンツクに広い背中を向けた。
「おお、上手いじゃないか」
テンツクの肌は吸い付くように柔らかく、弾力を備えていた。
むちむちとした手がアモスの太く鍛えられた首を降り、複雑に盛り上がった背中の筋肉を撫で回す。
手は腋の下を通って毛むくじゃらの分厚い胸板を泡立て、体毛の流れに従って腹筋の一つ一つをなぞっていく。
そして、猥雑に繁った恥毛の中に短い指が潜り込んだかと思うと回り込むように軌道を変える。
陰茎にも陰嚢にも決して触れず、硬い太腿の内側や鼠径部を扱くように洗う。
「……」
モンスターに男性器を触られることぐらいは気にならなかった。
しかし、テンツクの手付きは明らかにアモスの股間にぶら下がるずっしりとした器官を避けている。
ぎりぎりのところで与えられない刺激は時に思わぬ雄の本能を掻き立てる。
モンスターの手で周囲を撫で回され、アモスは不覚にも股座の大剣を天にかざしてしまった。
「……よし、もういいぞ、後は──」
不意の勃起に慌てて立ち上がり、テンツクを制する。
狭い浴室で、アモスの野太い仮性包茎が威圧するようにモンスターの目の前に現れる。
そして、テンツクは吸い寄せられるように男の茂みの顔を埋めた。
「ぬおおっ!」
アモスの膝が開く。
走り抜ける刺激に股の間を見下ろすと、自身の巨肉を横笛を吹くようにしゃぶるモンスターと目が合った。
「な、何を……っ!」
拒絶する隙はあった。
腕力の差は圧倒的だった。
しかし、アモスもまた生来強い性欲の処理に苦労し、男盛りの肉体を持て余していた。
女や年少者がほとんどの一行であるから控えていたが、同年代の男たちばかりなら今頃売春宿で女を抱いていただろう。
アモスはその一瞬の逡巡を突かれてしまった。
「おっ! おあああああっ!」
テンツクがアモスの肉棒を横にしゃぶったまま、甘えるように頭を振る。
人間の口では陰茎の片側を舐め回すのが限界だが、テンツクの大きな口は極太の直径を乗り越えて男を包み込む。
その深い満足感が毛深い下腹部を攻め上がり、アモスは仰け反った。
「やっ、やめろ……っ! おっ! おうううううっ!」
これもまた人間には不可能な長く激しいストロークによってアモスの分厚い包皮が剥き出され、中身を舐られてはまた被される。
気持ちが良いに決まっている。
完全に発情したアモスは思い出してしまう。
今日立ち寄ったカジノのバニーガール。
その豊満な尻に食い込む衣装をずらし、己の男根を捩じり込む想像。
「おうっ! い、いかんっ!」
たちまち絶頂が訪れる。
溜め込み過ぎた戦士の遺伝子が精巣から駆け上ってくる。
その瞬間、テンツクは痙攣する肉棒を深くしゃぶり直し、張り詰めた亀頭を自身の頬の内側で捏ね回した。
「おうううっ! 出るっ! 出てしまうっ! おおおおおおっ!」
粘液めいた怪音が響き渡る。
アモスは宿屋の風呂場で密かに、テンツクの卑猥な口内に男の汁をぶち撒けた。
太腿に、脹脛に、硬い筋肉の塊を浮かべながらアモスは悶絶する。
「おおおうっ! ばっ、馬鹿なっ! ぐおおおおおっ!」
射精中の巨根を粘膜で扱かれ、鈴口の開き切った亀頭を嫐られる。
上目遣いで痴態を観察されながら、にやにやと道化じみた口の中で精液を搾られる。
「こんなっ! こんなにもっ! おおおおおっ!」
テンツクのテクニックは男の肉体を知り尽くしているとしか思えなかった。
そんなモンスターの口中に雄の性感帯を突っ込んだ状態で逆転の芽などあるはずがない。
テンツクの喉が蠢くたびに、抗い難い悦楽が戦士の筋肉を捩れさせる。
アモスはこの間抜けな口に好きなだけ子種汁を啜り食われるしかない。
「そんなにっ! 飲まれたらっ! んおっ! おっ! んおおおおおっ!」
寛ぎ、笑い合う上階の仲間たちの声を聞きながらアモスは一人、飲精の快楽に昇天した。
「む、う……っ」
驚くべきことにテンツクは大量のアモスの精液を一滴も零さず飲みつくした。
漂うイカ臭さも僅かだった。
久々の役目に弾む巨大な精巣をテンツクが鷲掴みにし、しげしげと眺める。
アモスは既に抵抗の意志を吸い出され、風呂場の壁にもたれてモンスターのされるがままになっていた。
長風呂を疑問に思った仲間が呼びに来るまで、アモスは男性器を弄ばれた。
「……」
川辺の岩に腰を下ろし、屈辱の記憶を反芻するアモス。
その視界の端で小さな影が動く。
いつの間にかテンツクが馬車を降り、短い脚でゆっくりと歩み寄ってきている。
「っ……」
拒絶感に反し、巨体は動かない。
アモスの鎧の前垂れの下に熱い靄のようなものが溜まっていく。
次第に近付いてくるモンスターのニヤついた口から目を離せない。
「お~い」
その時、テンツクの動きが止まった。
無事帰還した仲間たちが手を振りながら川辺に戻ってきていた。
アモスは手を振り返すが、すぐに立ち上がる事は出来ない。
「……」
駆け寄る仲間たちの中で、ハッサンだけがその微妙な空気に気付いていた。
─旅の武闘家と村の英雄は魔物使いに転職した!!(4/6)へ続く──