こんにちは、庄名です。
14年も昔に描いた絵なのですが、
ユーリちゃんがお話を付けてくれたので絵の方も加筆修正して記事にしてみました。
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『 人魚姫の妹 』
姉様が泡になってふわふわ海の中を落ちてくる。
たくさんの透明な泡。ぱちんぱちんと弾けては消えていく。
あたしの姉様は、恋に溺れ破れて泡となった。
みんなが反対していた恋だったけれど、あたしは応援していた。
だって、人間の王子さまを助けてはじまる恋なんて、なんてロマンチック。
王子さまは気を失っていたところを助けたというけれど、きっといつかわかってくれる。
だって、運命の出会いなんだもの。
大好きな姉さまほどの人が、大好きになった人なんだもの。
きっと、思い出してくれる。
ううん、思い出さなくったって、きっと王子さまは姉様と恋に落ちる。
そして二人はいつまでもいつまでも幸せに暮らすんだ。
あたしはそう無邪気に信じてた。
姉様。
あたしは今日、嫁ぐことが決まったよ。
姉様の幼馴染で、尾が立派で、優しくて、姉様のことが大好きだったひと。
もしかしたら、姉様が海を飛び出して行かなかったら、きっとこのひとと結婚していたんだろうね。
どこか、父様に似てるの。
そして、人間が嫌いなの。
人魚たちは今、悲しみに暮れている。
大好きな姉様を喪って、みんな深い深い海の底にいるみたい。
だから、人間なんて愛せない。
姉様を愛さなかった、人間なんて許せない。
ごめんね。
きっときっと、姉様は悲しむと思う。
姉様は、人間が大好きだったから。
岩辺に上がって、いつも遠くから姉様と人間たちの暮らしを眺めるのが大好きだったよ。
でも、あたしには、もう。
ぱちんぱちんと弾けていた泡は、いつのまにかすべてなくなってしまった。
広い広いこの世界で、姉様の泡は海と一体化して、消えていく。
どうして、どうして、ねぇどうして。
海の中にいればよかった。
足なんか求めないで、声なんて投げ出さないで。
恋なんて、忘れてしまえば。
姉様が救った命を、姉様が奪ってしまえば。
そうしたら、今も姉様はきっと生きてくれていた。
泣いたって、悲しみにくれていたって、いつかきっと癒えると信じてあたしは姉様のそばにいられたのに。
海の全てが、姉様の墓場。
姉様の魂を除いたその全てが、海の中に溶け込んでいく。
姉様の魂はきっと空の高い高いところへ登っていくんだろう。
あたしはその最後の泡を追いかけて、どこまでもどこまでも深く潜っていく。
二度と地上には上がらない。
二度と人間の顔なんて見ない。
二度と陸を歩いてみたいだなんて、不相応な願いは抱かない。
ただ、いつかあたしと姉様の身体のカケラが、どこかで交わると信じて。
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絵・庄名泉石 文・柊ユーリ
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同人誌の表紙にした事もあり、
昔から見てくださってる方には馴染みがある絵かもしれません。
修正前のイラストはpixivで見る事ができます。
14年前なんて…おそろしい…
今見るとうわああああって部分もありますが、気に入ってる絵なので良かったら違いも楽しんでみてください。
それではまた近いうちに!
庄名泉石
ななつ
2022-10-02 03:23:10 +0000 UTC